有料老人ホームの2大費用相場と支払い方法別メリットデメリット

Pflegebett im Zimmer im Pflegeheim

有料老人ホームへの入居を検討していろいろ調べていると、エリア・設備・費用などのさまざまな条件がありすぎて、ホーム選びを難しく感じてしまったことはありませんか? 
有料老人ホームの料金は、老後の年金と今日までの預貯金などから賄うため、まずは支払い金額の相場を確認し、その中から、自分が希望するものを選んでいくのがベストです。

そこで今回は、有料老人ホームの費用に関して以下の3つの項目をまとめました。

1.有料老人ホームでかかる費用の相場
2.老人ホーム費用の3大支払方法別メリットデメリット
3.有料老人ホームの費用負担を軽くする制度

最後までお読みいただければ、有料老人ホームの費用の相場、費用の仕組み等がわかり、ご自身とご家族にとって最善で最適な有料老人ホームが選べるようになります。

1.有料老人ホームでかかる費用と相場

本章では、老人ホームでかかる費用の相場などについてまとめました。

1-1.有料老人ホームの費用相場

有料老人ホームには、大きく分けて3タイプのホームがあり、それぞれ費用相場が違います。以下の表は、タイプ別にかかる費用の相場です。

どのパンフレットにも出てくる費用名が

入居一時金
月額料金

です。次項で各費用の詳細説明をしますので、まずは相場と、ホームの種類を確認してください。

実際には各タイプ有料老人ホームとも、設備や介護条件が違う上に、入居一時金額と月額料金に大きな開きがあるため「相場」とひとくくりにするのは難しい部分があります。

そのため、編集部で厚生労働省のレポートなどから出した平均値で比較をしていきます。

 

運営

費用1 入居一時金

費用2 月額料金

タイプ1:介護付き有料老人ホーム

民間企業

0~数億円

17~33万円

タイプ2:住宅型有料老人ホーム

民間企業

0~数千万円

13~30万円

タイプ3:健康型有料老人ホーム

民間企業

0~数千万円

10~30万円

有料老人ホーム全体の平均値

不明

14~31万円めやす

※75才で自立している方を前提に、編集部でまとめたものです。

【参照:平成25年度有料老人ホームサービス付き高齢者住宅に関する実態調査研究事業報告書

【参照:厚生労働省 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1ヶ月の自己負担の目安

タイプ1:介護付有料老人ホーム
介護サービスと住居がセットになった老人ホームです。

主に民間企業が運営する老人ホームを指し、有料老人ホーム、有料ホームなど呼び方も様々です。基本的に施設内に介護看護スタッフが常駐し、洗濯掃除食事入浴排泄などの生活サポート全般をしてくれる高齢者向けの介護施設が付随した住居です。

介護が必要になった場合は、

  • 施設中の介護職員がケアをするタイプの施設
  • 外部委託で介護スタッフがサポートに来訪するタイプの施設

の2タイプがあり、どちらの場合でも、入居した施設に居住したままで介護が受けられます。

ホームの事業主と運営方針によって施設スタイルサービス形態と料金にかなりの違いがあります。高級老人ホームはこのジャンルに入ります。

タイプ2:住宅型有料老人ホーム
介護サービスと住居が分離、生活サービスと住居は一体型の老人ホームです。

「安否確認」「生活相談」を主軸に、生活支援サービス(調理、掃除、洗濯、買い物、排泄、入浴補助付き添いなど)が必要な場合はしてもらえる高齢者用の住宅で、介護が必要となった場合は、入居者が必要な介護サービスを選んで外部委託をし、介護サービスを利用しながら住み続けることができます。

生活サポート範囲は、施設によってかなり違いがあります。

タイプ3:健康型有料老人ホーム
介護サービスは無く、生活サービスと住居は一体型の老人ホームです。

主に「安否確認」「生活相談」「食事」のサポートサービスに特化した高齢者向けの住居です。

普段は自立をして暮らしていけるが、毎日の生活の中での食事管理が面倒になった、必要な時にだけ気軽に生活サポートをお願いしたいという方が入居をしています。

必要な時以外は最初から設定されているサービス以外にお金がかからないため、3タイプの中では最も経済的です。

しかし、健康で自立していることが入居条件なため、介護が必要となった場合には、退去して別の施設に移動しなければなりません。

【参照:老人ホームの類型

1-2. 有料老人ホームでかかる費用その1 入居一時金

入居一時金とは、入居時に一回だけ支払う、数年分~全入居期間の家賃の前払金です。

まとめて支払うと、入居者は任意の期間の居住権を買ったことになります。仮に施設の設定している全額を前払いした場合は、入居者は施設の終身居住権を買ったことになります。

