
「一人暮らしの親が認知症になったらどうしたらいいの?」
「離れて暮らす親の様子が変。もしかして認知症…?…」
親御さんが一人で暮らしているだけでも不安なのに、もし認知症を発症してしまったとしたら…と考えると心配でたまらなくなりますよね。
実際、認知症の方の一人暮らしには様々なリスクがあります。
どうしたらいいか思い悩んでいる間にも、すぐさま問題が起きてしまう可能性があるのです。
そこで本記事では、認知症の一人暮らしで起きる問題と、その対策について解説します。
事前に知って備えておくことで大きなトラブルは避けられますので、しっかり読んで把握しておきましょう。
また、認知症の一人暮らしの限界はどこで見極めればいいのか、限界がきてしまったら子ども(家族)はどう対処するべきかを解説していきます。
記事のラストでは、認知症の高齢者が狙われやすい詐欺を抑止するらくらくスマートフォンについてもご紹介しますので、興味がある方はぜひ参考にしてください。
本記事でわかること
・認知症の一人暮らしで起こる6つの問題と対策
・認知症の一人暮らしの限界を判断するときについて
・一人暮らしが不可能になったときの対処法
この記事が、高齢者の一人暮らしの問題に悩むあなたのお役に立つことを祈っています。
目次
1.認知症の一人暮らしで起こる6つの問題と対策
一人暮らしで認知症を発症してしまうと、以下のようなさまざまな問題が起こります。
- 火の不始末
- 不健康な食生活
- 衛生面のトラブル
- 服薬トラブル
- 金銭トラブル
- ご近所トラブル
どれも認知症になるとすぐに、そして頻繁に、起きてしまう可能性のある問題です。
具体的な内容と、取るべき対策について解説しますので、いつでも対応できるように把握しておきましょう。
1-1.火の不始末
認知症の一人暮らしで起こり得る1番の問題として、火の不始末による火事のリスクが挙げられます。
認知機能の低下で注意力や判断力が低下するため、キッチンで火を消し忘れたり、お風呂のガスや暖房器具をつけっぱなしにするといったことが起こりがちです。
料理しようとしてボヤを起こしてしまう例も少なくありませんし、たばこを吸う方は火の不始末から生命の危険につながる場合もあります。
火事や事故を回避するために、以下のような対策をとるようにしましょう。
【火の不始末】への対策
・コンロがガスの場合はIHに変更する(火を使わないのでリスクが低くなる)
・介護保険サービスを利用して一人でいる時間を減らす
1-2.不健康な食生活
認知症の一人暮らしは、不健康な食生活に陥りがちです。
認知機能の低下から食事が作れなくなったり、物忘れの影響が食事に出てしまうのです。
具体的には次のような問題が起こります。
- 料理ができなくなる
- 同じものを食べ続ける
- 1日に何食も食べてしまう
- 食事を摂らないでいる
- パンやお菓子ばかり食べる
- 賞味期限切れのものを食べる
食生活の問題には以下のような対策を講じましょう。
【食生活問題】への対策
・お弁当を配達する配食サービスを利用する
・デイサービスなど通所系のサービスを利用して食事が摂れるようにする
・一緒に調理をしてくれる訪問介護を利用する
1-3.衛生面のトラブル
認知症の一人暮らしでは衛生面のトラブルが起こりがちです。
認知機能の衰えから、入浴をしなかったり、失禁などの排泄トラブルへの対処もできなくなったりします。匂いや汚れにも鈍感になってしまいます。
具体的には、次のような問題が挙げられます。
- 家の掃除を全くしない
- 着替えをしない
- 入浴しない(忘れる)
- 排泄トラブル
認知症の一人暮らしの方が不衛生なまま生活を送ることのないよう、以下の対策をとりましょう。
【衛生問題】への対策
・デイサービスを利用して定期的に着替えや入浴を行える環境を整える
・訪問介護や訪問看護を利用して定期的に衛生状態を確認できるようにする
1-4.服薬トラブル
薬の飲み忘れや重複、過剰摂取などの服薬トラブルは、認知症の一人暮らしでよくある問題です。
記憶障害から正しい服薬管理ができなくなってしまうのです。
服薬トラブルは体調に大きく影響します。
持病が悪くなったり、ひどいときは意識障害など危険な状態に陥るケースも考えられますので、以下のような対策をとってください。
【服薬トラブル】への対策
・飲む時間ごとに容器にわける
・薬カレンダーを活用する(飲んだかどうかがひと目で確認できる)
・医師に複数の薬をひとつにまとめる一包化をお願いする
・薬剤師に訪問指導を依頼する
・訪問介護(介護保険サービス)を利用して薬の管理を定期的に確認する
1-5.金銭トラブル
認知症の一人暮らしでは、金銭トラブルが起こりがちです。
認知機能の衰えから、忘れたり判断が鈍ったりしてお金の管理ができなくなってしまうのです。
具体的には以下のようなトラブルが考えられます。
- ガスや水道料金を支払わずライフラインを止められてしまう
