認知症の介護が楽になる!知っておくべき9大法則と具体的な対処法

Elderly woman and daughter in the needle crafts occupational therapy for Alzheimer’s or dementia

「家族の認知症の介護が上手くいかず悩んでいる。どうしたらいいのだろう」
「認知症の介護で疲れて途方に暮れているのだけど、負担を減らす方法ってないのかな・・・」

身内が認知症になってしまったとき、介護する家族の負担は計り知れません。

本記事では、認知症の介護が少しでも楽になるように、「家族がたどる4つの心理ステップ」と「認知症の9大法則」をわかりやすくお伝えします。

これらを知ることで、終わりが見えないように感じる介護の行く先が明確になり、また、認知症の特性がわかって介護のストレスを多少とも軽減することができます。

さらに、認知症の具体的な症例と対処法も解説します。
最後まで読んでいただければ、認知症に対する理解が深まり、自分の心身を追い詰めることなく、前向きな介護ができるようになります。

この記事でわかること

  • 知れば介護が楽になる!認知症の家族がたどる「4つの心理ステップ」
  • 介護のストレスが軽減!「認知症の9大法則」
  • 認知症の具体的な症例と対処法
  • 介護で自分が壊れないためにするべき4つのこと

最終章では、楽しみながら簡単に「脳の健康ケア」ができる、らくらくスマートフォンについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事が、認知症の介護でストレスを抱えている人のお悩み解消に少しでも役立てば嬉しいです。


1.知れば介護が楽になる!認知症の家族がたどる「4つの心理的ステップ」

食事介助する日本人のミドル女性、在宅介助、ヘルパー

まず1章では、認知症の介護をしている方にぜひ知っておいて欲しい「家族がたどる4つの心理ステップ」をご紹介します。
なぜ、知っておいて欲しいかというと、家族がこれから辿っていく道筋を知ることで、今の苦しい状況がずっと続くわけではないという希望が持てるようになるからです。

以下の表に示した、「認知症の人と家族の会」副代表・杉山孝博氏考案の、家族が認知症を受け入れるまでの流れを表す「4つの心理ステップ」をご覧ください。

段階

介護する人の心理状況

ステップ1:戸惑い・否定

「まさか」という信じられない気持ちで誰にも相談できずに悩む

ステップ2:混乱・怒り・拒絶

介護が大変になって感情が揺れ動く。心身ともに最も辛い時期

ステップ3:割り切り・諦め

介護生活に慣れ良い意味で諦めがつき、大らかに対応できる

ステップ4:受容

認知症に理解が深まり本人の今の姿を受け入れられるようになる

身内が認知症の疑いを持たれたとき、また、認知症だと診断されたとき、家族は突然霧の中に立たされたような気持ちになります。
どこへ進めばいいのか、何をすればいいのか五里霧中の不安と絶望に押しつぶされそうになるのです。
しかし、この4つの心理ステップを知れば、向かうべき道、到達する場所がわかって霧が晴れていきます。

段階ごとに具体的に解説しますので、よく読んで把握しておきましょう。

1-1.ステップ1|戸惑い・否定

まず最初(初期)の段階に家族が抱くのが、戸惑いと否定の感情です。

今までしっかりしていた人が突拍子もないことを言い出したり、簡単なことが出来なくなったときの「一体どうしちゃったの?」という戸惑い。
もしかしたら認知症?と考える一方で、「うちの親に限ってまさか」「こないだまで普通だったのにあり得ない」と否定する気持ち。…

この時期、家族の感情は戸惑いと否定の間で揺れ動きます。
しっかり認められないことから「父(母)がおかしいからどうしよう?」といった相談が他の家族にもできず、自分ひとりで悩みを抱え込んで思い悩むことが多くなります。

ステップ1の「戸惑い・否定」の時期は、言い換えると、(本人の様子を知って介護すべき家族が)強い孤独を感じる時期でもあります。

ステップ1にいるあなたに…
尊敬し信頼する親御さんが認知症であることを認めたくないお気持ちはわかります。しかしながら、ひとりで悩みを抱え込んでいても、問題は解決しません。
もし発症しているなら、悩んでいるうちに認知症は進行してしまい、次第にあなたひとりの胸におさめておくことは難しくなるでしょう。

