
高齢の親が1人暮らしをしていることで起きる問題には、どんなものがあるのだろう?と気がかりですよね。日々の生活の中である、ちょっとしたことでも、高齢になると大きな問題になることもあります。
離れた場所にいる高齢の親を、1人暮らしのトラブルから守ってあげるために、子世代が知っておくべきことと、もっと良く見守れる方法などを、次のようにまとめました。
- 高齢者の1人暮らしで起きやすい3大問題
- 離れて住む親(高齢者)の1人暮らし問題を解決する方法
- 親のホーム入居を検討する2大タイミング
- ホーム入居に役立つ 施設の特徴と料金めやす
最後まで読みいただければ、あらかじめ気を付けてあげるべきポイントと、してあげたほうが良い見守り強化などがわかり、高齢者の1人暮らしで起きやすい問題を最小にしてあげることができます。
1. 高齢者の1人暮らしで起きやすい3大問題
本章では、高齢者の一人暮らしで起きやすい問題を3つにまとめています。
1-1.問題1 病気・ケガ・孤独死の問題
ちょっとした病気やケガなどが元で、生活が不自由になることが考えられます。生活が今まで通りにならないことが原因で、持病の悪化や、身体機能の低下がする可能性が高まります。
誰かがそばにいれば、日々のちょっとした変化にも気が付いてあげられますが、1人で暮らしているがゆえに、病気やケガ、持病の悪化につながることがあります。
また、高齢者の1人暮らしで心配なのは、万が一のときに自分で救急車や助けを呼ぶことができずに、誰にも看取られることなく死後発見される「孤独死」に繋がってしまう可能性があることです。
多くの高齢者の命にかかわるようなトラブルは、実は、家の中で起きています。以下は、高齢者の一人暮らしで不慮の事故につながることが多い原因3つです。
1-1-1. 高齢者1人暮らし 不慮の事故3大原因 つまる・おぼれる・ころぶ
厚生労働省の調査によれば、高齢者の「不慮の事故」によって亡くなる3大ケースは以下の通りです。
1.つまる
誤嚥や誤飲による窒息死です。おひとりだと助けを呼ぶことができずにトラブルとなります。誤飲誤嚥するものは、米類・餅・肉などの食品以外にも、薬・入れ歯・袋(飴の包み紙など)があり、ほとんどが、毎日の生活の中にあるものです。
高齢になると唾液の量が少なくなるため、飲み込む力が弱くなると同時に、吐き出す力も弱まってしまいます。そのため、誤飲誤嚥をすると、命にかかわる可能性があります。
2.おぼれる
入浴前後のヒートショックにより意識を失い、風呂桶内(バスタブ)で溺れてしまう事故です。そのほか、浴室や脱衣所の温度差によるのぼせ・立ちくらみなどで転倒することもあります。
高齢になると血圧変化を起こしやすくなり、体温調整機能も低下しがちになるため、血圧差・寒暖差によるヒートショックを起こしやすくなります。また、四肢の筋力が弱っているため、すべりやすい浴室やバスタブ内では、踏ん張れないことが原因でカンタンに転んでしまうことが増えていきます。
3.ころぶ
ころぶケガの発生場所は居室が最も多く、具体的には、床に置いていた物や敷居につまずく、敷物や電気コードに足がひっかかってころぶといったものです。ころぶことそのものが即・命に関わるわけではないのですが、転んだことが原因で
- 大腿骨などの主要な骨をケガした結果、急速に身体機能が悪化して、寝たきり・要介護につながっていきます。また、身体機能の低下により体力が低下するため、持病のある方は悪化しやすくなります。
- 転んで頭部や顔面を強打することにより、脳の損傷をうけます。予後が良くない場合は、急性硬膜下血腫、脳挫傷等につながることがあります。
- 転んでケガなどの外傷を負うことが原因で、外出を恐れて家に閉じこもりがちになり、活動量が低下して、身体機能が急速に低下していきます。
上記以外にも、近年は、猛暑による熱中症による事故も増えています。高齢者になると室内で普通に暮らしているだけでも 病気・ケガ・孤独死の可能性が高くなります。
【参照:武藤芳照、金子えり子「高齢者の転倒予防の基本理念と実践」】
【参照:高齢者白書 第2節 高齢期の暮らしの動向(4)生活環境】
【参照:消費者庁 高齢者の事故の状況について】
【参照:東京消防庁『STOP!高齢者の入浴中の「おぼれ」』】
【参照:厚生労働省『人口動態統計』第6表死亡原因から抜粋】
◆コラム◆今どきの高齢者が1人暮らしを選ぶ理由
5年ごとに行われる内閣府の調査によれば、65歳以上の高齢者の一人暮らしは男女ともに年々増加中であり、2040年の時点で人口の24.5%が1人暮らしの高齢者になることがわかっています。下図は2010~2040年までの1人暮らしの高齢者の、増加傾向の一部をグラフ化したものです。
【参照:内閣府 令和2年版高齢社会白書(全体版) 家族と世帯】
高齢者が1人暮らしを選ぶ理由には、大きくわけて以下の二つの理由があります。
- 今の暮らしに満足している
- 頼りになる人が近くはいないため、1人暮らしになっている
一つ目は、今の暮らしに満足をしているため、今まで通りの生活を、今の家(今住んでいる家・または環境)でしていきたいと本人が希望しています。このタイプの高齢者は「1人で住む」ことを自ら選択しており、人様に頼らなくてはならない時が来るまでは、自分のできる範囲で生活していくことを強く望んでいます。
もう一つは、子や孫などの、ちょっとした手助けなどを気軽に頼める人が近くに住んでいないため、不安は抱えているものの、普段は1人暮らしになっているケースです。しかし、この場合でも、手助けを希望するのは自分が病気やケガをした場合のみで、それ以外の時には、なるべく自分のできる範囲での暮らしを希望しています。
他の調査結果*からも、65才以上の人がいる家庭のうち、単独世帯は全体の20%、夫婦のみ世帯は28.6%であり、全高齢者の半数近くは、子世代とは世帯を別にして住んでいることがわかります。
つまり、現代の高齢者は「住み慣れた実家にこのまま住み続け、できる限り家族には依存せず、福祉の力も借りながら自力で暮らしていく」というライフスタイルが主流であり、一昔前の「老いては子に従え」のような、最初から全てを子供の世話になって生きていくという選択を自らはしないため、今後も、1人暮らしの高齢者は増えていくことになります。
【参照:内閣府 平成27年度 高齢者の経済生活に関する意識調査結果(全体版)】
【参照:内閣府 平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査結果(全体版)幸福感、不安に関する事項】
【参照:厚生労働省 「高齢社会に関する意識調査」の結果を公表します】
【参照*:内閣府 高齢化の状況 「高齢者と家族」】
1-2.問題2 話し相手不足による鬱・認知症の問題
話し相手などがいなくなることによる、鬱や認知症の問題です。
1-2-1. まず、出かけるのが面倒になる
親が長く住んでいる地域であっても、高齢化してくると、世代交代によって自然とおつきあいをする人が減っていき、人と話す時間や出かける時間が減ります。その結果、 一日のうちに1人でいる時間が増えるため、
- 身なりを整えて外出の準備をする
- 約束の時間に合わせて計画的に動く
- 相手の話に合わせて様々な会話をする
など一連のことがストレスに感じられ、外出自体を面倒に感じるようになります。その結果、久しぶりに誰かから誘いの声がかかっても、喜びよりも「面倒くさい」という気持ちのほうが高くなってしまい、誘いを断ってしまうようになります。その結果、ますます出かけなくなるという悪循環を生み出します。
1-2-2. 気が付くと1日テレビの前
人付き合いが減ると、一週間、一か月などの先のスケジュールが埋まりにくくなるため、時間を持て余してしまうようになります。その結果、一日中テレビの前にいることが多くなります。テレビは、情報はたくさん入ってきますが、受動的な状態ですので、テレビばかり見ている時間が長くなると、人との会話がうまくできなくなってしまうことがあります。
