
「老化防止に効果的な運動はないかな?」「運動で老化を防止できればよいのだけど…」と思っていませんか?
老化といえば、主要なものに以下の3つがありますが、結論から言うとそれぞれ運動をすることで老化防止に繋げることが可能です。
● 体力の衰えによる運動機能の老化
● 肌など美容面での老化
● 記憶・理解・判断力など認知機能の老化
それぞれの老化について、各分野の専門家や団体が研究や論文で適切な運動が老化防止に有効であることを証明しています。
そこでこの記事では、運動機能・美容・認知機能の3つに分けて、老化防止と運動の関係について解説していきます。運動に不慣れな人であってもすぐに取り入れられるような効果的な運動や注意点について丁寧に解説していきますのでぜひ積極的に実践し、老化防止に役立てていただければ幸いです。
目次
1.運動は老化防止に効果的!有酸素運動で老化を防止できる理由を3つの視点で解説
前述した通りですが、運動は老化防止に効果的です。特に「有酸素運動」を行うことであらゆる老化防止に繋がることが証明されています。
そこでこの章では、老化のなかでも特に重要視されることの多い以下の3つの視点に沿って、なぜ運動(有酸素運動)することによって老化防止に繋がると言えるのか、一つ一つ根拠とともに解説していきます。
● 体力の衰えによる運動機能の老化
● 肌の調子など美容面での老化
● 記憶・理解・判断力など認知機能の老化
それでは運動機能に関する老化から解説していきます。
1−1.体力の衰えによる運動機能の老化
年を重ねると、筋の萎縮などにより筋肉量が低下します。個人差はあるものの、成人の筋肉の重量は体重の約40%と言われており、20代から10年ごとに約6%ずつ低下していきます。また、加齢により骨密度や骨量が低下するとも言われています。つまり年齢を重ねることによって筋肉量や骨量が減り続けるため、運動機能の低下(老化)に繋がるといえます。
しかし、適切な運動を続けていれば、高齢者も運動機能の回復を望めます。例えばジャンプや縄跳びなど瞬発力を高める運動が有効とされていますが、高齢者の場合は安全を考え、全身の骨や筋肉をほどよく動かす「有酸素運動」がおすすめです。
なぜなら、有酸素運動としてよく取り入れられるウォーキングやプールでの運動を行うことによって全身の関節運動を促進し、筋力向上や心肺機能の向上、骨を丈夫にする効果が見込めるからです。
参照:健康長寿ネット「運動機能の老化」および「健康長寿を実現する運動」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka/undoukei-rouka.html
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/undou-jiritu.html
1−2.肌の調子など美容面での老化
運動を続けることは、肌の老化防止にも効果的です。
カナダにあるマクマスター大学の、マーク・ターノポルスキー教授(小児科および運動科学)の研究でそれが証明されています。
● 20~84歳の男女グループ(約15名)に、ウォーキングや自転車こぎなどの「有酸素運動」を週180分(1回30分×6回)3か月間続けてもらった
● メンバーの肌がより健康的になり、みずみずしい状態を保てるようになった
● 同じ運動を週60分未満行っていたグループメンバーの肌には、特に変化がみられなかった
● 上記の運動をしなかった65歳以上の人々に週180分の「有酸素運動」をはじめてもらったところ、3か月後には肌年齢が若返った
以上の結果から、ある程度年齢を重ねたとしても、有酸素運動を続けることで肌の衰えを防止できることに繋がるということが証明されました。
参照:マクマスター大学
1−3.記憶・理解・判断力など認知機能の老化
運動が認知機能低下を予防する効果があることは、世界保健機構(WHO)の「認知症と認知機能低下のリスクを減らすためのWHOガイドライン」によって解説されています。
特に65歳以上の方であれば週150分以上の中強度の「有酸素運動(1回に10分以上続ける必要あり)」か、週75分以上の強度の高い運動をすることを推奨していました。
参照:世界保健機構
https://www.who.int/mental_health/neurology/dementia/guidelines_risk_reduction/en/
2.老化防止に効果的なおすすめ有酸素運動3種
