
「オンライン診察ってどんなもの?」
「本当に直接診てもらわなくても診察ができるの?」
あらゆる生活様式のオンライン化が進んでいる今、医療のオンライン化に関しては疑問や不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。
オンライン診察とは、スマートフォンやパソコンを使って、病院に行かずに診察が受けられる新しい診療の形です。
オンライン診療の基本情報 | |
診察の流れ |
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費用 |
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受診に必要なもの |
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実施している医療機関 |
など、あらゆる分野で導入されているが、導入に至っていない医療機関も多い(導入しているのは全体の15%ほど) |
オンライン診察は、待ち時間や院内感染のリスクが少ないといったメリットがある一方で、聴診器を使った診察などには対応できないというデメリットもあります。
オンライン診察を便利に活用するためには、状況に応じてオンライン診察と対面診察を使い分けられるように判断が必要です。
そこで本記事では、今後オンライン診察を活用してみたいと思っている方に向けて、オンライン診察に関する基礎知識をわかりやすく解説します。
最後まで読めば、オンライン診察を上手く活用する知識が得られるだけではなく、その時の症状に合わせた最適な受診方法を選べるようになることでしょう。
目次
1.オンライン診察とは「インターネット上で行う診察」のこと
オンライン診察とは、怪我や病気の診察を、スマートフォンやパソコンを使ってインターネット上で行う新しい診察形式のことです。
これまで医師と対面で行っていた診察をオンラインのみで完結させることにより、病院へ出向く必要がなくなるというのが、オンライン診察の最大の特徴です。
【オンライン診察の目的】
- より多くの患者のデータを集めて、医療の発展に活かす
- 医療機関を受診するハードルを下げ、患者が能動的に治療に参加できるようにする
厚生労働省は、上記の目標を掲げてオンライン診察の普及を呼びかけていますが、実際に実施しているのは国内の医療機関のうち15%程度というのが現状です。
「この病院でオンライン診察を受けたい!」と思っても、病院によってはオンライン診察を実施していない可能性がある、ということを頭に入れておきましょう。
2.【簡単6ステップ】オンライン診察の流れ
続いては、オンライン診察の流れを6つのステップで紹介します。
2-1.STEP1.初診
まずはオンライン診察を行っている病院を探して、対面で初回の診察を受けましょう。
医師と相談のうえ、「次回以降の診察はオンラインで」となればオンライン診察がスタートする、というのが一般的な流れです。
【初診からオンラインで診察してもらえ
「初診は対面で行う」というのがオンライン診察の基本ルールですが、2020年からは新型コロナウイルス感染拡大防止のため「初診からのオンライン診察」も解禁されています。
しかし、初診からのオンライン診察は実現が難しく、実際に導入している医療機関は全体の6.4%と非常に少ないのが現状です。
2-2.STEP2.アプリのダウンロード
予約や診察に必要なオンライン診療アプリをダウンロードします。
初診の際に病院から「このアプリをダウンロードしてください」と指定されるので、指示に従いましょう。
ダウンロードしたアプリを起動させたら、次のような必要情報を登録します。
- 住所
- 電話番号
- 保険証情報
- クレジットカード情報
これで、あなたと病院がオンライン上でやり取りする準備が整います。
2-3.STEP3.予約
続いて、アプリから予約手続きを行います。
希望日時や担当医師を選択して、空いているところに予約を入れましょう。
予約の空き状況は、カレンダー形式で表示されるアプリが一般的です。
手続きを終えたら、予約内容に誤りがないか必ず確認しましょう。
2-4.STEP4.診察
予約した日時になったら、アプリを起動させ、ビデオ通話での診察を開始します。
【ビデオ通話での診察のポイント】
- 症状を伝える時は、聞こえやすいようハキハキと話す
- 雑音の多い場所は避ける
- 端末の設定を確認し、カメラ・マイクの使用を許可する
通信トラブルが発生した場合はそのまま放置せず、アプリのヘルプページを確認する・病院に直接問い合わせる等の対応をしましょう。
2-5.STEP5.支払い
ビデオ通話による診察が終わったら、診察で発生した費用の支払いをします。
アプリに登録したクレジットカードから自動で引き落とされる「オンライン決済」が一般的ですが、次回の対面診察の際にまとめて支払うといった方法を取る医療機関もあります。
2-6.STEP6.処方
薬が処方された場合は、以下のいずれかの方法で受け取ります。
