
あなたは今、老後の移住に興味がありませんか?特に仕事の都合で東京、名古屋、大阪などの大都市で生活している方は「老後は自然豊かな場所でゆっくり過ごしたいな」と思っていませんか?
移住場所によっては、生活費や固定資産税・介護保険料などを節約でき、老後の年金暮らしにゆとりが生まれる可能性もあります。
この記事では、老後の移住先として人気の国内外のエリアを紹介し、移住で押させておくべきポイントや注意点にも触れます。さらに、最近話題になっている“近隣の市区町村への移住”についても紹介します。
シニア世代の移住について理解を深め、また移住しないという選択肢も含めて、安心して暮らせそうな場所が見えてくれば幸いです。
目次
1.老後の移住先として人気のエリア
老後の移住先はどこが人気なのでしょうか?住まいに関する総合情報サイト SUUMO(スーモ)の「全国版 気になるランキング『老後を過ごしたい都道府県は?』」によると、1位は沖縄県、2位は東京都、3位は福岡県、4位は神奈川県、5位は北海道となっています。
ほとんどの地方版ランキングで沖縄県は1番人気であり、またそれぞれの地方版で特徴的なのは、北海道・東北版なら宮城県(仙台市)、関西版なら大阪府や京都府など、地方都市を有する都道府県がランクインしていることです。
また、海外の移住先については、プレジデント社のプレジデントオンライン「年金でもリッチに暮らせる移住先ベスト6」によると、インドネシア(バンドン)、モロッコ(カサブランカ)、タイ(バンコク)、サイパン、ギリシャ(アテネ)、ニューカレドニアが挙がっています。
それでは、国内と海外を分けて、いくつかの都道府県や都市に注目して見ていきましょう。
1-1.国内で人気の移住先
国内については、以下の4都市を紹介します。
・沖縄:国内で一番人気
・東京:安心して暮らせる日本の首都
・福岡:人気の地方都市
・北海道:自然が人気
1-1-1.沖縄
南国リゾートのイメージが強い沖縄県。老後は暖かい場所で海を眺めながらのんびり過ごしたい、という人が多いのはうなずけます。
冬場も暖かい気候の中で、海に囲まれた豊かな自然の下のんびりと暮らす事ができる地域です。
一方で、住居費や物価が意外と高かったり、車以外の交通手段がほとんどない等、住んでみて初めて実感するデメリットがある事には注意しましょう。
1-1-2.東京
関東地方のランキング以外でも、老後の移住先候補として挙がるのが東京都。その理由は、病院や福祉施設・公共施設などが充実しており、交通の便もよいので安心して暮らせるからです。さらに、老後は観劇や音楽鑑賞を満喫したい人たちにも人気があります。
特に23区内は日本全国の人が集まっている大都市なので、面倒な近所付き合いなどがほとんどないとも言えます。その一方、老人の単身世帯が増えていて、コミュニケーションの少なさがメリットではなくデメリットにもなっています。
1-1-3.福岡
九州・沖縄地方のランキングで第1位の人気を誇る福岡県。九州一の大都市である福岡市は、街のサイズがコンパクトで、電車・地下鉄・バスなどの公共交通機関も充実しており、海山にも近く、老後も生活しやすい場所です。
そのほか、熊本県や宮崎県も老後の移住先としてランクインしていて、沖縄ほどではないにせよ冬も比較的温暖な気候も魅力のひとつ。しかし東日本エリアに家族や友人が多くいる場合、気軽に帰れる距離ではなくなります。
1-1-4.北海道
避暑地・リゾート地としてのイメージが強い北海道は、全国版のランキングにも登場します。特に札幌市は、病院や福祉施設も揃っていて、公共交通機関も充実しています。また、マンションなどの集合住宅で生活すれば、雪下ろしなどする必要もありません。
美味しい食べ物や、雄大な自然にあこがれて移住したい人が多い北海道ですが、やはり冬の寒さは厳しいものがあります。また沖縄同様、場所によっては車を所有していないと生活が不便になります。
1-2.海外で人気の移住先
海外移住で人気のエリアも、ご参考までに紹介します。
