【自筆証書遺言書の書き方】効力を確実に発揮させるための3つの要件

遺言書を書く

「遺言の書き方ってあるのかな?」「遺言はどう書くのだろう…」と悩まれていませんか?

まず、一般的な遺言書とされる「普通方式遺言」には3種類あります。

● 自筆証書遺言
● 秘密証書遺言
● 公正証書遺言

今回は、本人が直筆する「自筆証書遺言」の書き方や保管の注意点にスポットを当てて紹介します。

秘密証書遺言」は、遺言者自身が作成し、公証人や証人に遺言書の存在を確認してもらうというもので、書き方は「自筆証書遺言」と書き方は同様です。また「公正証書遺言」は、公証人関与のもと作成するので確実な遺言なのですが、自分で書くものとは少し違います。

ここでは、「自筆証書遺言」を書く前に知っておきたい3つのこと、具体的な書き方、遺留分や保管に関する注意をみていきます。

この文章を読むことで、遺言の書き方に関する理解が深まり、残された相続人の間でトラブルが起こらない状態になれば幸いです。

1.【遺言書の書き方】自筆証書遺言を書く際に知っておきたい3つのこと

さっそく、有効な自筆証書遺言を書くために知っておくべき3つの重要なポイントについて解説していきます。

必要最低限のルール
● 法的効力のある記載事項
● 付言事項について

それではひとつひとつ確認していきます。

1-1.必要最低限のルール

自筆証書遺言の書き方のルールについては民法第968条により以下のように定められています。

遺言者はその全文、日付、氏名を自書したうえ、これに印を押さなければならない。また、加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
参照:民法 第968条

一つ一つ分解して解説していきます。

①全文自書であること
自書ということは、ボールペンなどを使用してご自身で書くということです。つまり、パソコンやワープロを使用することはできません。

また、自書するために使用するペンに規定はありません。ボールペンだけでなくマジックペンや万年筆、でも良いとされています。ただし、変造を防ぐという視点で考えると「鉛筆」や「消えるボールペン」は避けておくべきです。「自身の手でボールペンを使って書く」と覚えていただければ間違い無いでしょう。

もし自筆した遺言書に訂正や追加があった場合も、以下の例のように遺言者がその場所を指示し変更した旨を付記し自筆で署名して印を押す必要があります。

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※財産目録(被相続人の財産が一覧で判別できるようにした表のことを言い、プラスとなる財産の他に、借金などのマイナスとなる財産もすべて記入しておくことで、相続財産の内容を明確にすることができるものです。)に関してはパソコンで作成することが可能です。2019年1月に民法968条2項が改正され、財産目録(別紙)を添付する場合、その目録はパソコンなどで作成できるという形に変更になりました。ただし、目録となる銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書などには、署名と押印が必要なので注意しましょう。

※自書するにあたって遺言書の用紙の規定はありません。メモ用紙や広告の裏紙でも、無効にはなりませんが、保管期間などを考えると耐久性のない紙は避けた方がよいでしょう。文具メーカーが「コピー予防タイプの厚手用紙」を販売しています。これは、コピーした際「COPY」「複写」の文字が浮かびあがるタイプで遺言書作成においておすすめとされています。

参照サイト:法務省「自筆証書遺言及び公正証書遺言の作成例」 http://www.moj.go.jp/content/001159606.pdf

②日付は省略できない
日付は省略してはいけません。「令和○年○月○日」まで手書きで記載しなければ、無効になってしまうので注意しましょう。「令和○年○月吉日」という書き方は不可です。また、日付(○日)の記載をそもそもし忘れてしまうケースもあるようですがそれも無効となるので注意しましょう。

※日付を記載し忘れてしまった場合、後から日付を付け加え、その付け加えた日を記載することによって有効になる可能性もあります。昭和52年4月19日の最高裁の判例で、遺言書を書いた後日その当日の日付を付け加えた遺言書を有効としたケースがあるようです。ただ、あくまでも一事例であり必ずしも有効になるとは限りません。日付を省略することのないよう作成を進めましょう。

③氏名と印鑑も必要
氏名の記載と押印も必要です。氏名の記載は前述した通り自筆でなければいけません。また、遺言書の信頼性を高めるためにも名前の前に住所そして戸籍通りのフルネームを記載することを推奨します。