- 高額な商品を次々に購入する
- 高齢者を狙った詐欺に遭う
- 新聞を何社も契約する
中でも注意したいのが光熱費の未払いで、ライフラインを止められてしまうと、生活が成り立たなくなり命が危険にさらされます。
金銭トラブルに備えて、以下のような対策をとっておきましょう。
【金銭トラブル】への対策
・光熱費は口座引き落としにする
・詐欺対策機能がついた電話を設置する
・通帳や印鑑の場所を確認、できれば預かる
・不要な契約をしていないか定期的に確認、あった場合は消費生活センターに相談する
1-6.ご近所トラブル
ご近所トラブルも、認知症の一人暮らしで起きがちな問題のひとつです。
認知症によって当たり前の物の善悪の判断ができなくなり、社会的に不適切な行動をとってしまう場合があるのです。
特によくあるのは以下のようなご近所トラブルです。
- 隣人に暴言を吐いてしまう
- ゴミの分別やゴミ出しの日を把握できないことで迷惑をかける
- ゴミ出しをせずゴミ屋敷になって臭いなどで迷惑をかける
- 被害妄想でものを盗られたなどと騒ぎを起こす
ご近所トラブルは一人暮らしの高齢者にとって大きな障害になりますので、サポートしてもらえるよう対策を講じなくてはなりません。
【ご近所トラブル】への対策
・地域の自治体やケアマネージャーに相談しておく
・訪問介護を利用してゴミ出しをしてもらう
・隣近所に前もって事情を話して理解してもらうようにする
ここもチェック!
【地域包括支援センターを利用しよう】
介護保険サービスなど自治体のケアを受けるのが初めての人は、『地域包括支援センター』に相談することをおすすめします。
地域包括支援センターとは?
介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」。
専門知識を持った職員が、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように介護サービスや介護予防サービス、保健福祉サービス、日常生活支援などの相談に応じており、介護保険の申請窓口も担っています。
利用条件は?
対象地域に住んでいる65歳以上の高齢者、あるいはその支援に関わっている方が利用できます。
相談したい人と高齢者が離れて暮らしている場合は、介護が必要な高齢者の住む地域のセンターが担当になります。
離れて暮らしている親の様子に不安を感じたときには、親が住む場所の地域包括支援センターに相談してみましょう。
地域のセンターの連絡先は介護保険担当の窓口に問い合わせてください。
市区町村のWebサイトでも探すことができます。
2.認知症の一人暮らしには限界がある
認知症の一人暮らしで起こる問題への対策を解説しましたが、残念ながらこれらの対策には限界があります。
認知症が進んで以下のようなことが起きてしまった場合には、一人暮らしをやめる選択をしなくてはなりません。
- 本人の命に危険が及ぶ
- 近隣への危険行為
- 詐欺に遭う
それぞれ詳しく解説します。
一人暮らしの限界はどこなのかを見極めるために、よく読んで覚えておきましょう。
2-1.本人の命に危険が及ぶ
命に危険が及ぶようなことが起きてしまった場合は、一人暮らしは限界と考えるべきです。
長く一人暮らしを続けている高齢者では、孤独死のリスクから目を逸らすわけにはいきません。
内閣府の高齢社会白書によると東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は平成15年には451人だったのが、平成28年には3,179人にまで増加しています。
また、先に述べたような不健康な食生活や服薬トラブルは、特に持病を持つ人にとっては命とりになりかねません。
火の不始末や徘徊によるトラブルも、1つ間違えば命を脅かす大惨事につながります。
他にも、高齢者は自律神経の衰えから暑さに気づきにくくエアコンを使用しないせいで、熱中症で亡くなるケースも少なくありません。
さまざまな対策を講じても、生命を脅かすような出来事が1度でも起きたときには一人暮らしを解消することを検討してください。
2-2.近隣への危険行為
近隣への迷惑行為が、どんな対策を講じても対処できないほど頻発したり、手に負えないレベルになってしまったら、それは一人暮らしが限界だというサインです。
認知症で物の善悪の判断ができなくなり、ご近所に迷惑な行動をとってしまうことがあると前述しましたが、それがエスカレートすると、迷惑を通り超して近隣の方の身に危険が及んでしまいます。
たとえば以下のようなことです。
- 近隣の庭や家に勝手に入り込む
- 近隣のドアを叩いたり、破壊したりする
- 夜中に大声で叫びながら近所を徘徊する
- 注意した人に暴力をふるう
このような行動をしてしまう場合は、一人暮らしが限界にきていると考えた方がいいでしょう。
2-3.詐欺に遭う