家族や知人に打ち明けたり、病院で診察を受けることに躊躇いがあるのなら、インターネットを利用して専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。
老人ホームや民間の介護団体の多くがインターネット上で介護についての質問や悩み相談、情報交換のできる掲示板を開いています。こういった掲示板なら、家にいながら気軽に利用できます。

他にも、無料で電話相談ができる「高齢者総合相談センター」(シルバー110番)が各都道府県に設置されていますので、とにかくひとりで悩まず、誰かに思いを打ち明けてみてください。

1-2.ステップ2|混乱・怒り・拒絶

症状が進んでいくと、戸惑ったり否定している場合ではなくなり、介護が大変になっていきます。
護者は混乱し、怒りが湧き、そして拒絶の感情を抱いてしまいます。

これまででは考えられない常識外れで理解し難い言動に、「どうしたらいいの…?」と途方に暮れ混乱する気持ち。
混乱は次第に「もういいかげんにして!」「どうして私がこんな目に遭うのよ!」という怒りに変わり、怒りが限界に達すると、「もうイヤ」「顔もみたくない!!」と拒絶する気持ちが湧いてきます。

ただ、だからといって、介護を放棄するわけにはいかないので、この「混乱・怒り・拒絶」の感情を抱いた時期、介護している家族は精神、肉体共に疲れ果てていきます。

ステップ2にいるあなたに…
今あなたは、身体も心もボロボロになるまで尽くしているのに、患者の症状が改善せず、さらに気持ちも通じ合えず、一番厳しい段階に立たされています。

いま、あなたに必要なのは社会的なつながりです。
次々と起こる症状を理解して、対応のヒントを与えてくれる人々、共感してくれ相談ができる仲間や介護家族会などとつながるようにしましょう。
できるかぎり、負担や疲れを軽減する各種サービスを利用し、プロの力を借りましょう

あなたひとりが苦しんで犠牲になることは、あなたばかりか他の誰もしあわせにしません。
苦しむ人に介護される人も精神的、肉体的に苦痛を抱えることになるのです。
絶望的に思える今の段階がずっと続くわけではありません。社会的なつながりをできる限り利用し、肩の力を抜いてご本人に向き合えるようになっていくと、次のステップに移行できます。

1-3.ステップ3|割り切り・諦め

ステップ2のつらい時期を過ぎると、介護生活に慣れてきて大らかな対応ができるようになります。
割り切りと諦めの段階です。

「イライラしても仕方がない、病気(認知症)なのだから」と割り切れるようになり、これまでの本人を求めても無理なのだという諦めの境地に達します。

割り切って諦めたことで、多少のことで苛ついたり傷ついたりせず、大らかに受け流して対応できるようになります。
介護人の心が落ち着いていくと、本人の気持ちも安定しやすくなります。

ステップ3にいるあなたに…
認知症のご家族と共に生きていくことを、割り切って受け止めていく段階に入りました。
介護によってご自身が精神的に傷ついたり追い詰められたりすることから解放され、幾分楽な気持ちになられたかと思いますが、ここでもう1度、親御さんへの愛情を再確認してみましょう。
変わってしまったけれど、それでもなお大切な、愛すべき家族であることを感じて、諦めではなく、肯定的な気持ちで現状を受け入れるようになると、次のステップに移れます。

1-4.ステップ4|受容

最終ステップでは、認知症への理解が深まり、本人の今の姿をそのまま受け入れることができるようになります。「受容」の段階です。

この段階に到達すると、本人の「異常な言動」や「できなくなったこと」ではなく、残っている能力や、今の「良い部分」を見ていけるようになります。

そんな風に受け入れ、見てもらえることで本人もある程度落ち着いて暮らせるようになり、家族は一定の穏やかな気持ちで介護に向き合っていけます。

いかがでしょう。今あなたが立っているのはどの段階かわかりましたか。

孤独な悩みに始まり、最も苦しいのはステップ2の段階です。
この時期を抜けたら介護が少しずつ楽になるので、もし今つらくてたまらないなら、「今はステップ2だから」と現状を確認し、「次のステップ3になったら楽になる」と考えましょう。