また、印鑑は認め印でも無効になりませんが実印を使用することをおすすめします。なぜなら、状況によっては本人の意思とは関係のない第三者が押印したものと思われ、遺言の効力が争われる可能性があるからです。確実に作成を進めるためにも実印を使用しましょう。

1-2.法的効力のある記載事項

遺言書に記載する内容として法的効力があるとされているのは以下の4つの事項です。

身分に関すること
● 相続に関すること
● 財産処分に関すること
● 遺言執行に関すること

以下でもう少し詳しくみていきましょう。

1-2-1.身分に関すること

身分に関する事項は2つあります。

① 認知に関すること(民法 第781条の2)
婚姻関係によらず生まれた子を、遺言のなかで認めることができます。認知とは、婚姻関係にない2人の間に生まれた子を自分の子だと認める行為です。

② 未成年後見人および未成年後見監督人の指定(民法 第839条の1、第848条)
未成年者(民法では20歳未満)の親権を持つ人がいなくなってしまう場合、その未成年後見人を遺言で指定できます。

1-2-2.相続に関すること

相続に関する事項は3つあります。

① 相続人の廃除(民法 第893条)
非行などが原因で、推定相続人を廃除(はいじょ)したい場合、遺言で行うことができます。相続人の廃除とは、相続人に虐待や侮辱、非行があった場合に家庭裁判所に請求してその相続人の相続権を剥奪することを指します。そもそも廃除の申し立ては、被相続人が生前に行うか、遺言書で行う以外に方法はありません。

② 相続分の指定・指定の委託(民法 第902条)
遺言のなかで「妻に8分の5、長男に8分の1、長女に8分の1、次女に8分の1」など、相続の割合を指定することが可能です。民法では「法定相続分」という一律で定められた相続分がありますが、遺言書で相続分の指定をすれば遺言書の内容を優先することができます。

③ 遺産分割方法の指定・遺産分割の禁止(民法 第908条)
遺言のなかで「土地Aは長男、土地Bは次男」と指定できます。また、相続人同士のもめごとが予測される場合、「土地・建物はすべて妻に残す」など遺産分割を禁止することもできます。

1-2-3.財産処分に関すること

財産の処分に関する事項は1つです。

〇 包括遺贈および特定遺贈(民法 964条)
遺言で贈与することを「遺贈」といいます。遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2つがあります。「包括遺贈」は、相続財産の全部、または「相続財産の半分をA氏に遺贈する」というように割合を指定して行う遺贈のことです。「特定遺贈」は、たとえば土地建物や株式など、遺贈する財産を指定して行う遺贈のことです。

法律上「すべての財産をB氏に遺贈する」という内容の遺言書であっても有効ですが、客観的な正しい判断がしにくく、相続人にとって包括遺贈なのか特定遺贈なのかわかりにくいです。ですから誰に何をどれくらい遺贈しようとしているのかはっきり明記することが重要です。

1-2-4.遺言執行に関すること

遺言執行者に関する事項は1つです。

〇 遺言執行者の指定または指定の委託(民法 第1006条)
遺言執行者を指定することができます。指定は任意ですが、遺産相続トラブルが予測される場合は、弁護士などの第三者を遺言執行者に指定することで、トラブル回避につながる可能性が高まります。

1-3.付言事項について

遺産の分け方に関する説明や、相続人に対する感謝の気持ちなどを書き記した部分を「付言事項」と呼びます。法定効力はないものの、遺言者の思いが正しく伝わることによって、遺産相続に関するトラブルを防ぐ力もあります。

付言事項の書き方に決まりはありません。以下の画像のように遺言内容の文中に付言事項を書くケースもあれば、遺言書のおわりに以下のような長文をまとめて付け加えるケースもあります。いずれにしても相続人に対する思いを正しく伝えることが大切であり、どのような書き方でも問題ないといえます。

長年寝たきりの私を介護してくれた、長男の嫁〇〇さんには大変感謝しております。その苦労に報いるために、先に記載したとおり遺産を遺贈したいと思います。また、・・・

付言事項なしの文例①と、付言事項ありの文例②を比較してみましょう。付言事項を加えると好印象になるのがわかります。

遺言書

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参照サイト:中央ろうきん友の会
http://www.clf-net.com/old_age_offer/recommendation_of_will_3.html

相続ではトラブルがつきものです。付言事項を書くことでトラブルの防止を図ることができますからぜひ記載していただければと思います。

2.自筆証書遺言の作成事例【見本】

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ここでは自筆証書遺言の書き方を見本とともに解説していきます。自筆証書遺言は前述した通り(1章)最低限守らなければいけないルールがありますが、何をどのように書くかは自由です。これから紹介する事例を参考に作成を進めましょう。

