
今、定年後も働きたいと考えるシニア世代が増えています。それと同時に、定年後の再就職に備えて資格を取りたいと考えるシニアも増えました。
資格取得することによって、再就職する際に有利になることもありますし、仕事の選択肢を広げることもできます。また、取得した資格の種類によっては、独立開業の夢を実現することも可能になりますから、将来のことを考えて資格を取得しておいて損をするということはないでしょう。
とはいえ、国内で取得できる資格の種類は膨大で、取得までにかかる費用も時間もバラバラです。自分に適した資格はどれなのか、どんな資格を取ればいいのか迷いますよね。
そこで、定年後の再就職に有利になるという視点から、シニア世代が資格を選ぶポイントをご紹介し、さらにシニアの定年後の働き方に有利になるオススメの資格を「再就職」と「独立開業」の二つに分けてご紹介します。
ぜひご自身の状況を振り返りながら、最適な資格を選んでください。
1.間違いなく定年後に有利になる資格を選ぶポイント
自分にとって確実に有利になる資格を選び出すのはかなり大変な作業です。なぜなら、国内にはさまざまな資格があり、その数は膨大だからです。資格取得のスクールなどのパンフレットを読んだくらいでは迷ってしまって選べないでしょう。
シニア世代がこれから資格取得をするにはどういう選び方をすればいいのか、特に定年後の再就職に有利となる資格の選び方には以下の6つのポイントがあります。
2.資格取得をする目的をしっかり決めてから選ぶ
3.自分のこれまでのキャリアや適性を考慮して選ぶ
4.資格取得までにかかる時間や費用を把握してから選ぶ
5.シニアに求められることが多い、ニーズの高い資格を選ぶ
6.ネットのSNSで当事者から直接情報を得てから選ぶ
この6つのポイントを抑えれば、迷うことなく自分に取って最適な資格を選ぶことができるようになりますので、ぜひお読みください。
1-1.資格の種類について理解する
まず最初に資格の種類について知っておきましょう。大きく分けて3つになります。
①国家資格…国が認めた資格 *4種類ある
試験の難易度が高い傾向があり、取得するまでに時間と費用がかかる傾向があります。国家資格は4つに分類されます。
(1)業務独占資格
医師や弁護士のように、その仕事に従事するのに必ず必要になる資格です。無資格で業務を行うと処罰されます。
(2)名称独占資格
保育士、栄養士、理学療法士、キャリアコンサルタントなど、資格がなくても従事することはできますが、これらの名称を使用することはできません。無資格者が名称を使うと処罰されます。
(3) 設置義務資格
旅行業務取扱管理者、衛生管理者など、特定の事業を行う際に、法律で設置することが義務づけられている資格です。
(4)技能検定
仕事上で必要とされる技能の習得レベルを国が認定するものです。機械加工、建築大工、ファイナンシャルプランナーなど111種あり、130職種(平成30年現在)に設定されています。
②公的資格…官公庁や大臣が認定する資格
日商簿記検定、英検、色彩検定 など、主に省庁が認定した審査基準を基に民間団体や公益法人が試験を実施して認定する資格です。民間資格ではありますが、省庁の認可が得られていることもあり、国家資格に次いで信頼性が高い資格であると評価されています。
試験の難易度は国家資格ほどではないものの、全般的に合格率は決して高くありません。付け焼き刃の知識で取得することが難しいことが多いので、試験までに計画的に勉強をする必要があります。
③民間資格…企業や民間団体などが任意で発行している資格(法的な規定がない)
一番種類が多いのが民間資格で、費用も安価で時間もかからず、試験の難易度も低いものが多い傾向があります。あまりにも安易に取得ができるものは、就職などにはあまり役立てることはできないでしょう。取得したい資格が就職の場でどのような評価がされているか、よく調べてから取得しないと、時間や費用をムダにしてしまいますので注意しましょう。
一概には言えませんが、難易度の傾向として「国家資格」は難易度が高く、次いで「公的資格」、「民間資格」は玉石混交ですが、比較的簡単に取得できることが多いです。
