
親が離れたところで一人暮らし。たまに実家に顔を出すと「年取ったな」と感じることが増え、少しずつできないことが増えていくのを実感すると、このまま一人暮らしをさせていても大丈夫かと不安になりますよね。でも、すぐには同居や近居ができない状態、どうしたらより親が安心して暮らしていられ、自分も心配のタネが減るのか、その方法があるならば知りたい。
そこで今回は、一人暮らしの親世代を心配している方のために
- 一人暮らしの親への3大心配事とその対策とは?
- 心配の解消方法① 地域と社会で見守る(タイプ:公助・扶助)
- 心配の解消方法② 地域のヒト・モノ・サービスで見守る(タイプ:互助・自助
- 心配の解消方法③ 生活と病院関連サービスで見守る(タイプ:公助・共助・自助)
をまとめました。最後までお読みいただければ、今抱えている一人暮らしの親への心配が少しでも減り、今と将来に対して、具体的などのような高齢化対策をしておけばよいのかがわかります。
目次
1.一人暮らしの親への3大心配事とその対策とは?
遠くから親を見守る子供世代が、一人暮らしの親に対して抱く3大心配事と、その心配の解消方法をまとめました。
1-1. 3大心配事は「日々の生活」「怪我病気」「認知症」
子供世代から、一人暮らしの親への3大心配ごとは以下になります。
①日々の生活問題
毎日の暮らしが無事にできているかの心配です。例えば、年を取っていくと以下のようなことが起きやすくなります。
- 思っていることに体がついていかない
- 電話やチャイムが鳴っても気がつかない
- 食が細くなり体力が落ちてくる
など、少し期間を明けてから親に会うと「年取ったな」と感じる事柄です。放置しておくと、思わぬ怪我や事故に繋がりますので、見守りとサポートが必要です。
②怪我・病気問題
体の老化に伴った、怪我や病気の心配事です。個人差はありますが、以下のようなものがあります。
- 視力や筋力が衰えて、つまずき・転びやすくなる
- 注意力が散漫になり、小さな怪我などをしやすくなる
- ちょっとした気温の変化で体調を崩す
などです。視力や筋力が衰えると、室内でも転倒などで怪我をする可能性が出てきます。気温変化に体力が追いつかず、風邪をひきやすくなります。持病のある人は、悪化する可能性が出てきます。
③ボケ・認知症問題
親が後期高齢者世代ではなくても、一人暮らしになると心配になることです。1日中一人でいる可能性があるため、
- 物忘れが激しくなる
- 認知症になる可能性
- うつ病になる可能性
などが、配偶者や家族と暮らしている人よりも高まります。
【参照:理学療法科学誌 独居高齢者における地域活動への参加と抑うつとの関連性】
以上のような大きな心配ごとが3つありますが、かといって、すぐに親と一緒に住むのが必ずしも両者にとって正解ではありません。
親には親の考えと、ライフスタイルがあります。離れて一人で暮らす親が、出来るだけ長い期間、しっかりと自立した生活が出来るようにサポートをするのが、当面の子供のすべきことであり、親孝行でもあります。
1-2.心配の解消方法
前述した親への3大心配事は、身内の自分たちがしてあげられること以外に、以下の3つの「見守り」を駆使して総合的に親を見守っていく中で解消できます。
・見守り方法1:地域と社会で見守る
国と都府県全体で高齢化社会と高齢者を見守るサービスです。国や行政の制度として誰でも利用ができます。
・見守り方法2:地域のヒト・モノ・サービスで見守る
実家がある地域全体で高齢化社会と高齢者を見守ります。特に、地元や近所などの密度の濃い人的ネットワーク、市区町村レベルでの小回りが効くサポートが頼りになります。
・見守り方法3:生活と病院関連サービスで見守る
日々の生活そのものを見守り、必要な場合は医療機関で見守ってもらいます。
上記3つの「見守り」には、3つのサポートタイプがあります。
サポートタイプ | 費用 | 対応者 | 内容 |
1.自助 | 自費 | 家族、親族で対応 | 家族内で助け合う方法 |
2.互助 | 無料・軽費 | ボランティア・NPO・近所の人 | お互い様の精神で支え合う方法 |
3.公助・共助 | 制度で決まった金額 | 有資格の国民・地域民 | 公的制度を利用したサポート |
<サポートタイプ1:自助>
基本的に家族で行動し、家族で助け合うことです。この際に大事なことは、非協力的な兄弟姉妹はあらかじめサポートメンバーとしてカウントしないことです。親の見守り〜介護〜看取りまで、親との付き合いは長く、それなりにお金も労力もかかります。
非協力的なメンバーがいると、残りのメンバーの精神的・経済的な負担が増えるばかりか、肝心の親の見守りが成立しなくなります。
このタイプは基本、自費(親からの支払いも含)になります。
<サポートタイプ2:互助>
NPO法人などを含めたボランティアなど、地域の人を中心として、ちょっとしたお困りごとに対して互いに助け合う仕組みを使います。事前に申し込みが必要です。
無料か、または有料でも安価で長く継続的に使いやすいという特徴があります。
<サポートタイプ3:共助・公助>
扶助を含めた、公的な制度があるものです。事前申し込みと条件がありますが、種類も多くあるので適切なものを自分で探すか、市区町村の相談窓口で適宜なものを案内してもらえます。
制度ごとに決まった金額が支払われます。
2.心配の解消方法① 地域と社会で見守る(タイプ:公助・共助)
本章では地域と社会でする見守りをまとめました。基本的にはまず、地域包括ケアをする地域包括支援センターへの登録をして、親が子供と離れた場所で一人暮らしであることを伝えます。
地域包括ケアとは、国策として2025年に完成予定の「要介護になっても住み慣れた地域で自分らしい生き方を人生の最後まで続けられる」システムです。
