高齢者におすすめな映画20選と映画鑑賞で元気になれる理由3つ

Asian elderly hand holding remote television and watching movie.

「高齢者や親世代に楽しんでもらえる映画を探しているが、何の映画なら喜んでもらえるのだろうか」
「高齢者向けの映画鑑賞会用に、鉄板の映画リストがあればいいな」

このサイトに訪れたあなたは、高齢者に観てもらう映画に関して、このような悩みを抱えてるのではないでしょうか。
映画鑑賞には、高齢者の心身と脳機能の老化を食い止める効果があります。室内で横になったままでもできるエンターテインメントとして人気があります。

今回は、後期高齢者を中心としたシニア世代に喜んでもらえる映画と、選び方に関して以下のようにまとめました。

  1. 高齢者に楽しんでもらえる映画の上手な選び方5
  2. 高齢者が絶対に観て楽しい!おすすめ映画作品全20
  3. 映画鑑賞で高齢者が元気になる3つの理由

最後までお読みになれば、

  • 自分の親
  • 義理の親
  • レクレーションなどで集まる不特定多数の高齢者

など、どのようなシニア世代が対象であっても、心から楽しんでもらえる高齢者向けの映画の選び方がわかり、自信を持ってオリジナルの映画鑑賞リスト作成ができるはずです。

ぜひ、最後までお付き合いください。


1.高齢者に楽しんでもらえる映画の上手な選び方5

高齢者映画

本章では、高齢者に観て楽しんでもらえる映画の上手な選び方を5つにまとめています。

高齢者向けに映画を選んであげる時には、基本的に過去に観たり、話題として知っている「懐かしい映画」の中から選ぶようにします。

映画のストーリーを知っていることはあまり重要ではなく、たとえ観たことがない映画でも「地名・俳優女優」の人名などを知っているほうが楽しめます。

「この俳優、好きだったのよね」
「おや懐かしい、この人はあのドラマにも出ていたな」
「あ、この映画は、友達と一緒に行った」

など、いろいろな昔の記憶に結びついていき、映画の要素で楽しんでもらいやすくなります。懐かしい映画の中から、以下の基準で選びましょう。

  1. 上映時間の長さで選ぶ
  2. ジャンルで選ぶ
  3. 当時の人気俳優・女優で選ぶ
  4. 当時の人気映画監督で選ぶ
  5. 当時のヒット映画で選ぶ

1-1.上映時間の長さで選ぶ

まずは、上映時間の長さで選びます。高齢者施設のレクリエーション時間は、平均6090ですので、この時間の長さ程度であれば、年齢・体調などに左右されずに映画を楽しんでもらえます。

映画はソファや椅子などに座って観るものですので、あまりに長時間だと、身体のどこかが痛くなってしまう方や体調をくずしてしまう方もいます。

昔の名作映画には上映時間が2時間を超えるような長い映画がありますが、若い方でも120分以上座るのは姿勢的にも苦しいものがあります。

高齢者によっては、集中力が下がってしまって最後まで映画を落ち着いて観られなくなるか、疲れて眠ってしまう方も出てきます。

エンターテインメントですので、気持ちも身体もラクに楽しんでもらえるように、映画の上映時間には気を配ってあげましょう。

長い映画でも人気のあるものは、午前と午後、または2日間に区切って観るなど、上映時間の長さには気を配る必要があります。

1-2.ジャンルで選ぶ

映画選びをするときは、なるべく、さまざまなジャンルから選ぶようにします。

  • 時代劇
  • 邦画
  • 洋画
  • ミュージカル

という大枠のジャンル以外にも、お話の内容のジャンル

  • 恋愛
  • ファミリー
  • アクション
  • 推理 サスペンス
  • コメディ
  • ヒーロー
  • ミュージカル

などがありますので、それぞれから探してみましょう。

複数の方向けの場合は、ジャンルをまんべんなく揃え、好みの不公平が出ないように気を配る必要があります。個人が家で観る場合には、親の好きなジャンルに偏ってしまっても問題ありません。

上記の選び方に加え、映画を観ることで季節感が感じられるように、お正月・クリスマスなどの季節行事などがテーマになったものを合わせると、メリハリのついた映画鑑賞リストになります。

1-3.当時の人気俳優・女優で選ぶ

高齢者の方が若い頃に人気のあった俳優・女優をテーマに、その人が主演をしていた映画を選ぶ方法もあります。海外の作品も入れるとかなりの本数が揃います。

例えば、現在の後期高齢者(75歳以上)の年代が若い頃に映画とテレビで大人気だった俳優・女優には、以下のような方々います。

主演俳優(国内)

主演女優(国内)

  • 石原裕次郎
  • 勝新太郎
  • 加山雄三
  • 佐田啓二(中井貴一の父)
  • 千葉真一
  • 鶴田浩二
  • フランキー堺
  • 三船 敏郎(三船美佳の父)
  • 萬屋錦之助
  • 浅丘ルリ子
  • 岸恵子
  • 京マチ子
  • 高峰秀子
  • 原節子
  • 藤純子
  • 山本富士子
  • 吉永小百合
  • 若尾文子

主演俳優(海外)

主演女優(海外)

  • アラン・ドロン
  • グレゴリー・ペック
  • ゲイリー・クーパー
  • ジョン・ウエイン
  • ハンフリー・ボガート
  • フランク・シナトラ
  • フレッド・アステア
  • マーロン・ブランド
  • イングリット・バーグマン
  • エリザベス・テイラー
  • オードリー・ヘプバーン
  • グレース・ケリー
  • シャーリー・マクレーン
  • ジュリー・アンドリュース
  • ソフィア・ローレン
  • ビビアン・リー