有用性で言えば、国家資格と公的資格は再就職の場では有利となりやすく、民間資格の場合は、知名度の高い資格であれば有用性があると言えます。
1-2.資格取得をする目的をしっかり決めてから選ぶ
まず、一番大切なことは、資格取得をする目的をしっかり決めてから選ぶことです。なぜなら、目的がはっきりしないまま資格を取っても、その後に活かすことができなくなるからです。
再就職を有利にするための資格なのか、独立開業を目指すための資格なのか、それとも趣味を極めるための資格なのか、まずはそれをしっかりと決めましょう。
1-3.自分のこれまでのキャリアや適性を考慮して選ぶ
自分のこれまでのキャリアや適性も考慮したうえで取得する資格を選ぶことも大切です。なぜなら、いくら再就職に有利になるといっても、自分にとって苦手な分野の仕事をすることは苦痛になり、資格取得もかなり苦しい挑戦になってしまうからです。
仕事には「向き・不向き」がありますから、シニア世代が無理をして、自分に合わない仕事を選んでしまうと若い頃よりも苦労してしまうでしょう。
自分の今までのキャリアが活かせる資格、もしくは未経験ではあるが自身の適性が活かせそうな資格を優先して取得する事をお勧めします。
1-4.資格取得までにかかる時間や費用を把握してから選ぶ
資格取得にかかる時間や費用は、各資格によって大きな幅があります。取りたい資格を手にするまでに、どれくらいの時間と費用がかかるか、最初にしっかり把握しておくようにしましょう。
シニア世代は残された時間を有効に使わなければいけない世代ですし、金銭的にも将来を考えてある程度蓄えておかなければいけない世代でもあるからです。
無計画に資格取得を始めてしまうと、資格取得にかけた時間や費用をムダにしてしまうかもしれません。試験合格率の非常に低い難関資格に挑戦する場合、若年層であれば試験に合格できないまま数年間を過ごしたとしても将来的なリターンが望めますが、シニア世代の場合はリターンを得ることなく人生のゴールを迎えてしまうことにもなりかねません。
かといって、3日程度の講習を受けて無試験でも取得できる手軽な資格を取っても、役に立つことはあまりないので、資格取得までの時間と費用はよく考えてから資格を選びましょう。
1-5.シニアに求められることが多い、ニーズの高い資格を選ぶ
シニア世代が求められている仕事は、若年層や中高年層の仕事と違ってかなり限られています。将来的には少子高齢化がさらに進み、年金制度の改正もありうるので、今よりさまざまな職種でシニアが働くようになっていくかもしれませんが、現時点の選択肢はかなり狭い状況です。
そういった状況も踏まえて、シニア世代にニーズが高い資格を選ぶことも大切です。若年層が求められる仕事に関連した資格を取得しても、残念ながら活かすことは難しいでしょう。
シニア世代にニーズが高い資格は、この後の2章でご紹介しますので、ぜひご覧ください。
1-6.ネットのSNSで当事者から直接情報を得てから選ぶ
同年代からのリアルな情報は宝のようなものです。できるだけ新鮮な情報を手に入れるためには、インターネットのSNSを利用してみるといいかもしれません。
普通にネット検索をしても情報は得られますが、SNSのよさは、当事者が経験した生々しい体験を知ることができることです。「定年後、×ヶ月かけて◯◯◯の資格を取ったら、早期再就職ができた」「△△△の資格を取るなら●●●スクールのテキストが充実していておすすめ」といった情報が得られるかもしれません。
とはいっても、いきなりSNSに挑戦するのは怖いという方もいるでしょう。SNSの初心者なら一番最初に試していただきたいのが、らくらくコミュニティです。
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アカウント登録だけして、「発言しないで読むだけ」という使い方でも全く構いません。自分が発言しても大丈夫だなと思えたら、少しずつ試してみましょう。
慣れてきたら、気になったユーザーと友達になったり、個人サークルを作ることもでき、同窓会の連絡をしたり地域活動する仲間と情報交換したりすることもできます。
2.【再就職に有利】おすすめ資格ベスト5