2-1.地域包括支援センターとは
地域包括支援センターとは、介護・医療・保健・福祉などの全て含めた(包括)高齢者のライフスタイルの困りごと全般の相談にのってくれる場所です。対象は、65歳以上の高齢者と、そのサポートのための活動に関わっている人が利用できます。
1つセンターの守備範囲は中学校区の日常生活圏内で、必要なサービスが30分以内に受けられることを想定しています。ポジションとしては国策である地域包括ケアの中核を担う位置付けにあります。
【地域包括ケアと、包括支援センターイメージ図】
地域包括センターでは保健師(もしくは経験豊富な看護師)・社会福祉士・主任ケアマネージャーなどの介護のプロフェッショナルが多数在籍し、高齢者が住み慣れた地域で人生の最後まで「自分らしく」快適に生活できるように
- 介護サービス
- 介護予防サービス
- 介護と医療の連携
- 生活支援のコーディネート(蛍光灯の取替など)
- 心の問題の相談(ウツ・引きこもり)
- 社会問題相談(ハラスメント・虐待)
- 家族との問題相談
- 保健福祉サービスと紹介
- 介護保険の申請窓口
- 地域ケア会議の運営(一般市民参加型)
などの対応をしてくれます。
各プロフェッショナルの主な分担は下記の表のようになっており、様々な役割のプロの視点から見た、総合的で的確なアドバイスが受けられます。相談は無料、紹介されるサービスには有料のものもあります。
| 保健師 | 社会福祉士 | 主任ケアマネージャー |
サポート内容 |
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|
紹介先 | 保健所・病院・薬局 | 行政・専門機関 | 介護サービス事業者 |
2-2.地域包括ケアの特色2事例
国内で将来要介護の可能性がある高齢者の数は地域によって違いがあり、求められるスタイルにも独自性があるため、少しずつ包括ケアへの取り組み方法が違います。ここでは、地域によって個性のある2例をまとめました。
例1)東京都世田谷区
世田谷区では医療連携推進協議会が定期的に公開され、区民の意見を取り入れながら、世田谷地域で必要とされる老人ケアに合わせて発展をしています。例えば、例
<ケアホームと医療>
都市型ケアホームとして、遊休地・農地跡・都営住宅建替地に軽費老人ケアホーム(ショートステイ型)などを2025年完成に向けて準備中です。
必要な施設や人員が足りない場合は、一社で無理をせず「世田谷区の高齢者をサポートする」ことだけを共通目的とした各NPO団体が協力し合って合併・統合をしながら、世田谷区民にとって最適な環境作りをしています。
【参照:都市型軽費 全個室型ケアホーム エリザベート成城】
その結果、広い一軒家や土地が多い世田谷区ならではの低層マンションや一般家屋を改装した小規模なケアホームも出現しています。
施設が複数あるので、その時の事情にあったケア宿泊先を自在に選ぶことができ、自宅から遠く離れないところで精神的に落ち着いてサポートをしてもらえます。
【参照:厚生労働省 地域包括ケアシステム構築へ向けた取組事例~東京都世田谷区の取組~】
<空き家利用の高齢者サロン>
世田谷区らしいファミリー向けの大きな空き家や広めの空室を利用して、地域のコミュニティサロンを家や部屋の持ち主さんの意向で自由にオープンできます。
一般財団法人世田谷トラストまちづくりが協力をし、区の助成金に加えて、市民参加型のファンドを使って開業資金を準備できます。
これらのサロンは、高齢者を含めた世田谷地域の人全員にとって
- 食事を共にする場
- 憩いの場
- 学習の場
- 趣味を楽しむ場
- 保育を支える場
- ケア医療補助の場
- 世田谷区のまちづくりの場
となり、持ち主さんにとってはライフワークにもなるという好循環が出来上がっています。
実例として、世田谷区下馬にある「きんしゃい」という地域喫茶サロンは、シニア世代になった持ち主さんがご自身の「1日中家にいて、人と話す機会が減った」という将来への危惧感から開設しました。
【参照:地域共生のいえ「きんしゃい」】
近所の人や訪れた人と、毎日のなんでもないことをただ喋る、それだけで心の負担がなくなり、毎日にすこし彩りが出る、張り合いが出る、そんな場所として大切にされています。
【参照:東京都世田谷区 あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)】
【参照:一般財団法人世田谷トラストまちづくり】
【参照:厚生労働省 地域包括ケアシステム】
例2)千葉県柏市
千葉県柏市では「柏モデル」と呼ばれる医療関連従事者全員が関わるタイプの地域医療への取り組みがあります。
医師連携の在宅ケア
在宅医療に携わる他職種の人々と施設と治療の連携をしながら在宅を含む地域ケアをしています。
- 医療施設
- 医療従事職種
- 医療・介護サポート職種
柏市の提供する無償の情報共有システムを使用しながら、本当に必要なケアを必要なタイミングですることを目的に、地域医療従事者たちの横の連携をします。それにより
- 病気・怪我 訪問ケア・医4療施設でのケア・カルテ情報
- 日々の生活 ケアマネジャー・ボランティアによる日々の見守り情報
- 心のケア ソーシャルワーカーなどによる心のケア情報
など、今まで縦割り制度であるがゆえに申し送りができなかった患者情報に取りこぼしがなくなり、より総合的に、適切な対応ができるようになっています。
また、1つのファイル(カルテ)で全ての情報が共有できているため、診察を受ける側も、ケアワークの人たちに毎回同じことを聞かれるストレスが無くなります。