老化防止には「有酸素運動」が有効ですが、中でも以下の3種をおすすめします。なぜならこれらは球技のような激しいスポーツと比べ体への負担は少ないからです。老後を迎える年代の方であっても効果的でありながら少ない負担で実践することができます。
● ウォーキング/ジョギング
● 自転車こぎ/サイクリング
● 水中運動/水泳
また前述した通り、老化防止には週150~180分くらいの有酸素運動を行うことが推奨されています。たとえば、月曜日はウォーキング、水曜日はサイクリング、金曜日は水泳など運動の種類を変えても老化防止に有効です。まずは週150分(1回あたり最低20分)の時間を有酸素運動に費やすことを目標に実施していきましょう。
それでは1つずつ解説していきます。
2-1.ウォーキング/ジョギング
代表的な有酸素運動であるウォーキングやジョギングは、幅広い年齢の方が、特別な道具や設備なしで実践できる運動です。どちらかというと、体の負担が少ないウォーキングから始めることをおすすめします。
ウォーキングのフォームは以下4点を意識しましょう。
● 姿勢を保つ
● 腕を適度に振る
● 足の裏全体が地面に触れるように歩く
● 重心を前に移動させることを意識しながら歩く
このようなフォームを意識してウォーキングを行うことで、体の負担が少ない中でも一定の運動強度を保つことができます。
また、ジョギングは会話をしながら走れるペースを意識しましょう。ウォーキングよりも運動強度が高いので、多くのエネルギーが消費されダイエット効果などの副次的な効果も期待できます。
なお、ジョギングは踵や膝への負担が大きいので、初心者はクッション性の高い靴を選び、公園の芝生や土の上などのコースがおすすめです。
ウォーキングやジョギングで老化防止に期待できる効果は、具体的に以下のようなものがあります。
● 高血圧の改善
● 心肺機能の強化
● 骨の強化
● 腰痛の改善
ウォーキング/ジョギングの注意点
● 体調や天候の悪いときは、無理せず止めましょう
● 距離や時間にこだわりすぎないようにしましょう
● 屋外では思わぬ事故に注意しましょう
2-2.自転車こぎ/サイクリング
自転車こぎは、屋外で自転車に乗ることだけではなく、市町村の体育館やフィットネスジムなどの運動施設に設置されているエアロバイクや自転車エルゴメーターなど、固定ペダルをこぐ運動も含みます。息が切れない程度でも20分以上こぎ続ければ有酸素運動になるのでまずは低負荷から始めるようにしましょう。
特に、体重による膝や足首への負担が心配な人や、膝痛や腰痛がある人に自転車こぎやサイクリングはおすすめです。ウォーキングやジョギングに負担を感じるようであれば、自転車こぎやサイクリングから始めてみましょう。また、室内で固定ペダルをこぐ運動は天候にも左右されず、時間や負荷の調整も容易に行えるという利点があります。
サイクリングは、自転車で道路を走る運動です。自転車こぎよりもスポーツに近い感覚となり、1時間で300kcal、1時間のウォーキングと同程度のカロリーを消費します。また、20~30分程度の短時間でも定期的に自転車に乗ることで、脳の活性化やバランス感覚を保つ効果も期待できます。
自転車こぎやサイクリングでは、加齢により衰えがちな、以下の機能・能力向上を目指せます。
● 心肺機能の向上
● 筋持久力の向上
● バランス感覚の向上
● 脳の活性化
自転車こぎ/サイクリングの注意点
● 背筋を伸ばして自転車やエアロバイクに乗り、左右均等に足裏全体でペダルをこぎましょう
● ペダルに重い負荷をかけすぎると、腿の筋肉ばかり使用し、筋力バランスが悪くなります
● 屋外を走る場合は交通事故や転倒にくれぐれも気を付けましょう
2-3.水中運動/水泳
泳ぐだけでなく、水中で歩いたり、音楽に合わせて体を動かす水中運動は、アクアサイズとも呼ばれます。水の浮力を利用することで、膝や腰への負担が少ない運動が可能です。また、水の抵抗を利用することで筋に負荷をかけることもでき、水圧によって呼吸筋が強化され、血液の循環も促進します。
有酸素運動として水中運動を行うには、苦しくならないレベルで20分以上運動する必要があり、これも週3日以上であることが望ましいです。プールがあるフィットネスジムのほか、市区町村が運営するプールでも水中運動プログラムが用意されているところもあるので積極的に活用しましょう。