入居一時金の設定額は、入居時の年齢自立度健康状態などを元に、平均寿命などをかけ合わせて総合的に判断されます。運営会社ごとに独自の計算基準がありますが、平均で13~15年をめやすに設定されており、この期間をそのまま償却期間として設定しています。

一部でも全額でも、長期間の料金設定になるため、非常に高額になります。そのため、施設側では入居一時金の一部払いや、入居一時金なしで月額料金に組み込むなどの支払いメニューをそろえています。

1-2-1.入居一時金の償却と返還金

入居者が支払った入居一時金は、以下のように償却、または返還されます。

● 償却期間
償却期間とは、各施設が設定した平均的な入居期間を指します。期間の算定方法は、入居時の年齢、介護度持病の有無平均寿命などをもとに、施設ごとに独自の算定基準があります。

全国平均で13~15年くらいを想定しています。

● 初期償却
入居一時金から、初期償却費として一定の費用が償却されます。
※詳細は各施設のパンフレットにある重要事項説明書に記載があります。

初期償却のタイミングは、入居契約のクーリングオフ期間が完了する入居から91日目に、平均で20~30%を償却します。この%は、施設によって違います。

初期償却がなぜ存在するかというと、運営会社ごとに算出される償却期間(平均13~15年)は入居者の平均居住期間(その施設での平均寿命)とイコールです。

仮に、入居者が償却期間を超えて長生きした場合、すでに「終身の権利」を持っている入居者には追加徴収ができず、入居者が長生きすればするほどホームは利益がでなくなってしまいます。

そこで「長生き対策コスト」として、入居一時金から一定割合を先に確保し、万が一、償却期間前に退去があったとしても、初期償却分は返還しないという初期償却制度を作りました。

ただし公的な制度ではなく、あくまで民間企業が独自基準で採用しているものです。初期償却制度に関した説明は、施設の重要事項説明書に記載があります。

● 普通償却
入居一時金から初期償却分を差し引いた残りの金額、または入居一時金の全額を、償却期間で均等に償却をしていく方法です。

普通償却相当分は、償却期間前に退去した場合は、運営諸費用などを差し引いたうえで、返還金として戻ってきます。返還金に関する説明は、重要事項説明書に記載があります。

●  返還金
入居一時金には返還金制度があります。償却期間(各施設が想定した入居期間)よりも前に退去した場合は、未償却分を「先に払いすぎている分」として返還されます。返還時には、退去から当日までの事務局手数料などの経費が差し引かれます。

90日以内のクーリングオフ
入居一時金を受けとったホームは、老人福祉法第 29 条 7 項の短期解約特例」により、入居から3 月以内の退居(死亡を含む)または契約解除があった場合は、預かった入居一時金を全額返還する義務があります。

正式名は「短期解約特例」ですが、施設での説明でも「90日以内のクーリングオフ」と説明されることが多いので覚えておきましょう。

例えば、有料老人ホームへの入居後3か月以内に退去、または入居者が亡くなったことで契約が終了した場合、施設は入居一時金総額から

・入居日数分の家賃
・サービス費用などの実費

を差し引いた残りの金額を全額返還する義務があります。クーリングオフが適用されると、施設は入居一時金の初期償却ができません。

入居契約書重要事項説明書に記載がありますので、「短期解約特例」の記載があるかを確認しましょう。ただし、入居一時金を0円にして、月額払いにしている場合は、「短期解約特例」は適用されません。

● 倒産した場合の保全制度
老人福祉法29条第7により、有料老人ホームは「経営難が発生した場合でも、入居一時金の保全につとめ、必要な場合は返還する義務がある」と定めています。

ただし、この「一時金を保全する義務」とその金額の目安は1人頭500万円が上限であり、さらに、返還期日は設定されていないため、最悪の場合、いつまでたっても入居一金が戻ってこないケースも考えられます。

このようなケースの具体的な対策方法としては、

  •  入居一時金を保全額である500万円以内にする
  •  入居一時金を支払わない
  •  大手企業が経営する破綻する可能性が少ない施設に入る

などがあげられます。

また、社団法人全国有料老人ホーム協会では「有料老人ホーム入居者基金」というものがあり、施設が自力で入居一時金の返金ができなくなった場合でも、社団法人全国有料老人ホーム協会が該当施設に代わり、1人あたり500万円までを保証返金してくれるシステムがあります。

しかし、この基金に入会をしている施設そのものが全国の有料老人ホームの1割程度ですので、倒産対策と同時に、その施設が入居者が入りたい施設かどうかも合わせて考える必要があります。