オレオレ詐欺や架空請求、アポ電などの特殊詐欺(※)に遭ってしまう、もしくは危険にさらされた場合は、一人暮らしが限界にきていると考えてください。
(※)犯人が電話やハガキ等で親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードを騙し取ったり、犯人の口座に送金させる犯罪のこと
警察庁が2019年にまとめた報告では、特殊詐欺認知件数1万6836件のうち高齢者(65才以上)の割合はなんと65%に達しています。
認知症を発症していなくても、高齢者は老いによって判断力や理解力が低下しているため、若い人よりも騙されるリスクが高いのです。
次から次へと新しい手口で狙ってくる詐欺師にとって、認知症で一人暮らしをする高齢者ほど騙しやすい存在はいないでしょう。
長年蓄えてきた大切な財産が、詐欺によって失われることを防ぐためにも、詐欺などの金銭トラブルが起きたときには一人暮らしの解消を検討してください。
ここもチェック!
【電話詐欺に気をつけよう】
高齢者を狙った特殊詐欺の中でも特に注意したいのが、オレオレ詐欺などの電話詐欺です。
大切な老後の資金が奪われないよう、できる限り普段から詐欺の危険について親御さんと話しておくようにしましょう。
昨今の詐欺の実情、手口などを話題にすることが注意喚起になります。
また、家族間で「合い言葉」を決めておくというのも効果的な対策です。
その場合は名前や生年月日など知られやすいものでなく、家族にしかわからない言葉を選んでください。
認知症の高齢者は覚えられなかったり、焦って咄嗟に答えられないことも考えられますので、電話の側にメモに書いて貼っておくと良いでしょう。
※高齢者詐欺対策に効果的な迷惑電話防止機能搭載の「らくらくスマートフォン」について、4章で解説します。
3.認知症で一人暮らしが不可能になったときの対処法
認知症の一人暮らしには限界があることを解説しましたが、いざ、一人暮らしが不可能になってしまったときはどうしたらいいのでしょう。
一人暮らしは出来ないと判断したとき、取るべき対処は下記の二択です。
- 家族と同居する
- 施設に入居する
それぞれについて説明します。
どちらにもメリットとデメリットがありますので、参考にして頂けたらと思います。
3-1.家族と同居する
認知症の一人暮らしが不可能になったとき、まず考えられるのが、子ども(家族)が同居して介護を行う方法です。
親と子どもの意思疎通があって心の距離が近い場合は、親にとって一番嬉しい、安心感のある介護になります。
子ども側からいっても、そばにいて見守ることができるので、何かあったときすぐに対応できるという意味で安心です。
ただし、常にそばにいるということは目を逸らしたり、気分が乗らないからといって逃げることができないということです。
そしてそれは、「いついつまで」という限定的な期間が定められたものではありません。どこまで続くかわからない道のりになるのです。
また、子どもが仕事で忙しかったり、日中留守にしている家庭では、配偶者や孫に大きな負担がかかる場合があります。それが原因で、家族間でのトラブルが生じることも稀ではありません。
家族との同居は安心感がある一方で、介護者の精神的、肉体的な負担が大きく、始めるには相応の覚悟が必要になります。
【家族と同居する】
メリット |
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デメリット |
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こんな人におすすめ |
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3-2.施設に入居する
同居が難しい場合には、施設に入居して介護を受けるという選択肢があります。
ケアスタッフが24時間在中しているので、親御さんを見ている人が誰もいないという不安からは解放されます。
高齢者側にも、身内に負担をかけるより、介護の心得のある専門スタッフに見守られたいという希望を持つ方は少なからずいます。
子ども(家族)側のメリットは、生活を変えなくて済む上に、親の様子は常に把握できるという安心感です。
ただし、施設入居には当然安くない費用がかかります。
施設への入居には、費用面を含めて、施設を終の住み処とすることに抵抗はないかなど、親との話し合いが必要です。
【施設に入居する】
メリット |
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デメリット |
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こんな人におすすめ |
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4.らくらくスマートフォンで高齢者を詐欺から守る!
