
独身で子供を設けないまま老後を迎え、「この先どうなるのだろう……」と不安に感じている方は少なくありません。
老後を孤独に過ごすとなると生活費だけでなく、健康面で不安を感じる場面が多くなるからです。
配偶者や子供がいれば、いざという時の心強い味方になるのですが、独身者の場合は一人で切り抜けなければならないケースがほとんどです。
今回は、子供のいない独身者が老後を過ごす上で感じる不安と、その解決法を紹介。
老後の生活に必要な費用や、前向きに暮らしていくためのポイントも合わせて解説します。
目次
1. 独身子なしで老後を迎える際に不安に感じる点とは?
独身で子供がいない老後では、一体どのようなことを不安に感じるのでしょうか?
一般的には、以下の4つの不安にかられることが多いようです。
- 孤独への不安
- 介護など健康面の不安
- 老後の生活資金への不安
- トラブルに巻き込まれる不安
順番に内容を確認しましょう。
1−1. 孤独への不安
老後の一人暮らしは、孤独を感じる瞬間が多く訪れます。
部屋で一人ぽつんと座っていると、不意に寂しさに襲われてしまいます。
配偶者がいれば話し相手になり、一緒に散歩に出かけるなど適度な運動ができますが、一人暮らしでは何事もおっくうになりがち。
部屋から出ない時間が多くなり、運動不足の原因にもなります。
また、子供がいれば離れて暮らしていても会いに来てくれる場合がありますが、独身の場合は親族の来訪くらいしか期待できないかもしれません。
1−2. 介護など健康面の不安
年齢を重ねるにつれ、健康面の不安は顕著になります。
何かのきっかけで足腰を痛めてしまうと、出歩く頻度が減って身体の衰えが早まります。
食生活に偏りがあると、健康面も心配になるでしょう。
将来的に一人で日常生活を送ることが困難になり、介護サービスを受けながら暮らす可能性は常に考えておかねばなりません。
1−3. 老後の生活資金への不安
多くの場合、定年後は年金の受給と預金を切り崩しながら生活します。
現役時代に十分な蓄えがなかった場合、老後の生活資金が枯渇する可能性があるのです。
食費や光熱費だけでなく、医療費や入院などの突然の出費が重なると金銭面の不安が募ります。
質素な暮らしを心がけていても、いつかお金が底を尽きてしまうのではないかという、心配はなくなりません。
1−4. トラブルに巻き込まれる不安
還付金詐欺や強引なセールスなど、高齢者を狙った犯罪は後を絶ちません。
一人で暮らしている場合、突然のトラブルに見舞われた際の対処が難しいと感じることが多いでしょう。
家族がいればすぐに相談し、問題解決につなげられますが、個人の場合は自己解決せねばなりません。
年齢を重ねると判断力が低下し、悪意を持った相手の目的を見破れない場合があります。
また、自然災害などの発生時にも、迅速な避難が難しいなどの不安が残ります。
2. 独身者の老後への不安を一つずつ解決
独身者が老後を過ごす際に感じるいくつもの不安。
しかし、漠然と不安に感じるのではなく、問題を一つずつ解決しながら前向きに暮らすことが大切です。
独身で子供がいない生活の不安を払拭するには、以下の表を元にして一つずつ確実に不安を払拭していくことが大切です。
独身者の老後の不安 | 具体的な解決策 |
孤独にならないためにできること |
|
健康面の不安を軽くするためにすべきこと |
|
老後に必要な生活資金を計算しておく |
|
急なトラブルに備えておくことが大切 |
|
解決策は次の3章以降でくわしく解説していきます。
3. 孤独にならないためにできること
孤独な老後を送らないためには、以下の3つのポイントを実践しましょう。
自分は一人ではないということを、常に意識することで、寂しさが薄れることが期待できます。
- 親戚との付き合いを欠かさない
- 友人と助け合う
- 打ち込める趣味を持つ
3−1. 親戚との付き合いを欠かさない
配偶者や子供がいない場合、親戚との交流を欠かさないようにしましょう。
親戚と疎遠になった場合、緊急時に頼れる相手が少なくなってしまうからです。
力仕事や車の運転を依頼できる親戚がいれば、頼もしい味方になります。
普段から定期的に連絡を取りあい、年末年始などの節目には顔を合わせるようにすることで、親戚間のつながりを保ちましょう。
3−2. 友人と助け合う
学生時代や職場の同僚など、仲が良い友人との関係性は保ち続けましょう。
気心が知れた関係ならば、一緒に話したり出かけたりと、気分転換になります。
孤独を忘れられる瞬間を定期的に作り出せる、友人は大切にしたいものです。