水泳も連続して20分以上泳がないと有酸素運動にはなりません。多少泳ぎ慣れている人でないときついかもしれませんが、全身運動ができますし体重がかからない分体への負担は少ないといますから、泳ぎに多少なりとも慣れている人であれば積極的に取り入れるべきでしょう。長距離泳げない人は、75m泳いだ後25m水中歩行をするなどの工夫が必要です。
水中運動や水泳で期待できる効果は以下のようなものがあり、老化防止にもつながります。
● 体脂肪燃焼(生活習慣病の予防)
● 循環器系の向上
● 筋持久力の向上
● 可動域の向上
水中運動/水泳の注意点
● プールの中は湿度が高いので水分補給を忘れがちです。脱水症状に気を付けましょう
● 水中での動きに慣れないうちは、陸上での運動より疲れがでやすいので注意が必要です
3.効果的な有酸素運動を行うために知るべき3つの注意点
老化防止のために運動を行う場合無理は禁物です。特に50代や60代などある程度歳を重ねた方であれば少しの無理で体を壊してしまう可能性も十分にあります。今回紹介した負荷の少ない有酸素運動であればリスクは抑えられますが、無理をしないことの心がけは非常に大切です。以下より紹介する3つの注意点はぜひ守っていただければと思います。
3-1.運動の前後に、ウォーミングアップやストレッチを行いましょう
運動を実施する際にはストレッチなどのウォーミングアップは必ず実施しましょう。ウォーミングアップをすることによって怪我の予防効果が期待できます。
British Medical Associationが監修しているイギリスの医学誌BMJによると、ウォーミングアップを実施・継続したことによって、急性外傷や慢性的な身体の障害が約50%も予防することができたとのことです。
かんたんなウォーキングやストレッチでも良いので、ウォーミングアップを実施し、急な激しい運動は避けるようにしましょう。
参照:BMJ
https://www.bmj.com/content/337/bmj.a2469
3-2.適度な水分補給を忘れないようにしましょう
運動をすることによって筋肉が働き体内温度が上がりますが、歳を重ねることによって発汗機能が低下し、熱を溜め込みやすい体質になると言われています。つまり、適度な水分補給をしないとより熱を溜め込みやすくなり脱水症や熱中症などのリスクが高くなってしまう可能性があるということです。
運動中は適度な水分補給を忘れないようにしましょう。必要な水分量は個人の体質や実施している運動の量や負荷によって異なりますが、例えばマラソン程度の負荷の運動であれば1時間当たり400〜800mlの水分を摂取することが望ましいとされています。また、水分補修は運動前、運動中、運動後のいずれも必要です。運動をする際は必ず飲み物を携帯するようにしましょう。
参照:日本スポーツ協会
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/supoken/doc/nechusho_yobou_guidebook_2018.pdf
3-3.体力的な不安がある人は、医学検査や体力測定を受けてから始めましょう
適度な運動は老化防止だけでなくあらゆる健康へのメリットを享受することができますが、一方で持病の発症や何かしらの症状を誘発する可能性も持ち合わせています。
特に高齢者であれば心血管系のリスクが伴うとされています。このようなリスクを考慮した上で安全性の高い運動を実施することが重要であり、毎回運動前に自身の体調をチェックするべきです。まずは継続的な運動を実施する前に健康診断受けたり体力を事前にチェックするなどの対応が大切です
できる限り安全で老化防止に効果的な運動を行うためにも、健康状態を常に把握する習慣をつけましょう。
参照;体力科学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm1949/52/Supplement/52_Supplement_55/_article
4.まとめ
改めて、老化防止には運動が効果的です。特に有酸素運動を取り入れることによりあらゆる老化防止への効果が期待できるでしょう。
まずは週150分以上の時間を、今回紹介した負荷の少ない有酸素運動に充て、さっそく実践し継続してみてください。本記事をきっかけに老化防止の糸口を掴んでいただけたら幸いです。
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