
「高齢者への詐欺ってよく報道されているのに全然なくならないのはどうして?」
「一体どんな手口があるのだろう?防ぐ手立てはないのかな?」
警察庁が2019年にまとめた報告では、特殊詐欺(※)認知件数1万6836件のうち高齢者(65才以上)の割合はなんと65%に達しています。
(※)犯人が電話やハガキ等で親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードを騙し取ったり、犯人の口座に送金させる犯罪のこと
行政やメディアが注意喚起してもなくならない高齢者への詐欺は、高齢者本人はもちろん、家族にとっても心配の種ですよね。
そこで本記事では、高齢者を狙う詐欺の手口を4つ紹介します。
年々巧妙に進化する犯罪の手口を、よく読んでしっかり把握しておきましょう。
また、こうした高齢者への詐欺がなくならない理由についても言及します。
増え続ける詐欺の現状を踏まえた上で、高齢者を狙った悪質な犯罪を防ぐために有効な対策を解説していきます。
・周囲とコミュニケーションをとるようにする
・普段から詐欺について話しておく
・家電は常に留守電にしておく
・ATMの利用限度を決めておく
これらを心掛けるだけで多くの詐欺を食い止めることができますので、ぜひ参考にしてください。
この記事が、高齢者を詐欺被害から守るのに役立つことを心から祈っています。
1.高齢者を狙う4つの詐欺の手口を解説
高齢者を狙う詐欺の手口で主なものを4つ解説します。
・オレオレ詐欺
・還付金詐欺
・アポ電
・架空請求
あの手この手で巧妙に高齢者を襲う詐欺の手口を、よく読んで頭に入れておきましょう。
1-1.オレオレ詐欺
オレオレ詐欺は身内や親戚などを装って電話をかけてくる詐欺です。さまざまな名目ですぐに現金が必要であるかのように被害者を信じ込ませ、現金を騙し取ります。
「オレだよ、オレ」と電話をかけてくることからオレオレ詐欺と呼ばれていますが、その手口は多種多様です。
犯人が家に直接現金を受け取りにくるケース、ATMからお金を振り込ませるケース、キャッシュカードを受け取り口座からお金を引き落とすケース…、また最近では警察官や銀行員をかたる第三者が電話に出てくるケースも増えています。
高齢者が騙されやすい、オレオレ詐欺の代表的な手口を3つご紹介します。
1-1-1.息子や孫を装うオレオレ詐欺
オレオレ詐欺でよく知られている手口は、息子あるいは孫になりすまして「オレだけど」と電話をかけてくる手口です。
彼(彼女)らは、「会社の金を紛失した(使い込んだ)」「交通事故を起こして示談金が必要」「借金取りに追われている」といった理由で今すぐお金が必要だと泣きついてきます。
被害者は、自分の息子や孫が大変な状況になっていると信じ込み、言われた通りにお金を振り込んだり渡したりして、騙し取られてしまいます。
このケースでは、息子や孫だけでなく、当事者役(上司、交通事故の被害者など)の他の人物も登場するなど、犯人がグループを組んで詐欺を仕掛けてくることもあります。
1-1-2.警察官を装うオレオレ詐欺
オレオレ詐欺には、犯人が警察官を装って仕掛けてくるパターンもあります。
彼(彼女)は、「あなたの口座が詐欺事件に利用されている」「あなたの息子が事故を起こした」などといった内容で電話をかけてきます。
被害者を動揺させ、不安にさせるような内容の話をした後、「今すぐ示談金が必要です」「とにかく現金を用意してください」などの指示を出してくるのです。
このケースでは、事前に録音した駅構内の音が聞こえるように演出したり、弁護士など他の人物が電話に出てくることもあります。
1-1-3.銀行員を装うオレオレ詐欺
昨今のオレオレ詐欺では、犯人が銀行員や金融庁の職員などを装って電話をしてくるパターンがあります。
キャッシュカード受取型と呼ばれる手口で、「あなたの口座が悪用されている」と高齢者を不安にさせてから、「キャッシュカードを預けてほしい」「手続に必要なので暗証番号を教えてほしい」などといったことを持ちかけてきます。
その後しばらくして、銀行員や職員などを装った犯人がキャッシュカードの受け取りに自宅を訪れるという流れになります。
1-2.還付金詐欺
還付金詐欺は、自治体や税務署、年金事務所などの職員を名乗り、医療費の払戻金や年金の還付金があるなどと電話をしてきて、ATMでお金を振り込ませる詐欺のことです。
手口としては、「お金を受け取るにはATMでの手続きが必要です」といってATMへ誘導してきます。
「手続きは今日までなので急いでください」などと焦らせてくることがほとんどです。
その後、ATMに着いた被害者に手続き内容を説明するふりをしながら、犯人の口座へお金を振り込ませます。
実際には、役所や年金事務所がATMでの操作を電話で指示するなどあり得ませんので、このような電話がかかってきたら速やかに切って、自治体や役所の窓口へ問い合わせるようにしてください。
1-3.アポ電
アポ電はアポイントメント電話の略で、この犯人は、身内や金融機関職員を装って事前に電話をしてきます。被害者の在宅状況や手持ち金の額を確かめた上で家に現れ、金銭を騙し取るのです。
被害者に乱暴して金品を強奪する場合もあります。
アポ電で、犯人が聞いてくるのは主に2つのことです。
・今、家にいくらお金があるか?