【参照:社団法人全国有料老.人ホーム協会には「有料老人ホーム入居者基金」

【参照:平成26年度有料老人ホームにおける前払い金の実態に関する調査研究事業報告書

1-2-2.入居一時金プランで見るホーム選び

入居一時金は長期間の家賃まとめ払いとなるため、高額です。そこで、各施設では、入居一時金の支払い額に満額~0円までの幅広い支払いプランを用意しています。

もともと入居一時金に法的な指定はなく、事業者の運営上の観点から、用地費や建設費などの初期投資額の早期回収を目的に設定されているため、該当エリアの分譲マンションとほぼ同額となり、たいていは非常に高額になります。

このような点を考慮し、施設によっては最初から入居一時金の設定がない前提で収支プランを立てているところも出てきています。

 

コラム◆ゼロ円プランで試算してみよう◆
入居一時金が設定されている有料老人ホームでも、入居一時金を支払わないプランを選択すれば、入居一時金0円で入居ができます。

ただし、入居一時金=家賃の前払いですので、ゼロ円プランで入居した場合は、毎月の月額料金に家賃が加算されます。

本章冒頭で値を出した、有料老人ホームの月額費用の相場(14~31万円)をもとに、償却期間15年、家賃が15万円だと想定して、入居一時金を支払った場合と比較してみましょう。

例)ゼロ円プランを選択した例

 

入居一時金ゼロ円プラン

入居一時金を全額支払い

入居一時金

0円

180万円×15年=2,700万円一括払い*

月額家賃支払い

月額15万円(年180万円)

0円

月額料金

(食費管理費ほか)

14~31万円(年168372万円)

14~31万円(年168372万円)

月額支払合計

2931万円(348468万円)

1431万円(年168372万円)

*実際の一括払いは値引きが適用されますので、月額換算の家賃相当額がよりリーズナブルになります。

入居一時金が0円=家賃の前払い0円ですので、入居後は賃貸マンションと同様に毎月家賃がかかります。これにプラス、毎月の生活費がかかりますので、入居一時金0プランを選択した場合は、月の支払い負担が大きくなります。

しかし、子育てが終わり、仕事もリタイヤした状態で数千万円のお金を預金から一度に支払ってしまうことに不安を感じる方は多いでしょう。

そのため、よほどの余裕がある方でない限りは、入居一時金の一部払いまたは、ゼロ円に近いプランを選択しています。
【参照:平成26年度有料老人ホームにおける前払い金の実態に関する調査研究事業報告書

 

1-2-3.入居一時金の用意の仕方5種

入居一時金を支払う施設を選ぶ前提の方向けの、まとまった金額の捻出方法です。

①貯金
②生命保険などの解約払戻金
③株式の売却
④不動産の売却
⑤リバースモーゲージ

①貯金
預貯金から支払う方法です。ある程度のたくわえがある場合は可能です。

②生命保険などの解約払戻金
シニア世代は、長期型の貯蓄型生命保険を掛けているケースが多いため、その解約払戻金はある程度のまとまった金額であることがあります。

③株式の売却
お手持ちの有価証券などを売却し、その売却益から支払います。

④不動産の売却
今住んでいる家を売って、その売却代金で一時入居金を支払う方法です。実際、有料老人ホームに入居すると、今住んでいる家は空き家になりますので、すでにお子様がマイホームをお持ちであれば、売却も視野に入れてみましょう。

また、空き家になる家を賃貸に出し、その金額で月額料金を賄うという方法もあります。

⑤リバースモーゲージ
不動産を担保に、金融機関から不動産評価額相当のお金を借りますが、金融機関への支払は利息のみという方法です。

借りている元金は、ご本人が亡くなられたときに、相続人の方から一括返済か、担保物件(土地建物)の売却で完済させます。

住宅金融支援機構と提携している民間金融機関の住宅ローンのため金利が安く(住宅ローンなみ)、年金収入しかない高齢者でもローンが組める方法として人気があります。

1-3. 有料老人ホームでかかる費用その2 月額費用

月額費用は、普通の暮らしと同様に入居後の生活でかかるお金です。

①賃料
入居一時金を全額前払いした人以外は、毎月の賃料が発生します。

②管理費
施設の共用部分の水道光熱費、設備の維持費・メンテナンス費用、事務費用・人件費です。

③食費
食材費用と食材と調理品の維持管理費です。調理を業務委託している場合は、委託費がかかります。

④水道光熱費
入居者の住居部分の水道光熱費です。

⑤介護費
入浴・排泄・食事介助などの介護サービスが必要な場合は、介護費が発生します。介護保険が適用されます。

⑥日用品などの医療費
施設に付随している医療サービスと日用品以外は、自費になります。判断の目安は「個人で使うもの」です。例えば、歯ブラシ・歯磨き粉・石鹸・ティッシュペーパーなどが自費になります。

