
趣味で写真を始めた人もさまざまな被写体を撮り続ける中で、「自分の実力を知りたい」「写真を評価してもらいたい」といった気持ちを抱くことがあるでしょう。
自慢の写真を審査してもらい、多くの人に見てもらえる機会をつくるためには、フォトコンテストに応募する方法があります。
とはいえ、フォトコンテストには多くの種類があり、どこに応募すればよいか迷うことでしょう。
また、フォトコンテストに応募した作品が必ず受賞するとは限りません。
何度も応募しているのに落選が続くと、「写真の才能がないのかも……」と自信をなくしてしまうことも。
今回は、フォトコンテストに入賞するにはどうすればよいのか?について解説。
フォトコンテストへの入賞に必要なものは、技術面だけではありません。
フォトコンテストに応募するために必要な、下記の要素を紹介します。
- 応募前にチェックすべきポイント
- 被写体の選び方
- 被写体別の撮影ポイント
- 入賞するために必要な撮影技術
- 応募時に意識すべき点
- 入賞を目指すモチベーションの保ち方
写真を楽しみながらコンテストへ応募できるよう、日々の中で少しずつ取り組める内容となっています。
目次
1. まずは応募するフォトコンテストを選ぼう
フォトコンテストへの応募を考えるなら、どのコンテストへ応募するかを絞り込むことから始めましょう。
フォトコンテストは国内外のものを含め、数多く開催されています。
写真を始めたばかりの初心者から撮り慣れた人まで、さまざまな人が応募することになるため、自分に合ったフォトコンテストを見つける必要があるのです。
フォトコンテストには多くのジャンルがあります。
- 地域の景色やイベント
- 人物
- 生き物
- 寺院
- 建築物
- 海外の景色
- 日常の一コマ
上記は一例ですが、フォトコンテストの中から自分が好きな被写体、取り慣れているもの、勝負したいもので選ぶとよいでしょう。
1−1. まずは初心者向けのコンテストを探す
フォトコンテストに初めて応募しようという人は、初心者向けのコンテストを探すことから始めてみましょう。
初心者向けのフォトコンテストは、初心者向けの部門がある、ランク分けされているものがおすすめです。
応募事項に初心者向けであることが明記されていれば安心です。
フォトコンテストを探すには、インターネットを使った検索が効果的です。
「フォトコンテスト 初心者向け」などのキーワードで検索します。
個別に検索する以外にも、開催中のフォトコンテストの一覧がまとめられたポータルサイトから見つける方法があります。
フォトコンテストのポータルサイト名 | 特長 |
あらゆるフォトコンテストの情報を網羅 | |
都道府県別のフォトコンテストを探せる | |
フォトコンテストの情報やカメラの関連の情報が満載 |
各メーカーが主催しているフォトコンテストも、初心者が応募しやすい内容のためおすすめです。
下記のページを見ながら、応募期間をチェックしておくとよいでしょう。
コンテスト名 | 特長 |
カメラメーカー主催のフォトコンテスト | |
カメラメーカー主催のフォトコンテスト | |
カメラ販売店主催のフォトコンテスト | |
プリンターメーカー主催のフォトコンテスト |
カメラのキタムラのフォトコンテストはさまざまなジャンルに分かれており、中でも「365日フォトコンテスト」は初心者が応募するのに向いています。
1−2. 過去の入選作の傾向を把握する
フォトコンテストに応募する際には、過去の開催時にどのような写真が受賞、入選したかをチェックすることが大切です。
これまでの受賞作品の傾向を知ることで、自分の撮影スタイルに合っているか、入選可能なレベル感であるかを判断するのに役立ちます。
メーカー主催のフォトコンテストは過去の受賞作の一覧を見れるため、事前に傾向をつかむのにもってこいです。
掲載されている写真を眺めているだけでも時間を忘れて楽しめますが、ここから得られる情報を自分の応募作に生かせるようにしましょう。
フォトコンテストの過去の入選作には、主催者側の意向や審査員の好みが反映されています。
それらを読み解くことは、入賞への第一歩になるのです。
2. フォトコンテストの応募前にチェックすべきポイント

気になるフォトコンテストを見つけたら、応募の準備へと取り掛かります。
「そのうちいい被写体が見つかったら撮ろう」と先延ばしにするのではなく、フォトコンテストへ向けて着々と準備を進めるようにしましょう。
とはいえ、勇み足になり過ぎず、下記の事前にチェックすべき5ポイントを押さえておくことが重要です。
- コンテストの応募要項を把握する
- 著作権、肖像権を意識する
- ほかのコンテストに応募中の作品は出さない
- 応募の締め切りを把握しておく
- 規定の用紙サイズ、枚数を守る