1章で、現在日本国内にはたくさんの資格があることをご紹介しました。その中から現時点で、有用性があり、再就職の場においても有利になると言われている資格を5つ紹介します。それぞれの資格の難易度と費用負担の目安を★で評価しました。各資格の難易度は単純比較することはできませんが、ある程度の目安として参考にしてください。
費用負担は、テキスト代や講座・スクール受講などにかかると思われる費用の目安です。
独学で資格取得を目指せば費用負担は大幅に減らせますが、難易度の高い資格を取得したい場合には、専門知識の取得のためにもスクール等の受講をおすすめします。
2-1.調理師
難易度 ★☆☆☆☆
費用負担 ★☆☆☆☆
調理師免許は定年後、独立してカフェ等を開業したい方は取得しておくといい資格です。国家資格の中では難易度は低いものの、飲食店・飲食施設などで2年以上の調理業務の経験が受験に必須となります。
厚生労働大臣認可の調理師養成施設を卒業することで免許を取得する方法もありますが、時間も費用もかかるため、シニア世代には不向きと思われます。
難易度は低く、受験科目6科目(調理理論、食品衛生学、公衆衛生学、栄養学、食品学、食文化概論)の60%以上正解が合格ラインで、合格率も60〜65%となっています。
調理師は、名称独占資格のため、調理師免許がなければ「調理師」の名称を用いることはできません。試験に合格した後に、調理師として都道府県知事に免許の申請が必要となります。
2-2.簿記
難易度 ★★☆☆☆
費用負担 ★★☆☆☆
簿記資格は公的資格ですが、現在4つの団体が検定を開催しています。
・日本商工会議所 (日商簿記)
・全国経理教育協会 (全経簿記)
・全国商業高等学校協会 (全商簿記)
・日本ビジネス技能検定協会(日ビ簿記)
この4団体のうち、知名度の点でも信頼度の点でもおすすめは日商簿記です。また1〜3級までありますが、再就職の場で強みとなるのは2級以上です。
3級は1週間程度の独学でも取得ができる難易度なので腕試し程度に挑戦するのがいいでしょう。2級以上になると合格率が3割程度に下がります。再就職のために取得するのであれば、仕事で活かすことを念頭しっかりと勉強して身につけてください。
参考:日商簿記検定 – 簿記 | 商工会議所の検定試験
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping
2-3.介護関連資格
難易度 ★★☆☆☆
費用負担 ★★★☆☆
現在介護に関する資格はさまざまあり、国家資格から民間資格まで多く存在し、未経験でも取得できる難易度の低い資格から、実務経験を積んでからでないと取得できない資格もあります。シニア世代から介護職のキャリアをスタートさせるのであれば、とにかく早めに下位の資格を取得して、介護の現場で実務を積み始めることが大切です。
介護関連の資格の特徴は、将来を見据えて実務経験を積みながら、上位の資格に挑戦していけることです。一般的なケースを例にすると、まず初任者研修を取得して介護の職場に就職し、実務経験を積みながら→実務者研修→介護福祉士(国家資格)→ケアマネージャーや認定介護福祉士と上位の資格を取得していき、同時にキャリアアップもしていきます。
主な介護に関する資格をここでご紹介します。難易度は上位資格になるほど高くなり、資格取得の条件に実務経験が必須となります。
【介護職員初任者研修】
介護職員初任者研修は、介護の基礎知識・スキルがあることを証明できる入門資格です。最短1か月程度の短期間で取得可能なので、介護職を目指すのであれば、ぜひ取得しましょう。
【介護福祉士実務者研修】
介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格になります。実務者研修を取得することによりサービス提供責任者として働くことができるようになり、医療的ケアやたん吸引など実践的なスキルが身に付きます。
【介護福祉士】*国家資格
介護福祉士は介護職唯一の国家資格です。今の時点では介護職のキャリアパス最上位にあたるため、取得難易度はやや高めです。働きながら介護福祉士を目指すには、介護施設での実務経験3年以上と、実務者研修を修了するという2つをクリアして、試験に合格する必要があります。
【ケアマネジャー(介護支援専門員)】