独身の友人同士で定期的に連絡を取り合うことで、互いの安否確認にもなります。
3−3. 打ち込める趣味を持つ
趣味は人生に彩りをもたらします。
若いころから継続している趣味があれば、老後も長く続けるようにするとよいでしょう。
新しく趣味を見つけるのも効果的です。
在宅でできるものや屋外での運動を兼ねたもの、インターネット上でできるものなど、自分に合った趣味を見つけることで、孤独を感じる時間を少なくできます。
老後の趣味や生きがいの見つけ方については、下記の記事で詳しく解説しています。
定年後の生きがいの見つけ方と生きがい人気ランキングTOP10
友達作りのための趣味選び5原則と友達ができやすい趣味4タイプ
シニアの趣味ランキングTOP10を紹介!老後を楽しむための素敵な趣味一覧
4. 健康面の不安を軽くするためにすべきこと
老後の健康不安をなるべく取り除くためには、日頃の心がけが大切です。
以下の2つはすぐにでも実践できる内容であり、ハードルも低いのがポイントといえます。
- 生活習慣の改善を心がける
- 適度に運動を日課にする
4−1. 生活習慣の改善を心がける
健康な毎日を送るためには、生活習慣を見直しましょう。
生活リズムの乱れや偏った食生活は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を引き起こす可能性が高まります。
独身だからと食事をないがしろにせず、バランスを意識したメニューを心がけましょう。
喫煙や過度な飲酒なども避け、不健康につながるリスクの低減をめざしてください。
農林水産省がまとめた「食事バランスガイド」によると、以下のようにバランスのよい食事を心がけることが大切といわれています。
出典:農林水産省「事バランスガイド」について 食事バランスガイド拡大図
主食 | ごはん、パン、うどん、そば、パスタなど |
副菜 | 野菜、きのこ、いも、海藻料理など |
主菜 | 肉、魚、卵、大豆料理など |
牛乳・乳製品 | 牛乳、チーズ、ヨーグルトなど |
果物 | みかん、リンゴ、バナナ、ぶどう、柿など |
出典:農林水産省「事バランスガイド」について 食事バランスガイド拡大図
一人暮らしの食事は質素なものになりがちですが、バランスを意識したメニューを心がけると、日々の活力アップにつながります。
献立を考える楽しさに目覚めるかもしれませんよ。
4−2. 適度に運動を日課にする
常に座りっぱなしや横になりっぱなしになるのではなく、適度な運動を日課に取り入れていきましょう。
自宅でも適度に身体を動かして、ストレッチを行うのが効果的です。
身体を動かすことで固くなった筋肉をほぐし、身体能力の低下を防ぐ効果が期待できます。
常にじっとしていると、ふとしたことで転倒し、ケガや骨折の原因になります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動指針」によると、65歳以上の高齢者の場合、1日40分を目安に運動やスポーツを行うとよいとされています。
すぐに長時間身体を動かしはじめるのは難しいため、今よりも10分だけ多く運動する時間を増やしていくと効果的です。
また、衛生面をしっかりと確保しながら、自宅の周辺を散歩するのもよいでしょう。
身体面だけでなく、日光を浴びたち景色を見たりすることにより、精神的な満足感が得られます。
厚生労働省の「健康日本21健康日本21(身体活動・運動 ) 身体活動・運動」によると、高齢者の1日のウォーキングの目安として、男性は6,700歩、女性は5,900歩となっています。
散歩の効果については、以下の記事で詳しく解説しています。
散歩の効果6点!歩くだけで不眠症の改善や脳の活性化などの効果いっぱい
5. 老後に必要な生活資金を計算しておく
老後の生活資金は不安に直結する大きな問題です。
そのため、独身者が老後に備えて必要になる金額と、独身者が老後に向けての資金を貯める方法を確認しましょう。
今後の人生でおよそどれだけの金額が必要か把握できれば、不安をやわらげられます。
5−1. 独身者が老後に備えて必要になる金額
独身者が老後の生活で必要になる金額を確認しましょう。
総務省統計局による「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)」のデータをもとに算出しました。
5−1−1. 毎月の出費は約15万円
同データによると、高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)の毎月の実収入は124,710円,可処分所得は112,649円となっています。