柏駅徒歩3分にある柏市医療連携センターでは、各医療事務局、薬剤師会事務局が併設され、ケアサポートに関した各種相談や必要な知識や情報を得ることができ、ケアをされる人・してあげる人双方に機能しています。
【参照:千葉県柏市 柏モデル】
【参照:千葉県柏市 柏モデル専用情報共有システム カシワ二ネット
【参照:柏市保健福祉部地域医療推進室 論文 柏市における在宅医療・介護多職種連携推進事業】
地元運営型の老人ホームプラン
郊外型大都市である柏市では前述の地域医療センターと共に、将来、必要となる介護施設に厚生労働省の目指す包括ケアシステムに対応できる老人ホームの設立に力を入れており、柏市内にある大量の空き団地(県営住宅)の再利用を主軸に、2025年完成を目処に推進しています。
柏市内で起きた介護案件は全て柏市内の地元で賄えるレベルの受け皿を作ろうとするもので、地域包括ケアと完全地域自立型のケアプランがあります。ベースは柏市が「柏市介護保険生き生きプラン21」という月額型の保険金融商品を柏市民に販売し、その事業運営を柏市が主導します。
柏市内での高齢者自立支援と、ホームとケア施設への入所希望があった場合に「待たせない」ことを前提にした皆介護保険に準じた事業目論見であり、すでに第7期まで運用している柏市と柏市民による、柏市民のための介護保険プランです。(2020年8月現在、第9期からの目論見月額負担予想は9,000円)
柏市内においては、身体が健康な場合は後期高齢者でも簡単な就労ができますので、地域包括ケアと保険プランを上手に利用しながら、自立をして自己管理・健康管理をすれば、生涯現役でいられる「生きがい」「張り合い」などの精神的なケアも視野に入れています。
このような完全地域自立型の取り組みは日本国内では非常に珍しいものです。
【参照:柏市高齢者いきいきプラン 21 策定】
【参照:東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 論文郊外都市における高齢者の定住意向と居住満足度についての分析-千葉県柏市を対象として-】
【参照:金融庁委託調査 海外におけるヘルスケアリートに関する調査研究報告書】
【参照:厚生労働省 地域包括ケアシステム】
3.心配の解消方法② 地域のヒト・モノ・サービスで見守る(タイプ:互助・自助)
本章では地域のヒト・モノ・サービスでの見守り(サポートタイプ:互助・自助)をまとめています。自分と実家を取り巻く範囲で、お願いできることがメインです。
3-1.近所をサポーターに加える(互助)
親が一人暮らしになったら、自分たちが不在の時に頼りになるのは地元の人たちです。すぐ帰ってこられない距離だからこそ、地元・ご近所サポートネットワークを自ら構築していきましょう。地元ネットワークの作り方には、以下のような方法があります。
①近所に親の一人暮らし宣言+連絡先名刺配り。
親が一人になったら、すぐに「この度、自分の親が一人になりまして。心配なのでご配慮をお願いします」と隣近所に一軒一軒、挨拶に回りましょう。
一軒家の場合
回覧板にある町内会名簿のうち、両隣・向かい2〜3軒・裏の数件と、家をぐるっと囲む範囲の家が目安です。こちらが相手をよく知らなくても、親世代は地元の子供のことを知っていますので、挨拶に伺えば「ああ、山田さんとこの◯◯ちゃんね」となるケースがほとんどです、安心して行動に移して下さい。
さらに、地元の派出所に出向いて、家族構成の変更を知らせ、防犯巡回や普段の声かけを増やしてもらえるようにお願いしましょう。(派出所管轄には、管轄内の家族構成や事案などを記載する巡回連絡カードという台帳があります)
マンションの場合
マンション管理組合が活発なところ以外は、淡白なお付き合いのケースが多いので、両隣と守衛さんにお願いします。こちらも、地元の派出所に出向いて、家族構成の変更と、巡回強化をお願いします。
<訪問のしかた>
近所を訪問する際には、小さな名刺サイズのカードやシールを自分で作り、万が一の際の自分の連絡先を書いて手渡します。
名刺には
- 実家の住所
- 誰の子供であるか(例:山田太郎 長男 山田長太郎)
- 連絡先住所と携帯番号
を記入し、
①一人暮らしになった親と離れて暮らしていること
②今のところ、頻繁な帰郷が難しいことを話す
③親の様子が普段とは違う場合は子供である自分に連絡が欲しい
旨を伝えます。礼儀として、連絡カードと一緒に菓子折りなどは持参した方が良いでしょう。
*ご近所との付き合いがひどく薄く、どなたの家に伺えばいいのかわからない場合は、亡くなった親の葬儀の時に使った芳名帳という、お通夜と告別式に参列してくれた「親とお付き合いのある人がわかる台帳」がありますので、それを元に、来てくださった人でご近所の方に挨拶に行けば良いでしょう。
【参考:神奈川県警 巡回連絡カード】
<地元・子供世代ネットワークの再構築>
親世代のご近所の方々も自分の親と同じように、娘息子が遠く離れたところに住んでいることもあります。
親の一人暮らしが増える年代になってきたら、定期的に地元や都心で同窓会などを主催し、地元に残っている同級生や先輩後輩、遠くに離れた学友などとSNSなどでネットワークを作り、子供世代同志で地元の情報が詳細に手に入り、違いに連絡が取れるようにしておきましょう。
①地域資源マップを入手して、駆けつけてくれる団体を探す
実家がある地域の広報やホームページに「地域資源マップ」や「地域支え合いガイド」などと呼ばれるサービス情報があります。(例:千葉県浦安市 地域資源マップ 地域支え合いガイドPDF)
こちらは高齢者が在宅生活を健全に送れるように自立支援するもので、
- 家事支援
- 外出支援
- 買い物支援
- 配食サービス