上記のような条件が揃った期間が長くなると、次第に認知機能の低下を招き、以下のような脳の機能が低下していくことがあります。
- 物事や自分の置かれている状況を把握する
- 言葉を自由に話す
- 計算をする、学習する
- 何かを記憶する
- 問題解決のために深く考える
上記の機能は、高齢になると誰でも少しずつ衰えていくものですが、そういった自然な老化によるものとは違う脳機能低下が起きてきます。放置しておくと、認知症へつながる可能性が高まるため、1人暮らしでも、毎日誰かと話したり、出かけたりすることはとても大切です。
また、人と会わない状態が続いていることが原因で、さみしく感じる気持ちが、だんだんと強い孤独感や悲壮感へとつながっていき、老人性うつの状態になる可能性もあります。
【参照:高齢化白書 第2節 高齢期の暮らしの動向(4)4 生活環境 地域との付き合い】
【参照:公益財団法人長寿科学振興財団 認知機能の老化】
【参照:厚生労働省 老人性うつについて】
1-3.問題3 食事と日常生活の問題
1人で暮らすと、必然的に1人で食事や家事をすることになります。家事炊事がお好きな方・得意な方は問題がありませんが、それ以外のケースでは、以下のような食事と生活に関する問題が起きてきます。
1-3-1.食生活の問題
高齢者が一人暮らしでいることで起きる、食生活の乱れに関した問題です。さまざまな理由で食の管理が悪くなり、体力の低下を招きます。
・面倒になって食事をとらなくなる
3度の食事の準備を面倒に感じ、空腹を感じたときにしか食事をとらないようになる傾向があります。一日に必要なエネルギーをとらないと、筋力が低下していって運動能力が下がり、体力が衰えていきます。
・食が細くなり、栄養失調になる
身体的には運動不足、精神的には生活のハリ不足などが原因で、活動量が減ります。一日に消費するエネルギー量が少なくなるため、空腹やのどの渇きを感じにくくなります。その結果、次第に食が細くなってしまい、栄養失調気味になり、体力が一気に低下してしまうことがあります。
高齢者は一度食が細くなると、胃腸の消化機能なども低下してしまうため、元の食事量に戻すのにとても苦労することになります。
・好きなもの、簡単なものばかりを食べて栄養が偏る
食事をしていても、基本的には自分が好きなものや、カンタンに調理ができるものばかりを食べるようになりますので、栄養の偏りによる持病の悪化などが懸念されます。また健康な方でも、偏った食事は高血圧や糖尿病など、生活習慣病の要因になります。
1-3-2. 日常生活の問題
日常生活全般に関する問題です。
<家事などの問題>
部屋の片づけがだんだんとできなくなります。高齢者の1人暮らしは、訪問者も極端に少なくなっていくことから、掃除洗濯などの、部屋を美化・整頓する頻度が極端に減っていく傾向があります。
例えば、定期的に知人友人が来る予定などがあれば、その日程に合わせてゴミを片付け、掃除などをしていくきっかけになりますが、そのようなことが無いと、家事は自分の気が向いたときにすればよいものになっていきます。また、高齢者は活動能力も低下しており、テキパキと動けないため、
- 掃除機を出してかけて、しまう
- 雑巾を絞って、汚れた窓ガラスを拭く
- 食器を洗って戸棚にしまう
- 洗濯をして干してたたむ
- ゴミを分別して決められた曜日にゴミ捨て場に持っていく
などの一連の家事作業が、とても面倒くさいことに感じます。その結果、部屋の中に、洗濯物・ゴミ・洗っていない食器などがたまっていきます。また、自分が住んでいる部屋が汚いことで気が滅入り、心身に不調が起きると、身だしなみにも気を使わないようになっていくことがあります。
<その他の日常生活の問題+認知症の問題>
その他の生活に関する問題は、高齢者ならば誰にでも起きる可能性がありますが、認知症の症状が重なるとさらに深刻になります。
- 水や火の不始末
高齢化すると忘れっぽくなりますので、電話や宅配荷物の受け取りなどで、家事を一時中断すると、その前にしていたことをすっかり忘れてしまうことがあります。例えば、
- お風呂に水をためていたことを忘れていて、バスタブから水があふれている
- 調理中であったこと自体を忘れてしまい、鍋が焼け焦げる
等があげられます。とくに、火と水は、ケースによっては大惨事を招く可能性もありますので注意が必要です。ある程度の年齢になると、良くあることではありますが、頻繁に起きるようでしたら、脳機能に問題が出ている可能性があります。
- 服薬管理
服薬の管理がうまくできなくなります。そのため、投薬を忘れる、または過剰接取による持病悪化の可能性が高まります。持病のある方は、家族が定期的に訪問し、適正な量が減っているかをチェックしていく必要があります。
- 金銭管理
自分の財布にいくら入っているか、口座にいくらお金があるかなどの、金銭管理でのトラブルが増えます。お財布の中身の問題は、子供が定期的にお金の出し入れなどを管理してあげればよいのですが、
1人暮らしをしている高齢者を狙う、羽毛布団や浄水器などの高額商品への悪徳商法や、投資詐欺被害などは、離れて住んでいると防ぎようがなく、トラブルに合う可能性が高まります。
- ご近所トラブル
地域にもよりますが、ゴミ出しの仕方や曜日などの問題でご近所トラブルになることがあります。曜日や場所が変わったことや、不燃・可燃ゴミの仕分けをしていないなどが主な原因になります。
また、実際にはそのようなトラブルがないのに、何かしらのクレームをつけられたという被害妄想を起こすタイプのトラブルもあります。
【参照:筑波大学大学院 山岡明奈 溜め込みは何をもたらすのか】
【参照:厚生労働省 認知症施策の総合的な推進について 認知症高齢者の日常生活自立度】
2.離れて住む親(高齢者)の1人暮らし問題を解決する方法
本章では、子世代と離れて住んでいる高齢者の1人暮らしで起きる問題を、今の状態のまま(遠隔のまま)で解決する方法をまとめてあります。
2-1. 離れたままでサポート 同居は必ずしも正解ではない
離れて暮らす親を守るためにできることで、真っ先に頭に浮かぶのは「同居」だと思いますが、同居は必ずしも正解ではありませんし、必ずしも成功するとは限りません。今まで別々の生活をしていた、違う世代の人間が同居をする場合、
- 生活音
- 生活スタイルとサイクル
- 食の好みやタイミング
など、毎日の生活すべてに気を使うようになり、互いに大きなストレスが溜まります。この状態に介護もプラスされれば、家族の負担は重大なものになり、1人暮らしで住んでいた親の心配は解決できても、新しいトラブルを抱えることになります。
また、一度始めた同居を解消することは、家族間の遺恨の原因にもなりやすいため、1人暮らしでいる高齢の親の呼び寄せは、慎重にすべきでしょう。同居を実行する前に、まずは、今すぐできることをしていきましょう。
まずは、離れて暮らす高齢の家族に異変が起きたときに、安否確認ができ、必要な時に必要な対応をするために、たくさんの見守りの目を配置しましょう。
2-1-1. 地域包括支援センターへ相談に行く
地域包括支援センターに、親の見守りに必要なことや、できることがあるかを、相談・確認しに行きましょう。相談料は無料です。
地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムという、高齢者で介護が必要になっても、できる限り自宅や地域で暮らし続けられるようにするための国家支援体制の、最初の窓口となる場所です。
地域包括支援センターには、介護・医療・保健・福祉などの専門知識を持った職員が、介護と介護予防などをはじめとした、高齢者にまつわる問題の総合相談受付窓口として専門的な意見を出してくれます。