- 薬が自宅に郵送される
- 処方箋が郵送され、調剤薬局で薬を受け取る
アプリや医療機関によっては、薬の服薬方法をオンラインで指導してもらえる場合もあります。
以上の6ステップが、オンライン診察の大まかな流れです。
3.オンライン診察にかかる費用
ここからは、オンライン診察にかかる費用に関する知識を、次の順に解説します。
- 診察料は2,500円程度
- オンライン診察にも健康保険は適用される
- 配送料がかかるケースも
対面の診察とどのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
3-1.診察料は2,500円程度
医療機関をオンラインで受診した場合の基本となる診察料は、2,500円程度です。
治療の内容や処方される薬によって医療費の総額は大きく変わりますが、基本の診察料の水準は以下の通りです。
【基本診察料の水準(令和4年1月26日~)】
区分 | オンライン | 対面 |
初診 | 2,510円 | 2,880円 |
再診 | 730円 | 730円 |
初診に限っては対面よりもやや診察料が安いというのが、オンライン診察の特徴です。
上の表の料金に、治療費や薬代などが加算された総額が、1回分の診療にかかる費用となります。
3-2.オンライン診察にも健康保険は適用される
オンライン診察にかかる医療費は、以下のルールで健康保険が適用されます。
【オンライン診察にかかる医療費のルール】
- 保険診療(保険が適用される疾患)の医療費:1~3割負担
- 自費診療(保険が適用されない疾患)の医療費:全額自己負担
上記の自己負担額の割合は、オンライン診察でも対面診察でも同じです。
ただし注意が必要なのが、「健康保険が適用される疾患の種類」が、オンライン診察では限定されてしまうということです。
【オンライン診察で健康保険が適用される疾患の一例】
区分 | 病名(一例) |
内科 |
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消化器内科 |
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呼吸器科 |
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循環器科 |
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脳神経外科 |
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その他 |
上記の疾患はあくまで一例であり、記載がなくても保険適用される場合や治療法によっては適用されない場合もあるため、詳しくは医療機関に個別で問い合わせることをおすすめします。
3-3.配送料がかかるケースも
オンライン診察ならではの費用として、「薬や処方箋の配送料」というものがあります。
- 自宅に薬が届く場合:薬の配送料がかかる
- 自分で調剤薬局に取りに行く場合:処方箋の配送料かかる
医療機関が負担してくれる場合もありますが、1回につき数百円の送料が自己負担になることもあります。
4.オンライン診察に必要なもの
オンライン診察を受けるためには、以下の4つを用意する必要があります。
- 通信機器
- インターネット環境
- クレジットカード
- 保険証
1.通信機器 |
ビデオ通話での診察・次回診察の予約・決済などに使います。 【ポイント】 スマホ・タブレット・パソコンなど、自分にとって使い慣れたものを選ぶといいです。 しかし、5年以上使い続けた古いスマートフォンは回線速度が遅くなりビデオ通話がしづらい場合もあるので、買い替えの検討も必要です。 オンライン診察では、ビデオ通話をする場合が多いので、カメラが内蔵されていないパソコンを使用する場合は、別途Webカメラを購入する必要があります。 |
2.インターネット環境 |
通信機器をインターネットに接続して、ビデオ通話での診察を行います。 【ポイント】
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3.クレジットカード |
医療費の決済に使用します。 【ポイント】 医療機関によって利用できるカードが異なる(Visa・Masterのみなど)ので事前に確認してください。コンビニ決済、銀行決済、電子マネー決済を導入している医療機関もあり、そちらを選択するなら不要です。 |
4.保険証 |
アプリをダウンロードした後、患者情報を登録する際に必要。 【ポイント】
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この4つはオンライン診察に必ず必要になるものなので、実際に受診する医療機関を探す前に準備しておきましょう。
5.オンライン診察のメリット
ここからは、対面での診察にはないオンライン診察ならではのメリットを紹介します。