- 見守りネットワーク
- 交流サロン
- ボランティア派遣
- 高齢者相談
などが含まれています。この中で、5番の見守りネットワーク*が万が一の時の駆けつけ連絡サービスにもなります。*地域によって呼び名が違います。
見守り方法は地域によって違いますが、例えば関東周辺では主に
- 生協(COOP)やヤクルト
- ヤマト運輸
- 生保レディ・生保営業
- 水道・電気・ガス事業者
- 個食宅配
などが、提携事業者として定期的に指定された高齢者の見守りをしています。商品お届けや検診の時に会話をし、いつもと様子が違う場合は、地元の高齢者福祉課へ連絡が入るようになっています。
このような事業提携方法以外にも、例えば、千葉県武山市ではさりげない見守り方法として
- 洗濯ものの取り込みの有無
- 郵便物の滞留
- カーテンや窓の開閉状態
- 照明の点灯
などを基準にし、市の職員が定期的に見回りをするなど、地域ごとに特徴があるやさしいネットワークを持っています。
【参照:平成28年版 厚生労働白書 第2章】
【参照:千葉県 武山市ホームページ 高齢者見守りネットワーク事業】
【参照:ヤマトホールディングス 見守りサービス】
8番の高齢者相談は、お願いしたことをなんでも聞いてくれる訳ではありませんが、役所に記録はされます。基本、65歳以上の困りごとは一旦、耳を貸してくれる傾向にあるため「聞いてもらえた」「状況を提供した」という意味では、小さな見守りに入るでしょう。
②ボランティアセンターを利用
地元民またはNPO団体などが主催する多数のボランティアが、高齢者の「自分らしい暮らし」のお手伝いをします。まずは各センターへの利用登録をしましょう。ボランティアセンターは
- 地域広報と市区町村のホームページ
- 役所の福祉課に相談窓口(来訪・電話・郵送)
- 地元公民館に多数のチラシ
- 地域包括センターのチラシまたは相談
で情報入手ができますので、自分たちにとって必要なサポートをしてくれる団体を探します。内容は地域によって様々ですが、以下のような内容を地域のボランティアがサポートしてくれます。
話し相手
センターなどに来た人と会話をする、担当地域を回ってお話をする、など様々なタイプがあります。また、習い事としてセンターに来てもらい、その際に、おしゃべりをするなどもあります。
お風呂の介助
自身で入浴はできるが、万が一の転倒などを防ぐために、風呂と入浴の介助をするものです。四肢のどこかに不自由がある場合もお願いできます。明るいうち(14〜17時くらい)に地域を巡回してくれます。
また、地域によっては、大きな入浴センターがあり、そこでセンターのボランティアが介助をするタイプもあります。この場合は、歩いて来てもらうか、送迎バスの停留所まで来てもらいます。
ちょっとしたお買い物の同伴
スーパーなどに行く時に、重たい荷物を持ってもらう、希望している商品なのかを一緒に確認してもらうなどのお手伝いをしてもらえます。30分単位でお願いができる便利なサービスです。
庭木のお手入れお手伝い
枯葉や雑草のお掃除、水やりなどをお手伝いするボランティアです。かがんでの作業が体に響く場合に、とても便利です。
真夏の炎天下の作業は高齢者には厳しいため、実家に庭がある場合は子供世代が事前にお願いしておかないと、親世代がいつも通り外にでて作業をしてしまう場合があります。
病院への付き添い
混雑する病院への付き添い、処方箋の提出などに付き添ってもらいます。少し足元がフラつく、電車や階段利用が不安な場合、介助と付き添いがお願いできます。
ボランティアサービスをお願いする時には、ボランティアはあくまでボランティアであり、プロではないということを頭に入れておきましょう。
例えば、入浴や付き添い介助などは、タイミングを誤って転倒をして怪我をした場合でも、ボランティア元は責任が取れません。ボランティはあくまで、健康な高齢者の自立サポートが目的です。
親がとても体調が悪くて不安な時は、自分で付き添いをするか、プロの訓練を受け、万が一の場合の制度がある有償ケアをお願いしましょう。
【参照:札幌大学社会学部 論文 サービス付き高齢者向け住宅における主体的生活展開の可能性~ 生活支援サービス提供と地域交流の取り組み状況から~】
【参照:https://blog.canpan.info/kurara_info/img/18/yj22114.pdf】
3-2.自分たちで見守る(自助)
自分たち家族だけで見守るタイプです。基本は、連絡・会話・実家に顔を出すなどになります。家族からの見守り方法には以下のようなものがあります。
見守りサービスのあるスマホや携帯を使用する
携帯電話や電話を利用しての見守りです。
メール
普通にメールをやりとりします。ただ、長い文章を打つことができない人もいるので、簡単な「元気にしてる?」などのやりとりでも良いでしょう。
電話
定期的に電話をして、声の調子などから様子を伺います。親御さんは子供や孫の声が聞けて、とても嬉しい時間です。
LINE
親世代はガラケーからスマホへの機種変更をきっかけにLINEを使う人が急増しているため、使い方を教えてあげると友達ともLINEを使う傾向にあります。こちらもメールと同じ、短めの文章で安否確認をしていくだけです。
SNSの掲示板投稿
親がSNSを利用している場合はアカウントを確認し、そこへの投稿で元気かを確認します。こちらが返信をする必要はなく、親が投稿=元気という確認です。
Facebookを使う場合は、友達申請をしておく必要があります。
見守りアプリ
元は子供向け見守りアプリであったものを親世代に使用します。アプリはいくつかあり、無料なので気に入ったものを選んで使います。