例えファンではなくても、当時の映画俳優・女優で主役を演じるような方々は、常に世界中に話題を振りまいていました。

その俳優・女優の名前を見るだけで、さまざまな思い出がよみがえってきて、懐かしく・楽しい気持ちになり、「観てみようかな」と思ってくれる方が多いでしょう。

1-4.当時の人気映画監督で選ぶ

高齢者の中には、当時から映画好きだった方もいらっしゃいます。そういう方は、俳優・女優以外にも、映画監督で映画を選んでいた方も多いかと思います。

当時の世界的に有名な監督、秀作を生み出した映画監督には、以下のような方々がいます。

国内映画監督

海外映画監督

  • 黒澤明
  • 大島渚
  • 深作欣二
  • 小津安二郎
  • 市川崑
  • 山田洋次
  • アルフレッド ヒッチコック
  • マーティン スコセッシ
  • フランシス フォード コッポラ
  • チャールズ チャップリン
  • ビリー・ワイルダー
  • スタンリー・キューブリック

上記に紹介したのは、現在でも世界に名の通った映画監督ですが、それ以外にも、当時の名作映画やテレビドラマなどを手掛けていた監督もたくさんいます。

一つの映画で気に入ったものがあれば、その監督が撮った他の映画を探してみるという探し方で行くと、思わぬ名作に出会える可能性があります。

このように、映画監督の括りで映画上映のリストを作っておくと、通な観方をしている方にも楽しんでいただけると思います。

 2章で紹介する映画には全て、映画監督と配給会社の情報も記載がありますので、反応の良かった映画の監督から選ぶと、選択肢が広がります。

1-5.当時のヒット映画で選ぶ

映画には、物語性のある単品の名作以外にも、歌や踊りが入ったミュージカル映画、同じテーマや同じ出演者で撮ったシリーズ映画などがあります。

例えば、全国で流行っていたヒット映画には以下のようなものがあります。

邦画

洋画

ミュージカル

  • 美空ひばり主演のミュージカル映画
  • 海外版翻訳ミュージカル映画
  • 石原裕次郎の「嵐を呼ぶ男」音楽映画
  • 日劇ミュージカル(テレビ放映版)
  • サウンド・オブ・ミュージック
  • ウエストサイド物語
  • 雨に唄えば
  • マイフェアレディ

シリーズもの

  • 加山雄三の若大将シリーズ
  • 小林旭の渡り鳥シリーズ
  • 高倉健の仁義なき戦いシリーズ
  • 寅さんの男はつらいよシリーズ
  • 植木等の無責任シリーズ
  • 森繁の社長シリーズ
  • テレビドラマの劇場版シリーズ
  • SFや惑星もの連作シリーズ
  • 007などのスパイものシリーズ
  • 西部劇シリーズ

上記は、日曜洋画劇場で紹介された名作シリーズでもあります。

この時代のテレビと映画の影響力は絶大ですので、たとえ、その時に観ていなくても、その映画に出ていた主人公の名前や、題名、どのくらい話題になっていたかなどは知っています。

若いときには観なかったけども、高齢になってから「こんな映画だったのか!」と、時空を超えた体験をしてもらうという楽しみもあります。

◆コラム画面の大きさも気にかけてあげましょう

家で親に映画を見て楽しんでもらう場合、画面の大きさにも配慮をしてあげましょう。

高齢者は視力や聴力が衰え始めていますので、あまり小さい画面や音声だと、映画を十分に楽しんでもらえない可能性があります。

特に昔の映画は今の撮影技術や音響とは違いますので、デジタル補正がかかっていても、見づらい・聞こえづらいがあるかもしれません。

普段のテレビ番組は真剣に観ているわけでもありませんので、何となく情報が入ってくれば良いのですが、映画となると、そこには物語がありますので、

  • 会話が良く聞こえない
  • 画像が小さくてわからない

などだと、楽しみも半減してしまうでしょう。家のテレビが、楽に座れる位置(ソファ・居間など)からみたときに

「ちょっと小さいな」
「ちょっと遠いな」

と感じたら、テレビまたはモニターだけでも買い替えてあげるか、座る場所をテレビ画面に近いように移動させてあげる方が良いでしょう。

買い替えや移動が難しい場合には、画面が大きめなタブレットなどで、手元で見られるようにしてあげれば、療養中のベッドの中や、リビングに座ったままの姿勢でも、ゆっくり楽しんでもらうことができます。

若い方はスマホで動画を見ることが普通ですが、高齢者には負担になりますので、なるべく大きな画面で観られるような配慮をしてあげましょう。


2.高齢者が絶対に観て楽しい!おすすめ映画作品全20

Film camera chalkboard and roll

本章では、高齢者に自信を持っておすすめできる映画を全20作品にまとめました。

高齢者の年代は、後期高齢者7585歳くらいをメインに想定し、この年代とその前後のシニアの方々が、2030代の頃に人気のあった映画を、作品の発表年代順にリストしてあります。