地域包括支援センターは、何かあった時に、30分以内にかけつけて必要な対応ができることを目指していますので、現在の親の状況や今の暮らし方などを含めて相談すると、今~これから先の見守りと安否確認方法などの提案をしてくれます。介護保険の適用などが必要であれば、その場で申請もできます。
地域包括センターが主体となって地域ごとで行っている見守りには以下のような、さりげない見回り方法があります。
- 自治会主体で、地域高齢者の見守り巡回に準じたことを行う
定期的な自治会主催・自治会役員の持ち回り・お知らせ配布・回覧板などで定期的な高齢者見守りを発生させる。
- 地域のお祭りやイベントを通じての見守り
地域のお祭りやイベント(餅つき大会・花見・BBQ・子供会・敬老会)・ゴミ拾い会・掃除当番・防犯 の見守り・交通安全活動等を通じて、地域全体で定期的な見守りをします。
家族は、このようなイベントにできる限り参加し、親を取り囲む地域の人的ネットワークを把握しておけば、何かあった時に、地域包括センター以外にも、地域の誰に連絡を取れば最速で安否確認ができるかなどを遠くからでもコントロールできるようになります。
親の住んでいる地域の市役所・区役所サイトの「保健・福祉」のページから確認するか、自治体の役所に直接電話をして確認します。基本的に自治区内であればどこのセンターでも問題ありませんが、介護保険を利用する場合は、地域ごとに担当範囲がありますので、できるだけ、親の住所のある管轄区で相談をして下さい。
【参照:地域包括支援センターの業務】
【参照:高齢者などの見守りガイドブック】
2-1-2. 各種見守りサービスへの登録
複数の民間企業などが行っている見守りサービスへ、予算の範囲で登録をしましょう。
- 郵便局
郵便局には、3種の見守りサービスがあります
月に一回、郵便局社員が、指定された家へ30分の訪問をして、選択した7~10の見守り確認事項を目視と会話で確認をしてくれます。親の生活状況は、訪問後、指定された連絡先へ報告します。
毎日決まった時間に、自動音声での状況確認を行い、その結果を、指定された家族と地域サービスに報告するサービスです。
②の電話サービスのオプションとして、緊急時に家族からの要請で警備会社が駆け付けるサービスです。
- ガス会社・電力会社 見守りサービス
各自治体のガス・電気などのインフラに関した事業で、高齢者の見守りサービスがあります。
例えば東京ガスでは、離れて暮らす親への見守りとして、丸一日ガスの使用がなかった時に登録している連絡先に通知がいく「ガス未使用サービス」があります。また、ご実家にホームゲートウェイという機械を設置すると、親のお出かけと帰宅が随時、登録メールへと通知される「おかえり確認」があります。
水道局では現在、水道使用量による見守りサービスの検討段階にあり、スマートメーターをつけている家屋から、採用をしています。
【参照:東京ガス】【参照:大阪ガス】【参照:九州電力】【参照:東京電力】【参照:東京都水道局見守りサービス実地実験の結果について】
- 日立 遠隔見守りサービス
親の家に活動センサーを設置し、親の室内での活動状況を、アニメーションで表示して通知する方法です。動画ではないので、親のプライバシーも守りながら、子供は親がどの程度活動しているかを把握できます。静かな呼吸も正確に拾える感度の良いセンサーのため、睡眠・家事・寛ぎの時間などが正確にデータとアニメで表示されます。離れて住んでいても、一緒に暮らしているのと同じくらい、正確に一日の様子がわかります。
また、冷蔵庫などの日立製の家電の利用状況で安否確認をする方法もあります。
【参照:日立見守りサービス「ドシテル」】
【参照:ご家族見守りサービス】
- ALSOK 見守りサービス
室内に設置したボタンひとつで、24時間365日いつでも、警備会社社員が駆け付けるサービスや、自宅に設置したカメラを家族が確認し、必要に応じて警備会社社員が訪問確認をするサービスがあります。
【参照:高齢者シニアみまもり】
- クロネコヤマト 見守りサービス
よく使う部屋の電球を、クロネコヤマトが指定する電球に変えるだけで、一日のうちにトイレ・廊下・浴室・キッチンなどの移動や、スイッチのオン・オフで活動状況を確認し、配達があるときの再配達の申し込みがない、家族からの要請があった場合は、自宅まで配達員が安否確認に行きます。必要な場合は、地元の地域包括支援センターへ連絡をしてくれます。
また、配達業のクロネコヤマトらしい、買い物代行を兼ねた見守りサービスがあります。買い物が困難な高齢者が電話で品物を注文し、地元のスーパーマーケットが品物を用意、クロネコヤマトの配達員が品物をピックアップして配達し、あわせて高齢者の健康状態やお困りごとをチェックして、報告をします。特に、市街地や商店街がある場所までの距離がある地域では、自治体で加入していますので確認してみましょう。
【参照:クロネコヤマト 見守りサービス】
- ヤクルト 愛の訪問活動
1972年から続けられている、高齢者向けのサービスです。毎日の個別宅配をするヤクルトの地域担当者は、地域の家と人に精通しています。毎日の宅配訪問でヤクルトを玄関先で手渡しをし、ちょっとした立ち話などをしながら高齢者の健康状態などをチェックします。毎日、顔を合わせるからこそわかる小さな変化に気づき、必要な場合は自治体への報告をしています。配達の部分以外は、ヤクルトレディのボランティア活動ですので、まさに「愛の訪問活動」です。
ヤクルトの配達登録が必要ですが、健康にもよい乳酸菌飲料ですので、比較的、手軽に始められる安否確認サービスです。
【参照:ヤクルト】
このような1人暮らしの高齢者のための見守りサービスは全国各地に複数あり、地域でしかしていないサービスもあります。見守りサービスに関する総合情報も、地域包括支援センターにありますので、まとめて情報を得られます。
2-1-3. 見守りアプリの登録
スマホの見守りアプリを使って、子供が親を直接的に見守る方法です。見守りアプリには、無料のものが多く、1つのアプリに多くの機能が揃っているものはないので、必要な見守り方法を選んでインストールします。見守りアプリには、だいたい、以下のような4つの目的機能があります。
1.位置情報で安否確認
親のスマホGPS機能をオンにしておけば、親の移動ルートをチェックすることができ、お出かけをしたかどうか、通院をしているかどうかなどが遠隔で把握できます。また、現時点で、親がどこを歩いているのかも地図上で把握できます。
情報共有をSNS形式にもできるため、グループを作っておけば、家族および関係者全員が、同時に親の位置情報が確認できます。
【参照:位置情報特化型見守りアプリ Life360 Android版・iPhone版 】
2.モニタリングで安否確認
古いスマホを在宅カメラとして使って常時モニタリングができます。内蔵カメラを使って、自宅内を広範囲見わたせます。スマホ機能も使えますので、遠隔のまま声かけをするなどの会話もできます。
課金をすれば12か月連続での動画保存もできますので、万が一の場合は、トラブルの元になった映像なども、さかのぼって確認ができます。
もともとはベビーモニターやペットモニターとして採用されていましたが、現在では、高齢者の見守り安否確認や、コインランドリーなどの遠隔監視にも利用されています。
【参照:遠隔監視カメラAlfred Android版・iPhone版】
3.災害時・緊急時の安否確認
災害時や緊急時にSOSを簡単に出すことができる防災アプリです。非常時には、家族全員がどこにいるかを一度に確認でき、東日本大震災後、多くの人が利用している信頼のあるアプリです。
設定を変更すれば、非常時以外にも位置情報確認のアプリとして使えます。どちらの設定でも、緊急時にSOSメールを出すことができるので、突然具合が悪くなった時などは、「緊急ボタン」を押せば、現在地が記載されたメールが、登録グループに配信されます。