消費支出は139,739円であり、平均消費性向は124.0%でした。
高齢単身無職世帯の家系収支の割合は、以下の表で確認できます。
出典:家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)II 総世帯及び単身世帯の家計収支
年金の受給額の不足分を預金などで補う場合、トータルで毎月15万円ほどの生活費がかかる計算です。
居住環境によっては、家賃などの負担額がより増える場合があります。
また、年金の受給額は厚生年金と国民年金で差があり、加入していた年金によっては、上記の支給額よりも少なくなります。
以下は、平成30年の厚生年金と国民年金の受給額です。
・厚生年金:143,761円
・国民年金:55,708円
国民年金の受給者は、厚生年金と比べて支給額が少なく、その分生活を圧迫するといえます。
5−1−2. 老後の生活費は1,000万円前後必要
独身者が老後の暮らしに必要な生活費を計算します。
毎月の生活費として必要な額を15万円とした場合、年金だけでは賄いきれない生活費の赤字分である27,090円は、預金などで補う必要があります。
年金の支給が始まる65歳から20年分(240か月)で算出してみましょう。
27,090円×240か月(20年)=6,501,600円 |
このことから、老後の生活費は最低でも650万円ほどの預金が必要だとわかります。
生活にゆとりを持たせた場合や、介護費用、自分の葬儀・供養費用まで考えると、1.000万円前後の金額を想定してもよいでしょう。
5−2. 独身者が老後に向けての資金を貯める方法
独身者が老後の生活資金を貯めるには、いくつかの工夫が必要です。
なるべく収入を多く得られるようにし、年金の受給額を増やすようにして、資金に余裕を持たせましょう。
5−2−1. 定年を迎えても働けるようにする
一般的な定年は国家公務員などで60歳、一般企業では65歳まで引き上げられている場合があります。
定年が伸びればその分勤務年数が増え、収入の増加につながります。
また、定年後の再雇用を行う企業が増えており、元気に働きながら老後を過ごすことが可能になりました。働ける間は可能な限り収入を得ることで、老後の生活資金を確保しましょう。
定年後に働きやすい仕事として、以下の職種がおすすめです。
軽作業 | 倉庫などで荷物の整理や移動を行います。 |
事務職 | 資格や経験を活かして事務の仕事を継続できます。定年後も同じ職場で勤務できる場合があります。 |
警備員 | 交通誘導や設備の警備を行います。長時間立ち続ける場合があるため、ある程度の体力が必要です。 |
清掃員 | 施設内の清掃業務を行います。 |
販売員 | 小売店などでの接客や商品整理を行います。 |
5−2−2. 年金の受給を繰り下げる
年金の受給時期を繰り下げることで、年金の受給額を増やすことが可能です。
年金は基本的に65歳から受給可能になりますが、66歳から70歳までに受給するように繰下げて請求することで、最大で42%の年金額が増額される仕組みになっています。
老後もしばらく元気に働けるという方は、年金の受給を繰り下げる方法を検討してみてください。
年金については、下記の記事で詳しく解説しています。受給額を増やす方法もご覧ください。
年金をいくらもらってる?平均的な厚生・国民年金受給額とその増やし方
5−2−3. 生活費の見直しを行う
収入より支出が多い場合は、生活費の使い方を見直しましょう。
無駄が生じている部分をスリム化することで、経済的な負担を少しでも軽くしていくのです。
しかし、不用意に食費や光熱費を削るのは健康不安につながる危険があります。日頃から健康を意識しながら、医療費などの負担を抑えるように心がけるとよいでしょう。
6. 急なトラブルに備えておくことが大切
独身者の老後は、トラブルをいかに回避するかが重要になってきます。
犯罪の被害にあったり、災害時に孤立したりしないためにも、普段からの備えが大切です。
- 犯罪に巻き込まれないよう日頃から意識しておく
- 防災の備えを整えておく
6−1. 犯罪に巻き込まれないよう日頃から意識しておく
一人暮らしの老人を狙った犯罪は後を絶ちません。
その代表といえるのが還付金詐欺など、電話による犯罪です。
電話にて市町村の職員や銀行の行員を名乗る人物が、「保険の還付を受けられるので、近くのATMに向かってほしい」などと言葉巧みに誘導してきます。
実際には公的機関がATMで還付金を支払うことはありえませんが、一人暮らしをしていると、ついつい油断して騙されてしまう可能性はゼロではありません。