なるべく早くステップ2から先に進むには、介護者自身が認知症を学び、深く知ることが重要です。

次章では、認知症の特性がよく分かる「認知症の9大法則」について解説します。


2.介護のストレスが軽減!「認知症の9大法則」

シニア女性の歩行を介助する女性介護士の後ろ姿

知っておくことで、認知症の人の言動が受け止めやすくなる「認知症の9大法則」をご紹介します。

4つの心理ステップと同様に「認知症の人と家族の会」の杉山孝博氏が提唱して注目されているもので「認知症の方の世界を壊さないようにすべき」という認知症介護における原則を示しています。

認知症の9大法則

法則1:記憶障害に関する法則​​

記憶にないことはその人にとって事実ではない

法則2:症状の出現強度に関する法則​​

身近な人に対して強く症状が出る

法則3:自己有利の法則​​

自分にとって不利なことは絶対に認めない

法則4:まだら症状の法則​​

認知症の症状はまだらに表れる

法則5:感情残像の法則​​

出来事は忘れても感情は残る

法則6:こだわりの法則​​

強いこだわりを持ち抜け出せない

法則7:作用・反作用の法則​​

強く対応すると強い反応が返ってくる

法則8:認知症症状の了解可能性に関する法則​​

ほとんどの症状は理解できるもの

法則9:衰弱の進行に関する法則​​

認知症は老化の速度が速い

これらを理解することで認知症の特性がわかるようになり、介護にかかるストレスを緩和できますので、よく読んで覚えておくようにしてください。

2-1.法則1|記憶障害に関する法則

認知症の人は行動や体験そのものを忘れてしまうという法則です。

代表的な記憶障害の症状には以下の3つの特徴があります。

・思い出す能力の低下
・出来事自体を丸ごと忘れてしまう
・記憶が新しいものから消えていく

こうした症状が現れた人を介護する時に大事なことは、喪失した記憶はその人にとって事実ではないという点です。

たとえば、認知症の方によくある症例で「食事をしたことを忘れてしまう」ということがあります。
こちらがいくら「だっておばあちゃん、さっき食べたでしょ!」と強く主張したところで、本人の記憶からは消えてしまっているので、「いいや、食べた覚えがない(だから食べていない)」と、本人は言い張ります。

次章の「3-3.食事をしたことを忘れる」で詳しく解説しますが、このような場合は、忘れたことを責めたり頭ごなしに否定しても、強い反発が返ってきてしまうだけなので、一旦は話を合わせるか、軽くお菓子を食べさせるなどして、本人の意志を尊重するようにしてください。

家族(周囲)にとっては紛れもない事実であっても、本人にとって「記憶のないことは事実ではない」ということをしっかり覚えておきましょう。

2-2.法則2|症状の出現強度に関する法則

認知症の症状は、介護をする人など身近な人に限って強く出るという法則です。
医師やたまに訪れる知人、家族であっても介護をしていない人には、症状が軽く見えるのはそのためです。

介護者と2人の時はひどい症状を示すのに、医師や知人には驚くほどしっかりと受け答えをすることから、介護者は苦労をわかってもらえず落胆することが多いです。

こうした症状の波のはっきりした原因はわかりませんが、身近な人に信頼を寄せて甘えているためだと考えられます。

この特徴を把握して納得しておかないと、認知症の進行について周囲と認識のギャップが生じるなどの問題が起こります。

2-3.法則3|自己有利の法則

認知症の人は、自分の不利なことは絶対に認めないという法則です。
そのため、彼らは平気で嘘をついたり言い訳をしたりします。

これは認知機能の低下により、相手の感情に共感できなかったり、さらには自分の能力が下がっていることへの自己防衛をしたりすることが原因と考えられています。

嘘や矛盾、さらには勝手なことを言われて腹が立つこともありますが、同じ土壌に立って言い合ったり切り返したところで話しは噛み合わないし、かえって振り回されるだけです。
仕方のないことだと考え、言い合わないようにして対応していくことが重要となります。