⑦介護保険適用外のサービス
施設サービスとして行っているイベントなどは介護保険の適用範囲内ですが、個人の意志で始めたレクリエーションや習い事などの費用は、自費になります。

例えば、外部講師によるカルチャースクールの受講、鍼灸や指圧にかかる、メイクやヘアカラーなどの費用などです。

1-3-1.月額費用に開きができる4つの要因

月額費用の幅ができる要因は主に以下の4つです。ただし、月額料金が高いところはその分、サービスが手厚く、心地の良い入居体験ができる可能性も高くなるのは否定できません。

入居者が支払える月額と、ホームで得られるサポートへの満足度がクロスするポイントを探していくようにすれば、施設への不満は感じにくくなります。

・要因1 立地
老人ホームには専用の居住施設が必要なため、不動産が必要です。そのため、土地の評価額が高い場所に建築されている施設は、その土地購入価格など反映します。

・要因2 施設グレード
老人ホームの施設グレードが高いと、設定される費用も高額になります。例えば、高級老人ホームに見られるような、
●  ホテルレベルの外観と内装
●  豪華なシャンデリアやインテリア
●  手入れの行き届いた庭園
●  天然温泉のある大浴場の設置

などをすれば、その分建築コストと維持費がはね上がり、月額利用料金もはね上がっていきます。

・要因3 医療体制の充実
施設内に医療機関を併設する、24時間でスタッフを常駐させるなど、医療体制レベルを上げると、その分、設備費と人件費がかかり、月額料金に反映されます。

・要因4 介護スタッフの数
介護スタッフが担当する入居者の人数を1:1に近づけるほど、人件費が多くかかります。

1-3-2.月額費用で見るホーム選び

月額費用面から考える、有料老人ホームの選び方です。親世代の年金だけで支払いが難しくなった場合は、子世代も月額負担をすることになりますので、長期的視野で見て、家族で話し合いましょう。

● 年金で払える範囲から探す
年金額を把握し、その金額内で月額料金とそのほかの生活費が収まるところから選びましょう。

各施設が設定している想定入居期間=償却期間は、平均で13~15年です。この期間、ずっと月額料金支払い続けることができなければ、公的期間が運営する施設への移転をするしかありません。

また、たとえ入居一時金を全額前払いしたとしても、月額料金とそのほかの生活費は発生しますので、リタイヤメント後に毎月の収入源となる年金額を基準にして選びましょう。

● 親の希望を聞く。何が譲れないか
シニアがご自分で選ぶのではなく、お子様世代が親世代に有料老人ホームを用意してあげる場合は、生涯親を支払える金額に加えて、毎日の暮らしの中に、どのような希望があるかを聞いておきましょう。例えば

  • 何歳になっても習い事がしていたい
  • 家の近くで、孫とも会いたい
  • あこがれていた海の近くに住みたい
  • 老後は静かな場所でひっそりと暮らしたい

など、人にはそれぞれ思い描いているセカンドライフとエンディングのイメージがあります。

子供世代がそのすべてを汲んであげることは難しいですが、できる限り希望の要素が含まれている場所のほうが、入居してからの暮らしが楽しくなります。月額費用面で難しい場合は、施設の部屋やグレードを下げるなどをすれば、選択の幅は広がります。

● 足腰が自由なうちに楽しめる場所があるか
施設の周辺や少し足を延ばした場所に、楽しめるところがあるかを確認しておきましょう。例えば

  • 公園
  • 海や山などの大自然
  • 名所名跡
  • 繁華街など
  • 落ち着いていられる喫茶店
  • 外食が楽しめるお店
  • 百貨店やショッピングセンター
  • 花見や紅葉を楽しめる場所

などがあるか、入居契約の前によく確認が必要です。できれば、歩いて確認をしましょう。

有料老人ホームは入居時に自立していることを前提としていますので、入居からしばらくの期間は、足腰も丈夫で精神的にもとても元気で、外出も頻繁にします。そのため、周辺に遊ぶ場所が少ないと退屈してしまいます。

また、高齢化して体が弱ってきたときには、散歩圏内に心を楽しませたり、気分転換をする場所がないと、出かけるのが億劫になり、ますます弱ってしまいます。

近隣に楽しみになる場所があるか、遊びのための予算でできることがあるかを、確認しておきましょう。

食事の質
食事の質は、長い入居生活の中でとても大切です。ここでいう「質」とは、

1. 食材の質
2. 調理者の質
3. おいしい

の3つの質がバランスよいことが大切です。老若男女の誰にとっても、毎日のご飯が「おいしい」ことはとても大切です。

1.の「食材の質」は食費の高さとある程度は比例しますので、安全な有機野菜を使っている、高級食材を使ったメニューがあるホームでは、必然的に食費の月額料金は高くなります。