中にはシリーズものになっている映画がありますので、上手に組み合わせていけば、かなり長期間楽しんでもらえる映画のラインナップになります。

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

1

悲しき口笛

84

1949

ミュージカル

美空ひばり

戦後復興の兆しを感じさせる明るい映画

2

グレン・ミラー物語

117

1953

ミュージカル

ジェームス・スチュアート

ジャズ音楽を日本に知らしめた映画

3

東京物語

136

1953

ヒューマン

原節子

原節子主演の小津作品として世界に広まる

4

七人の侍

207

1954

アクション

三船敏郎

三船映画とサムライを世界発信した映画

5

ローマの休日

118

1954

恋愛

オードリー・ヘプバーン

ヘップバーンカットとベスパが大流行した

6

社長シリーズ

83

1956

コメディ

森繫久彌

コメディアンだった森繁映画シリーズ

7

嵐を呼ぶ男

100

1957

アクション

石原裕次郎

映画・太陽の季節とともに社会現象に

8

水戸黄門

98

1957

時代劇

月形龍之介

数多くの関連作品がある人気映画

9

忠臣蔵

166

1958

時代劇

長谷川一夫

超絶二枚目俳優の主演映画で話題になった

10

ギターを持った渡り鳥

78

1959

アクション

小林旭

石原裕次郎主演映画より売れていた

11

荒野の7

128

1961

西部劇

ユル・ブリンナー

3位の七人の侍に影響されて制作された

12

日本無責任時代

85

1962

コメディ

植木等

一億総サラリーマンに歌と共にウケた

13

銀座の恋の物語

93

1962

恋愛

石原裕次郎

カラオケ定番「銀恋」の映画化です

14

いつでも夢を

89

1963

ミュージカル

橋幸夫・吉永小百合

10代のアイドルが共演する映画で話題に

15

眠り狂四郎

81

1963

時代劇

市川雷蔵

柴田錬三郎の小説を映画化した剣豪もの

16

マイ・フェア・レディ

173

1964

ミュージカル

オードリー・ヘプバーン

ヘップバーン全盛期の映画

17

網走番外地

92

1965

サスペンス

高倉健

高倉健をスターにした任侠映画

18

サウンド・オブ・ミュージック

174

1965

ミュージカル

ジュリー・アンドリュース

人気ブロードウェイミュージカルの映画版

19

レッツゴー!若大将

91

1966

コメディ

加山雄三

若山富三郎の息子が主演する青春映画

20

男はつらいよ

91

1969

コメディ

渥美清

人気女優がマドンナになる寅さんシリーズ

※中には上映時間が120分近い映画もありますが、音楽のある映画や、ミュージカルなどは上映時間が長くても苦痛にならず、むしろ、楽曲を最後まで楽しめるのでオン・リストしました。   

2-1.悲しき口笛

高齢者映画

映画タイトル

時間

年代

ジャンル

主演

ヒットの背景

1

悲しき口笛

84

1949

ミュージカル

美空ひばり

戦後復興の兆しを感じさせる明るい映画

  • 映画配給会社:松竹  1949年1024日 
  • 監督家城巳代治
  • 鑑賞媒体:DVDはこち 
  • あらすじ:終戦直後の港町・横浜に復員してきた健三(原保美)は、戦争で生き別れになった妹のミツコ(美空ひばり)を捜している。妹を探す手がかりは、昔、ミツコに教えた歌「悲しき口笛」だけでした。離れ離れのままなかなか再会できない兄妹ですが、「悲しき口笛」の歌が、2人を結びつけます。
  • 主演:美空ひばり・原保美
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:戦後の急速な復興とともに、芸能界に躍り出てきた、わずか12才の天才歌姫・美空ひばりの映画デビュー作。タキシードにステッキを持って唄う小さな歌姫の姿と大人顔負けの歌唱力に、国民がテレビ画面に釘付けになりました。

美空ひばりは平成元年に亡くなるまで、コンサートとテレビ出演を続けた、偉大な歌手であり、高齢者にとっては時代をともに生きた心の支えであり、盟友でもあります。

2-2.グレン・ミラー物語

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

2

グレン・ミラー物語

117

1953

ミュージカル

ジェームス・スチュアート

ジャズ音楽を日本に知らしめた映画

  • 映画配給会社:ユニバーサル
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード配信
  • 監督:アンソニー・マン 
  • あらすじ:ジャズオーケストラ(ビッグバンド)のバンドリーダーとして活躍した実在の人物、グレン・ミラーの半生を映画化したもの。
  • 主演:ジェームス・スチュワード
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:戦争中は敵国音楽として禁止されていたジャズが、戦後にふたたび人気を得てきたタイミングで公開され、日本ジャズ文化再生のきっかけとなった映画です。

ジャズ好きにも、ジャズに詳しくない方にも音楽そのものを楽しんでもらえるタイプの映画です。

映像中は、バンド演奏シーンが多く、アメリカに行かなければ見ることが適わない実際のビッグバンドをスクリーンで観ることができました。ムーンライトセレナーデ・インザムード・セントルイスブルースなど、名曲がてんこ盛りで、映像を見ていなくても楽しめます。

2-3.東京物語

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

3

東京物語

136

1953

ヒューマン

原節子

原節子主演の小津作品として

  • 映画配給会社 松竹
  • 監督:小津安二郎
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらデジタル配信
  • あらすじ:上京してきた両親を厄介者扱いする子供たちに傷つく老夫婦を、原節子扮する義理の娘が、温かくもてなしてくれます。

家族であっても心が離れれば、家族がバラバラになっていく寂しさと、血のつながりなくても愛とまごころが伝わるという、家族愛と人間関係について描いた小津作品の世界的ヒット作です。

  • 主演:原節子 笠智衆
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:当時の日本人にとっては当たり前だった考え方・日本語の使い方・日本人としての習慣などがちりばめられており、高齢者にとっては古き良き時代そのものだと言えます。

人間関係を映像とセリフとアングルで上手に取り出し、観ているものの感情を揺さぶる小津安二郎独特の世界観のある映画です。海外でも評価が高く、日本独特の文化や感性が良く伝わってくる映画です。

2-4.七人の侍

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

4

七人の侍

207

1954

アクション

三船敏郎

三船映画とサムライを世界発信した映画

  • 映画配給会社:松竹 
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード配信
  • あらすじ:野武士たちの村の襲撃・略奪に悩む百姓に雇われた7人の侍たちが、身分差による軋轢を乗り越えながら、一致協力して村を守るという物語。

刀一本で生きる個人戦が得意な侍たちが、さまざまなアクシデントを経て、チーム最優先・仲間ファーストな考え方に変わって成長していきます。

  • 主演:三船敏郎
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:世界中の映画人と映画監督に、絶大な影響を与えた黒澤明監督の時代劇です。リスト11番で紹介するアメリカ西部劇映画「荒野の7人」は、この黒沢映画と舞台を主演俳優が、強烈にインスパイアされてアメリカ版でリメイクしたことは有名です。

日本映画が世界で通用すること、クロサワという名監督が誕生したこと、そして、日本の侍文化が正しく海外発信されたことなどが、テレビニュースや雑誌で連日報道されていました。小津作品にハマらなかったタイプが、黒沢映画に傾倒するという社会ブームのようになりました。