2-4.法則4|まだら症状の法則

認知症の症状は、まだらに表れるという法則です。

認知症の症状と正常な状態が混じり合って表れると、理解できない言動が認知症の症状なのかどうかがわからず、混乱が生じやすくなります。
そんなときは、それが認知症の症状かどうかを見分けようとすることに腐心するのではなく、あくまでも認知症の方を相手にしているのだ、というような認識を持つことが大切です。

混乱して、いまこの人は正常なのか?違うのか?と考えることは、介護者のストレスの元になります。
まだら症状であっても、「何にせよ認知症の症状だ」と考えてしまうほうが、介護する家族にとっては気が楽です。

2-5.法則5|感情残像の法則

認知症の人は、起こった出来事をすぐに忘れてしまいますが、「その出来事によって引き起こされた感情は記憶がなくなってもしばらく残り続ける」という法則です。

そのため、介護者が正しいことを伝えようとしても、そのことは忘れて、口うるさく何かを言われたという嫌な気持ちだけが残り続けてしまうのです。
そうならないためには、次のような点を心がけましょう。

・「上手にできたね」「えらいね」といった褒める言葉を多用する
・「大変だったね」「つらかったね」と気持ちに寄り添うようにする
・嘘や思い込みを否定せずになるべく受け入れる

認知症の人が介護者にポジティブな印象を抱くことで感情が安定し、円滑な介護ができるようになります。

2-6.法則6|こだわりの法則

認知症の人が何かに固執すると、そのこだわりを簡単には捨て去ることができないという法則です。

こうした際に、そのこだわりを否定したり、考えを変えるように説得されたりすると、よけいに頑なになって強固な態度をとります。説得した人に対して反発を覚えたり、ストレスを溜めてしまう場合もあります。

解決方法は状況によって異なりますが、基本的には、真正面から本人の考えを否定しないのが一番です。
別のものに注意を向けさせたり、しばらく放っておいてそのままにするなど、直接対峙するのではない対応が本人の気持ちを沈め、介護者のストレス軽減にもつながります。

2-7.法則7|作用・反作用の法則

認知症の人に何らかの強い対応をした場合、強い反発となって返ってくるという法則です。

リハビリなど相手に良かれと思ってしたことであっても、本人が苦痛を感じたり、イヤだと感じてしまうと、それを嫌がって強く反抗してしまうのです。
強い反応が返ってきてしまうときは、自分がそれだけつらいことを相手に強いているということです。

俗に「認知症の人の状態は、介護者の状態との合わせ鏡である」といわれます。
自分の対応が相手の対応に表れてしまうことを自覚し、反発がある場合は一旦引いてみる癖をつけましょう。

2-8.法則8|認知症症状の了解可能性に関する法則

認知症の人の言動は、認知症の特性を考えれば理解できるものばかりであるという法則です。

一見受け入れ難い言動であっても、そこにいたる理由や背景を知ることで理解し受け止めることができます。

認知症の人の言動をあなたが深く理解し、抵抗せずに受け止めることができるようになれば、認知症の本人も落ち着いてきて、穏やかな対応をしてくれることが多くなります。

2-9.法則9|衰弱の進行に関する法則

認知症の人の老化の速度は、そうでない方の2〜3倍になるという法則です。

「認知症介護研究・研修東京センター」が行った研究によれば、認知症の高齢者のグループと、正常な高齢者のグループの追跡調査を行ったところ、認知症のグループの4年後死亡率は83.2%で、正常なグループの28.4%に比べると3倍弱という結果が出ています。