2.の「調理者の質」は、料理の腕のことです。家庭でも料理上手な人とそうでない人がいるのと同じように、調理師免許を持っているからといって料理上手であるかはまったく別の問題です。

運営側の採用を決定する人がいわゆる「味オンチ」タイプだと、入居者は悲惨です。また、有名なシェフなどをまねている、料理監修をしている場合も、食費の月額料金に反映されます。

3.の「おいしい」は、食費の高さとは比例しませんが、各人の好みが強く影響しますので、見学会やお泊り体験などで実際に食べてみて、自分にとっての「おいしい」かどうかを判断してもらうしかありません。

「おいしい」は、外食の美味しいではなく、毎日食べて飽きないおいしさである「家庭の味」であることも前提に選択すれば、満足のいく食事になります。また、高級老人ホーム以外では、各人の細かな好み、例えば

  • ごはんの硬さ
  • 味の濃い・薄い
  • 味噌や醤油の種類
  • 好き嫌い

などまでは個別対応しませんので、好みがうるさいという自覚がある方は、自炊もできる居室を選んで、適度にバランスをとって行くのが良いでしょう。

栄養バランスに関しては、どこの老人ホームでも管理栄養士が栄養計算をして健康管理をしています。そのため、栄養価という意味ではどこのホームでも大きな違いはありません。

2.老人ホーム費用の3大支払方法別メリットデメリット

有料老人ホームの支払い方法別のメリットとデメリットをまとめました。

 

メリット

デメリット

トータル費用

①全額前払い

追加費用がほとんどない

最初にかかる費用が大きい

最も安くなる

②一部前払い

(入居一時金)

月払いに比べると月額費用が安くなる。

最初にある程度まとまった費用が必要

①よりも総額が高くなる

③月払い

短期利用がしやすい。

最初に大きな費用負担がない

月額利用料が高くなる

入居が長ければ3種の中で最も高くなる

雑誌やテレビでは入居一時金の高さだけが取り上げられていることが多い有料老人ホームですが、多くの施設では入居者それぞれのお金の事情に合わせて3タイプから選べるようになっていますので、メリットデメリットを確認したうえで、ご自身にとって最適な支払い方法を選択してください。

2-1.全額前払いタイプ メリットデメリット

終身にわたって必要な賃料を一括で前払いする方法です。

その施設の利用・居住権利を終身分買ったという認識ですので、償却期間を過ぎてもずっと住んだままで居られます。(ただし、賃料以外の月額費用は発生します)

・メリット:
一度費用を支払えば、後から追加される費用の心配はほとんどありません。

・デメリット:
最初に支払う費用がかなり大きいことがデメリットです。

・おすすめタイプ:
全額を支払ってもまだ余裕がある経済状況があり、最もリーズナブルな支払い方法を選択したい方は全額  前払いが向いています。

 資金的な余裕とは、全額前払いをしても、現金が潤沢にある状況を指します。

2-2.一部前払いタイプ メリットデメリット

入居一時金の一部を支払い、残りを月ごとに支払う方法です。多くの施設では、一部入金額を段階的に設定していますので、支払い可能額の中から自由に選ぶことができます。

その施設の利用権と居住権の一部を購入し、残りの分をローンにしているイメージです。

・メリット:
 月払いタイプに比べると、月額の料金を抑えることができます。

・デメリット:
 一部とはいっても、最初にある程度のまとまったお金が必要です。あまりに最初に入金する金額が少ない  と、3の月額支払いとほとんど違いがないこともあります。

 (全額払い金額-一部前払い金額=残債)を分割支払いにするため、施設によってはトータルの支払金額  が、全額前払いタイプよりも高めに設定されていることがあります。

 見学会で個別相談をすると見積をもらえますので、トータル金額の確認ができます。

・おすすめタイプ
 支払額を少しは安くしたいが、同時に、まとまった資金を手元に残しておきたい方は、この方法が向いてい ます。

2-3.月払いタイプ メリットデメリット

入居一時金は支払わないで、月ごとに賃料を支払う方法です。不動産の賃貸物件に住むのと同じです。長期間の入居の場合は、最も割高になります。

・メリット:
 大きな金額を用意しなくてもよい。最初に大きな支払いがないので、短期利用もできます。

・デメリット:
 月額利用料金は、3タイプ中一番高く設定してあります。

・おすすめタイプ:
最初から短期利用の予定の方は月払いが向いています。

例えば、以下の条件で比較してみましょう。

・入居一時金1,200万円
・月額家賃20万円 (年間利用料240万)
・月額利用料10万円 (年間利用料120万円)
・年間支払額合計額 360万円
☆全額前払いをした場合:月額利用料のみ支払い