貨幣価値の違いにより、日本にいるより贅沢な暮らしができるので、タイやマレーシアなど比較的治安のよい東南アジアの国々が人気です。またハワイやサイパン等の南国も根強い人気を誇っています。
そこで今回は、海外移住先の一例として、タイやマレーシアよりも物価が安めなインドネシア(3カ所)と、不動の南国リゾートであるハワイを簡単に紹介します。
1-2-1.インドネシア(スラバヤ/バンドン/ロンボク)
1万3千以上の島々からなるインドネシア共和国は、世界第4位の人口(約2億6千万人)が暮らしています。温暖な気候で物価が安く、親日の人も多いので、老後の移住先としての人気が高まっています。
リゾート地として有名なのはバリ島ですが、移住には東ジャワ島のスラバヤ・バンドン、ロンボク島などがおすすめです。
スラバヤの特徴
首都ジャカルタと同じ東ジャワ島にある、インドネシア第2の都市。生活に必要なものが手に入れやすい環境です。気候は雨季・乾季があり、一年を通して蒸し暑く、気温は24~34度くらいで推移します。
バンドンの特徴
ジャカルタの東150kmほどの場所に位置する町です。物価は首都よりだいぶ安く、ここには日本人学校もあります。また、ほかの町と比べると涼しくて過ごしやすいそうです。
ロンボク島の特徴
バリ島の東隣にある島で“第2のバリ”と呼ばれることもあります。バリよりも静かで、物価も安く、美しい海や自然に囲まれています。気候も穏やかで、のんびりと静かに暮らしたい人にぴったりです。
1-2-2.ハワイ
日本人にとって代名詞的な海外リゾートであるハワイ。アメリカ合衆国の1州なので、本気で移住したいのであれば、米国の移民ビザ(通称・グリーンカード)が必要になります。ご存じの通り、簡単に取得できるものではないので、ロングステイという形で老後のハワイ生活を楽しむのが現実的です。
移民ビザに関しては、在日米国大使館・領事館「移民ビザ」を参照してください。
ハワイは住居費や食費などが安くない(住居費:ワイキキエリアの相場は日本円で月12~14万円、食費:人によりますが2人で月10万円程度)、その上に病気や怪我で支払う医療費は、日本とは違いかなり高額です。日本とハワイを行き来するのであれば、毎回の交通費(飛行機代)もかかります。
過ごしやすい気候で、英語が堪能でなくても生活しやすい場所ですが、経済的なハードルがかなり高いと言えます。
2.老後移住で押させておくべき5つのポイント
ここでは、老後移住する時に知っておきたいポイントを5つに分けて見ていきます。生活費・気候・移動手段・医療・特に海外は治安、すべて事前にチェックしておくべきです。
2-1.移住先の物価や生活費
事前に移住先の物件価格や家賃の相場、物価、介護保険料など基本的な生活費を確認しておきましょう。
一例として、東京都区部から地方都市へ移住した場合、賃貸物件の家賃は40~50%安くなり、物価指数も県庁所在地で3~4%、場所によっては7~8%下がるので、老後10年、20年…と考えれば生活費がかなり節約できます。
2-2.現在生活している場所との気候の違い
今生活している場所との、気候の違いにも注意してください。本州から沖縄や北海道へ移住した場合、夏の沖縄や冬の北海道は、想像以上に暑かったり寒かったりして、快適に過ごせない可能性もあります。
移住先で最も過ごしにくいと考えられるシーズンを確認し、可能であればその時期に数週間滞在してみるとよいでしょう。
2-3.日々の移動手段や公共交通機関
特に自然豊かな場所への移住を希望する場合、急病時や災害時の移動手段を確保するよう心掛けてください。車を所有し、自分または同居人が運転できれば安心ですが、そうでなくなる場合や災害時のことも考えておきたいものです。
公共交通機関やタクシーが確実に利用できる場所をおすすめします。
2-4.もしもの時の医療体制・老人介護施設
年齢問わず、いつ怪我したり病気したりするか分からないので、近くに病院や福祉施設がある場所を選ぶのが無難です。誰もが年齢を重ねれば足腰が弱り、体力も落ちていきます。介護が必要な状態もありえます。
移住前に、移住先の病院事情や福祉施設について調べておきましょう。
2-5.海外の場合は治安の良さも重要