還付金詐欺などのトラブルに巻き込まれないよう、普段から意識しておくことが大切です。
還付金詐欺などへの対処法は、以下の記事で詳しく解説しています。
高齢者を狙う詐欺を防ごう!知っておくべき手口と打つべき対策4つ
6−2. 防災の備えを整えておく
地震や台風、ゲリラ豪雨などの自然災害は、いつ襲ってくるかわかりません。
そのため、普段から十分な備えをしておきましょう。
地震などでインフラが停止した場合に備え、食料や避難用グッズを備蓄しておくと安心できます。
また、近隣の避難所になる場所をチェックしておきましょう。
独身者の場合は、自力での避難が必要になるケースを想定しておきたいところです。
7. 老後の生活はスマホがあると安心できる
独身者が老後を過ごす上で、持っておきたいのがスマホです。
配偶者や子供がいない場合、親戚や友人、公共機関と連絡を取るには、家庭用の電話機よりも持ち運べるスマホのほうが便利といえます。
7−1. シニア向けのスマホを活用しよう
高齢者がスマホを使いこなすには、毎日適度に触れる、直観的に操作できる必要があります。
そこでおすすめなのが、NTTドコモが展開している、富士通コネクテッドテクノロジーズ製の「らくらくスマートフォン」シリーズです。
シニアが使いやすいように大画面表示ができ、各種ボタンが見やすいように配置されています。
電話やメールなど、よく使う項目にアクセスしやすくなっており、緊急時には登録先の番号に発信する機能もあります。
出典:らくらくスマートフォン F-42A 製品特長(あんしん)
還付金詐欺の電話に対しては、音声認識技術によりスマホ側で危険を察知。利用者に注意喚起を促す機能がついており、詐欺被害の抑止が期待できます。
7−2. らくらくコミュニティで趣味のつながりを持てる
らくらくスマホには、「らくらくコミュニティ」というSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が最初からインストールされています。
らくらくコミュニティはFCNT株式会社が運営しており、50~60代以上のシニア層が多く利用しているのが特徴です。
2020年11月の時点で218万人の登録者がおり、写真やコメントなどの投稿内容を通して、同年代で交流を深めています。
7−2−1. 何気ないことでも気楽に投稿できる
SNSというと、何か面白いネタやおしゃれな写真を投稿しなければならないと、あまり乗り気でない方も多いのではないでしょうか。
らくらくコミュニティでは、キレイだと感じた青空や、お昼に食べたおやつなど、何気ない写真の投稿が多く行われています。
特別な投稿は必要なく、自由に発信できる場となっているのです。
投稿を行うと、他の利用者から「いいね」やコメントが寄せられる場合があります。
定期的な投稿のモチベーションにつながる要素といえそうです。
7−2−2. 自分の趣味が見つかる
らくらくコミュニティ内には、30個のコミュニティがあります。
- 花、家庭菜園
- ペット
- 料理、グルメ
- 旅行、登山
- 映画、音楽、読書
- 手芸
- ウォーキング
- ゲーム
上記のような、多様なコミュニティの中から、自分の趣味や趣向に合った内容を選んで交流を深められるのです。
まだやったことのない趣味でも、らくらくコミュニティの投稿へのコメントがきっかけで新しく始めることもできます。
7−2−3. 情報漏洩のリスクが少なく安心
「実際に投稿しようと思っても、炎上するなどトラブルにつながらないか不安……」
SNSの利用に不安や抵抗がある方は、安全性の高いらくらくコミュニティなら安心できます。
投稿内容は24時間運営によって監視されており、不適切な内容や個人情報の漏洩などが行われないようになっているからです。
気分を害することなく利用できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
まとめ
独身で配偶者や子供がいない老後は、さみしいと感じる機会が多くあるのは事実。
しかし、普段の行いや考え方を変えるだけで、毎日は明るいものにできます。
老後の一人暮らしに孤独や不安を感じている方は、一つずつ向き合って解決していきましょう。
老後の生活は長く、漠然と不安を抱いたまま過ごすのはもったいないといえます。
前向きに、健康を意識しながら生活することが、孤独を感じにくくするための近道なのです。
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