 

入居一時金

1年目

2年目

3年目

4年目

5年目

6年目

全額前払い

1,200万円

1,320万円

1,440万円

1,560万円

1,680万円

1,800万円

1,920万円

月払い

0万円

360万円

720万円

1,080万円

1,440万円

1,800万円

2,160万円

入居から5年までは入居一時金全額を超えず、初期償却もされないため、満4年以内で退去予定の場合は月額払いが適しています。短期での退去とは主に、在宅復帰を目指しての一時的なサポートのための入居を指します。

この損益分岐計算は、施設ごとの入居一時金額・月額利用料・家賃金額で変わってきますので、見学会などの個別相談で見積作成をお願いして、各自で比較をします。

3.有料老人ホームの費用負担を軽くする制度

本章では、有料老人ホームの費用負担を少しでも軽くするために使える制度をまとめています。

基本的に各控除制度は、公的な老人ホームに手厚い傾向がありますので、民間の有料老人ホームの家賃や月額利用料などには使えないことが多いのですが、医療行為や介護サービスであれば、おおむね適用対象になります。

3-1.高額介護サービス費制度

高額介護サービス費は、介護保険の1か月間の自己負担額合計が一定の上限額を超えると、その超過額について払い戻しを受けられる制度です。上限は以下の通りです。

世帯区分

負担の上限月額(世帯ごと)

現役並みの所得がある人がいる世帯

44,400円

世帯の誰かが市区町村で納税している

44,400円

世帯全員の誰も市区町村民で納税していない

24,600円

世帯の全員が納税をしておらず、かつ、前年の合計所得金額と公的年金収入合計が年間80万円以下

24,600円

生活保護を受給している

15,000円(個人)

公的介護保険利用ですでに自己負担額は1割~3割に抑えられていますが、同時に多くの介護サービスが必要になると自己負担額も大きくなりますので、上限額を超えた分が払い戻されます。介護対象は世帯対象ですので、複数人の合計額も対象になります。

ただし、この高額介護サービスの対象には、有料老人ホームの居住費や食費、差額ベッド代、生活費などには適用できません。

【参照:厚生労働省 医療費の自己負担割合

3-2.高額医療高額介護合算制度

8月1日~翌年7月31日までの1年間で、医療保険と介護保険の自己負担の支払額が、自己負担限度額の上限を超えている場合、払い戻し申請ができる制度です。上限額は以下の通りです。

 

 

70歳以上

70歳未満

 

年収約1,160万円以上

212万円

212万円

年収7701,160万円

141万円

141万円

年収370770万円

67万円

67万円

一般

年収156370万円

56万円

60万円

市町村民税世帯非課税

31万円

34万円

市町村民税世帯非課税(所得が一定以下)

19万円

例えば、一般年収の方で、

  • 71才で自営業
  • 年収160万円
  • 入院と介護などのサポート費用で合計66万円かかった

場合は、申請すると差額の10万円が戻ってきます(返金される)。ただし、食費・差額ベッド代・居住費は自己負担です。

【参照:厚生労働省 高額医療・高額介護合算療養費制度について

3-3.介護付有料老人ホームでの医療費控除

有料老人ホームで利用した以下の医療・介護サービスなど

  • 日々のおむつ利用
  • リハビリ費用
  • 訪問診療の利用料
  • 入居先が提供していない介護サービスの外注費用

は、医療費控除が適用されます。ただし、おむつ代などを医療費と申請するためには、医師に「おむつ使用証明書」を発行してもらい、その介護におむつが必要であることを証明する必要があります。

入居する有料老人ホームとその施設レベルによって、介護サービスの種類と受け入れ体制が違いますので、将来必要となるサービスが自分で契約をしなくても受けられる施設のほうが、より快適に暮らせます。

3-4.介護休業給付金

病気やけが、身体・精神上の障害で、2週間以上にわたって常時介護(歩行、排泄、食事などの日常生活に必要な行為に対する介護)が必要な家族を介護するために取得する仕事のお休み期間に対し、給与の67%までを保証してくれる制度です。

例えば、シニア世代の方が介護が必要となった場合、その子供世代が親の介護のために一時的に仕事を休む時などに使えます。最長93日の期間を3回までに分割して利用できます。