・いつ在宅しているか?
身内であっても、持ち金のことを電話で聞いたりするのは不自然です。
少しでも不審に思う電話がかかってきたら、個人情報はみだりに教えず、一旦電話を切って家族や警察に相談するようにしましょう。
1-4.架空請求
架空請求は、ハガキやメールで身に覚えのない利用料などを請求してくる詐欺のことです。
記載の連絡先へ電話をすると、支払い方法を指示してお金を請求してきます。
身に覚えがなければ無視すればよいのですが、「訴訟」とか「差押え」といった強い言葉が記載されていると不安になって電話をしてしまう人は少なくありません。
特に高齢者は、差出人が公的機関を連想させる名称だったりすることで心配になって連絡する人が多いようです。
他にも、商品を勝手に送りつけて代金を請求する詐欺、健康食品の無料体験を装って誘い出し高額な商品を購入させる商法など、高齢者への詐欺は多岐に渡り、あらゆる手口で現金を騙し取ろうと狙ってきます。
こうした詐欺がどうしてなくならないのか?次章ではその理由を探っていきます。
2.高齢者への詐欺がなくならない3つの理由
冒頭で述べましたが、行政やメディアがどんなに注意喚起を呼びかけても、高齢者を狙う詐欺は後を絶ちません。
その理由としては以下の3つが考えられます。
・詐欺の手口が進化している
・(高齢者は)優しさに飢えていて相手を信じやすい
・老いによる認知機能の低下
ひとつずつ具体的に解説していきます。
2-1.詐欺の手口が進化している
高齢者を狙う詐欺がなくならない理由のひとつとして、その手口が進化し続けていることが挙げられます。
ある手口が摘発されて行政やメディアが注意喚起をしても、また新しい別な手口で巧妙に詐欺を仕掛けてくるのです。
詐欺のニュースや新聞を見聞きして、罠にはまらないようしっかり手口を把握していたつもりの高齢者が、現実に詐欺に遭遇すると疑いも持たず信じ込んでしまったということは少なくありません。
詐欺師たちは、犯罪のためにあらん限りの策を弄して手口を変え、進化させて現れます。
知識や人生経験だけで高齢者への詐欺は避けられません。
2-2.優しさに飢えていて相手を信じやすい
高齢者が親しみを装って近づく詐欺師を追い払えない大きな理由は、優しさに飢えているからです。
自分の話に耳を傾けてくれたり、心配する素振りを見せてくれる人が現れると嬉しくなり、簡単に気を許し、つい信用してしまいます。
家族と同居していないほとんどの高齢者は、孤独を感じながら生活しています。
なかなか会えなかったり、仲間や友人も近くにいないとなると、話し相手もおらず、どうしても寂しさを感じてしまうのです。
詐欺師は高齢者のそんな孤独な心理に巧みにつけ込んで騙してきます。
高齢者は気をつけていても、優しさや親切に目が眩んで『騙されまい』とする自制心を失ってしまうのです。
2-3.老いによる認知機能の低下
高齢者は認知機能の低下で、詐欺を見抜けず被害に遭ってしまうことがあります。
認知症を発症していなくても、老いによって判断力や理解力が低下しているため、若い人よりも騙されるリスクが高いのです。
前述しましたように詐欺師は次から次へと新しい手口で狙ってきます。
若い感覚でいても実は認知機能が多少とも低下している高齢者は、時として正しい判断ができず、知らず知らず詐欺師に翻弄されてしまうといったことが起こります。
いかがでしょう。詐欺被害の深刻な状況がわかっていただけましたでしょうか。
次章では、高齢者をそんな悪質な詐欺から守るために打つべき対策を解説します。
3.高齢者を詐欺から守る!打つべき対策4つ
高齢者を詐欺から守る有効な対策を解説します。
・周囲とコミュニケーションをとるようにする
・(家族と)普段から詐欺について話しておく
・家電は常に留守電にしておく