あなたにとって有益なメリットかどうか、判断しながら見ていきましょう。
5-1.受付や会計の待ち時間がなくなる
完全予約制であるオンライン診察は、決められた時間にアプリを起動するだけで、待たずに診察を受けることができます。
直接病院へ行った場合にかかる、「診察前の受付待ち」「診察後の会計待ち」といった時間をカットできるため、忙しい方でも隙間時間を利用して診察が受けられます。
5-2.24時間いつでも予約ができる
病院の営業時間を気にせず予約ができるというのも、オンライン診察の大きなメリットです。
電話予約しか受け付けていない病院で対面診察を受けようとしたものの、営業時間内になかなか電話がかけられず、ズルズルと次回の診察を引き伸ばしてしまうという方は多いのではないでしょうか。
オンライン診察なら、空き状況の確認から予約の手続きまで全てネット上で完結できるため、日中仕事の方も隙間時間を利用してスマートに予約ができます。
予約までのハードルが下がることで、継続的な診察や治療も受けやすくなりますよ。
5-3.自宅や外出先で診察が受けられる
毎回病院まで足を運ばなければならない対面診察とは違い、オンライン診察は場所を選ばずに診察が受けられます。
自宅にいながら診察が受けられるのはもちろん、万が一外出の予定が入ってしまった場合も、スマートフォンさえあれば出先からの受診も可能です。
できるだけ外出を避けて自宅にいたい方や、予定が流動的で病院へ行きにくい方にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
5-4.院内感染のリスクがない
院内で他の患者の病気をもらってきてしまう心配がないというのも、オンライン診察のメリットです。
体調を崩し抵抗力が弱まっていると、病院で他の病気にも感染してしまう「二次感染」のリスクが高まりますが、他人と接触しないオンライン診察ならこういったリスクがありません。
免疫が低く風邪やその他の感染症にかかりやすい子どもや高齢の方は特に、オンライン診察を積極的に活用すると良いでしょう。
6.オンライン診察のデメリット
続いて、オンライン診察のデメリットについて解説します。
実際にオンラインで診察を受けようとしてみてから「こんなはずじゃなかった!」と後悔しないよう、しっかりとチェックしておきましょう。
6-1.オンラインで対応できない検査や治療もある
遠隔で診察を行うオンライン診察では、以下のような検査や治療ができません。
【オンライン診察で対応できないもの】
- 触診(患部を軽く叩く打診・聴診器による聴診など)
- 採血
- 画像検査(レントゲン・MRIなど)
上記のような、医師に直接会わなければできない治療もあるというのは、オンライン診察のデメリットと言えるでしょう。
血液検査が必要になる循環器系の病気や、聴診器での診察が必須となる呼吸器系の病気の場合、オンライン診察を希望しても応じてもらえない可能性が高いです。
6-2.通信トラブルのリスクがある
オンライン診察はビデオ通話を使って行うため、通信環境や使用機器のトラブルが原因で、予定していた診療を行えない可能性もあります。
【通信トラブルによるオンライン診察の失敗例】
患者側が外出先のフリーWi-Fiを使ってビデオ通話に繋いだところ、通信速度が遅く通話が途切れてしまう
オンライン診察を導入したばかりの病院側の通信環境が整っておらず、予約した時間になっても繋がらない
このようなトラブルが発生すると診察が成り立たないため、せっかく事前に予約しても後日診察をやり直すことになってしまいます。
自宅で手軽に行えるのはオンライン診察のメリットですが、スムーズに行かない可能性もあるということを頭に入れておきましょう。
6-3.アプリの使い方に慣れるまで時間がかかるケースもある
使い慣れてしまえば便利なオンライン診察アプリも、はじめは手続きに手間取って、慣れるまでに時間がかかってしまう場合があります。
【アプリの誤操作によるオンライン診察の失敗例】
保険証番号などの登録した情報に不備があり、診察の予約や決済がスムーズに進まない
予約日時を間違えて入力してしまい、受けたかった日時に診察ができない
上記のようなトラブルが続くと、診察そのものが億劫に感じて医療機関を受診しづらくなってしまう可能性もあります。
スマートフォンやアプリの操作に慣れていないシニアの方などは、対面診察もしくは電話での診察の方が向いているでしょう。
このように、オンライン診察には良い面も悪い面もあるため
「原因がわからない体調不良は対面診察・軽い診察と薬の処方のみが必要な慢性疾患はオンライン診察を利用しよう」
「自宅のインターネット環境を整えるまでは直接病院に行って診察を受けよう」
といったように、状況に応じて適切に利用することが重要です。
7.オンライン診察と相性の良い疾患・悪い疾患
ここからは、オンライン診察相性の良い疾患と悪い疾患について解説します。
「6-1.オンラインで対応できない検査や治療もある」でも解説した通り、オンライン診察だけではカバーできない疾患もあるというのが医療現場の現状です。