2-5.ローマの休日

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

5

ローマの休日

118

1954

恋愛

オードリー・ヘプバーン

ヘップバーンカットが大流行した

  • 映画配給会社:パラマウント映画
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード配信
  • あらすじ:ローマを表敬訪問したアン王女様(ヘップバーン)が、滞在先のホテルから抜け出したときに知り合う新聞記者ジョーとの、たったの一日だけのラブロマンス。

トレヴィの泉・コロッセオ・真実の口など、ローマの観光スポットが次々と登場します。

  • 主演:オードリー・ヘプバーン グレゴリー・ペック
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:新聞記者と王女様という元祖・格差恋愛のラブコメです。お忍びでローマの街を探索するアン王女が、長い髪をバッサリカットしたヘアスタイルは、「女性は黒髪のロングが一番」であった当時の日本女性でも飛びつき、ヘップバーンカットとして1954~55年に大流行しました。

当時の日本では、ヨーロッパへの海外旅行は非常に珍しいものでしたので、ローマの街や観光名所を王女と一緒に巡っているような気分になれる、楽しい映画でした。ジョーがアン王女を後部シートに乗せてローマの街を疾走したイタリアのスクーター・ベスパは、世界中でバカ売れしました。

映画がヒットした要因は多々ありますが、何といっても無名の新人だったオードリー・ヘプバーンの妖精のようなかわいらしさに、世界が魅了された作品として、高齢者の記憶にも残っています。

2-6.森繁久彌の社長シリーズ

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

6

社長シリーズ

83

1956

コメディ

森繫久彌

コメディアンだった森繁の映画シリーズ

  • 映画配給会社:東映 
  • 監督:千葉泰樹
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード配信
  • あらすじ:高度経済成長期を迎える日本の企業を舞台に、会社の社長とサラリーマンとのてんやわんやを描いたコメディ映画です。

森繁久彌演じる社長は権力のある創業社長ではなく、サラリーマン社長・入り婿社長などの、社長といえども頭の上がらない人がたくさんいる社長であることが、この映画の面白さになっています。1956年の代一作「へそくり社長」を皮切りに、社長シリーズとして全33作ある人気映画です。

  • 主演:森繁久彌・三木のり平・フランキー堺などがレギュラー
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:

当時、コメディアンとしてテレビや舞台で人気のあった森繁久彌を一気に国民的タレントにまで押し上げた映画として記憶に残る高齢者は多いかと思います。おバカな社長のダメっぷりが面白いため、家族で全作、映画館に通ったご家庭も多いようです。

もともと演技力にも定評があったため、森繁久彌は、社長シリーズ終了後はシリアスな演技をメインとする俳優業へと転向してしまいましたが、高齢者の頭の中のイメージでは、森繁久彌とはコメディアンなのです。

余談ですが、このコメディからシリアスへ転向し、タレントとしての持ち味を殺すことを、当時の芸能界では「森繁病」と呼んでいました。今でいうところの映画監督なった北野武さんに憧れてしまうお笑い芸人を「北野病」と呼ぶのと似ており、そのことも記憶に強く残っています。

2-7.嵐を呼ぶ男

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

7

嵐を呼ぶ男

100

1957

アクション

石原裕次郎

映画・太陽の季節とともに社会現象に

石原裕次郎扮するドラマーを目指す若者と、その恋愛や葛藤を描いた青春アクション映画です。歌と一緒に大ヒットした石原裕次郎の代表作の一つです。

共演した北原三枝と石原裕次郎は、その後、結婚しています。

  • 主演:石原裕次郎・北原三枝(ヒロイン)
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:「おいらはドラマー、ヤクザなドラマー」という歌を聞けば、石原裕次郎が片手スティックでドラムをたたくシーンが脳裏に浮かんでくるほどの名シーンがある映画です。

当時は若者の間でジャズが流行りはじめ、都会でちょっと気の利いた人はジャズ喫茶やジャズクラブに通っていました。

そのため、この映画には終始、都会のシャープさと、ジャズの退廃的でダークな印象があり、カッコいい都会の男のイメージ=石原裕次郎となった映画です。

前年に公開されたデビュー主演映画「太陽の季節」でのアイドル的人気に加え、石原裕次郎を俳優として押し上げた映画の一つです。主演が代わり、渡哲也版・近藤真彦版があります。

2-8.水戸黄門

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

8

水戸黄門

98

1957

時代劇

月形龍之介

数多くの関連作品がある人気映画

水戸黄門(みとこうもん)とは、権中納言である江戸時代の水戸藩主・徳川光圀の別称です。映画・水戸黄門は、この徳川光圀が隠居後、日本各地を漫遊して行なった世直しを描いた「水戸黄門漫遊記」という創作物語です。

現実に、徳川光圀が世直し業をしていたという史実はないのですが、お話としての水戸黄門の方を多くの方が信じてしまうほど、人気のある物語です。

  • 主演:月形龍之介
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:1910年ごろから映画化され続けている日本映画史のロングランです。映画では、月形龍之介主演の水戸黄門シリーズが最も長く続いており、高齢者にとっての黄門様は、月形龍之介であることが多いでしょう。

ただし、水戸黄門は時代劇映画が衰退した後、テレビでもドラマで何度も制作されているため、水戸黄門のトレードマークであるからし色の衣装と助さん・格さん・印籠さえ揃っていれば、だれが主演でも受け入れられるという特徴があります。

勧善懲悪でありながら殺生はせず、どれだけ追い詰められても、最後には印籠一つで事件が解決するというわかりやすいお話のつくりであり、どなたでも安心して観ていられる物語です。

月形龍之介版で11本、それ以外にも他の主演で映画とテレビドラマ版が多数あります。

2-9.忠臣蔵

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

9

忠臣蔵

166

1958

時代劇

長谷川一夫

超絶二枚目俳優の主演映画で話題になった

  • 映画配給会社:松竹 
  • 監督:渡辺邦男
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:江戸時代中期の1701年に実際に起こった「赤穂事件」を元にしたお話です。江戸城にあった松の廊下という場所で、赤穂藩の藩主・浅野内匠頭が江戸幕府の家臣・吉良上野介を刃で切り付け、重症を負わしたことがことの発端となります。