ケアマネと呼ばれることの多い介護支援専門員は、介護保険制度に基づき、介護が必要な方の心身の状況や周囲の環境などに応じて、介護サービスを利用できるようにするためのケアプランを作成します。長期(900日以上)の実務経験が必要な専門性の高い資格です。
【認定介護福祉士】
介護福祉士の上位資格として『一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構』が2015年12月から認証・認定を開始した民間資格です。介護福祉士よりも、さらに多様な利用者や環境に対応できるための知識やスキルの習得、介護職員へサービスの質向上を指導するスキルと実践力を持つことを証明する資格です。実務経験なく下位の資格を取得せずに、この資格を取得することはできません。
くわしくはこちらでご確認ください。
一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構
http://www.nintei-kaishi.or.jp/home/
2-4電気工事士
難易度 ★★★★☆
費用負担 ★★★☆☆
電気工事士は、電気工事士法により定められている国家資格です。ビルやマンション、工場等、建物内の電気設備を工事するのに必要な資格です。室内の電気設備の取り付けや配線など、電気設備の工事ができるのは、電気工事士の資格を持っている者だけです。
電気工事士には、「第一種」と「第二種」の2つがあります。「第二種」を取得すると、一般住宅や小規模店舗等の電気設備の工事ができます。「第一種」を取得すると、工場、ビルなどの大規模な建物での電気工事もできるようになります。「第一種」のほうが難易度が高く上位の資格となりますので、まずは「第二種」から取得するのが一般的です。
試験は「第一種」「第二種」どちらも、筆記と技能の2つがあり、合格率は「第一種」が30%前後、「第二種」が45%前後となっています。
参考:電気工事士の資格と範囲 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
https://www.shiken.or.jp/range_qualification/03.html
2-5.マンション管理士
難易度 ★★★★☆
費用負担 ★★★☆☆
マンション管理士資格は国家資格です。名称独占資格なので、試験に合格した後にマンション管理士としての登録が必要になります。
マンション管理のスペシャリストとしてマンション管理組合の運営のほか、マンションの維持・管理に関して、管理組合の管理者等やマンションの区分所有者からの相談に応じたり、指導、援助等のコンサルティング業務を行います。いわゆる「マンションの管理人さん」ではなく、法律の知識や専門知識を得たマンション管理のプロとして活躍できます。
試験の合格率は7~8%前後と難関資格の部類に入るので独学での合格は非常に難しく、信頼のおける講座などを受講することをおすすめします。
参考:公益財団法人マンション管理センター|マンション管理士試験
http://www.mankan.org
3.【独立開業に有利】おすすめ資格ベスト5
独立開業に有利と言われていて、シニア世代にも人気のおすすめの資格を5つ紹介します。こちらも難易度と費用負担の指標をつけました。
独立開業するための資格は難易度が高めになります。試験合格までに時間がかかってしまうものも多いので、憧れの気持ちだけで挑戦することは避け、資格の有用度から難易度まで調査し、資格取得後のビジネスプランまで練ってから、資格取得の勉強を始めましょう。
3-1.ファイナンシャルプランナー
難易度 ★★★☆☆
費用負担 ★★★☆☆
銀行や生命保険などの金融機関で働くためには必須と言われているファイナンシャルプランナー資格ですが、定年退職後の独立開業のために取得する人が多い資格です。
国家資格である「ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士」と民間資格の「CFP」と「AFP」があります。「FP技能士」資格は1〜3級まであります。1級受験には実務経験が必須で難易度も高く、3級は比較的簡単に取得できます。2級の合格率は30%前後、3級の合格率は50〜70%前後です。