4.毎日、本人が安否確認の連絡をする
LINEを使った、スマホでの安否確認のための無料サービスアプリです。多くの高齢者もスマホユーザーとなり、LINEを使うようになっています。LINEは家族も普段から常用しているため、お互いにLINEアプリを確認する習慣があるため、安否確認のしやすいアプリです。
普通にLINEを使いこなせて楽しめる高齢者であれば問題ないのですが、中には文字を打つのが苦手な方や、メールなどの返信が面倒に感じる方もいらっしゃいます。そういう方にも、普段の安否確認として使えるようにしたものです。
設定は親のスマホのLINEアプリにします。LINE見守りサービスで設定した回数だけ、親のLINEに安否確認のラインが行きます。親本人がそれに「OK」ボタンを押せば、安否確認が終了します。
通知から24時間、安否確認の「OK」がタップされない場合は、再度確認通知を送り、再送後3時間以内に確認が取れない場合は、見守りサービス事務局が親本人に直接、メールか電話で連絡をします。それでも連絡がつかない場合は、登録された子世代に連絡が入ります。
基本無料ですが、グループラインでの活用の場合は、費用が発生します。
【参照:NPO法人エンリッチ LINE見守りサービス 直接ラインに飛びます】
◆コラム◆ひとりでも、家族でも使えるSNSや掲示板の活用
1人暮らしの高齢の親がテレビばかりみている場合は、らくらくコミュニティの利用をすすめてみましょう。らくらくコミュニティとは、FCNT株式会社が運営する、ミドル・シニア世代の登録者数が200万人以上もいる、日本最大級のSNSです。
会員の8割以上は60代以上のシニア層であり、登録した会員同士で、共通の趣味や話題を通じて交流をしています。一日平均約4万件の投稿・コメント・リアクションがある、とても活発なSNSです。
投稿内容は、ごく普通の人の日常がアップされています。例えば、日々の散歩で見かける美しい花の写真や近所の風景、毎日の手料理やいただきもののスイーツ、昔の海外旅行などの写真を整理がてら思い出として載せている方などもいます。
これといった特別な投稿はひとつもなく、らくらくコミュニティの中はとても穏やかな空気が流れています。また、24時間常駐する管理人が、不適切な投稿(営業目的)などを随時削除していきますので、誤った課金なども起こりませんので、とても良く守られたSNSです。
何か投稿したいな、と思ったら、高齢者でもカンタンに使えるドコモのらくらくスマートフォンなどを使って撮影した今日のスナップなどをアップできるように、帰宅時にていねいに教えてあげましょう。
らくらくコミュニティがテレビと違うのは、同時刻に生きている人が同じスマホの向こう側にいるので、
- 情報が受動的ではない
- 自分が見たいものを能動的に探せる
- 自分も参加ができる
- 参加している人は、同年代である
ことです。高齢の方でも、このことに気が付くと一気に世界が広がります。実際、らくらくコミュニティには、後期高齢者以上の利用者もたくさんいらっしゃいます。
慣れてくると、らくらくコミュニティに投稿する写真を撮るために、積極的に散歩に出かけたり、新しい飲み物やフードにチャレンジしてみるなど、SNSひとつで本当に世界は変わります。テレビと違い、時間を忘れて「能動的」に楽しめるのが、良いところなのです。
子世代の家族も同じようにらくらくコミュニティに登録すれば、親が毎日アップしている投稿内容なども読み、コメントやいいね!などをつけてあげれば励みになります。親の世界を守りながら、離れた場所に住む親を、遠隔で見守る方法の一つです。
【参照:らくらくコミュニティ】
2-2. 自治体でサポート 定期的なお出かけ先を作ってあげる
居心地が良いからといって家に居続けてしまうと、高齢者は
- 足腰が弱る
- 気持ちが落ち込む
などの症状が出ることがあります。離れたところに住んでいる親に、いつまでも元気で暮らしてもらうためには、定期的に外出するきっかけを作ってあげましょう。
2-2-1. デイサービスなどの利用
デイケア・デイサービスは、プロの見守り人が存在する、非常に安全な憩いの場です。要介護認定の下りている高齢者であれば、自治体のデイサービス・デイケアを積極的に利用しましょう。
玄関前まで専門スタッフが車で迎えに来てくれますので、
- いまいちお出かけに気持ちが乗らない
- 足腰が痛いから歩きたくないとき
- 車いすでの移動しかできないとき
などでも、楽にお出かけができます。この2つは、通所サービスという、日帰りの介護ケアのことです。通所をする介護サポートケアのことを、デイサービス、通所するリハビリテーション訓練の場合は、デイケアと言います。
デイサービスは入浴・理容・口腔ケア・その他カルチャー教室・茶話会
デイケアにはリハビリテーションによる身体回復訓練や、認知機能の向上になる教室
などがあります。行き先の施設によってプログラムに違いがありますので、希望するプログラムがあるところを見学して、参加者や男女比などを確認してから申し込みます。これらのプログラム内容と通所先の相談は、地域包括支援センターで相談ができます。
家族以外の人との交流を繰り返し、通所先で友達ができてくると、通所が楽しみになり、生活にもハリが出てきます。
【厚生労働省 デイサービス・デイケア】
2-2-2. 歩行アシストの利用
普段の散歩や買い物に、足腰の弱りが原因で不安を感じているのであれば、以下のような歩行アシストをするものを検討してみましょう。このような補助があれば、思い立った時に、自分の好きな時にお出かけができます。
買い物かごと椅子がセットになった買い物カート状の押し車。疲れたら、椅子として休むこともできる。普段の買い物は、重たいものを椅子の中などにしまえるようになっている。買い物中は、椅子の上にお店の買い物かごを置くことができる。
オートバイにも似た、またがらないタイプの電動カートです。電池充電式で、走行距離20KM以上のものも多数あり、かなり遠くまで外出可能です。シニアカーは、その見た目から原動機付自転車やクルマ、電動自転車と間違われることが多いですが、法令上では歩行者です。そのため、運転免許も不要で、走行ルールは歩行者と同じです。
最高速度は6キロまでですので、中くらいのランニングと同じ速さまで出せます。車や人がいるところを走行しますので、慣れるまでは、運転をそばで見ていてあげるほうが安全かもしれません。
自走式の車いすですので、足腰に大きな問題があっても、介助者不要で外出ができます。自宅からの出入りをスムーズにするための高低差をなくす工事が必要になることがあります。
2-2-2. 地域活動などへの参加
なるべく、親本人にも地域活動への参加をさせましょう。
地域活動とは、例えば
- 近隣の神社仏閣や商店街などで行われるお祭り
- 地元の幼稚園などへの運動会の地域応援
- 自治会主体の地域清掃活動
など、そこに暮らしていた高齢者が昔から馴染んでいる催しのことです。単に催しそのものに顔を出してもらうのでもよいのですが、もう少し踏み込んで、少しのお手伝いをするように家族で取り計らうと、なお良いでしょう。
例えば、各行事のちょっとした袋詰め作業や、お茶を入れてもらうなど、高齢者でもすんなりできるような軽度のお手伝いの声かけをお願いし、行事そのものにも協力参加するように計らいます。最初の1~2回くらいは、家族も一緒に参加をしてみましょう。
参加をすることで、地域全体がその高齢者の顔・名前・住所・親子関係・友人関係・持病の有無などを次第に覚えてくれ、「地域で見守るべき高齢者」として大切に扱ってくれるようになります。また、このような行事に参加することで、年齢の垣根を超えた自治体規模でのおつきあいが増え、町での声かけや会話などが増えていき、お出かけそのものが楽しく感じられるようになります。