日本で生活していると忘れがちなのが治安のことです。危険な場所にわざわざ住む人はいないと思いますが、貨幣価値の違う国では、生活困窮のため犯罪におよぶケースも決して少なくありません。
もしもの時は金品ではなく、命を大切にすることを忘れないでください。
コラム:移住先駆者の情報は「らくらくコミュニティ」で
「らくらくコミュニティ」は、いろいろな人と共通の趣味や話題を通じて交流することができる、シニア世代向きのインターネット上のコミュニケーションの場です。すでに会員が200万人以上いるSNS(ソーシャルネットワークサービス)なので、定年退職後に移住した人とつながれる(ネット上で友だちになれる)可能性もあります。具体的な質問をして、経験者に教えてもらえれば安心です。
3.老後移住の注意点
最後に、老後の移住先で安心して暮らすために注意すべきポイントを2点紹介します。
メディアで収集した情報や、知人から聞いた話だけで移住するのは危険です。実際に移住を行う前に、正しい情報を知っておきましょう。
3-1.実際に住んでみないと分からない事がある
物価・気候・移動手段・医療機関などは事前に情報収集できても、移住先の人々の気質や、そのエリアが現在抱えている問題、自分の生活に欠かせないものまでは、実際に生活してみないと分からない事が多いです。
観光や仕事(出張)で何度も訪れている場所であっても、移住前に少なくとも数週間、できれば数か月、ウイークリーマンションや貸別荘などで生活する事をお勧めします。
3-2.シニアの移住は歓迎されない地域もある
過疎化が進む市町村への移住であったとしても、シニア世代の移住を歓迎してくれない地域も中にはあります。町の活性化を望んでいる地域は、若い世代(働き盛り・子どもがいる世帯)の移住者を求めているケースが多いからです。
また地元の人にとって、観光客は地場産業に利益をもたらしてくれる存在ですが、住人になると、シニア向きの仕事や介護サービスの“奪い合い”という状況が起こってしまう恐れがある為、シニアの移住が歓迎されないケースもあります。
4.“近隣の市区町村へ移住”という選択肢
最近、定年退職後に近隣の市町村へ引越す”プチ移住”も話題になっています。
「移住」という言葉を聞くと、遠くへ引越すイメージが強いかもしれませんが「近場で今よりゆとりある生活が実現できるなら引越そう」という発想です。
この移住方法には以下のようなメリットがあります。
・退職後は駅から離れても問題ないので、駅から離れた近隣の安い物件に引越すことで、支払い続ける固定資産税が節約できる。
・現在生活している場所から電車や車で数分~1時間位の場所であれば、家族や友人知人と急に離れて暮らすことにならないので、孤独感を感じることもなく気分転換が図れる。
今まで住んだ家とは違う場所で過ごしたいが、新しい地で人間関係を一から再構築するのが億劫な方は、
この移住パターンを検討してみるのも良いでしょう。
5.まとめ
この文章では、老後の移住について見てきました。
改めて、老後移住で押さえておくべき5つのポイントを書いておきます。
1. 移住先の物価や生活費を事前に確認しておくこと
2. 現在生活している場所との気候の違いに注意する
3. 日々の移動手段や公共交通機関もチェックする
4. もしもの時の医療体制・老人介護施設を調べておく
5. 海外の場合は治安のよさも重要であること
※また、シニア向けSNS「らくらくコミュニティ」で、移住先駆者に話を聞くという手もあります。
さらに移住の注意点として、
1. 少なくとも数週間、できれば数か月、移住希望先で生活してみる
2. 観光客と移住者では地元の人の対応が異なり、シニアの移住は歓迎されない地域もある
ということを挙げました。
最近では”人間関係を変えず近くの場所に移住する”パターンなど、移住の在り方は多様化しています。
あなたが老後安心して生活できる場所を探すのに、この記事がお役に立つことを願っています。
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