・ATMの利用限度を決めておく
これらをしっかりと行うことで詐欺を抑止することができますので、よく読んで参考にして頂けたらと思います。
3-1.周囲とコミュニケーションをとるようにする
ご両親や親戚など高齢の方とは、なるべくコミュニケーションをとるようにしてください。
特に離れて高齢者だけでお住まいの場合は、週に1度は電話を掛けるなど声を聞くようにしましょう。
つながっている家族がいる、いつでも相談できるという意識があるだけで詐欺被害が回避できます。
高齢者は孤立してしまうと詐欺に遭いやすくなります。
しょっちゅう声を聞いていれば、「息子だ」「孫だ」という嘘に騙されにくくなるでしょう。
家族の連携がしっかりしていれば、『お嫁さんの携帯にかけて確かめよう』といった知恵も働きます。
また家族側から考えても、『今日はおばあちゃん元気ないけど何かあったのかな?』『最近、知らない人の名前がよく出てくるけど誰だろう?』というように異変に気づきやすくなります。
高齢者を詐欺から守るためには、日頃からコミュニケーションをとるように心がけましょう。
3-2.普段から詐欺について話しておく
ご両親など高齢者とは普段から詐欺について話しておくようにしましょう。
昨今の詐欺の実情、手口などを話題にすることが注意喚起になり、騙されにくくなります。
詐欺について話す中で、家族間での「合い言葉」を決めておくというのも効果的な対策です。
その場合は、名前や生年月日など知られやすいものでなく、家族にしかわからない言葉を選んでください。
高齢者は覚えられなかったり、焦って咄嗟に答えられないことも考えられますので、電話の側にメモに書いて貼っておくと良いでしょう。
記事でもご紹介しましたように、詐欺師は手を替え品を替え次々と新しい手口で高齢者を陥れます。
現実になったとき、高齢者が動揺しないように、日頃から “起きるかもしれないこと” として、詐欺について話題にするようにしてください。
3-3.家電は常に留守電にしておく
高齢者を詐欺から守るための対策として、家の電話を常に留守番電話にしておくことをおすすめします。
直接出ないことで、いきなり見知らぬ人と話すことがなくなって詐欺被害が回避できます。
家族や知人であれば留守番電話に話しかけてもらえば、その段階で出てもいいですし、あとから掛け直すこともできます。
電話による詐欺は高齢者を狙う詐欺の中で最も多い案件です。
家電は基本留守番電話にしておくのが賢明です。
また、着信した際に呼び出し音と同時に「迷惑電話にご注意ください」といった警告メッセージが流れたり、通話録音、着信拒否などができる “振り込め詐欺防止装置” のついた電話を利用するのも1案です。
3-4.ATMの利用限度を決めておく
高齢者への詐欺で大金を奪われないように、ATMの1日の利用限度額を低めに設定しておくことができます。
低く設定しておけば、万が一詐欺にひっかかってお金を振り込む事態になっても、それ以上の金額を取られる心配がありません。
ここまでお伝えしてきましたように、高齢者を狙う詐欺は巧妙で「私は絶対大丈夫!」と思っていても、いつ何時、詐欺師の手に堕ちないとも限りません。
あらかじめATMで振り込める限度額を決めておけば、仮に被害に遭ったとしても低い金額で済みます。
1日ごと、1ヶ月ごととそれぞれの限度額を設定できる銀行もありますので、家族と相談の上、ご利用の金融機関に確認してみましょう。
4.らくらくスマートフォンで高齢者を詐欺から守ろう!
高齢者を狙う詐欺について解説してきましたが、昨今、自宅電話や郵便等より厳重に警戒しなければいけない詐欺があります。
それは、スマートフォンを利用した詐欺です。
スマホユーザーを狙った詐欺から高齢者を守るために、NTTdocomoのらくらくスマートフォンをおすすめします!