同年代以外の知り合いが増えれば、必然的に外出や来訪への声掛けも増え、サークルやボランティアなどへの参加も自発的に楽しんでいこうというモチベーションがわき、生活にメリハリがつきます。
このような、地域で包括的に高齢者をケアしていく取り組みは、自治体側では「見守りネットワーク」として、かなり積極的に働きかけをしていますので、家族側からもしっかりとネットワーク参加へのサポートをし、高齢者がなじみのある地域で、肉親が近くにいなくても、何でも気兼ねなくお願い事ができるような間柄の方々に囲まれて、元気に暮らしていけるためのサポートをします。
【参照:内閣府 高齢者の「見守り」や「居場所づくり」の取組】
2-3. 宅配サービスとヘルパーでサポート 食事と家事の心配を減らす
一人暮らしの高齢者の家事負担を軽減する方法には、以下のようなものがあります。
2-3-1. 高齢者向けの食事宅配サービス
管理栄養士が高齢者向けに栄養バランスを考えて作ってありますので、体調管理の心配をしなくて済みます。また宅配サービスを利用することで、買い物・調理・片付けをする手間がないため、孤食・不食などに関する心配ごとが少なくなります。
ごはんの硬さや塩加減なども、ある程度は好みに沿って調理が可能です。主に、地域の企業が運営をしていますので、複数の企業を並行して利用すると、飽きずに続けられます。
弁当容器を回収するタイプの宅配であれば、お弁当の受け渡し時に玄関先または台所で、配達員との会話が日々発生しますので、見守りの一つとなります。
2-3-2. 家事代行サービス
掃除や洗濯などの基本的な家事をはじめ、タンスや冷蔵庫の上、普段は使わない二階の部屋や物置など、自分では手の行き届かないところまで、指定したところの掃除をしてもらえます。
また、掃除洗濯以外にも、食材買い出しの代行、下準備(切っておく、皮をむいておく)なども請け負ってくれますので、手や肘が痛くて包丁が握れないけども、自分で作った料理を食べたい方にもとても便利です。
このようなサービスは、どちらも、家の中に他人が入ってくるタイプのサービスです。自分だけ、あるいは家族だけであれば、だらしないままにしていても、他人が家に来ると思えば
- カンタンでも掃除・片づけをする
- 身なりをキチンとする
- 予定があるので、それに合わせて生活をする
など、いろいろと気を遣うようになり、生活そのものにメリハリができます。また、来訪する人たちは、高齢者を対象とした仕事におけるプロフェッショナルです。遠く離れた家族よりも頻繁に、その方の日常生活をほぼ毎日、直接見ていますので、小さな変化にも気づきやすい、大きな見守り機能であるといえます。
これらのサービスは高齢者向けの自治体サービスとして長く続けられる値段設定になっています。これらの情報も、地域包括支援センターでまとめて入手できます。
【参照:地域包括ケアシステム構築に向けた公的介護保険外サービスの参考事例集】
3. 親のホーム入居を検討する2大タイミング
本章では、離れて暮らす1人暮らしの高齢の親の、ホーム入居を検討するタイミングについてまとめています。1人で元気に暮らしているはずが、老化が思った以上に進み、1人で暮らしを続けさせるには不安が大きくなった場合、ホーム入居も検討せざるを得ないでしょう。
本章で扱っている内容は、例え、ご家族の状況として同居呼び寄せが可能であっても、24時間だれかが見てあげられるサポート体制が取れないのであれば、結局は、ホーム入居を選択するようになります。1人暮らしを卒業してホーム入居をするまでには、判断材料になる2つのタイミングがあります。
3-1. タイミング1 今まで出来ていたことが出来なくなった
今まで普通にできていたことが、出来なくなった時です。高齢化によるものもありますが、脳機能に問題が出ているために今まで通りに出来なくなることのほうが、問題は大きいでしょう。これらの相談と対策は、地域包括支援センターで無料相談ができます。
主に、以下のようなことが顕著になります。
3-1-1. サイン1 冷蔵庫や薬の整理・管理ができなくなった
帰宅時に、冷蔵庫をあけてみましょう。高齢化が進んで単調な暮らしをしていると、冷蔵庫の中身を管理できなくなってくる傾向があります。
記憶力と判断力の低下により、冷蔵庫の中に何があったか、いつ買ったものかなどの連鎖した記憶を忘れがちになるため、スーパーに行くたびに買い足しをしてきます。
高齢の方は「もったいない」と物を捨てない傾向にありますので、実際には本人なりのペースで食べ進めていることもあるので、ちょっと多いくらいの買い足しであれば、賞味期限をよく見るように話すことで解決することもあります。
しかし、脳機能に問題が出ている場合は、冷蔵庫も冷凍庫も奥までパンパンに詰め込んであり、変なにおいがしていますので、すぐにわかります。なおかつ、ご自分で調理したものがほとんど入っていないことも目安になります。
冷蔵庫管理が出来ないことによる弊害は、食あたりや食中毒です。賞味期限や消費期限に対する意識も薄くなっているため、悪くなったものでも、冷蔵庫に入っているから大丈夫と食べてしまうことがあります。体力や免疫力が低下している状態の場合は、ちょっとした食あたりでも、大きな体力消耗をし、その他の病気を引き起こす原因にもなります。
1か月以上前からの買い増し品が冷蔵庫の中に蓄積されているようであれば、何度か注意をします。修正できないようであれば、食品管理と食事管理が出来なくなってきている可能性がありますので、一度、脳機能の検査も検討しましょう。
同じように、服薬管理ができなくなると、飲まないこと・飲みすぎによる持病の悪化が懸念されます。特に、脳機能に問題があった場合、飲んだことを忘れて一日に何度も服用してしまうため、薬によっては命にかかわることがあります。
3-1-2. サイン2 物の定位置が乱れてきた
帰宅時に、家の中の物の置き場所に注意をしておきましょう。各家庭には、物の定位置があります。例えば、
- いただきもののギフトなどは、玄関のこのあたり
- カレンダーを貼る場所はテレビの横
などです。もちろん、現在は親の家ですから、何をどこに置こうと自由ですが、その定位置があまりにも不規則な場合は注意が必要です。帰宅時に、いつもは置いてあるはずの場所にものがなくなっていたら、「あれどこやった?」と聞いてみましょう。
すぐに返事ができれば問題ありませんが、聞かれている物自体の存在を忘れている・荷物を動かしたこと自体も忘れている可能性があります。
1度2度くらいまでは、老齢による物忘れの笑い話で済みますが、何度も、何か所も起きるようであれば、記憶力の低下により物の管理と整理が出来なくなっているか、脳機能に問題がある可能性があります。
3-1-3. サイン3 階段の上り下りができなくなった
外出をあまりしなくなると、足腰の筋肉が弱ってきて、階段の上り下りが大変になってきます。階段の上り下りが出来なくなることの弊害は、立ち上がりに必要な筋肉が老化してしまい、自力で椅子などから立ち上がることができなくなることです。
放置しておくと、ある日、布団から自力で起き上がれないようになったり、何もないところで転んでしまう可能性が高まります。特に定期的な来訪者などがない場合、自宅内で転んで大きな骨を骨折してしまうと、起き上がること自体が難しいため、自力で助けを呼べなくなることもあります。
2階建ての自宅に住んでいて、親が2階に上がっていない期間が長いことがわかったら、まずは、地域包括支援センターに相談に行き、必要な筋力回復のリハビリが受けられる手続きをしましょう。
このように筋肉が極端に衰えている状態は、家の中で普通に家事をしているだけでも疲労しますので、必要な場合は一時的に家事ヘルパーなどを付けて、家事労働負担とケガの危険を減らしつつリハビリを受け、筋力強化を図ります。