2−1. コンテストの応募要項を把握する
フォトコンテストに応募する際には、主催者側が設けた応募要項の内容をきちんと把握しておく必要があります。
応募要項を満たしていなければ、どんなにすばらしい写真でも入賞することはありません。
各フォトコンテストごとに定められた応募要項をチェックしましょう。
フォトコンテスト応募要項の一例
- 写真のテーマ
- 応募作品の著作権
- 過去に同じ作品の受賞歴がないか
- 応募作品数
- 写真はカラーかモノクロか
- 組み写真が可能な場合の枚数
- 写真用紙のサイズ
- カメラアプリやソフトウェアによる編集、加工が可能か
- 画像データのサイズ
- 画像データの形式
- 撮影時期の指定があるか
- 応募の締め切り日
フォトコンテストの応募要項は、「ニコンフォトコンテスト 2020 – 2021 作品応募要項」のように、各ウェブページに記載されています。
2−2. 著作権、肖像権を意識する
応募要項で注目すべきは「応募作品の著作権」と「過去に同じ作品の受賞歴がないか」です。
フォトコンテストに応募する写真に写っている人物や著作物は、応募者自身が著作権を持っている、もしくは権利者から事前に使用承諾を得ている必要があります。
人物の写真を応募する際には、事前に被写体となる人から応募の許可を得ておきましょう。
後から発覚した場合は肖像権を侵害したとして、トラブルの原因になります。
2−3. ほかのコンテストに応募中の作品は出さない
複数のフォトコンテストに応募する際には、作品の管理に気を配りましょう。
フォトコンテストの応募要項によっては、未発表、未公開の作品に限定している場合があります。
過去に別のフォトコンテストで入賞したものや、同時期に開催中のフォトコンテストに出している作品は応募できない可能性があるのです。
自慢の一枚が撮れたからといっても、同じものを複数のフォトコンテストに応募できるとは限らないため、注意しておきましょう。
2−4. 応募の締め切りを把握しておく
フォトコンテストの応募締め切りは厳守しなければなりません。
応募要項を読んできちんと把握し、必ず締め切り日までに余裕をもって応募するようにしましょう。
印刷した写真を郵送する場合は、締め切り日の消印が有効か必着かは重要な点です。
締め切り日必着であれば、郵送中の時間を考慮して早めに応募する必要があります。
インターネットを使って応募できるフォトコンテストの場合は、締め切り当日までの応募ができますが、それでも早めに済ませられるようにしておきましょう。
写真のレタッチや印刷に要する時間を考えると、締め切りまでに間に合わせようとするのではなく、早め早めの行動が大切といえるのです。
2−5. 規定の用紙サイズ、枚数を守る
写真を応募する際には、指定された用紙サイズと枚数を守るようにしましょう。
応募要項をよく読めていない、ほかの応募者よりもインパクトを与えたい、といった理由で、規定外のサイズで提出しても、審査の対象から外される可能性があるためです。
応募写真の枚数もチェックすべき点です。
単写真との指定があれば、自分の中で最高の一枚を選びましょう。
組み写真という、ひとつのテーマを複数枚で表現できる場合は、物語性を感じられる写真を選びます。
既定の枚数の中で、被写体を通して伝えたいコンセプトを明確にするのが大切です。
フォトコンテストへの応募時には、きちんとルールを守ることが何よりも大切。
いくら優れた写真であっても、応募要項を満たしていなければ審査対象外になります。
3. フォトコンテストに入賞するための被写体の選び方
応募するフォトコンテストを決めたら、次は被写体選びに進みます。
それを見つけるには、日頃から観察眼を磨くことが重要です。
日常の何気ない景色の中にも、自分だけにしか撮影できない被写体は存在します。
自然との交流やなにげない散歩の中で、ふとした瞬間に最高の被写体を見つけられれば御の字。
フォトコンテストのテーマに沿った被写体を探せるように、以下のポイントを意識してみましょう。
- 物語(ストーリー)性の伝わる被写体を選ぶ
- とにかくインパクトがある被写体を選ぶ
- 写真内で関係性が見える内容を選ぶ
- 季節感を出す
3−1. 物語(ストーリー)性の伝わる被写体を選ぶ
写真を見ただけで、撮影時にカメラのレンズの先にあった情景が伝われば、フォトコンテストの審査員の心を動かすことができます。
そのため、被写体を選ぶ際には、物語(ストーリー)性を意識することが大切です。
目の前で起きている事象の一瞬を写真に切り取ることで、どのような物語が繰り広げられていたかを想像できるようにしましょう。
一枚の写真から前後の時間の流れがイメージできればOKです。