例えば、Life360という見守りアプリは、位置情報から移動履歴が確認でき、緊急ボタンを押すと登録者全員に緊急連絡通知が行きます。また、海外での移動履歴もわかるため旅行先でのトラブルや、自分が海外にいる間でも親の安全確認ができます。
事前登録をすると、任意の場所からの出発・到着の連絡メールが入ります。(家・病院・駅などGoogleマップから自由選択)
【参照:Life360 ダウンロード Life360(iOS) Life360(Android)】
などから、親の日々の状態を確認できます。
また、大手キャリア3社(NTT docomo・au・ソフトバンク)は、携帯電話そのものに見守りサービスが付随しています。例えば、NTT docomoのらくらくホンには「つながりほっとサポート」という無料のサービスがあります。
【NTT docomo つながりほっとサポート スマホ画面】
親のらくらくホン使用状況によって
- ロック解除(スマホの場合)
- 携帯の開閉(折りたたみ式ガラケーの場合)
- 歩数
- 電池切れ
- 写真撮影
- らくらくコミュニティへの投稿(らくらくホンを利用している人専用の日本最大掲示板)
が、登録メンバーへお知らせメールとして送信され、やんわりと元気であることが確認できます。画面一番上の体調は、任意で親が自分で選んで送信ができます。
親世代は、子供世代に心配されてしょっちゅう連絡をされると疎ましく感じ、電話やメールに出なくなる可能性もあります。本当に必要な時以外は、このような遠くから見守るタイプのサポートが受け入れられる傾向にあります。
【参照:相模女子大学 中西康子 論文 どのような人が子による介護を受けようとするのか 】
ウォッチ型・カメラ型・テレビ型を使って見守る
手首に装着するタイプの携帯電話連携時計・室内カメラなどを利用して、連絡をとります。
ウォッチ型(Apple Watchなどのスマートウォッチ)で見守る
スマートウォッチを親には主に時計・小型携帯電話として利用してもらいますが、実は、以下のようなことをアプリで管理できます。
【参考:Apple Storeより Apple Watch】
- 心拍数と不整脈検出
- 転倒アラート
- 騒音アラート
- 歩数
- 運動(立っているか・動いているか)
- 薬服用と誤用アラート
- 水飲み量
- 睡眠時間
などを記録し、異常がある場合は本人とメディカルID登録者にアラートが行きます。
特に転倒アラートは、万が一、転倒後に本人に意識がなくても30秒間の本人へのアラート音とバイブレーション鼓動で周囲と本人に異常を知らせますので、人がいれば、かならず周りの人が気づきます。
万が一、周囲に人がいない場合でも、合計で60秒間、反応に変化が起きない時には緊急通報としてIDメディカル連絡先へ通知が来ます。
【参照:Apple Watch Apple Watch で転倒検出機能を使う】
顔が見えるカメラ型で見守る
親が嫌がらないのであれば、室内の様子を伺えるカメラを設置します。常時据え置き型と、テレビをつけている間・PCやスマホをあけている間だけ室内の様子が見えるものがあります。
<常時据え置き型>
基本、最も滞在時間の長い場所である、リビングかキッチンに設置しておくと普段の様子が伺えます。カメラは様々な種類がありますが以下の要素が満たされているかを確認しましょう。
- 夜間も見られる画素数(30万画素以上)
- 音声が出る(会話や声かけができる)
- 取り付け・取り外しが簡単
介護保険適用のカメラも数種販売・レンタルされています。
【参照:高齢者認知症見守り介護カメラ 介護保険適用 みまもりCUBE】
<その他のカメラ型>
テレビ・PC・室内に小型カメラを設置し、スイッチをいれている間だけ室内と親の様子が確認できます。
PCで使える
衛星を使ったチャットアプリで、PC内臓のカメラ機能を使って顔の見える会話が可能です。非常に音域がよく、画像が高画質で、ビジネスでも使えるレベルです。
PCが起動していれば、テレビ電話・室内モニタリングとして使えます。親に使い方を覚えさせるのが一手間ですが、PCが好きなタイプであれば、問題ないでしょう。
スマホで使える:ビデオ通話アプリ
iPhoneに標準装備されています。アンドロイドでもアプリをダウンロードして利用できます。
以下の画面のように、かかって来た電話(左)の場合は、赤丸のあるFaceTimeを押して通話に出ます。かける場合(真ん中)は、ビデオ通話を押してかけます。家族でグループを作ると、グループ全員が顔を見ながら会話できます(右)。
普通のLINEアプリの電話マークを押すと「ビデオ通話ボタン」が出て来ますので、そこをタップして会話をします。小さな画面に自分、話し相手は画面いっぱいに出ます。
ケーブルテレビ会社で提供している、見守りカメラサービス
ケーブルテレビ各社は見守りサービスを導入しています。基本はテレビの脇にチューナーを設置するだけのものが多く、操作も今まで利用しているリモコンに設定ができます。
テレビのオンオフを登録者の携帯にお知らせしてくれるシンプルなタイプと、チューナーとカメラで室内をモニタリングできるものがあります。
- ひまわりネットワーク みまもりカメラサービス
- 飯田ケーブルテレビ インテリジェントホーム
例えば、東京〜神奈川間の東急電鉄系ケーブルテレビでは、高齢者の見守りを含めた家の中の見守り全般ができるインテリジェンス・サービスがあります。
ケーブルテレビが他のカメラタイプと違う点は、回線容量が大きいため、自宅の何箇所にもカメラを取り付けることができるところです。画面切り替えで寝室、洗面所、キッチンなど親が移動する場所に合わせて高度な見守りができます。