当時の裁判は喧嘩両成敗であるにもかかわらず、浅野内匠頭のみが切腹・藩の取りつぶしとなり、吉良上野介に対しては全く処分がないという不公平な裁きでした。遺された者が廃藩撤廃の歎願をするも取り入れられず、浪人となった赤穂浪士たちは主君の仇討ちとして、吉良上野介を討ち取ることを決めます。

  • 主演:長谷川一夫・市川雷蔵
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:当時の映画二枚目俳優・長谷川一夫と、時代劇映画の大看板である市川雷蔵の共演ということもあり、時代劇映画としては異例の賑わいを見せました。

話自体はもともと歌舞伎の演目でもあり、史実でもあるため、忠臣蔵の映画は常に、浅野と吉良を誰がやるかという点が注目されます。市川雷蔵は役者として最も良い時代に急逝してしまったため、流麗な殺陣を観て、当時を懐かしく思う方も多いかと思います。

2-10.ギターを持った渡り鳥

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット度合い

10

ギターを持った渡り鳥

78

1959

アクション

小林旭

大スター石原裕次郎の映画より売れていた

  • 映画配給会社:日活
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:見知らぬ土地にはびこる悪を倒しては、事件が解決すると渡り鳥のように立ち去る、元刑事のさすらいの旅を描いたアクション・ドラマ映画です。
  • 主演:小林旭・浅丘ルリ子
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:「ダイナマイトのような、爆発するほど強烈な男」という意味を込めてつけられたニックネーム“マイトガイ”である小林旭が、歌とアクションでスクリーンの中を暴れまわります。

当時、子供が生まれたら名づけは「男は旭、女は小百合」(小林旭と吉永小百合)と表現されるほど小林旭の役どころは理想の男の姿であり、マイトガイに憧れたファッションや言動をしていた男性もたくさんいました。同じく日活の看板スターである石原裕次郎の興行収入を大きく上回るほどの大人気映画でした。

アクション映画とはいっても、元刑事の役なので、基本的には勧善懲悪で、最後にはスカッとした気持ちになる映画です。渡り鳥シリーズとして全8作品があります。

2-11.荒野の7

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

11

荒野の7

128

1961

西部劇

ユル・ブリンナー

3位の七人の侍に影響されて制作された

  • 映画配給会社:ユナイテッド・アーティスツ 
  • 監督:ジョン・スタージェス
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:7人の屈強なガンマンが、盗賊に泣かされている貧しい農村を救う物語です。無法者が1人、また1人と仲間になっていく過程が面白く、普段はハチャメチャでも、銃を手にするとよみがえるナイトとしての信念と悲哀が、アメリカの西部劇らしく、カッコよく描かれています。
  • 主演:ユル・ブリンナ  スティーブ・マックイーン
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:3位で紹介した、黒澤明監督映画「七人の侍」に感銘を受けた俳優のユル・ブリンナ―が権利を自ら買い取って、西部劇版でリメイクしたということで話題になった映画です。

このいきさつは、映画製作会社の東宝が勝手に許可をしただけで、当の黒沢監督は許可をした覚えがないというゴシップでも話題になりました。映画の出来栄えには納得したため、のちに、黒沢監督からスタージェス監督に感謝のしるしとして日本刀が贈られています。

黒沢映画と話の展開はほぼ同じですし、刀が銃に変わっただけなのですが、武士道が騎士道に変わると雰囲気も変わります。登場人物の性格や見かけも、何となく黒沢映画の7人にオマージュしてあるので「あの人は、あの俳優の役だな」などと、当てはめながら見る面白さがありました。

またこの映画の良いところは音楽にもあり、オープニングの映画音楽は「カッコよさ」「男っぽさ」のイメージに直結するため、長い期間、タバコや車のテレビCMで使われ続けました。当時で全4作までつくられ、その後、2016年にリメイク版「マグニフィセント・セブン」がデンゼル・ワシントン主演で制作されています。

2-12.ニッポン無責任時代

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

12

ニッポン無責任時代

85

1962

コメディ

植木等

一億総サラリーマンに歌と共にウケた

  • 映画配給会社:東宝 
  • 監督:古澤憲吾
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:平等(植木等)という謎の無責任な男が、さまざまな問題ごとに顔を突っ込んでは事態をややこしくし、最終的にドタバタ劇となるミュージカル映画。

映画内で歌われる楽曲はことごとくヒットしており、まだカラオケのない時代でも、大人なら誰でも歌えたほど人気がありました。

  • 主演:植木等・クレイジーキャッツほか
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:戦後の高度経済成長期に突入し、一億総サラリーマン・中流時代がやってくるタイミングでスタートした映画シリーズです。映画中に歌われた無責任一代男の歌詞

「人生で大事なことは、タイミングにC調に無責任。とかくこの世は無責任、コツコツやる奴ぁ、ご苦労さん!」

という部分は、戦前に必死に信じていたものを原爆一発で全部ひっくり返された悲惨な戦後時代から、急速に経済復興していく日本の中で、日本人の人生観が楽観的で希望に満ちたものに変わる、気持ちの潮目に沿っており、明るい気持ちで口ずさんでいた方も多いでしょう。

無責任シリーズ・日本一シリーズが植木等の主演映画で全12本あり、これ以外にも、クレイジーキャッツのメンバーが出演するクレイジーシリーズ14本と、時代劇シリーズ4本で、全30シリーズもある娯楽映画です。何も考えずに、お腹を抱えて笑いたい時にもおすすめです。

2-13.銀座の恋の物語

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

13

銀座の恋の物語

93

1962

恋愛

石原裕次郎

カラオケ定番「銀恋」の元になった映画

画家を目指す次郎(石原裕次郎)には久子(浅丘ルリ子)という結婚の約束をした恋人がいました。ある日、久子がトラックに撥ねられて記憶喪失になってしまい、その状態で2人は再会します。