筋肉は高齢になっても訓練すると回復しますが、頻繁に転ぶ回数が増えたなどで心配な場合は、ホーム入居も検討しておきましょう。
3-1-4. サイン4 トイレの失敗が増えた
失禁が続くなど、トイレコントロールができなくなった時も、ホーム入居を考えるタイミングです。トイレに失敗すると、本人も生活への自信を無くしてしまっていますので、外で同じ問題を起こさないようにと、ますます外出を控えるようになり、筋力体力ともに衰えていきます。
また、トイレの回数を減らそうと水分を摂りすぎないようにしてしまうため、一日に必要な水分量に満たなくなり、冬場や夏場に脱水症状を起こすケースもあります。
心配だからとすぐに大人用オムツなどをさせてしまうと、まだ自分でコントロールできる筋肉も使わなくなってしまい、やはり、身体全体の老化が加速してしまいます。
まずは1日のスケジュールの中で、食事の後や外出の前などの決まったタイミングで排泄する習慣をつけ、トイレコントロールによる排泄の自立への努力をしてみましょう。それでも失敗してしまうようであれば、ホーム入居も検討しましょう。
【参照:高齢入院患者におけるトイレ動作自立に必要な身体機能水準】
3-2. タイミング2 ライフスタイル面での問題が起きている
生活全般に関すること以外にも、ライフスタイル面での変化や問題にも注意をする必要があります。
3-2-1. サイン1 家にちゃんと帰れなくなった
認知症の症状がある場合、よく知っているはずの場所で迷子になることがあります。
脳機能の中の短期記憶という、ちょっと前にあった出来事を記憶保存しておくことが出来なくなるため、家を出てスーパーの中を歩いているうちに「家からスーパーに来た」という記憶が消えてしまいます。その時点で、ご本人的には頭が突然真っ白になり、自分が今どこにいるのかがわからなくなりますので、ごく近所であっても、脳内地図的には迷子となります。
普通の高齢者であれば、少し道に迷ったとしても、周りの景色・物・看板などを見て、脳内の記憶に関連付けて「あ、ここは○○町のAスーパーだな」と判断ができるのですが、脳機能が低下すると、多くの情報から必要なものだけをピックアップして関連付けることが難しくなるので、迷子になってしまうのです。
記憶の問題があったとしても、本人には大人であるという自覚がありますので、子供のようにその場で泣きじゃくって周囲の助けを呼ぶことが出来ません。そのため、自力で何とか帰宅しようと試みて、自分が認識できるものだけを頼りに、どんどん歩いてしまいます。
うまく自宅近辺までたどり着ければ家に帰れますが、見当違いな場所に出てしまった場合は、知っているものが見つかるまで歩き続けてしまいます。歩いている途中で、近所にいた間の短期記憶も消えますので、お金を持っていれば「家に帰るために」電車などを乗り継いでしまうこともあります。その結果、交通事故や遭難などのトラブルに遭う危険性が高くなります。
迷子になったことがあるかどうかは、本人からは聞き出せないことが多いので、ご近所の方に伺ってみるなどで探りを入れるしかありません。迷子になって保護された場合は、家族にも連絡が来ます。
3-2-2. サイン2 お金の管理が出来なくなった
お金の管理ができなくなることも、ホーム入居を検討するサインです。お金の管理とは、毎月決まった額で生活をするなど、お金を計画的に使うことが出来なくなることです。
例えば、もらった年金を全額引き出して3日くらいで使い切ってしまう、お財布にあるだけ物を買ってしまうなどです。手元にあるだけ使ってしまいますので、銀行口座に預金がなくなり、毎月の引き落としなどができずに生活面でのトラブルが起きやすくなります。
このような状態を放置しておくと、本人の老後資金まで使い果たしてしまい、気が付いたら家の中には不用品の山、口座にはわずかな金額しか残っていないことにもなりかねません。
これらは認知症の症状の方と、もともと浪費癖がある方が、高齢化してその癖が顕著になっているケースがあります。浪費癖の場合は、家族から厳しく注意をして本人に自覚してもらうしかありません。
認知症の場合は、タイミング1で解説をした冷蔵庫がパンパンになっても同じものを買ってくるなどがセットで見られます。記憶の障害ですので、諸事情があってまだ1人暮らしを続ける場合は、
- 年金の管理は家族がして、親には3日や一週間ごとに口座に一定額を入れてあげる
- 買い物にはヘルパーさんに同行してもらい、冷蔵庫にあったものと照会しながら買う
などの方法で対応しながら、脳機能の回復プログラムでリハビリをして様子を見ながら、ホーム入居も同時に検討していきましょう。
認知症・浪費癖の方とも、どちらも会いやすいお金のトラブルに、高額商品の衝動買いや投資詐欺・悪徳商法被害などがあります。
車やテレビなどの数十万円以上の高額な品を、家族に相談もなしに突然買ってしまうことがあります。たいていの高額商品はクーリング・オフ制度がありますので、見つけた場合は商品概要などをよく読み、不要なものは返品や契約解除をして対策をします。
<特定商取引法におけるクーリング・オフができる取引と期間>
- 訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールス等を含む):8日間
- 電話勧誘販売:8日間
- 連鎖販売取引:20日間
- 特定継続的役務提供(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス):8日間
- 業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法等):20日間
- 訪問購入(業者が消費者の自宅等を訪ねて、商品の買い取りを行うもの):8日間
※上記販売方法・取引でも条件によってはクーリング・オフできない場合があります。
訪問購入の場合、クーリング・オフ期間内は、消費者(売主)は買取業者に対して売却商品の引き渡しを拒むことができます。
クーリング・オフ期間は、申込書面または契約書面のいずれか早いほうを受け取った日から計算します。
書面の記載内容に不備があるときは、所定の期間を過ぎていてもクーリング・オフできる場合があります。
金融商品や宅地建物の契約等でもクーリング・オフができる取引があります。
◆コラム◆高齢者の消費者被害
投資詐欺や悪徳商法は、高齢者の1人暮らしであることを知っている上で狙ってきていますので、注意が必要です。多くは、高齢者の孤独や健康、お金に関する不安をあおって物を買わせたり、サインをさせたりします。具体的には
- 羽毛布団などの高級品
- ビタミン剤 栄養剤など
- 高額なマッサージ機
- 車 宝石 絵画
- 住宅の修理
- 不動産売買
- 投資
などがあげられます。対策としては、2通りあります。
対策①「お金がないから買えない」の一点張りで、断る
相手はプロですので、丁寧な断り文句に対する無数の対応策を持っています。そのため、要らない理由をあれこれ説明するよりも、お金がないから買えませんと対応するのが、最も簡単です。
対策②家族がいるときに検討する
とりあえずは、何を買うのでも家族に相談しないと買えないと、必ず一度お断りするようにしてもらいます。ただし、本人が本当に欲しがっているものであるケースもありますので、パンフレットや重要事項説明書などをもらっておき、家族が一緒の時に検討しますといって帰ってもらいます。
上記のような対策を親にお願いしても、買いたい衝動が抑えられない・判断能力の低下などで、思わぬ消費者被害に遭うこともあります。地域住民の目にも助けてもらいながら、被害に遭わないようにしていきます。
【参照:高齢者の消費者被害】
3-2-3. サイン3 ペットや配偶者が亡くなった
高齢になると、夫婦のどちらかが先に亡くなります。その際、夫婦仲の良し悪しに関わらず、残されたほうのストレス度は、ライフイベントで起きる全ストレスのうち最高値になります。
