
「梅雨の時期になると頭痛に悩まされる」という方は、何をするにしても億劫になりがちです。どうすれば頭痛を改善できるのかわからず、悩んでいる方は少なくないでしょう。
そこで今回は、梅雨に発生する頭痛の原因と対処法を解説します。梅雨の季節が少しでも過ごしやすくなるよう、ぜひこの記事を参考に対策・予防を行いましょう。
監修者情報 |
柿野 俊弥 ・理学療法士免許 保有 ・脳血管疾患と整形外科疾患のリハビリテーション業務を経験 |
目次
梅雨の頭痛の原因は?
梅雨の時期は、頭痛に悩まされる方が多くなります。梅雨に発生する頭痛の主な原因は、季節や気象によって生じる「気象病」です。梅雨が身体にどのような影響を与え、体調不良を引き起こしているのか具体的に解説していきます。
自律神経の失調
梅雨の時期に起こる頭痛は、自律神経が天気の変化に対して過剰に反応することが原因だと考えられています。自律神経とは、呼吸や消化など、生命の維持に必要な機能を調整する神経です。
例えば、走るときは多くの酸素を身体に取り入れて、酸素を含んだ血液を身体全体に巡らせる必要があります。その際、呼吸を速めたり、心臓を速く動かしたりするのは、自律神経の働きによるものです。
自律神経には2種類あり、自動車で言うところのアクセルの役割を持つ「交感神経」と、リラックスするときなどに働く、ブレーキの役割を持つ「副交感神経」があります。
前述した「走るとき」に働くのは、交感神経です。一方、副交感神経は、血管を広げて血圧を下げたり、瞳孔を縮めたりといった機能を持ちます。
2つの神経のバランスが乱れると、だるさや頭痛、肩こり、不眠などさまざまな健康問題が生じます。特に、周期的にホルモンバランスが変化する女性は自律神経が乱れやすいため、梅雨に不調で悩む女性が多くなります。
血液循環が悪くなっている
梅雨の時期は湿度の高さから汗をかきにくく、体内に余計な水分が溜まりやすくなります。特に、血管内に水分が増え、排出する機能を持つカリウムなどのミネラルが不足している場合には血液の循環が悪くなりやすいです。
また、先述した自律神経の乱れも血液循環に悪影響を及ぼしています。梅雨は低気圧の影響で、副交感神経が活発化するのが特徴です。
さらに、普段かかっている圧力が急激に減少するため血管が膨張し、神経が刺激されることで頭痛を引き起こすと考えられています。
梅雨(低気圧)の時期に発生する頭痛の種類
梅雨のような低気圧時に発生しやすい代表的な頭痛として、「片頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類があります。痛み方の特徴や何が原因で生じるかについて解説しますので、梅雨の頭痛対策につなげるための参考にしてください。
片頭痛:ズキズキとした痛み
片頭痛は、片側の額からこめかみにかけてズキズキとした痛みが発生する頭痛です。両側が痛むケースも見られます。
片頭痛が起こる仕組みはまだ解明されていませんが、副交感神経の働きによる血管の膨張によって神経が刺激され、痛みが生じると言われています。また、次のような要素も原因の一つです。
遺伝的要因 | 親や兄弟姉妹に片頭痛を持っている人がいる場合、自分自身も片頭痛を発症しやすいとされている |
環境要因 | ストレスや疲労、気候の変化や睡眠不足、光や音の刺激、食事などが原因となることがある |
生活習慣 | 睡眠や食生活が乱れている場合、喫煙、飲酒などが原因となることがある |
片頭痛の治療には、痛み止めや予防薬が用いられます。痛み止めは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)などをなるべく早い段階で服用することが大切です。しかし、症状や個人によって副作用のリスクが高まる場合があります。痛み止めだけでなく、予防薬も医師の指示に従って服用しましょう。
また、片頭痛の発作を予防するためには、生活習慣の改善も大切です。例えば、規則正しい生活リズムを整えたり、ストレスを減らしたりなどの健康的な食生活を心がけてください。
緊張型頭痛:締め付けられる痛み
緊張型頭痛は締め付けられるような痛みが特徴の頭痛です。片頭痛ほど強い痛みはなく、動いても痛みは強くなりません。緊張型頭痛は、首の後ろ側や後頭部の筋肉が収縮することによって起こると言われています。
緊張性頭痛は、他にも次のような要素が原因として挙げられます。
生活習慣 | 睡眠不足・姿勢の悪さ・過剰な視力の負担などが原因となることがある |
心理的な要因 | うつ病や不安障害などの精神疾患がある場合にも緊張性頭痛が発症することがある |
緊張性頭痛の治療には、痛み止めや筋弛緩剤などの薬物治療に加え、マッサージやストレッチ、温熱療法などの物理療法も有効です。また、頭痛の原因になり得る生活習慣の改善やストレス解消なども重要になります。
緊張性頭痛は、適度な運動やストレッチ、規則正しい生活リズム、ストレスを減らす方法を身につけることで、緊張性頭痛の発症予防ができます。
梅雨の頭痛の対処法と予防法
梅雨に頭痛が起こる原因がわかったところで、頭痛への対処法と予防法を解説します。どれも簡単に行えるもののため、梅雨の頭痛に現在進行形で悩んでいる方は、ぜひすぐにでも実践しましょう。
漢方薬で水分バランスを整える