株式会社NTTドコモモバイル社会研究所の2019年の調査によると、今や60代のスマホ所有率は70%、70代でも40%を超えています。
それだけ広い世代がスマートフォンを便利に活用できるようになったということですが、比例してそれにつけ込んだ犯罪が増えているのです。
らくらくスマートフォンには、そうした犯罪から高齢者を守るため、「還付金詐欺対策」機能、「迷惑電話対策」機能、あんしんを強化する「らくらく迷惑メール判定」機能という3つの機能が搭載されています。
9月に発売された新機種「らくらくスマートフォンF-42A」を例にとり、それぞれどんな機能で、どのように詐欺対策に有効なのかを解説します。
4-1.発進時に有効な「還付金詐欺対策」機能
らくらくスマートフォンでは、「還付金詐欺対策」機能を簡単に設定することができます。
この機能を設定すると、電話帳に登録していない相手に発信した通話の内容に還付金詐欺と思われる会話を検出すると、通話している双方に還付金詐欺の警告を行います。
具体的には、会話の中に『振込』『ATM』といった還付金詐欺が疑われるキーワードを検出したとき、発信者、通話相手双方に「この通話は迷惑電話防止のために録音されます」という音声での警告が流れます。
さらに、発信者のスマホ画面に『還付金詐欺に関するキーワードを検出しました。録音している旨を相手へお知らせしている間、一時無音になりますが、その後通話できます。』という文章が表示されます。
詐欺と気づかず『還付金を受け取らなければ!』と焦って架電した高齢者も、こうした警告があればそこで気づいて電話を切れば騙されないで済みます。
仮にこちらが電話を切らなくても、相手側が警戒し実行を諦める可能性も高まるでしょう。
4-2.着信時に有効な「迷惑電話防止」機能
らくらくスマートフォンでは、「迷惑電話防止」機能を簡単に設定することができます。
この機能を設定すると、電話帳に登録していない番号から電話がかかってきた時、相手に会話を録音する「この通話は迷惑電話防止のために録音されます」という音声メッセージが流れます。
一方、スマホ側は専用の着信音が鳴って「迷惑電話にお気をつけください」と注意喚起があり、電話に出ると通話の録音が開始されます。
こうした注意喚起があることで、詐欺電話に無防備に出ることが防げます。
詐欺師側も警戒して実行を諦める可能性が高まります。
仮に詐欺電話に出てしまったとしても、会話が録音されていることから、家族や警察に相談しやすくなり、詐欺被害の抑止になります。
4-3.あんしんを強化する「らくらく迷惑メール判定」機能
らくらくスマートフォンでは、「らくらく迷惑メール判定」機能を簡単に設定できます。
この機能は、見ず知らずの相手から口座への振り込みなどを依頼するメール及びメッセージを受信した際に、容易く信じてしまわないよう注意喚起を呼びかける機能です。
たとえば、買った覚えもない商品に対して「期日までに支払わないと法的手段に訴えます。」という内容のメールが来ることがあります。あるいは、使った覚えがないのに高額なインターネット料金請求のメッセージを受信するケースも考えられます。
こういった場合、メールに慣れている人であれば無視して済ませられますが、不慣れな高齢者の場合、慌てて確認の電話や返信をしてしまうことが往々にしてあるのです。
らくらくスマートフォンで「迷惑メール判定」を設定しておくと、現金を騙し取る目的の迷惑メールである可能性が高いと判定された場合は注意メッセージが表示されるので、冷静な判断ができます。
いかがでしょう。
万一、あなたや親御さんが不審な電話やメールを受信された場合は、送り主へ電話やメールは返さず、周りの家族や警察に相談するようにしてください。
らくらくスマートフォンなら、よく電話する家族の連絡先をワンタッチダイヤルに登録することができます。登録しておけば、万一の場合、ワンタッチで電話やメールをすることができて便利です。
らくらくスマートフォン「F-42A」について詳しく知りたい方は公式サイトをご覧ください |
5.まとめ
高齢者を狙う詐欺について、手口や対策を解説しました。
イタチごっこなどと揶揄されるように、高齢者を狙った詐欺は次から次へと巧妙に進化し増え続けており、気をつけているつもりでも、いつ何時悪質な手口に騙され陥れられるかわかりません。
被害を避けるためには家族の協力が不可欠です。
高齢者ご本人と相談の上、以下のような対策をうっておきましょう。
・周囲とコミュニケーションをとるようにする
・(家族と)普段から詐欺について話しておく
・家電は常に留守電にしておく
・ATMの利用限度を決めておく
携帯電話やスマートフォンの迷惑電話対策機能もできるだけ活用するようにしましょう。
もしも不審な電話やメール、郵便等が来た場合は、すぐに相手に連絡せず、家族や警察に相談するようにしてください。
この記事が高齢者への詐欺抑止に少しでも役立てば嬉しいです。
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