  • 主演:石原裕次郎 浅丘ルリ子
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:

昭和カラオケ・デュエットソングの定番である「銀座の恋の物語」の大ヒットをきっかけに、石原裕次郎と浅丘ルリ子主演で映画化したものです。当時、多くの人の憧れの場所だった銀座の裏街道で必死に暮らす若者の青春映画で、歌と共に昭和時代を代表する映画です。

高齢者であれば、ほぼ全員が歌詞を知っており、社会人時代、一度はスナックかカラオケで歌ったことがあるでしょう。挿入歌としても流れますので、一緒に歌いながら楽しめます。

2-14.いつでも夢を

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

14

いつでも夢を

89

1963

ミュージカル

橋幸夫・吉永小百合

10代のアイドルが共演する映画で話題に

  • 映画配給会社:日活
  • 監督:野村孝
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:東京下町の工場エリアを舞台とした、高度経済成長期になった時代の若者たちの青春群像劇です。貧しくても、幸せを求めてひたむきに頑張る若者たちの、恋愛・笑い・涙のある物語です。
  • 主演:橋幸夫 吉永小百合
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:橋幸夫と吉永小百合によるデュエット曲「いつでも夢を」がシングルヒットし、その音楽に合わせて後から映画が作られました。橋はデビューから3年でレコード40枚を出す人気歌手、吉永は年間10本以上の映画に出演する売れっ子女優として活躍していました。

当時、吉永小百合は和製オードリー・ヘップバーンとも呼ばれており、ファンの中には、自らを「サユリスト」と認める人たちが現れはじめ(~主義者・~人を意味する英語の接尾語「-ist」を付けたもの。転じて吉永小百合主義)、吉永小百合が社会的な存在になりはじめた頃です。

日本で最も有名なサユリストはタモリですので、この年齢前後の高齢者には、実はサユリストが多いのではないでしょうか。2年後に東京オリンピックを控えた、日本が好景気に突入する少し前の、夢と希望にあふれる時代を象徴する映画です。

2-15.眠り狂四郎

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

15

眠り狂四郎

1963

時代劇

市川雷蔵

柴田錬三郎の小説を映画化した剣豪もの

  • 映画配給会社:大映京都 
  • 監督:田中徳三
  • 鑑賞媒体DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:1956年5月から「週刊新潮」で連載されていた柴田錬三郎の小説「眠狂四郎無頼控」に出てくる剣客を主人公にした映画です。外国人との混血という生い立ちで、残虐で非道な性格を持つ主人公・眠り狂四郎が、生きることに虚無感を抱きながら、生きるために剣客商売としてさまざまな人の護衛していく中で、さまざまな悪事を見破り、独自の「円月殺法」という剣術を用いて悪を成敗していきます。
  • 主演:市川雷蔵
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:当時、週刊誌がブームとなり、雑誌で連載される小説も人気となりました。眠狂四郎のヒットにより、その後、時代小説と映画は剣豪ブームとなります。映画には鶴田浩二版・市川雷蔵版がありますが、市川雷蔵が当たり役となり、病気で急逝する1969年まで12シリーズが続きました。

市川雷蔵後は、松方弘樹版・田村正和版・テレビ版などがありますので、俳優で見比べていくのも面白いかもしれません。時代劇映画の中でも、特に殺陣の技術の優劣が明確に出る役柄であるため、眠狂四郎をやるものは、上手な役者であると同義語でした。

2-16.マイフェアレディ

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

16

マイフェアレディ

173

1964

ミュージカル

オードリー・ヘプバーン

ヘップバーン全盛期の映画

  • 映画配給会社:ワーナー・ブラザース
  • 監督:ジョージ・キューカー
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:言語学者のヒギンズ教授が、イギリスの下町生まれで、全く躾けのされていない花売りの娘イライザ(ヘップバーン)を、6ヶ月でレディに仕立てるという賭けを友人とすることになりました。

この賭けに勝つために、ヒギンズ教授はイライザに徹底的なレディ教育を施すのですが、粗野で強烈な訛りのあるイライザの言動を直すのに、言語の専門家であるヒギンズ教授が手こずるシーンがコメディタッチに描かれています。

  • 主演:オードリー・ヘプバーン
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:6年ものロングラン公演になったブロードウェイミュージカルの映画版であり、オードリー・ヘプバーン全盛期の作品です。イギリスの階級社会の裏事情や、貴族階級独特の習慣・服装・儀礼などが、アメリカ目線でコミカルに描かれています。

ミュージカル映画の中でも歌が多めで、装飾や衣装なども手が込んでおり画面に華があるので、あまりミュージカルに興味がない人でも、楽しんで観ていられます。アカデミー賞8部門を受賞しています。

社会的に力のある男性が、ひ弱な女性を引っ張り上げるというシンデレラストーリーではあるのですが、テーマは女性の「自立」です。当時、世界ではウーマンリブという女性の解放運動が盛んな時期であり、日本でもフェミニズム運動に火が付き始めた頃でした。

イライザに理想の女性像を押し付けてくるヒギンズ教授を、女性の自立を受け入れられない頭の固い男性として風刺しており「意志があって、教育があれば、男性のサポートなしでも生きていける」(Without You)ことを堂々と歌うヘップバーンに、当時、家と台所に縛り付けられていた多くの日本女性が共感しました。

2-17.網走番外地

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

17

網走番外地

92

1965

サスペンス

高倉健

高倉健をスターにした任侠映画

  • 映画配給会社:東映
  • 監督:石井輝男
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:極寒の北海道・網走刑務所に収監された男(高倉健)が、凶悪犯ばかりの獄中で出会う、さまざまな犯罪者たちとのしがらみと人間関係の中で、脱獄計画を企てる仲間へと巻き込まれていく物語。
  • 主演:高倉健 
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:任侠ものですが、ストーリーがサスペンス仕立てであることと、氷点下20度の雪原で撮影された映像の美しさのため、格調高い映画として男性に人気がある映画です。当時、映画では任侠映画で人気のあった鶴田浩二との2本立てで公開されていました。