梅雨の頭痛は、余分な水分が溜まりやすいことが一つの原因です。
そのため、水分を排出する効果のある漢方薬の服用をおすすめします。水分バランスの調整は、片頭痛・緊張型頭痛の両方に効果的なほか、めまいやむくみにも効果があると言われています。
水分を排出して、体内の水分バランスを整えられる漢方薬には次のようなものがあります。
五苓散 (ごれいさん) | 全身の水分代謝を良くすると言われている |
防已黄耆湯 (ぼういおうぎとう) | 上半身を中心に水分代謝を良くすると言われている |
苓桂朮甘湯 (りょうけいじゅつかんとう) | 下半身や関節の水分代謝を良くすると言われている |
これらを梅雨に入る前や天候が崩れる前に飲んでおくと、予防効果を期待できます。飲んでいる水の量が多いのにもかかわらず、尿量が少ない場合に服用すると良いです。
日中に運動して自律神経を整える
散歩などの軽い運動で少し汗をかく程度でも予防効果があります。運動時には体にストレスがかかるため、習慣化することで、自律神経が気象変化にも対応できるようになります。
ただし、梅雨時期は気温や湿度が高く、運動することで熱中症になるリスクがあります。運動をする場合は、水分補給をしっかりと行い、体調に異変があった場合は無理をせず休むことが大切です。
また、散歩やランニングなどの運動のほかに、呼吸法やヨガ、ストレッチなどの運動も自律神経を整える効果があります。これらは自宅でもできる内容のため、手軽に始められます。自分に合った運動を選び、自律神経を整えましょう。
食べ物・飲み物に気を遣う
梅雨の時期は気圧の変化や湿度の高さなどが原因で頭痛が起こることがあります。そのため、食べ物、飲み物に注意を払うことで頭痛の緩和に期待できます。特に、まめやうり、海藻など水の巡りをよくする食べ物がおすすめです。頭痛のタイプが片頭痛の場合は体を冷やすもの、緊張性頭痛の場合は体を温めるものを摂取しましょう。
カフェインを含む飲み物や塩分を含む食品は、交感神経を刺激して血管を収縮させるため、血管が拡張して起こる頭痛に効果が期待できます。
さらに、ビタミンB群やミネラルを含む食品や水分補給の摂取をすることで水分代謝を促すことが可能です。具体的な食品として、ほうれん草やアーモンド、バナナなどが挙げられます。
マッサージで血行をよくする
マッサージは、痛みが出てからの対策にも予防としても有効です。特に、緊張性頭痛のような、筋肉の緊張が大きく影響しているような頭痛には、より効果が期待できるでしょう。
具体的な方法は次の通りです。
- 耳後ろのツボを押す
- 耳を両手で軽く引っ張る
- 摘んだまま回す
- 首の後ろや肩/こめかみを優しく揉む
これらを行う際に、アロマオイルを使うと精神的ストレスの解消にもなります。
また、マッサージとは異なりますが、耳の後ろをホットタオルで温めるなども良いでしょう。
ただし、注意したい点として、マッサージは自己流で行うと逆に症状を悪化させることがあります。専門家の施術を受けるか、正しい方法を学んでから行うことが大切です。
梅雨の「ダルさ」の解消は気持ちから!
梅雨時期は、身体的なストレスだけでなく、気圧や気温、湿度の急激な変化などが原因で、精神的にもストレスを感じやすいです。それに伴い、「なんとなく気分が重たい」「やる気がでない」といったケースが多くなります。このような症状を解消するためには、気持ちを切り替えることが大切です。
- アジサイを楽しむ
- アロマ
- 運動
- 読書
- 映画鑑賞
- 料理
- 入浴/半身浴
- 睡眠をしっかりとる
晴れ間ができたら外出する、自分の趣味や好きなことに没頭する、疲労回復を図る意味でも睡眠をしっかりとったり入浴やアロマでリラックスしたりすると、梅雨のダルさを解消できるでしょう。
しかし、長期間続くだるさや疲れは病気のサインである可能性もあります。症状が改善しない場合は医療機関で診察を受けることをおすすめします。
「らくらくコミュニティ」で意見を共有しよう♪
梅雨のモヤモヤは、他人との共有を行うことで、気分が晴れる場合があります。そこでおすすめなのが、ネット上で意見交換ができる「らくらくコミュニティ」です。
らくらくコミュニティには、「健康な心と体」というコミュニティがあり、そこには健康に関するユーザーの体験談が投稿されています。健康情報を確認できるほか、コメント機能が実装されているので、ネット上で健康に関する意見交換をすることもできます。
また、趣味や暮らしなど、さまざまなコミュニティが用意されているので、自分の知りたい情報に合わせて、他のユーザーと交流ができます。ぜひ、梅雨の時期のリフレッッシュにらくらくコミュニティを活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
梅雨に頭痛が起こるのは、気象病が原因だと考えられています。急激な天候の変化から自律神経や血液の循環に異常をきたしてしまい、頭痛や身体のダルさなどの症状が現れます。
しかし、原因がわかれば対策や予防ができる可能性があります。生活習慣を見直して運動や食事に気を遣い、漢方薬の服用やマッサージを取り入れることで、不調の改善効果が期待できます。
それでも改善が見られない場合は、梅雨の影響ではなく、何らかの病気のサインである場合があるため、医療機関を受診するようにしましょう。