そのため、オンライン診察を上手く活用するには相性の良い疾患と悪い疾患について知り、「こういった症状の場合はオンライン診察を利用した方がいい」といった線引きの基準を作ることが重要になります。
- オンライン診察と相性の良い疾患
- オンライン診察と相性の悪い疾患
それぞれ順番にチェックしていきましょう。
7-1.オンライン診察と相性の良い疾患
オンライン診察と相性の良い疾患は、簡潔に言うと
- 検査や治療が自宅で行える疾患
- 症状に大きく変化がない慢性期の疾患
です。
具体的には、次のような疾患が当てはまります。
オンライン診察と相性の良い疾患一例 | |
疾患名 | オンラインでの診察方法 |
糖尿病 |
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高血圧 |
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てんかん |
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花粉症 |
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軽度の湿疹 |
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上記以外の疾患も、触診の必要がなく医師が「遠隔でも診察できる」と判断すれば、オンライン診察が可能です。
症状が安定していれば、薬を定期的に郵送してもらえるケースもあります。
7-2.オンライン診察と相性の悪い疾患
オンライン診察と相性の悪い疾患は
- 検査を医療機関で行う必要がある疾患
- 急性期(急に症状が出る・症状の出始め)の疾患
です。
具体的には、次のようなものが当てはまります。
オンライン診療と相性の悪い疾患一例 | |
疾患名 | オンラインではできない診察 |
肺炎 (その他呼吸器系疾患) |
|
腎不全 (その他循環器疾患) |
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急な痛み (腹痛・胸痛・頭痛など) |
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疾患の原因特定に必要な検査が病院に足を運ばないとできない場合、オンラインで診察を完結させることは難しくなります。
上の表のような疾患の場合、オンライン診察に対応している医療機関でも、病状を伝えると「病院まで来てください」と言われる可能性が高いでしょう。
8.シニアの方もアプリを使いこなせる「らくらくスマートフォン」
「オンライン診察を受けてみたいけれど、スマートフォンの操作に自信がない…」という場合は、これを機にらくらくスマートフォンの利用の検討をおすすめします。
オンライン診察は、アプリのダウンロードや予約登録といった操作が必要になるため、スマートフォンの使い方に慣れていないシニアの方にはややハードルが高く感じるかもしれません。
シニアの方向けに作られた「らくらくスマートフォン F-52B」なら、機能がひと目でわかりやすく、アプリのダウンロードも簡単にできます。
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オンライン診察を受けてみたいシニアの方は、ぜひ「らくらくスマートフォン F-52B」でスマートフォンデビューをしてみてはいかがでしょうか。
9.まとめ
最後に、これまでお話した内容の重要ポイントをおさらいしましょう。
オンライン診察とは、スマートフォンやパソコンを使って、病院に行かずに診察が受けられる新しい診療の形です。
アプリをダウンロードして予約を入れれば、ビデオ通話で医師からの診察が受けられ、薬や処方箋も自宅まで郵送してもらえます。
オンライン診察のメリットとデメリットは、以下の表の通り。
メリット |
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デメリット |
|
また、オンライン診察には、向いている疾患と不向きな疾患があります。
オンライン診察に 向いている疾患 | 検査や治療が自宅で行える疾患や、症状に大きく変化がない慢性期の疾患 (生活習慣病・てんかん・花粉症など) |
オンライン診察に 向いていない疾患 | 検査を医療機関で行う必要がある疾患や、急性期の疾患 (肺炎・腎不全・急な腹痛など) |
患者側の症状や環境によっては、オンラインでの診察が向いていない場合もあるため、状況に応じてオンラインと対面の診察を使い分けることが重要です。
本記事の内容を参考に、オンライン診察のメリットを最大限に活かした医療機関の使い方ができるようになり、「新しい診療の形」が実践できることを祈っています。
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