以下の条件が必要です。

・雇用保険の被保険者
正規雇用・派遣・パートを問わず、雇用保険加入者であること。就業先が雇用保険適用をしていなかっ た場合は、対象外になります。

・家族の常時介護のため2週間以上の休業が必要
常に見守りが必要な家族を支えるための休業期間です。

・職場復帰を前提として介護休業を取得する
そのまま辞めてしまうのではなく、あくまで、仕事場に戻ってくる前提の、一時的な休業です。

・介護休業開始日前2年間に11日以上就業した月が12カ月以上ある
入社したてや、過去2年間に休みが多かった方は利用できません。

・介護休業中に仕事をした日数が、月に10日以下である必要がある
月の半分以上休まないと、利用できません。

・介護休業中の月々の賃金が、休業前の賃金の80%未満でなければならない
介護休業をしている間に、ほかの場所で仕事をしている場合は支給されません。

ただ、この給付金は介護休業期間が終わってから申請するものなので、介護期間中には支給されません。

【参照:厚生労働省 介護休業制度

3-5.その他の制度

その他、主に低所得な方向けの公的老人ホームでの適用になりますが、自己負担額を軽くする制度です。

有料老人ホームの場合は、必要な介護サービスを外注する場合や、必要な介護サービスを受けるために一時的に他施設にショートステイなどで移動する場合に適用できることがあります。

・介護保険サービス利用者負担軽減制度

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型病床

を利用する際に、負担限度額認定証の申請をすると、その住居費と食費が軽減できます。

介護保険施設であればショートステイ利用でも適用されますので、必要な介護サービスの一時利用のために有料老人ホームから外に出る場合は適用対象になります。

審査基準は所得と預貯金を参考にしますが、基本的には低所得者向けのサービスであるため、有料老人ホームに入居できる方は申請を断られることもあります。適用・不適用の判断は自治体の担当者にゆだねられます。

3-6.入居後に介護サービスを受けるときの費用負担割合

有料老人ホームで利用する介護サービスの費用負担割合は、一律、1~3割りの間です。各割合負担は、公的年金も含めた年間所得によって以下のように振り分けられます。

有料老人ホームに入る方は65才以上の方が多いため65才以上の基準で図にしました。

老人ホーム 費用

自分の負担金額は、毎年 6 ~ 7月頃に市区町村から負担割合が記された通知(負担割合証)が交付されます。ご自身の負担割合証の「利用者負担の割合」の欄を見ると、何割かが記載されています。毎年7月に負担割合が更新され、新しい負担割合証が送付されます。

また、利用負担割合には変化がありませんが、介護の基本サービス時間帯である08:00~18:00以外の時間帯に、介護サービスを利用した場合は、利用料金が割増しになります。介護が始まると利用することも多いので、覚えておきましょう。

例)夜間介護サポートの場合
● 早朝 06:00~08:00 25%割増し
● 夜間 18:00~22:00 25%割増し
● 深夜 22:00~06:00 50%割増し

高齢者や体調不良がある方は、深夜から明け方にかけて容体が急変することが多く、中度以上の介護が必要な場合は、その都度お願いするよりも、容体が安定するまでの期間だけ「24時間期巡回・随時対応サービス」などをお願いするほうが料金を抑えられます。

入居している有料老人ホームでそのサービスがない場合は、外注委託ができます。

【参照:厚生労働省 介護サービス負担割合 リーフレット

【参照:厚生労働省 (参考)定期巡回・随時対応サービスの概要

3-7.生活保護を受給しながら入れるホームもある

生活保護を受けていても、入居できる有料老人ホームはあります。費用面から考えて、公的施設である特別養護老人ホーム(特養)が最も適切でしょう。

入居条件に要介護3以上がありますので、この条件をクリアしていれば入れます。認知症でも受け入れをします。入居希望をしている自治体の特養が満室の場合は、一時的に有料老人ホームへの入居を検討する必要があります。

有料老人ホームの平均金額よりも、生活保護の額が上回っていれば問題がありませんが、不足している場合は、地元ではなく、より金額の安い郊外の有料老人ホームにいったん入居してもらい、特養ホームの空きを待つ形になります。