また、親の外出後に自宅に人影があるとアラート通知が来る、玄関のロックや照明やエアコンのオンオフも遠隔操作ができるなど、離れた場所にいる一人暮らし親の防犯も兼ねた見守りができます。
【参照:メディア記事 ケアタイムズ新聞 「東急イッツコム 高齢者見守りサービス開始」】
兄弟連携して月1ペースで見にいく
子供たちで協力しあい、1〜2月に1回のペースで実家に顔を出します。2人兄弟であれば1〜2月おきに交代、3人兄弟であれば3〜4ヶ月に一回ずつ交代で実家に数時間顔を見に立ち寄るか、お泊まりに行く形で親の見守りをします。
子供世代と違い、高齢者はほんの1ヶ月程度で体調が大きく変わります。特に夏と冬は注意して見守る必要があります。親世代も、定期的に子供や孫たちが遊びに来ることがわかっていれば、生活にハリが出て、友達や近所の人と話す内容も多くなり、物忘れやボケの防止にも役立ちます。
家庭の事情によっては交通費がかさむなどの問題などがありますが、長い期間の見守りになる場合は親にも相談して、家庭ごとに自宅通いが負担にならないように正直に話し合いましょう。
4.心配の解消方法③ 生活と病院関連サービスで見守る(タイプ:公助・共助・自助)
本章では、一人暮らしの親の日々の暮らしを見守る方法をまとめています。基本は、普段の暮らしを自立して過ごしてもらい、万が一、病気や怪我をしたら基本は病院と施設に頼りながら、できる範囲でお見舞いや看病をするスタイルです。
<日々の暮らしと生活編>
食事のサポート(自助・共助)
自炊・個食宅配・作って送る、が選択肢です。
男親・女親どちらも、たとえ自炊ができなくても、最近はスーパーやコンビニ惣菜のレベルが上がり、電子レンジが高性能になって来たため、ご飯さえ炊ければ、あとはどうにかなるようにはなりました。
しかし、健康は毎日の食事内容から構築されますので、自炊が苦手な親には、個食宅配などを定間隔で取り入れ、栄養のバランスに気を使ってあげましょう。
男女とも年代的に、宅配弁当・惣菜・外食が苦手な親もいて、一人で食事管理をさせるとどんどん食が細くなる傾向があります。このような場合は、一手間でも、定期的に子供世代が手作りした自宅の惣菜を親にクール便で定期的に送ってあげると良いでしょう。
その度に、電話で「美味しかった?」などと会話をすれば、誰とも会話をしないような日はなくなっていきます。また、1章で紹介した宅配便業者の見守りも配達のたびにされますので、安心度が上がります。
また、自炊ができる親が一人で残された場合は、子供世代が甘える形で「仕事と子育てで忙しいからお惣菜を作ってクール便で送ってほしい」とお願いし、親に「まだまだ私がしっかりしなくては!」と生活にハリを持たせる形での見守りもできます。
栄養管理そのものは、普段食べているものを写真にとるだけで、栄養バランス管理ができるアプリも多数出ていますので、日々の健康管理に使ってもらうと良いでしょう。
心のサポート(自助・公助)
家族で定期的にイベントやお出かけなどをして楽しい体験をする以外に、一人でいる時間に親が心を明るく前向きな状態にしておける方法として
- カルチャーセンターなどに通う
- 地元の集まりに顔を出す
- 自分がボランティアをする
- 地元で行われるコンサートやお芝居に行く
- 料理教室で料理を習って自分で作る
などがあります。このような人との集まりの情報は、実家のある市区町村のホームページか、広報誌・地元の掲示板に掲載されています。65歳以上は無料か少額であることが多いので、積極的に活用しましょう。
定期的に習い事や人との交流を続けていると、常に脳が新しい刺激を受け、一人暮らしが長く続いても自力で心の健康を維持できます。また、家族以外と付き合うことは「社会的な顔」を持ち続けることになり、自制心と自立心の維持にも役立ちます。
例えば、習い事や交流やボランティアに参加すると
- 人と出会う(会話をする・人の話を聞く・友達ができる)
- 想像力を働かせる(絵を描く・知らない文化に触れるなど)
- 新しいことを覚える(文学・知識・パソコン)
- 感謝される・褒められる(やりがい・生きがい)
- 達成感を得る(試験・競争・テスト)
- ストレスを発散できる(体操・カラオケ・ウォーキングなど)
など、外的に刺激を受けて気持ちが前向きになり、生活全体への満足感が高くなります。
もちろん、大好きな趣味で読書やパズルなど一人でも楽しめるものがあればそれも良いですが、外に出て新しいことを習い、新しく交流をすることで得られる刺激とは違います。
高齢者が一人暮らしをする上での心の問題は、今や世界的な社会問題になりつつあります。例えば、人生の後半にさしかかって誰にでも起きる
- 仕事をやめる(定年退職や解雇)
- 金銭に余裕がなくなる
- 関節炎など健康の悩み
- 配偶者(パートナー)や友人の死
をきっかけに人との付き合いを避けるようになり、気がついたら何日もテレビの前で誰とも話さないで過ごしてしまうようになるのは、一人暮らしの高齢者にとっては非常にカンタンなことなのです。
年齢に関係なく、およそ丸3日、誰とも会話をしない日が続くと、人は孤独感に襲われて自己肯定感が下がり、自分の存在価値を感じられないようになる傾向があります。このような状態を放置するとボケやウツへと進行しやすくなり、一旦このような心理状態になると、元に戻すのはとても大変になります。
親が習い事やお出かけに対して不活発な場合は、ボケやウツの説明をして、半ば強制的にでも何かをさせた方が良いでしょう。
【参照:山口県立大学社会福祉学部 青木邦男 論文 在宅高齢者の孤独感とそれに関連する要因】
【参照:英国サイト Royal College of Psychiatrists「高齢者のうつ病」】
【参照:厚生労働省 高齢者のうつ知識】