介護のはじめは元気がありすぎて大変だと思う方も多いですが、それはいつまでも続くものではないことを頭においておきましょう。


3.認知症の具体的な症例と対処法

cropped view of senior man playing with puzzles on table

「認知症の9大法則」を紹介しましたが、このような認知症の特徴を知っておくことで、大変な介護のストレスを軽減することができます。

そのことを知って役立てて頂くために、「認知症の具体的な症例と対処法」を解説します。

認知症でよくある症例として、ここで取り上げるのは次の5つです。

  • 徘徊
  • 物を盗られたという幻想を抱く
  • 食事したことを忘れる
  • 家族や友人がわからない
  • 攻撃的になる

どの症例においても、基本的な対処法は「否定しない」「責めない」ことになります。

それぞれについて、わかりやすく解説していきましょう。

3-1.徘徊

認知症の行動でよくあるのが「徘徊」です。

徘徊の意味は…どこへ行くあてもなく、うろうろと歩き回ること。
しかしながら認知症の徘徊は、本人にとっては「行くあて」がない訳ではなく、何か目的や理由がある場合がほとんどです。
(歩き出してから、その目的や理由自体を忘れてしまっていることもあります)

たとえば自宅にいるのに「家に帰る」という場合は、子どもの頃や若い頃に住んでいた家をイメージして、そこへ帰ろうとしている可能性があります。

こういったときに、「家はここなのに何言ってるの!」と否定したり、出かけた目的や理由を忘れてしまったことを責めて力づくで連れ戻したりすると、前章の『法則7|作用・反作用の法則』のように強い反発をされてしまいます。

【徘徊】への対処法

  • 勝手に外出しようとしているときは「お茶でも飲んでからにしましょう」といった柔らかい言葉で気持ちを落ち着かせてあげる
  • 否定したり、怒ったりせず、なるべく話を合わせて、言っていることに耳を傾ける
  • 万一のため、普段から衣服や帽子など身に着けているものに名前や連絡先を記入しておく

    3-2.物を盗られたという幻想を抱く

    認知症では記憶障害が頻繁に表れます。
    財布や通帳などの大切なものをどこに置いたか思い出せず、「家族に盗られた」などと言い出す人は少なくありません。

    なぜ家族など身近な人に盗られたと思い込むのかというと、これには、介護生活への不満や認知症の症状への不安も関係しているといわれています。
    また、家族に頼りたいという気持ちの一方で、頼りたくないという相反する気持ちが被害妄想に転化していくようです。

    こういった際、身に覚えのないことをいわれても、真正面から「なんで私が盗る必要があるんですか!」と反発したり、「ひどい、いい加減にして!」などと感情的になってはいけません。

    強く言っただけ強く反発されますし、『法則6|こだわりの法則』にあるように、一旦言い出したら認知症の人はそのこだわりを簡単には捨て去ることができないのです。
    こだわりを否定したり、説得されると、よけい頑なになって強固な態度をとられてしまいます。

    【物盗られ幻想】への対処法

    • まず「大変ですね」「困ったね、どこにいったのかな」と本人に共感する
    • 「一緒に探しましょう」と落ち着かせて、本人が自分でもう一度探してみるように誘導する
    • 「置き忘れたのかな?」「こちらの部屋じゃないですか?」と穏やかに提案をする
    • いつまでも固執するときは、他のものになるべく注意を向けて忘れさせる

    3-3.食事したことを忘れる

    認知症による記憶障害で食事したことを忘れるのも、よくある症例のひとつです。

    また、老化で満腹中枢がしっかり機能せず、いくら食べても満腹感が得られない場合もあります。

    この場合、「さっき食べたじゃないですか!」「なんで忘れちゃうの?」などと否定したり、責めたりするのはNGです。
    『法則7|作用・反作用の法則』のように強く言えば強い反発がかえってきますし、また、『法則5|感情残像の法則』のように、あなたに口うるさく言われたという嫌な気持ちだけが本人の中に残ってしまって関係性が悪くなってしまいます。

    かといって、言い分に従って何度でも食事をさせるというのも、健康を害する可能性がありますのでやめておきましょう。

    【食事したことを忘れる】への対処法

    • 時計を見せながら「今は〇時ですね。お昼は12時に一緒に食べましたよ。お味噌汁の具は大根だったでしょう?卵焼きが美味しかったよね」と穏やかに、具体的に伝える
    • 「食事まだ?」という言葉を一旦は聞き入れて、「いま準備しますからね」とお茶やお菓子を出してあげる
    • どうしても食事を何度も食べないと気が済まないことが続く場合は、1回の食事量を減らして数回で1食分になるようにする