また、1人暮らしでペットを飼っている場合、ペットはその方にとってはパートナーと言っても過言ではありません。地域で仲良くしていた同年代の知人友人が減っていき、近隣とのおつきあいも減っていくと、一緒にいる時間がもっとも長いのはペットになります。
中には、入院をしなければならないほどの持病があっても、ペットの世話をするから入院をしないと頑張る人までいますので、飼い主にとっては、最愛の家族であり、子供であり、パートナーでもあるのです。
このように、人生の中で大きな割合を占めていた存在の喪失は高齢者にとって大きなダメージとなることがあります。
人は大きなストレスにさらされた場合、一般的には、悲しみの時期を経て、だんだんと前を向いて歩いていくようになるのですが、中には、不眠・食欲不振・疲労感などに襲われて何もできない状態が長期化し、心身ともに弱っていくケースがあります。また、人によってはうつ病を発症することもあります。
対策としては、病院などにある「遺族ケア」「グリーフケア」「家族ケア」などに参加し、専門家によるケアを受けていく中で、配偶者やペットのことを思うと悲しみがあふれてくる状態から、徐々に楽しかったことなどの大事な記憶を、自分の中にうまくとり入れていくことができるようになり、前を向いて行けるようになります。
ただし、その後も1人で生活をさせておくのが心配な場合は、呼び寄せまたはホーム入居の提案も含めて家族でよく話し合う必要があります。
【参照:大阪樟蔭女子大学大学院人間科学研究科 夏目誠 出来事のストレス評価】
【参照:岡山県立大学保健福祉学部紀要 配偶者との死別後の生活への適応】
【参照:ペットと死別した高齢者の適応を 支えたもの 】
【参照:横浜国立大学 朝比奈千絵 高齢期におけるペットロス】
【参照:一般社団法人日本グリーフケア協会】
3-2-4. サイン4 子供世代が資金と体力の限界を感じた
高齢の親の面倒をみるのは主に子世代となるケースが多いのですが、「子世代」とはいうものの、現実には中年以上の人になります。
親が、元気に1人暮らしができているうちは問題ありませんが、さまざまな理由で、子世代が頻繁に面倒を見に帰らなければならない状態が続く場合は、子世代の気力体力、資金力の限界が来る前に、ホーム入居を検討しておきましょう。
この年代は、働いている人は企業で責任のある仕事を任されていることが多く、非常に多忙です。家庭人でも、子供が大学受験などを控えている時期と重なることもあり、自由に時間が取れない状況です。その合間を縫って遠くに住む親の面倒をみていくのは、物理的・体力的に厳しいものがあります。
また、定年や早期退職、リストラなどが起きやすい年代でもあり、いつ、自分たちの老後資金に陰りが出るのかはわかりません。
親の意志を尊重したい子供の気持ちは大切ですが、子世代も年を取っていきますので、無理をしても続きません。お金と体力とのバランスを考え、ホーム入居も視野にいれて準備をしておきましょう。
4.ホーム入居に役立つ 施設の特徴と料金目安
本章では、ホーム探しの一助になる、施設特徴と料金めやすをまとめています。1人暮らしの高齢の親のためにホーム入居を検討しはじめると、その種類の多さに困惑するかもしれません。基本的に、ホームは公営・民営、介護型・住宅型でわかれます。
以下は、その特徴と値段などを一覧表にしたものです。複数の選択肢があり、入居する時点での親の介護の必要度合いでおおよその入居先が決まってきます。
親の自立サポートをするためのホーム入居なので、支払いの基本は親の預貯金などを充当し、その金額の範囲内でできること・入居先を選択していきます。
| 名称 | 公民 | 特徴 | 入居 一時金 | 月額利用 金額目安 | 負担軽減 |
介護型 施設 | ①特別養護老人ホーム(特養) | 公 | 介護保険で入居できて低コスト。要介護3以上が対象。 | なし | 7~15万円 | 〇 |
②介護老人保健施設 | 公 | 入院治療の退院後、在宅復帰を目指す方のための施設。原則3~6か月まで。要介護1以上が対象。 | なし | 7~17万円 | 〇 | |
③ケアハウス | 公 | 福祉施設。特定施設であれば、サービス内容は特養と大差なし。要支援1以上が対象。 | 0~100 万円 | 10~30万円 | 〇 | |
④介護付有料老人ホーム | 民 | 施設の職員がサービス提供をする民間施設。特定施設の指定があれば、介護サービスが付随。要支援1以上が対象。 | 0~ 数億円 | 10~40万円 | ✖ | |
⑤グループホーム | 民 | 認知症の高齢者向け民間施設。家庭的な雰囲気の中、少人数で暮らしていく。要支援2以上が対象。 | 0~100 万円 | 12~18万円 | △ | |
⑥小規模多機能型ホーム | 民 | 介護保険適用の地域密着型サービス。自宅に住みながら施設への「通い」「宿泊」「訪問」の3サービスが受けられる。要支援1以上が対象。 | 居宅サービスなので不要 | 要介護度に応じて定額制 | ✖ | |
住宅型 施設 | ⑦ケアハウス | 公 | 自宅で、1人で家事をする生活が大変になってきた人向けの福祉施設。介護サービスは別料金。自立~要介護3程度までが対象。 | 0~ 数百万円 | 8~20万円 + 外注の介護費 | 〇 |
⑧サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 民 | 安否確認と生活相談サービスがついた高齢者向けの集合住宅。自立から要介護3程度までが対象。 | 0~ 数十万円 | 8~20万円 + 外注の介護費 | ✖ | |
⑨住宅型有料老人ホーム | 民 | 食事サービス、家事支援、レクリエーションなどのサービスが受けられる高齢者向けの集合住宅。自立から要介護3程度までが対象。 | 0~ 1億円 | 10~40万円 + 外注の介護費 | ✖ |
4-1. 介護型の施設
介護型の施設は、公的介護保険を適用して入居できる施設のことです。施設サービスには最初から介護保険適用サービスが付帯しており、施設内で必要なサービスを受けることができます。
公営の場合は、介護型=介護サービス付きです。民営の場合は「特定施設」の指定を受けているところだけが、介護付き・介護型を名乗れます。
4-1-1.<公営>の介護型施設
①特別養護老人ホーム
国営の介護型老人福祉施設で、所得によって軽減措置もあり、低コストで長期間の入居ができます。要介護3以上で自宅での介護が困難な方からが対象です。
申し込み順ではなく、緊急性の高い方から優先して入居となります。看取り対応もあるため、終の棲家としても機能します。
【参照:厚生労働省 特別養護老人ホーム】
②介護老人保健施設
病院と自宅の中間施設です。要介護1~5までを対象に、入院治療を終えて症状が安定した状態の人が、自宅復帰を目指すためのリハビリを受ける施設です。おおよそ3~6か月の期間限定での利用のため、空きが出やすく、希望しているホームの空きがない場合は、暫定的な入居先として利用することもあります。
【参照:厚生労働省 介護老人保健施設】
③ケアハウス
軽費老人ホームC型と呼ばれる、公的要素の強い低料金な老人ホームです。社会福祉法に定められた福祉施設ですので、社会福祉法人・地方自治体・民間企業などが運営をしています。
基本的に、自分で身の回りのことはできるが、自炊ができない程度の身体機能の低下がある人や、高齢のために独立して1人で暮らすには少し不安がある人向けの施設で、食事などの日常生活に必要なサービスが受けられます。自立出来ている人が対象のため、医療依存度が高くなった場合は、退去勧告されることがあります。
【参照:厚生労働省 軽費老人ホームの現状】
4-1-2.<民営>の介護型施設
| 名称 | 公民 | 特徴 | 入居 一時金 | 月額利用金額めやす | 負担軽減 |