運動サポート(公助・共助)
運動のサポートは主に「歩く能力」のサポートとして、ウォーキングを推奨します。ウォーキングは
①男女差がなく
②運動能力に関係なく
③怪我の可能性が著しく低く
④有酸素運動で血流がよくなり
⑤足腰の筋肉が増強され
⑥骨への刺激で骨密度が高くなり
⑦セロトニンホルモン分泌で精神が安定し
⑧エンドルフィンホルモン分泌で気分が上がる
という、一人暮らしの高齢者にとって最適な運動方法です。東京都健康長寿医療センターの調べによれば、1日の歩数(早歩きも含め)が
- 2000歩で寝たきり予防
- 4000歩で老人性うつ予防
- 5000歩で要支援・要介護・認知症・心疾患・脳卒中予防
- 7000歩でがんと動脈硬化・骨粗鬆症・骨折の予防
- 8000歩で高血圧・糖尿病・脂質異常症の予防
- 9000歩で高血圧(正常高値血圧)・高血糖
- 10000歩で75歳以下のメタボリックシンドローム予防
が可能なほど、ウォーキングはパワーのある運動です。
テレビや雑誌でも高齢者が毎日歩くことの大切さを繰り返し放送していますので、ある程度の基礎知識はあると思って良いでしょう。ただ、自分が正しく歩けているかはわかりにくいため、一度、専門家にチェックをしてもらえれば自信を持ってたくさん歩けるようになります。
歩行とその他運動の指導は、厚生労働省の旗振りで「介護予防」としての運動を広げるため、地域運動支援センターが日本各所に開かれていますので、正しい歩き方、運動方法や食事など高齢者の健康に関した手厚いサポートが受けられます。
【参照:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所「中之条研究から見えてきた”病気にならない生活法” 社会参加と地域保健研究チーム 専門副部長青栁幸利研究所NEWSNo.265】
【参照:厚生労働省 「地域づくりによる介護予防を推進するための手引き」】
家の中の安全サポート(自助・共助)
住み慣れた家でも、筋力の衰えや老眼により、つまずきや転倒が起きやすくなります。このようなトラブルを未然に防ぐため、家の中を安全化する必要があります。
①家の中を安全にする(共助)
家の中にある怪我の原因になりそうなものを改善します。
- 段差を取り除くバリアフリー化
- 床や風呂場の滑り止め
- 手すりの取り付け
- ドアを引き戸に変更
- 便器の取り替え
などは、各市町村レベルで「高齢者自立支援住宅改修給付」の「予防給付」の名目で助成金がおります。各都道府県により給付対象が少しずつ違いますので、相談窓口で確認してください。
例えば、東京都港区では、上記の改修工事に必要な合計金額のうち上限20万円までが給付されます。これ以上の大掛かりな工事に関しては要介護認定が必要となってきます。
【参照:東京都港区 高齢者自立支援住宅改修給付】
②動線の見直し(自助)
家の中の動線を見直しましょう。難しく考えなくても、あまり使っていないソファやタンスなどの大型家具を使わない部屋に移動させて整理してあげるだけで、かなり動きやすい家になります。
また、長く住んでいるとたくさんの不用品が様々な箱で山積みになっていますが、万が一の地震や火災時の崩落や落下防止のため処分するか、使わない部屋に片付けておきましょう。
普段使う場所だけでも整理して広くしてあげると、それだけで家の中で動き回って活動できる範囲が増え、運動量が上がります。
お金のケア(自助)
親の金銭管理をしっかりしましょう。元気で自分でできるうちは問題ありませんが、万が一の怪我や病気で話せなくなってしまった時のために、大事なものがどこにあるのかなどは確認をしておきましょう。
銀行管理
銀行管理は、通帳を記帳して見るだけで、あとは収支のバランスがおかしくないかを確認します。
基本的には親の財産は親のものですから、どう使おうと自由です。ですが、普段と明らかに様子が違うほどの出費や、無駄使いがないかをチェックをします。
実家に帰った時に
①見慣れないものがたくさんある
②服や持ち物が派手になった
③本人らしくないものが増えた
などの「いつもと違う」感じがあったら、本人にそれとなく確認するか、商品の出どころを確認して、どういう種類の人間が親に関わっているかを確認しましょう。世代的によくあるケースとしては、
- 宗教やオカルトにはまってしまった
- お付き合いで断れない
- 痴呆などの病気の可能性
などがあげられます。問題のあるところとの関わりがある場合は、こちらでよく調べてから、実体を説明すれば理解します。また、「子供に確認をしないとならないから」という口実を使わせて、お付き合いでのお断りをしやすくしてあげましょう。
トラブル管理
高齢者の一人暮らしを狙った犯罪トラブルはあとを絶ちません。気をつけていても「まさか自分が」とは思わないので、うっかり騙されてしまうことがあります。
例1)詐欺系
オレオレ詐欺などを代表する、身内のふりをして電話をかけてきて入金を要請する詐欺集団がいます。日々、テレビや雑誌メディアで注意勧告をしても、未だに騙されてしまう人 がたくさんいます。
対応策
①普段から電話でよく会話をしておく(口調など、ちょっとした違いに気が付いてもらう)
②家族だけがわかる合言葉などを使う
③お金の話は顔が見える電話か、対面でしかしない
④家電話は留守電にして、内容を聞く
⑤子供と一緒の時以外、家族以外には個人情報を話さない
などの約束を親と一緒に作り、電話に貼っておきましょう。
また、政府では防サギ対策としてお金を振り込む・何か行動をする前に
- 188(消費者ホットライン)
- ♯9110(警察相談専用電話)
に相談してから判断するように、家電話・携帯電話などにステッカーなどの防サギグッズを使う方法もあります。