ただし、生活保護受給者の老人ホーム利用には、個室利用ができないという決まりがありますので、2人部屋以上がある有料老人ホームを探すことになります。

詳細は、生活保護課のケースワーカーを通じて、特養ホーム窓口と地域包括センターなどでやり取りをします。

有料老人ホームの中で、安さを売りにしている施設は「生活保護の方も受け入れ」と大きく書いてありますので検討してみてもよいでしょう。

【参考:厚生労働省:2020(令和2)年 10 月1日施行 生活保護実施要領等

【参照:大分県大分市生活福祉課 介護扶助通信

3-8.有料老人ホーム選びで、値段以外で注目すべき5つのポイント

有料老人ホームの値段とサービスは、必ずしも比例しません。その理由は、サービス内容の良し悪しは、金額ではなく、運営する事業者の考え方にかかっているからです。

有料老人ホームは、事業主にとってはビジネスですが、入居者とその家族にとっては「福祉」です。この溝が大きいと、入居生活は苦しくなります。

ホームでの生活に豪華な施設を求める場合は、大企業が運営するお金のかかった施設が向いていますが、必要な介護サービスだけを受けて、あとは穏やかに自分らしく暮らしたいというのであれば、小規模な事業主が運営するアットホームな有料老人ホームでも、十分に満足できるでしょう。

費用の話は本記事でほぼ説明済ですので、費用以外の面で注目すべき5条件をまとめました。

1. 90才以上の高齢者が元気に暮らしている
一番の注目ポイントです。高齢者の中でも90才以上という、平均寿命を大きく超えて普通に暮らせるということは、その施設でのサポートが全般的に適切で、精神的なストレスが少なく、快適な場所であることの生きた証拠でもあります。

90才以上の方は自立をしていても、足腰は弱っているため、生活のための細かなサポートが必要ですから、この年代の方が健康に暮らして朗らかな表情をしていれば、スタッフと職員がきめ細やかに見守りをしている証拠にもなり、施設の質がよいといえます。

2. 長期にわたって快適に暮らせる雰囲気があるか
そこですでに入居している方々の雰囲気に注意しましょう。心身ともに元気な方は笑顔の多さ、体調不良の方は清潔感があるかをよく見ます。サービスの質が良くない施設は、体調の悪いかたの見た目が何となく汚れているケースが目立ちます。

また、入居者同士の仲が悪いと、どれほどしつらえが素晴らしくても精神的に快適な暮らしはできませんので、施設全体の雰囲気を良くつかむことが大切です。小さな施設でも、身内のように仲良く暮らしている施設であれば、とても上質なホームと言えます。

3. スタッフの表情や態度
介護スタッフや事務スタッフの仕事中の表情をよく見ましょう。イライラ・ギスギスした態度をしていないかをチェックします。

スタッフにとって入居者はお客様ですので、基本的に営業スマイルで対応していますが、スタッフ同士になると表情や態度が変わることがあります。

また、スタッフの定着率が悪い施設は、事業者が人材を大切に扱っていない証拠です。職場で大切にされないスタッフは、ストレスが高まればより弱い立場の方につらく当たる可能性があります。

スタッフの定着率や職場状況は、介護スタッフの仕事をしている友人などに聞くと、口コミのような情報を教えてくれることがあります。公的に調べるには、「施設名 求人」で検索をかけて、常に人が足りずに募集をしているようであれば、見学の際などにスタッフの動向を気を付けて見ておく必要があります。

4. 医療体制
高級な老人ホームであれば併設医療施設などがありますので医療体制の問題はありません。連携医療の場合は、連携している医療機関に地元の病院を多く採用しているかを確認しましょう。

福祉は地域医療と連携して、地域の高齢者の生活と健康を守ることに主眼がありますので、地域との連携が薄い施設は、事業主の福祉に対する考え方に問題がある可能性があります。

5. 食事が適温で出てくる
すごく平凡な視点なのですが、食事が適温で出てくるのは、施設の良し悪しの判断材料として使えます。味噌汁がぬるい、ごはんが冷たい、お茶がぬるいなど、一般家庭であれば起きないことが起きていれば、その施設は避けたほうが良いでしょう。

毎日の食に関した満足は、人の健康と精神的な満足度に直結します。施設が豪華でも、このような精神的な満足に注意を払わない事業者が運営するホームへの入居は入居を控えましょう。

以上が、金額以外で見ておくべきポイントです。金額の差はあれども、有料老人ホームの利用にはお金がかかりますので、老後の主な収入源が公的年金だけの場合は、選択肢は限られます。

しかしそのような場合でも、上記のポイントに気を付けていれば、セカンドライフ~エンディングまでの長い期間を、納得して生きられる場所を自分で探し出すことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。有料老人ホームの費用に関して以下のようにまとめました。

1.有料老人ホームでかかる費用の相場
2.老人ホーム費用の3大支払方法別メリットデメリット
3.有料老人ホームの費用負担を軽くする制度

費用相場を基準にしながら、通えるエリアと欲しいサービスを求めれば、候補は絞られます。あとは見学に行き、お泊り体験などをしながら、体感と長年の人生経験による見識をベースに、より良い有料老人ホームを選んでいけると思います。

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