    3-4.家族や友人がわからない

    認知症の記憶障害が進行すると、家族や友人が誰なのかが認識できなくなります。
    自分自身の名前や年齢を忘れてしまうことも珍しくありません。

    自分の親に「誰ですか?」と尋ねられるのは辛いことですが、これも「どうして?」と責めたり、「わからないはずないでしょ!」などと強く否定したりしてはいけません。

    『法則9|衰弱の進行に関する法則』で解説したように、認知症の人の老化の速度は、そうでない方の2〜3倍も速いのです。受け取る側はショックでも仕方ないと受け入れるしかありません。

    ただ、『法則4|まだら症状の法則』のように、症状はまだらに表れることから、しばらくすると突然名前や他の様々なことを当たり前のように思い出すこともあります。

    相手が自分を忘れてしまった時は、驚いてすぐに思い出させようとするのではなく、話を合わせたり、違う話題を振ったりして様子をみると良いでしょう。

    【家族や友人がわからない】ときの対処法

    • 自分が動揺してパニックにならない
    • 相手に話を合わせる
    • さりげなく違う話題を振る

      3-5.攻撃的になる

      認知症の人が攻撃的になるのは、介護者の行いが攻撃のように感じたり、今の気持ちを上手く言葉で表せなかったりするためです。

      『法則7|作用・反作用の法則』で紹介した「認知症の人の状態は、介護者の状態との合わせ鏡である」という言葉を思い出してください。
      認知症の人が攻撃的になるときは、自分が攻撃されていると感じたときなのです。
      相手をむやみに叱ったり、否定したりしていないか、攻撃的な反応をされたときは一旦引いてみてください。

      また、『法則2|症状の出現強度に関する法則』のように、身近な人には甘えがあって特に強く症状が出てしまう場合もあります。

      気持ちを落ち着かせようとしても、相手の興奮が収まらない場合は、何を言っても逆効果になってしまうので、一旦距離を置き、危険な行動をしないかだけ見守るようにしましょう。

      【攻撃的】への対処法

      • 力づくで何かをしよう(させよう)としない
      • 否定や反発をせず、相手に共感するようにして落ち着かせる
      • 一旦距離をとり、離れて見守る

        4.介護で自分が壊れないためにするべき4つのこと

        ミドル女性 主婦

        介護に役立つ法則や対処法を解説してきましたが、どんなに認知症を理解していても長く続く介護生活は、介護者の心身を疲弊させ追い詰めてしまうことがあります。

        そんな、自分が壊れるようなことにならないように、認知症の介護にあたる方に積極的にして頂きたい4つのことを伝授します。

        1. ひとりで頑張らないで!家族や周りの人に協力してもらう
        2. 誰かに吐き出して!話しができる相談相手を持つ
        3. たまにはリフレッシュを!自分の楽しみを諦めない
        4. ときにはプロに頼る!施設や介護サービスを利用する

        それぞれ解説していきますので、できる範囲で取り入れていくようにしてください。
        認知症のご家族が大切なように、あなたご自身も大切であることを忘れないでくださいね。

        4-1.ひとりで頑張らないで!家族や周りの人に協力してもらう

        介護をひとりで頑張り過ぎないようにしましょう。
        誰かと協力し合うことで、あなたの負担は軽減されます。

        私しかいないと思っているかもしれませんが、もう一度考えてみてください。
        協力を頼める家族はいませんか?親戚は?
        隣近所の方にお願いできることはないでしょうか?