【参照:政府広報オンライン 防サギ! 最新手口公開】
例2)悪質なサプリメント業者
無料の健康相談を糸口に、高額なサプリメントなどを大量購入させるなどの業者が横行しています。問題なのは、その商品を購入者本人が気に入ってしまっている点で、親からすれば「好きなもので健康に良いから買った」つもりであるところです。
親に自分のお金を自由に使う権利があることを認めた上で、個人が消費できる範囲を超えた購入だと判断した場合は、消費生活センターに連絡相談をし、同じ銘柄の商品で被害報告が出ていないかを確認します。
もし、被害報告がある場合は、その旨を親に説明し
- クーリングオフ
- 返品返金
- 退会
などの手続きを取ります。
上記の手続きは取らずに引き続き購入するにしても、単月消費できる量、サプリメントなどは平均賞味期限である1〜2年以内に全て消費できるレベルのまとめ買いまでに留めるように、親と会社担当者にもお願いしましょう。
<病院と病気編>
持病のあるなしに関わらず、病院関連のサポートです。
普段の生活
・定期検診
ちょっとした不調でもとりあえず病院で診察をするようにしましょう。ちょっとした不調かどうかは、普段のやりとりから子供から「先生に診てもらったら?」と提案してあげる必要もあります。定期検診は、包括ケアシステムによっては、指定者に診断結果メールを送ってくれるところもあります。
病気になったら通院が必要
・通院介助
通院が2−3日を超えてくると、体力などの問題から、通院介助が必要になります。軽度の状態であればボランティア、ふらつきなどがあり不安な場合で、子供が交代で行けない場合は、有償のプロのケアワーカーをお願いします。派遣してもらえるケアワーカーさんは、包括ケアセンターで紹介があります。
・リハビリ施設
リハビリが必要な場合があります。病院が指定したセンターか、包括ケアセンターで紹介してくれるリハビリセンターで療法が受けられます。
入院退院になったら
家族のお見舞い
入院の当日はできれば子供が手伝って、不安を少しでも和らげてあげましょう。入院が長引く場合で兄弟がいる場合は、交代でお見舞いをして励ましましょう。
デイケアセンター
退院後、すぐには日常生活に自力で戻れない場合は、デイケアなどの経費介護施設で日常生活の補助をしてもらいながら当面の生活をします。これらの施設は、包括ケアセンターに登録があるところにしましょう。
退院状況によっては家の中を整理
退院後、従前と全く同じ生活ではないが、自力での暮らしが可能な場合は、なるべく一人で暮らせるように家族が、実家を少し整理・補助をしてあげましょう。
例えば、
- ベッドをリクライニングで起きられるようなものに変更
- オール家電に変更
- 生協に登録して、重たいものを配達してもらう
など、親に確認しながら必要なことを少しずつ足してあげましょう。
もし、親が入院したら? 医療費目安 親が入院した時の医療費目安です。高齢になると病院にかかる可能性は高くなりますが、負担割合は減少しますので、自分たち子供世代ほどは医療費の負担が大きくはありません。 例えば、
さらに、高額医療制度という医療費がかさんでも一定金額以上を超えると、上限を超えた分のお金が国から還付される仕組みがあります。これは高齢者以外でも利用できますが、特に高齢者は医療費の上限が低くなるため、還付金を受け取れる可能性が高くなります。 例えば、70歳以上の高額医療費は、以下のような所得に応じた自己負担額上限があります。高額医療費制度は、必要な治療をする場合に事前に医療機関から説明があります。
こうしてみると、親の入院費用そのものは大きな心配をする必要はないことがわかります。 また、このような手厚い医療制度があることから、親の入院費負担は親の財布から支払いましょう。子供世代が入院費用を負担すると、世帯生活水準が苦しくなり、最悪の場合は経済破綻、または孫世代の進学にも響きます。 厚生労働省の調査によれば、医療費は年齢とともに高くなり、70歳代までは外来(入院外+調剤)の割合が高く、80歳代になると入院(入院+食事療養)の割合が高くなることがわかっています。 よって、日々の暮らしの中で起きるトラブルを最大限に取り除きながら、なるべく日本の平均的な医療費負担のレベルにおさまるように、親子揃って歩み寄る努力をする必要がありそうです。 少しずつ、老化が進む親の見守り強化のための実家通いが増え、交通費や体力の消耗による子供世代のトラブルも想定できます。将来の同居や近居を視野に入れることができない場合は、遠く離れた場所から見守るという姿勢を崩さないようにし、親の自立意識を強化する必要もあります。 【参照:厚生労働省 年齢階級別1人当たり医療費(平成22年度)(医療保険制度分)】 |
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、一人暮らしの親を持って心配をしている子供世代向けに、
1.一人暮らしの親への3大心配事とその対策とは?
2.心配の解消方法① 地域と社会で見守る(タイプ:公助・扶助)
3.心配の解消方法② 地域のヒト・モノ・サービスで見守る(タイプ:互助・自助
4.心配の解消方法③ 生活と病院関連サービスで見守る(タイプ:公助・共助・自助)
をまとめました。自立した親と自立した子供が、お互いに人生を大切にしながら、助け合って生きていくための助けになったのではないでしょうか。歯止めの効かない高齢化社会のため、政府も必死で対策をしています。まずは2025年の地域包括ケアの完成に合わせて動かれてみてはいかがでしょう。
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