介護型 施設 | ④介護付有料老人ホーム | 民 | 施設の職員がサービス提供をする民間施設。特定施設の指定があれば、介護サービスが付随。要支援1以上が対象。 | 0~数億円 | 10~40万円 | ✖ |
⑤グループホーム | 民 | 認知症の高齢者向け民間施設。家庭的な雰囲気の中、少人数で暮らしていく。要支援2以上が対象。 | 0~100万円 | 12~18万円 | △ | |
⑥小規模多機能型ホーム | 民 | 介護保険適用の地域密着型サービス。自宅に住みながら施設への「通い」「宿泊」「訪問」の3サービスが受けられる。要支援1以上が対象。 | 居宅サービスなので不要 | 要介護度に応じて定額制 | ✖ |
④介護付き有料老人ホーム
民営企業の中で「特定施設」のみが、介護付きと名乗れます。それ以外の施設は、介護サービスが付帯していませんので、必要な介護サービスは外注をする必要があります。
公営に比べると費用は高めですが、居室は個室で設備が充実しており、医療ケアに手厚いなど、施設ごとに特徴があります。種類が多いので、必要なケアがあるかどうかに絞って精査していきます。
【参照:厚生労働省 施設・居住系サービスについて】
⑤グループホーム
認知症の高齢者が家庭的な雰囲気の中、5~9人程度で共同生活を送りながら日常生活に必要な介護を受ける施設です。施設というよりも、家庭に近い雰囲気があります。入居には医師による認知症の診断が必要です。
自治体が監督指導し、運営を民間団体や民間企業がしていますので、親が住んでいる自治体の施設から選択をします。
【参照:厚生労働省 認知症グループホームの強みをいかして】
⑥小規模多機能型ホーム
介護や人のサポートが必要となった高齢者が、心身の状態に応じて在宅・施設・訪問介護の3タイプのサポートを自由に組みあわせて利用できる、介護保険サービスです。親の現住所と同一市町村の小規模多機能ホームだけが利用可能です。
ホームという名称のため、施設と勘違いされることが多いのですが、少人数登録制のサービス事業です。いつも同じ担当者、同じ参加者など慣れ親しんだ顔触れでの介護になりますので、家族と離れていても安心感があります。在宅で自分らしく暮らしながらも、必要な介護サポートは受けることができます。
なるべく、自分の家から離れたくない、住み慣れた地域から離れたくないという希望が強い場合は、検討してみましょう。ただし、このサービスを利用すると、他の事業所のデイサービスやリハビリなどを利用できなくなります。
【参照:厚生労働省 小規模多機能居宅介護】
4-2. 住宅型の施設
住宅型の施設は、高齢者に特化した賃貸住宅です。基本的に、公的介護保険サービスの付帯は無いので、必要な場合は外注をする必要があります。
住宅ですので、自立して生活できることがベースで、医療依存度が高くなってきた場合は、必要な医療設備のある施設への移動を申告されることがあります。
| 名称 | 公民 | 特徴 | 入居 一時金 | 月額利用金額めやす | 負担軽減 |
住宅型 の施設 | ⑦ケアハウス | 公 | 自宅で、1人で家事をする生活が大変になってきた人向けの福祉施設。介護サービスは別料金。自立~要介護3程度までが対象。 | 0~数百万円 | 8~20万円 + 外注の介護費 | 〇 |
⑧サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 民 | 安否確認と生活相談サービスがついた高齢者向けの集合住宅。自立から要介護3程度までが対象。 | 0~数十万円 | 8~20万円 + 外注の介護費 | ✖ | |
⑨住宅型有料老人ホーム | 民 | 食事サービス、家事支援、レクリエーションなどのサービスが受けられる高齢者向けの集合住宅。自立から要介護3程度までが対象。 | 0~1億円 | 10~40万円 + 外注の介護費 | ✖ |
4-2-1.<公営>の住宅型施設
⑦ケアハウス
60歳以上で自炊ができない程度の身体機能の低下がある人、または、基本的に身の回りのことはできるが、1人で暮らすことに不安を感じている高齢者を対象としている福祉施設です。社会福祉法人に定められた福祉施設ですので、社会福祉法人や地方自治体、民間企業が運営しています。
原則、20平米ほどの個室で、夫婦の場合はどちらかが60才以上であれば入居できます。
一日3回の食事提供があるので自炊の必要はなく、館内に24時間体制でスタッフが常駐しているため、緊急時にもかならず駆け付けて対応し、家族に連絡をしてくれます。また、室内には緊急呼び出しボタンや、人感センサーなどでの見守りがあります。
特定施設の指定を受けた介護型ケアハウスというものもあり(③)、こちらの場合のみ、介護保険適用のサービスが館内で利用でき、さらに介護度が重くなっても住み続けることができます。
【参照:厚生労働省 施設・居住系サービスについて】
4-2-3.<民営>の住宅型施設
⑧サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅は、見守りサービスをしてくれる民間の高齢者向け賃貸住宅です。サ高住とも呼ばれています。必ず付帯する見守りサービスは
- 安否確認
介護ケアの専門家が少なくとも、日中は建物内に常駐して入居者に対応をします。夜間施設は建物によって、対応のあるところとないところがあります。
- 生活相談
医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員等の専門家による生活相談ができます。
の2つです。
サ高住の中で、特定施設の指定を受けている住宅は介護施設になりますので、施設内で介護保健の適用サービスが受けられます。特定施設の指定がない施設は、介護が必要になった場合は、介護保険サービスの居宅サービスを外注することになります。
建物によっては、運営する事業主が介護施設を運営していることがあり、その場合は、その施設で提携しているサービスを利用することが多いようです。
【参照:厚生労働省 サービス付き高齢者向け住宅の概要】
⑨住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、基本的に
- 自立した生活ができる要支援・要介護認定者
- 介護を必要としていない高齢者
が利用する民営の高齢者向け賃貸住宅です。高齢者向けに室内がバリアフリー、施設のあちこちの必要な場所に手すりや腰掛があるなど、高齢者が暮らしやすいように配慮されています。
入居をすると、食事・家事・レクリエーションなどのサービス(有料)が利用できますが、利用をせずに自炊をしても良い、比較的自由度の高いホームとなります。入居をするとそこが「自宅」となりますので、介護サービスは、必要に応じて居宅サービスを外注して個別に受けることになります。
介護度が重たくなると介護費用がかさみますので、必要なタイミングで介護付き施設への移動も検討しておく必要があります。
【参照:厚生労働省 高齢者向け住まいについて】
【参照:厚生労働省 施設・居住系サービスについて】
まとめ
いかがでしたでしょうか。高齢者の1人暮らし問題と不安を解消する方法として、以下のようにまとめました。
- 高齢者の1人暮らしで起きやすい3大問題
- 離れて住む親(高齢者)の1人暮らし問題を解決する方法
- 親のホーム入居を検討する2大タイミング
- ホーム入居に役立つ施設の特徴と料金めやす
離れた状態でも、子世代として、してあげられることがわかれば、必要以上の心配をする必要はなくなります。子供からすれば、親にはいつまでも元気でいて欲しいと願うものですが、現実には年を重ねるにつれ体力・気力が衰え、いつかは周りのサポートが必要になるタイミングも来ます。それまでの間、高齢になった親の一人暮らしを、適切にサポートするための一助となれば幸いです。
コメント