        介護者の数が多いほど、介護は楽になります。
        実質的な介護の負担もそうですし、精神的な部分でも苦労や悩みを分け合えるからです。

        家族や親戚、近隣や知人など考えられる限りの人に協力を頼んで、できる限り負担を分担するようにしましょう。

        4-2.誰かに吐き出して!話ができる相談相手を持つ

        何でも話せる友達を見つけて、話をするようにしましょう。
        直接会う暇がなければ、電話やメール、LINEでも構いません。
        介護における悩みや愚痴を、誰かに吐き出すことで気持ちが楽になります。

        現在は高齢化が進み、多くのご家庭が介護の悩みを抱えるようになったので、同じような悩みを持つ仲間は少なくないはずです。

        話せる相手がいないという方は、各地域や市区町村主催の介護の「家族の会」や社会福祉法人やNPO団体などが運営する「認知症カフェ」など各地域で介護相談や勉強会が行われていますので、そういった場所に参加して同じ悩みを持つ人たちと交流してみましょう。

        開催情報を知りたい方は、市区町村の福祉課や地域包括支援センターなどに問い合わせると良いでしょう。

        4-3.たまにはリフレッシュを!自分の楽しみを諦めない

        介護だけの生活に明け暮れるのではなく、たまにはリフレッシュしてください。
        介護の犠牲になって自分の楽しみを諦めるようなことを続けていると、ストレスがどんどん溜まってしまいます。

        あなたの趣味は映画?旅行?それともカフェ巡りやショッピングでしょうか?
        何か好きなことをみつけ、他の人に介護を頼んで、集中して楽しむ時間を持ちましょう。

        リフレッシュすることで一旦気持ちをリセットして、また新たに前向きに介護にあたることができます。

        4-4.ときにはプロに頼る!施設や介護サービスを利用する

        家族で交代や分担をしても手に余るときには、介護のプロの力を積極的に借りるようにしてください。
        施設や介護サービスを上手に利用することで、介護で疲弊した心身を休息させることができます。

        介護保険で使える主なサービスには以下のようなものがあります。

        • 送迎して日中預かり、入浴や食事のサービスをしてくれる通所介護(デイサービス)
        • 1日~30日まで利用できる短期入所生活介護(ショートステイ)
        • 自宅にヘルパーが来てくれて食事や入浴介助などを行ってくれる訪問介護(ホームヘルパー)

        他にも様々なサービスがありますので、担当のケアマネージャーにも相談して、介護から離れる時間を作り出すようにしましょう。
        それは決して無責任なことではなく、介護される本人にとっても良いことです。
        リフレッシュする時間を持てた介護者の心身が楽になり、穏やかに介護にあたれることで、認知症の方の状態も安定しやすくなるのです。

        <介護の悩みの相談窓口>
        介護をしていてどうにもならない場合は、こちらの相談窓口をご利用ください。

        地域包括支援センター:全国地域包括支援センターの一覧(都道府県のHPへリンク)|厚生労働省
        認知症の人と家族の会:0120-294-456
        介護支え合い電話相談:03-5941-1038
        高齢者総合相談センター:プッシュホン回線の電話で、「♯8080(ハレバレ)」を押すと、その地域の高齢者総合相談センターにつながります。(電話料金有料/相談料無料)


        5.楽しみながら脳の健康ケアができる「らくらくスマートフォン」

        らくスマ

        日頃から認知機能低下予防をしたいと考えていらっしゃる方に、ぜひおすすめしたいスマホがあります。

        簡単に使えて、さらに「脳の健康ケア」機能が搭載された「らくらくスマートフォン」です!

        「脳の健康ケア」機能では、東海道五十三次を楽しみながら毎日歩いたり、歩数から認知機能低下リスクを予測して表示したり、認知機能テストを受けたり、認知症関連の情報を見たりすることができます。
        認知機能低下リスクは、国立長寿医療研究センターの研究で収集した健康診断データをもとに、統計学的に同等の方が2年以内に認知症を発症する確率を算出するものです(算出式は国立長寿医療研究センターによる開発です)。

        この章では、らくらくスマートフォンの新機種F-42Aを例にとって「脳の健康ケア」機能で出来ることを具体的に解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