法務省が提供している参考資料(http://www.moj.go.jp/content/001244449.pdf)を参考に紹介していきます。

2-1.遺言書の作成事例

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こちらは遺言書の見本です。1章でお伝えした通り下記の3点を徹底していることがわかります。

自書であること
● 正確な日付を記載すること
● 氏名と印を忘れないこと

内容を修正する際は上記の通り修正を行い押印しましょう。

2-2.財産目録(不動産)の作成事例

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目録を作成する場合は上記を参考にしましょう。

こちらは不動産の目録です。

土地であれば、所在(住所)、地番、地目(宅地など)、地積(土地の面積)を記載しましょう。
建物付きの土地であれば、所在(住所)、家屋番号、種類(居宅など)、構造・床面積を記載しましょう。

氏名を自書し、印も忘れないように作成しましょう。

2-3.銀行通帳のコピーも使用できる

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預金目録は自書で銀行名、貯金種別(通常貯金・定額貯金など)、記号・番号を記載する方法もありますが、上記のように遺言者のものだと分かる銀行通帳のページをコピーして、氏名(自書)と印を追加という形式で作成しても問題ありません。

2-4.不動産などの登記事項証明書も使用できる

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不動産の登記事項証明書を使用することも可能です。自書の氏名と印を追加しましょう。この形式であれば、不動産の具体的な内容に記載ミスが生まれないのでおすすめです。

2-5.財産目録(株式)の作成事例

株式の目録の作成事例です。上記の通り「〇〇の株式 〇株」と記載しましょう。

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3.遺言書を残す際の2つの注意点

誰もが遺言書によるトラブルを望まず、円満な相続を願っていると思います。そこで、遺言を残すときに気を付けてほしい2点を紹介します。

3-1.遺留分を考慮した遺言書を作成すること

遺留分とは法定相続人の権利である「相続財産に対する最低限の取り分」のことです。夫・妻・長男・次男という家族構成であれば、夫が亡くなった場合、妻に2分の1、長男と次男に4分の1ずつが相続財産に対する取り分となります。

遺言を残すのであれば、相続人同士でトラブルにならないように遺留分に注意することが大切です。

なぜなら、遺言で「長男だけに遺産を相続させる」という内容を書いた場合、次男などほかの相続権を持つ人にとっては感情的な不満しか残らないからです。これをきっかけに訴訟を起こす可能性も十分にあります。あらゆる財産のトラブルがある中で遺留分に関するトラブルが最も厄介と言われることもあるようです。遺言を残すのであれば遺留分を考慮した作成を心がけましょう。

参照:https://style.nikkei.com/article/DGXMZO14200510X10C17A3PPE001/

3-2.自筆証書遺言の作成が終わったら確実に封をして保管すること

遺言書が完成したら、封筒などに入れて、確実に封をして保管しましょう。しっかりと糊付けなどして、その上に封印するのがおすすめです。これは、悪意ある相続人が偽造・変造できないようにするためです。また、未開封の遺言書であれば(きちんと封がされていれば)家庭裁判所で検認してもらうときに、遺言書が書き換えられてないものであると証明しやすくなります。

できれば遺言書は、弁護士や銀行など信頼できる第三者に保管してもらうのがよいでしょう。なぜなら、容易に見つかる場所に保管すると偽造・変造の危険があり、逆に発見するのが難しい場所に保管すると、遺言者の死後誰にも気づいてもらえない可能性が高まってしまうからです。多少費用がかかっても、安心して保管できる方法を選択すべきです。

2020(令和2)年7月10日に「遺言書の保管に関する法改正」が施行されます。相続をめぐる紛争を防止するという観点から、法務局で自筆証書遺言に係る遺言書を保管することが可能となります。

詳細は法務省のサイトにあるのでぜひ確認しておきましょう。 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

4.まとめ

今回お伝えした通り、遺言書の作成は最低限の3つのルールは守りましょう。

全文自書であること
● 日付は省略できない
● 氏名と印鑑も必要

遺言書は有効性が問われたり、内容次第では相続人同士のトラブルに発展してしまう可能性があります。最低限のルールは守り、できることなら弁護士や司法書士などの専門家に相談することを積極的に検討しましょう。本記事を通じて円満な相続が実現することを願っています。

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