昨今、高齢者のスマホ所有率が高まっていることから、自宅電話ではなくスマートフォンを利用した電話詐欺が増えつつあります。
スマホユーザーを狙った詐欺から高齢者を守るために、FCNTのらくらくスマートフォンをおすすめします!
株式会社NTTドコモモバイル社会研究所の2019年の調査によると、今や60代のスマホ所有率は70%、70代でも40%を超えています。
それだけ広い世代がスマートフォンを便利に活用できるようになったということですが、比例してそれにつけ込んだ犯罪が増えているのです。
らくらくスマートフォンには、そうした犯罪から高齢者を守るため、「還付金詐欺対策」機能、「迷惑電話対策」機能、あんしんを強化する「らくらく迷惑メール判定」機能という3つの機能が搭載されています。
これら3つの機能がそれぞれどのような機能で、どのように詐欺対策に有効なのかを解説します。
4-1.着信時に有効な「迷惑電話防止」機能
らくらくスマートフォンでは、「迷惑電話防止」機能を簡単に設定することができます。
この機能を設定すると、電話帳に登録していない番号から電話がかかってきた時、相手に会話を録音する「この通話は迷惑電話防止のために録音されます」という音声メッセージが流れます。
一方、スマホ側は専用の着信音が鳴って「迷惑電話にお気をつけください」と注意喚起があり、電話に出ると通話の録音が開始されます。
こうした注意喚起があることで、詐欺電話に無防備に出ることが防げます。
詐欺師側も警戒して実行を諦める可能性が高まります。
仮に詐欺電話に出てしまったとしても、会話が録音されていることから、家族や警察に相談しやすくなり、詐欺被害の抑止になります。
4-2.通話中に有効な「還付金詐欺対策」機能
らくらくスマートフォンでは、「還付金詐欺対策」機能を簡単に設定することができます。
この機能を設定すると、電話帳に登録していない相手から発信した通話の内容に詐欺と思われる会話を検出すると、通話している双方に詐欺の警告を行います。
具体的には、会話の中に『振込』『ATM』といった詐欺が疑われるキーワードを検出したとき、発信者、通話相手双方に「この通話は迷惑電話防止のために録音されます」という音声での警告が流れます。
さらに、発信者のスマホ画面に『還付金詐欺に関するキーワードを検出しました。録音している旨を相手へお知らせしている間、一時無音になりますが、その後通話できます。』という文章が表示されます。
詐欺と気づかず『還付金を受け取らなければ!』と焦って架電した高齢者も、こうした警告があればそこで気づいて電話を切れば騙されないで済みます。
仮にこちらが電話を切らなくても、相手側が警戒し実行を諦める可能性も高まるでしょう。
4-3.あんしんを強化する「らくらく迷惑メール判定」機能
らくらくスマートフォンでは、「らくらく迷惑メール判定」機能を簡単に設定できます。
この機能は、見ず知らずの相手から口座への振り込みなどを依頼するメール及びメッセージを受信した際に、容易く信じてしまわないよう注意喚起を呼びかける機能です。
たとえば、買った覚えもない商品に対して「期日までに支払わないと法的手段に訴えます。」という内容のメールが来ることがあります。あるいは、使った覚えがないのに高額なインターネット料金請求のメッセージを受信するケースも考えられます。
こういった場合、メールに慣れている人であれば無視して済ませられますが、不慣れな高齢者の場合、慌てて確認の電話や返信をしてしまうことが往々にしてあるのです。
らくらくスマートフォンで「迷惑メール判定」を設定しておくと、現金を騙し取る目的の迷惑メールである可能性が高いと判定された場合は注意メッセージが表示されるので、冷静な判断ができます。
いかがでしょう。
万一、あなたや親御さんが不審な電話やメールを受信された場合は、送り主へ電話やメールは返さず、周りの家族や警察に相談するようにしてください。
らくらくスマートフォンなら、よく電話する家族の連絡先をワンタッチダイヤルに登録することができます。登録しておけば、万一の場合、ワンタッチで電話やメールをすることができて便利です。
5.まとめ
認知症の一人暮らしではさまざまな問題が頻繁に起きてしまう可能性があります。
大きな事故につながることのないよう、地域の包括センターへ事前に相談して、福祉サービスや生活支援などが受けられるよう手を打っておくことをおすすめします。
どんな対策を講じても、命に危険が及んだり、近隣への迷惑がエスカレートした場合には、一人暮らしの解消を検討せざるを得ません。
記事を参考に、親御さんとご家族双方にとって1番良い形の対処法を選んで頂けたらと思います。
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