        【らくらくスマートフォンの「脳の健康ケア」機能でできる7つのこと】

        らくスマ

        ①設定
        プロフィールや本人情報の変更、認知機能低下リスクの予測設定などができます。

        ②歩いて予測 東海道五十三次
        日本橋から京都までの東海道五十三次を毎日歩く疑似体験を楽しめます。認知機能低下リスクを下げるための目標歩数も表示されます。
        【達成した記録を見る】をプレスすると、宿場情報を見たり、らくらくコミュニティ(★参照)に投稿したりできます。たくさん歩いたことや、散歩中に見つけた風景などを投稿してみましょう。

        ③歩いて予測 認知機能リスク
        毎日の歩数から認知機能低下リスクの予測を行います。毎週日曜日の深夜に予測値が更新される他、毎日の平均歩数も見られます。
        【今までの傾向を見る】をプレスすると、平均歩数や認知機能低下リスクをグラフで確認できます。

        ※認知機能低下リスクを予測する機能は65歳以上の方にお使いいただけます。
        ※本機能は診断や医療面での指導をするものではありません。

        らくスマ

        ④認知症関連情報へ
        認知症にかかわる情報を提供しているらくらくコミュニティ(★参照)にアクセスします。

        ⑤認知機能検査アプリ
        認知機能のテストを行うことができます。

        らくスマ

        ※ただし本アプリは認知症を診断するアプリではありません。
        ※本機能は2022年5月31日をもちましてサービス終了となりました。

        ⑥認知症相談(厚労省HP)
        厚生労働省の認知症に関する相談紹介ページにアクセスします。

        ⑦認知症コラム
        国立長寿医療研究センターの島田裕之博士が執筆した認知症と生活習慣に関するコラムを読むことができます。

        ★「らくらくコミュニティ」ってなに?

        らくらくスマートフォンの「らくらくコミュニティ」は趣味や生活に役立つ情報が満載です。
        たとえばどんなことが出来るのかというと…

        • スマートフォンの使い方から、旅、食、ペットなどさまざまな記事が見られます
        • 同じ趣味の仲間を見つけたり、悩みを相談してアドバイスをもらったりできます
        • 趣味や日々の出来事などを写真つきで投稿して仲間と交流できます

        「らくらくコミュニティ」は、らくらくスマホシリーズをお使いの方が情報交換をしたり、写真やコメントを投稿して仲間と交流できる場所。
        シニア世代が多いので話題も合いやすく、今からSNSデビューされる方にピッタリです。

        らくらくコミュニティに関する詳しい情報はこちらをご覧ください。

        いかがでしたでしょうか。

        らくらくスマートフォンには「脳の健康ケア」機能の他にも、健康管理アプリ「ララしあコネクト」や「dヘルスケア」など健康な体づくりへアプローチできる機能が充実しています。

        あなたやご家族の大切な健康管理にぜひお役立てください。

        らくらくスマートフォン「F-42A」について詳しく知りたい方は公式サイトをご覧ください

        6.まとめ

        認知症の介護は重労働です。多くのエネルギーを使い、身体だけでなく精神的な負担も大きいため、追い詰められ心が壊れそうになってしまう介護者もいます。

        そんなときは、「認知症の家族がたどる4つの心理ステップ」を思い出してください。

        ステップ1:戸惑い・否定
        ステップ2:混乱・怒り:拒絶
        ステップ3:割り切り・諦め
        ステップ4:受容

        いま、とても大変で辛いあなたは、ステップ1やステップ2の段階にいます。
        この時期を乗り越えれば、ステップ3や4に進み、いまより楽な段階に入れます。
        辛い時期がずっと続くわけではないのです。

        介護には終わりがあることを踏まえて、なるべく認知症の方を受け入れ、責めたり否定しないことを心がけましょう。
        辛いときは、遠慮せずに他の家族やプロの手を借り、友人と話したり趣味の時間を持つなどリフレッシュする自分の時間を作りましょう。

        そうすることで、ストレスが軽減され穏やかに介護にあたることができるようになります。
        あなたの心が元気であることは、介護される側の人にも良い影響を与えます。

        認知症の特性を理解して受け止めるためには、本文でご紹介した「認知症の9大法則」が役立ちますのでしっかり把握しておくと良いでしょう。

        認知症の介護に関するあなたのお悩み解消に、ぜひこの記事を役立てて頂ければと思います。

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