民間資格の「AFP」は、難易度のレベルで比べるとFP技能士2級程度、「CFP」はFP技能士1級程度と言われています。
独立開業するためには、少なくとも「FP技能士2級」程度は取得しておきましょう。(1級の受験には実務経験が必要です)
参考:日本FP協会「FP技能検定とは」
https://www.jafp.or.jp/exam/about/
3-2宅建(宅地建物取引士)
難易度 ★★★☆☆
費用負担 ★★★☆☆
不動産・建築関連の仕事を目指すのであれば取得しておきたい国家資格です。金融機関や保険会社などへの就職にも有利になる資格と言われ、資格手当が支給されることが多く、収入アップも狙えるところが魅力です。
年1回しか行われない試験を約20万人が受験すると言われている人気の資格で、試験の難易度は国家資格の中ではそれほど高くないものの、合格率は15〜17%。片手間に勉強しただけでは資格取得は難しいでしょう。試験実施日に照準を合わせて計画的に勉強することが大切です。
参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験
http://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html
3-3.社労士
難易度 ★★★★☆
費用負担 ★★★★☆
社会保険労務士は国家資格で、近年特に女性の人気が高く、定年退職後の独立開業のために資格取得を目指す人も多い資格です。少子高齢化の影響で、日本国内の労働環境や労働問題に対する関心の高まりから社会保険労務士に対するニーズも高まっており、将来性も高い資格です。
社会保険労務士の業務内容は、労働に関する法律全般に携わり、社会保険の加入手続を行ったり労働規約・就業規則作成などを行います。試験は年1回、合格率も10%未満とかなりの難関です。労働関連の法律を学ぶことは必須ですから、独学で学ぶよりも堅実なスクールを選んで勉強することをお勧めします。
参考サイト:社会保険労務士試験オフィシャルサイト http://www.sharosi-siken.or.jp
3-4.行政書士
難易度 ★★★★★
費用負担 ★★★★★
国家資格である行政書士は、主に官公庁への提出書類の作成を行なったり、作成した書類等の提出代行、作成書類に関する相談業務なども行います。行政書士が作成する書類は「許可認可(許認可)」等に関するものが多く、扱える書類は1万種類以上になるともいわれています。弁護士、税理士などとともに、職務上請求権が認められていることも大きな特徴です。
書類作成だけでなく、法律のプロとしてさまざまな分野の相談を請け負う、経営コンサルタント業務なども行うこともでき、独立開業に向く資格です。
試験は年1回、11月に行われ、合格率は15%程度と難易度が高いです。憲法、民法、商法から一般知識まで試験の範囲が幅広く、試験の半年くらい前から集中して勉強する必要があります。
参考:一般財団法人 行政書士試験研究センター
https://gyosei-shiken.or.jp
3-5.中小企業診断士
難易度 ★★★★★
費用負担 ★★★★★
中小企業診断士は国家資格の経営コンサルタント資格です。資格取得後、企業の中で“企業内診断士”として活躍する道もありますが、定年後の独立開業を目指して資格取得を考える方も多い資格です。
シニア世代が挑戦するには少し注意が必要な資格です。それは、試験の合格までに時間がかかる傾向があるということです。
試験は一次の筆記と二次の面接(実技)の2つからなり、試験範囲が非常に広範囲(一次試験だけで7科目)に及びます。ストレート合格(初回受験で合格)する人は非常に少なく、2回、3回と試験を受けてから合格する人がほとんどという状況です
合格までに時間がかかるので、ご自身の体力や気力等を十分考慮し、生半可な気持ちでスタートすることは避けましょう。独学で合格を目指すのは非常に険しい道になります。短期合格を狙うのであれば予備校などに通うことが必須となりますので、かかる費用についてもあらかじめ計算しておきましょう。
参考:中小企業診断士協会 https://www.j-smeca.jp/index.html
