前回の認知症のカテゴリでの投稿で、主にアルツハイマー認知症ですが、
認知症になっていくようなイメージを、記憶の壺、イソギンチャクのような図で説明させていただきました。
参照 厚生労働省 政策レポート ~認知症を理解する~
その前回の投稿をまずご覧ください。
コチラです。
↓ ↓
認知症の仕組み 図でのイメージ
今回、認知機能の低下、記憶障害について考えてみました。
装飾等なく単に長文ですいません。
メタ認知とは
みなさん、「メタ認知」 という言葉を聞いたことがありますか。
「メタ」というのは、「高次の」と訳すとなんとなくイメージがわくかもですが。
「自らの認知を認知する」というか。
逆にますますわからなくなりましたか?
いろいろな表現はありますが、例えば、
・自分の中にいる、冷静で客観的に自分を見てくれる自分になる
・「感情」と「自分」を切り離し、冷静にものを判断する
・自分の考えや行動、置かれている状況などを客観視する
こんなイメージです。
なんとなくわかってきましたか?
この、「メタ認知」という言葉と意味を頭に置いて、この投稿を読んでいただければと思います。
夕ご飯を食べたのを忘れちゃったケースで考えてみる
一例として
「夕ご飯まだ?」
「え?さっき食べたばかりじゃない。」
「いやいや、食べてないよ! 早くご飯作ってよ!」
こういわれた時、あなたはどう感じますか。
ご飯は食べたでしょとずっと言い返す、途中から相手にしなくなる、諦めてご飯を作る
見出しのような行動をされるかたもみえるかと思います。
話が伝わらない、終わらない、どうこの場をしのごうか、ご飯をまた作らなきゃいけないのか、
いろいろ悩んでいるご家族もみえるかと思います。
どうしてもそのやりとりがずっと続きイライラする、怒っちゃうかたもみえるかと。
毎日いつも一緒のご家族は、イライラしないで、と言われても簡単には切り替えられない、
どうしてもそうなりがちもです。
もちろんそんな簡単に感情のコントロールができれば悩む人はいなくなるでしょうが、そんな簡単にはいかないとは思いますが、
自分は24時間365日認知症のかたと接しているわけではないからだとは思いますが、自分の思ったこと、気休めでも良いので読んでいただければと。
自分がある時からイライラする感情が急に軽減したケース。
自分は過去に2回、認知症と関係ないケースもありますが、会うたび、接するたび毎回イヤになっていたりイライラしていた事案が、前回投稿のこのイソギンチャク、記憶の壺のしくみを思い出した時など、スッと怒りが収まり、その後はあまり気にしないというか、何か違う感覚で相手と接しているという感覚になりました。
改めてこう考えてみるのはどうでしょう。
普通によく言われていることなので新鮮味はないんですが,あらためて思い直してみてください。
1回または2回聞いた時に相手が全く覚えがない場合、前回投稿の図でいくと完全に記憶の壺に入りそこねた、つまり思い出そうとしても思い出せない。
つまり、さっき食べたでしょ、と何度も言っても、思い出すモトが存在しない(可能性が高い)わけなので、「あ、思い出した。」と返事が来ることはほぼないというのを考えれば、
自分が何回も問い詰めても一緒、何回も問い詰めない、自分も感情的にならないようになるとお互いの精神的苦痛も少し軽減されるのではないでしょうか。
ちょっとイメージが違いますが以前あったことですが。
昔、サラリーマン時代、
通勤途中にいつも自分に大きな声で吠えるワンちゃんがいました。
はじめは毎日通るたびに気になり、イライラしたりワンちゃんに文句言ってやろうかなと思いながら毎回通っていたのを覚えています。そのたびに相当イラだってました(笑。
ただ自分はムツゴロウさんでもないし犬でもないので(笑、毎回吠える犬をなだめるテクニックはありません。じゃあ怒っても意味がない、ただ自分がイライラするだけ大損だと感じました。
その時に、表現は変ですがいわゆる第三者目線でワンちゃんを見た時、
あ、今日も僕が通る時吠えるかな、やっぱり吼えた。というだけの感覚に急に切り替わってきました。
それ以後は、通るときは大きなBGMが流れてるというだけの感覚で通り過ぎていました。
以前は通るたびにワンちゃんと一生懸命向き合っていた(笑、のでしょう。
自分にとっては、いったん頭に置いて考える、他人事、第三者目線、と言う表現だと真剣になっていないと感じられるかもですが、この目線が自分をとても冷静にしました。
自分は、100人以上入居の高齢者施設で勤めていますが、認知症初期や、最近忘れることが多いなと思う入居者様が多くみえます。
その時、前述のような第三者目線で見ると冷静にいろいろ対応できるようになりました。
変な表現ですが、感情が入っていないというか、、。
第三者目線といっても相手の方と一生懸命向き合っていないのではなく、落ち着いた対応ができるようになりました。
職員さんによっては、
「さっき言ったでしょ!
と強い言い方をする方もみえるかもですが。
ただもちろんこれは自分が24時間365日、毎日毎日認知症の方と一緒に居て対応しているご家族のかたとは雲泥の差なので、じゃあいったん落ち着いて、とか簡単にこういった感覚にはなれないとは思います。
ただ少しこれを頭に入れておいていただくと、もしかしたらいくつかの場面で今まで起こっていたことが気にならなくなる、気分的にも楽になることがあるのかなあ、とも感じています。
イメージの一例、変な例えですが(笑
認知症のかたと接している自分を、冷静に上(上目線じゃないですよ)から冷静に見ている自分がいて、その自分に的確にどんな対応をすればよいか脳へ指令をしている自分がいるみたいな。
多分意味不明ですよね(笑。 あくまでも自分のイメージです。。。
最後に
自分は認知症の専門家でもない素人ですが、90代で亡くなった父の認知の対応や、勤務先の施設でだんだんと認知が進んでいくたくさんの入居者さんの経過をまのあたりに見ていた経験で、もし少しでもこう考えることができればちょっと今後変わるんじゃないかなあと思ってます。
もちろん簡単に切り替えられることじゃないとは思いますが、2つ挙げた体験のように、
ワンちゃんが吠えるケースもずっと毎日イライラしていましたけど、
改めて考えてみたら急に感情と感覚が変わりました。
勤めている施設でも、認知症が進んできたと思われるかたの対応が、はじめは否定していたことが多かったけど、メタ認知の思考でなにか頭の中が変わって冷静になっていった記憶、感覚があります。
一時的な感情はまず抑え、
とっさの行動対応の前にまず考える、
自分を客観視、
高次的(高い位置からものを見る。上目線ではないですよ)
相手にも自分にも第三者目線で見て考えること。
このあたりをキーワードに、「メタ認知」について常に意識して、
仕事に家庭に、
近くにみえる認知症のかたと接してみていただくと嬉しいです。
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