網走番外地シリーズとして10本あり、監督が変わってから撮影が続いた「新・網走番外地シリーズ」が7本、合計で17本あります。この映画シリーズと主題歌で、高倉健はスターの仲間入りを果たしました。

2-18.サウンド・オブ・ミュージック

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

18

サウンド・オブ・ミュージック

174

1965

ミュージカル

ジュリー・アンドリュース

人気ブロードウェイミュージカルの映画版

  • 映画配給会社:20世紀フォックス
  • 監督:ロバート・ワイズ
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:第二次世界大戦中のオーストリアを舞台にしたブロードウェイミュージカルを映画したものです。修道女見習いのマリアはトラップ大佐の家の家庭教師になります。

しかし軍人の家庭であるトラップ一家の子供たちは、母親の不在もあり、笑顔の少ない子供時代を送っています。マリアの明るさと歌で、7人の子供たちも心を開くようになっていきます。

  • 主演:ジュリー・アンドリュース
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:

この映画を観たことがある・ないに関わらず、世界の誰もが知っている歌や音楽が流れてきますので、楽しい気持ちになります。

ドレミの歌・私のお気に入り・ひとりぼっちの羊飼い・私は16才・エーデルワイスなど、名曲のオンパレードであり、一緒に歌える歌も多く楽しい時間になります。上映時間が174分と長めですが、あまり気にならないタイプの映画です。

2-19.エレキの若大将

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

19

エレキの若大将

91

1965

コメディ

加山雄三

加山雄三主演の青春映画シリーズ

  • 映画配給会社:東宝
  • 監督:岩内克己
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:若大将と呼ばれる田沼雄一(加山雄三)は、明治時代から続く老舗のすき焼き屋「田能久」の息子。背が高くてハンサムで御曹司、運動神経が良いパーフェクトな存在でありながら、人から頼まれたらイヤとはいえない気のいい性格のため、いろんな出来事に首を突っ込んではトラブルに巻き込まれていく、という筋書の映画シリーズです。

本作、エレキの若大将では、話の成り行きで、ライバルである青大将(田中邦衛)と一緒にロックバンドを結成するところから、お話がスタートします。        

  • 主演:加山雄三 
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:

加山雄三の若大将シリーズとして、1961年からスタートしました。加山雄三の父は、当時の二枚目映画スター・上原謙であり、二世芸能人として注目されていました。

映画シリーズに出てくるのは、私立名門大学・ヨット・テニス・フェンシング・ハワイ・スポーツカーなど、当時のセレブが持つ憧れのアイテムばかり。実際に慶応卒のお坊ちゃんである加山は、実生活でも同じような暮らしをしていたため、存在そのものが「若大将」として認知され、スターになっていきます。

エレキの若大将はシリーズ6作目、来日コンサートをしたザ・ベンチャーズやビートルズの強い影響で、日本が空前のロックバンドブームだったタイミングで公開され、多くの人の記憶に残っている映画です。高齢者の中には、バンドを組んだり、洋楽をロック喫茶で楽しんでいた方も多いでしょう。

映画の挿入歌となった「君といつまでも」は、今でも昭和世代にとってはカラオケの定番でもあります。若大将シリーズは、学生時代で11作、社会人時代で6作、テレビドラマとして6作の計23本あります。

2-20.男はつらいよ

高齢者映画

タイトル

時間

ジャンル

出演

当時のヒット背景

20

男はつらいよ

91

1969

コメディ

渥美清

人気女優がマドンナになる寅さんシリーズ

  • 映画配給会社:松竹 
  • 監督:山田洋二
  • 鑑賞媒体:DVDはこちらダウンロード
  • あらすじ:日本各地を転々としながらテキ屋(露店)を生業にしている「フーテンの寅」こと車寅次郎が、何かの拍子にフラッと故郷の柴又に帰ってきては、地元や旅の道中で出会った女性に恋してしまうが、結局は成就せず、その失恋を忘れるため、またフラッとどこかに旅に出るという人情コメディ。

日本各地を転々と旅する寅さんの目線に合わせ、毎回違った日本の名所が舞台背景になるのも、この映画の見どころです。

  • 主演:渥美清
  • この映画が高齢者にお勧めな理由:シリーズが長く、話もマンネリなのに、どの順番で観ても確実に面白いという、とても不思議な映画です。物語の展開がわかっているので、観る人が頭を使わずリラックスしていられます。上映中は、純粋に寅さんのセリフやドタバタを楽しんでいれば良いので、年齢や体力を問わずに楽しんでもらえます。

東京下町の人情味あふれる人々とのやり取りや、浅草寺付近の風景・旅先の各地の景色など、ストーリー以外にも楽しめる部分が多い映画です。

また、毎シリーズ「マドンナ」と呼ばれる、その時の人気女優が寅さんの恋の相手となりますので、寅さんたちは全然変わらないけれども、マドンナを見ると時代がわかるという面白さもあります。

最初はテレビドラマでスタートしましたので、ドラマで全26話、映画版で全50話もあります。


3.映画鑑賞で高齢者が元気になる3つの理由

高齢者映画

本章では、映画鑑賞をすると高齢者が元気になる理由を3つにわけて解説しています。高齢者にとっての映画とは、自分たちの青春時代に流行していたものです。当時は、映画は一大娯楽であり、映画館で見るのが当たり前ですので、映画を観ると

  • 映画情報を雑誌などで確認
  • 映画館まで行く
  • チケットを買う
  • 時には並ぶ
  • 観て聴いて感動する
  • 映画の後に話す

という一連の「体感」を伴う体験になりました。中でも、ヒット作は多くの人が同じタイミングで同じ体験をしているため、その時代の人にとっては、ごく自然に共通の話題として共有してきた記憶です。