4.定年後の備えとして資格取得する際に気をつけること
若年層の資格取得と違い、定年後の備えとして資格取得を考えた場合には、いくつか気をつけることがありますが、その中から重要度の高い、以下の3つをご紹介します。
2.資格取得まで数年かかる場合もあるので、早めにスタートすることが肝心
3.資格取得をしたからといって、必ずしも再就職に有利になるわけではない
1章でも少し触れましたが、時間とお金は有限です。このふたつは必ず念頭において、資格取得について考えたいものです。
人生のラストスパートの時期、悔いを残さないように、計画的に資格取得を行いましょう。
4-1.資格取得までに講座受講などで多額の費用がかかるケースもある
資格によってかかる費用はさまざまですが、特に難易度の高い資格を取得したい場合には、スクールや講座受講は必須となりますので、多額の費用がかかるケースがあることを知っておきましょう。
講座受講のメリットは、自分の習熟度・理解度が客観的にわかったり、同じ資格取得に向けて勉学に励む仲間ができるので励ましあったり教え合ったりできることです。独学で資格取得を目指す方もたくさんいらっしゃいますが、独学は孤独な戦いになりますから、かなり強い精神力がないと挫折する傾向が高くなります。
スクールや講座を受講すると、授業内容の充実度はもちろん、教材の難易度が高かったり教える講師のレベルが高くなればそれだけ費用がかさみます。取得したい資格に対してどれだけの費用がかけられるかは、各家庭の資産状況で異なってきますので、しっかりと講座の内容と費用を確認してから申し込むようにしましょう。
4-2.資格取得まで数年かかる場合もあるので、早めにスタートすることが肝心
ほとんどの資格は、勉強をスタートしてから半年〜1年以内、早ければ3ヶ月程度で取得できますが、難関資格の場合は、試験合格までに数年を要することが普通です。
独立開業することを目指して難関資格に挑戦するのであれば、いますぐスタートを切り、綿密な計画を立てて、できる限り最短で取得できるように情報を集め始めることをおすすめします。
年齢を経てからの勉学は精神的にも体力的にもかなりハードなものになります。体調も万全に整えて試験合格を目指してください。
4-3.資格取得をしたからといって、必ずしも再就職に有利になるわけではない
最後に耳の痛い話になりますが、資格取得が必ずしも、再就職に有利になるわけではないということを知っておいてください。
その理由は、繰り返しになりますが、シニアに求められている仕事の選択肢が現状は非常に狭いため、該当する仕事に必要のない資格であれば、取得しても有利になることはほとんどないのが実情だからです。
また、今は再就職に有利な資格であっても、「定年後の再就職に有利な資格は◯◯◯です」という情報が世間に広く出回ってしまうと、その資格を取得する人が増え、いつの間にか資格保持者があふれてしまい、やはり有利な資格ではなくなってしまうことになります。
資格に過度な期待をし過ぎないように気をつけ、資格取得は就職の助けにはなっても、有利な就職を保証するものではないということを、しっかり心に留めておきましょう。
5.まとめ
定年後に資格取得を考えているのであれば、取得までにかかる時間や費用のことを想定し、早めに動き出すようにしましょう。
最後に、定年後に有利になる資格を選ぶポイントを復習しておきましょう。
2.資格取得をする目的をしっかり決めてから選ぶ
3.自分のこれまでのキャリアや適性を考慮して選ぶ
4.資格取得までにかかる時間や費用を把握してから選ぶ
5.シニアに求められることが多い、ニーズの高い資格を選ぶ
6.ネットのSNSで当事者から直接情報を得てから選ぶ
資格取得をして再就職を有利にしたいと考えている方も多いはずです。再就職に有利となるような資格は、試験の難易度もそれなりに高い傾向があり、簡単に取得できるわけではないので、しっかりと計画を立てて準備することが大切です。
シニア世代の求人の状況は少しずつですが変化していて、最近ではだいぶ選択肢も広がってきています。時間も費用もムダにすることなく、賢く資格取得を行なってください。
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