そのため、懐かしい映画を見た後は、その時の体感がよみがえり、普段よりもたくさん会話が弾むことがわかっています。特に、懐かしい映画には、以下の3つの心身機能が活性化することが、調査の結果によってわかっています。

  • 自律自律神経の安定

  • 精神面の安定

  • 記憶回復

3-1.自律神経機能の安定

懐かしい映画を見ると、自律神経機能が活発化して唾液の分泌量が増えます。人間の体は、外からストレスを受けると交感神経が活発になり、副腎髄質系と、視床下部・下垂体・副腎皮質系などの、戦いに備えるタイプの神経が反応し始めます。

この状態をとてもカンタンにいうと「映画を見て、ドキドキハラハラしている」ことになります。この物語への反応に加え、当時の映画館の中での体験もよみがえりますので、より心身機能が活発化します。

自律神経は交感神経・副交感神経の両方がバランスよく保たれている状態が、安定している状態です。高齢者は普段、活動量も少なく、人生の知見も多いことから新しく心を動かされる体験が少な目なため、どうしても副交感神経(リラックス・非活動的)が優位になりがちです。

映画を見てドキドキハラハラすることで、交感神経が活発化して副交感真剣とのバランスが自動調整された結果、自律神経が安定し心身の状態も安定しやすくなります。

3-2.精神面の安定

物語としてドキドキハラハラする以外にも、懐かしい映画によって、心の中も活性化します。データによれば、映画を観た後の高齢者の感想には、

  • 楽しかった
  • 懐かしかった
  • 面白かった

などの肯定的な感情を抱く傾向があります。

この肯定的な感情と同時に「若返った気持ちになった」という、とても強い心理的な変化を経験します。また、映画の内容に応じた独特な反応もあり、例えば

ジャンル

心の反応

青春もの

さわやかな気分・明るい気持ちになる

アクションもの

スッキリした・いい気分になった

など、映画の中で起きている物語と、当時の自分の体験を「懐かしい映画」を観ることで再体験していることがわかります。つまり、若い頃に観た映画を観ると「今と昔の自分」を含めたライフレビュー(人生の振り返り)が自然と行われやすくなります。

高齢者は生きている時間が長いため、人生を回想する機会が増えますが、かつて観た映画を肯定的に受け取れると、自分の過去の記憶にも肯定的になりますので、

「振り返れば、自分の人生は、やっぱりいい人生だった」と、自分の人生を前向きに統合するのにも役立ち、精神的な充足度を高めるのにも役立っています。

3-3.記憶の回復

懐かしい映画を観ることにより、自分の若い頃の記憶がよみがえります。そのことによって、今現在の自分と過去の自分との間に、連綿と続く自分の人生があることを自覚しますので、その期間の記憶が復活してきます。例えば

  • この映画の公開の時、3番目の子供が生まれたんだった
  • あ、植木等だ。そうそう、俺、昇進したタイミングだったな
  • これは、マイホームを買った頃だな

などの大きなライフイベントの掘り起こしにつられて

  • ああ、こんな感じのPTAに私も出てたわねえ
  • そうそう、子供の受験と学費が大変だったなあ
  • そういえばあの頃、夫の浮気が………

などの小さな記憶も次々と出てきます。すると、自発的に人に話す話題(情報)が増えるため、懐かしい映画を観たあとは、どなたも会話が増え、当時の記憶や自分の感情などを交えたお喋りが弾むようになります。

仮に、施設などで懐かしの映画を一緒に見た場合は、そこにいるのは同年代だけになりますので、一気に昔話に花が咲くようになり、その結果、さらに脳機能が活性化することもわかっています。

家族と一緒に見ていた場合は、高齢者が話し始めたら積極的に相槌を打ち、当時の自分の記憶も交えて会話をすれば、家族に関した記憶がよみがえってきます。

【参照:山梨県立大学 映画館での映画鑑賞による高齢者心理及び自律神経活動への影響について

◆コラム目が悪くても耳が遠くても「懐かしい映画」なら大丈夫!

高齢や親世代に映画を観てもらおうと思っても、老眼がとても進んでいる方や、目の病気がある方、聞こえが遠くなっている方には楽しめないのではないかと、心配ですよね。

実は、懐かしの映画の場合は、視聴覚に少しくらいの問題があっても大丈夫です。その理由は、昔見たことある映画は、ご自身の昔の記憶から、さまざまな情報を引っ張り出して、脳内で補正をして鑑賞できるため、他の視聴覚に問題のない方々と、同様の効果が期待できます。

この脳の補正機能は、視聴覚に問題のない方でも自然にやっていることで、古い映像や、読み切れない字幕なども、この方法で自動補正をして映画鑑賞をしています。

気を付けるべき点は、もし、映像と音声の再生速度を、少し遅くする機能があれば(Youtubeの再生速度みたいな機能のことです)、気持ち遅めにしてあげたほうが、より聞き取りやすく、理解しやすくなります。

機械にそのような機能がない場合は、その方々が、何度も見て気に入っていた映画や、ひいきにしている俳優・女優、お話のパターンがある程度決まっているものなどから選んであげるようにすれば、問題なく映画を楽しんでもらえます。

【参照:映画鑑賞における視覚障碍者の QoL


まとめ

いかがでしたでしょうか。後期高齢者世代を中心に、喜んで観ていただけるような映画に関して、次のようにまとめました。

  1. 高齢者に楽しんでもらえる映画の上手な選び方5
  2. 高齢者が絶対に観て楽しい!おすすめ映画作品全20
  3. 映画鑑賞で高齢者が元気になる3つの理由

高齢者にとって「懐かしい」と感じられる映画には、シニアの心身に良い影響を与え、楽しみながら老化を食い止めることが出来ることがわかりました。

今回ご紹介した映画には、シリーズの紹介以外にも、監督・出演者などからも手掛かりになるようにまとめてあります。親世代や高齢者の方々が喜び、ご自身も楽しんで一緒に鑑賞できるような映画リスト作りにお役立てください。

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