カメラマンがレンズを向けようと思った理由、思わずシャッターを切った瞬間を理解してもらえるよう、心がけてください。
日常の何気ないところに、物語は展開されているものです。
友人同士の会話の中で生まれる笑顔、祭りの賑わいの最高潮、動物の意外な行動など、一瞬をとらえてみてください。
3−2. とにかくインパクトがある被写体を選ぶ
多くの作品が集まるフォトコンテストにおいて、審査員の目を引くためには写真にインパクトを持たせることが大切です。
ほかの写真の中に埋もれてしまわない迫力を意識するとよいでしょう。
インパクトのある写真にするには、被写体選びと撮影の仕方が重要です。
被写体であれば、下記の点を意識します。
- ダイナミックな動きの被写体
- 絶妙な表情、仕草の被写体
- 珍しい被写体
- 時間や季節によって表情を変える被写体
インパクトのある写真になるよう、下記のような撮り方をするとよいでしょう。
- 独創的なカメラアングル
- アップで撮影する
- ローアングルで撮影する
- 被写体の一部を切り取る
被写体を選ぶ際には、人物であれば動きや表情でダイナミックさを表現できます。
建物や景色を選ぶなら、日常的なものでもいつもと異なる姿を見せる瞬間が狙い目です。
撮影時には、ローアングルを狙うことで写真に迫力を加えられます。
被写体の全体を移すのではなく一部のみをアップして撮影すれば、切り取られた独自の世界観を表現可能です。
3−3. 写真内で関係性が見える内容を選ぶ
被写体同士のつながりがひと目で伝わる写真を撮影してみましょう。
一枚の写真の中に写り込んだ人同士、人と動物、人と建物・景色などが、どのような関係性にあるかを伝えてみてください。
友人同士であれば友情や喧嘩、夫婦であれば愛情や長年の信頼などが伝わる一瞬を切り取ります。
人と動物ならお互いの信頼関係や好奇心を伝えられるとよいでしょう。
人と建物が並んでいれば、初めて訪れた場所での感動、長年住み続けてきた家への感謝が伝わるかもしれません。
先に紹介した、物語性を伝える手法と似ていますが、被写体の何気ない一瞬を切り取るために注意深く観察するようにしておきましょう。
3−4. 季節感を出す
景色を被写体にしたい場合、その時々の季節感が伝わるものを選びましょう。
住み慣れた土地の見慣れた景色でも、季節によって異なる表情を見せます。
一般的な被写体であっても、季節ごとの顔を捉えることができれば差別化が可能です。
季節によって変化する被写体選びのポイントは、下記のとおりです。
季節 | 被写体選びのポイント |
春 | 新緑の美しさ。桜やチューリップなど多彩な花々。フレッシュな人々 |
梅雨 | 雨による水滴、水たまりの波紋の表現。紫陽花の美しさ |
夏 | 青い空や海。花火大会の様子。人や動物たちの活発な姿 |
秋 | 紅葉やススキなどの植物の姿。ハロウィンや芸術系のイベント |
冬 | 雪景色やイルミネーション |
季節だけでなく、時間帯によっても被写体は変化します。
太陽光の当たり方ひとつで被写体は表情を変えるため、さまざまな時間帯の一瞬を狙うとよいでしょう。
4. 被写体別の撮影ポイントを把握
被写体選びができたら、状況に合わせた適切な撮影の仕方を把握しておきましょう。
撮影に臨むにあたり、被写体とどのように向き合うか、どう撮れば魅力的に写るかを意識します。
被写体ごとの撮影ポイントをまとめました。
- 人物写真を撮影する際のポイント
- 景色を撮影する際のポイント
- イベント撮影する際のポイント
- 動物を撮影する際のポイント
- 乗り物を撮影する際のポイント
4−1. 人物写真を撮影する際のポイント
人物を被写体に選ぶ場合、その人の人となりや人生観などが浮き出るような一枚をめざしましょう。
被写体となる人物と向き合う際には、撮影する側も自然体でいることが大切です。
「こんな写真が撮りたい」という前提があっても、それを押しつけてしまうと被写体となる人物の本質を映し出すことは難しいでしょう。
あくまでも自然体で接しながら相手の普段の行動を妨げず、何気ない一瞬を写真に切り取ってみてください。
4−2. 景色を撮影する際のポイント
風景写真はきれいに撮れれば良いというわけではなく、審査員はカメラマンの撮影意図まで見ています。
何気ない風景の中で、一瞬を切り取ろうと思った「何か」を、画として伝えられるようにしましょう。
風景を撮影する際には、自然光の使い方が重要になってきます。
時間帯によって太陽の位置が変わるため、被写体への光の当たり方が変化するためです。
斜めからの光なら影ができ、コントラストの強い変化のある写真になります。
淡い雰囲気の写真にしたい時は、光が均一に照らしている曇りの日を狙うとよいでしょう。
太陽光による変化は、朝と夕方に顕著になります。
日の出や日の入りの瞬間を撮影すれば、刻々と変化する風景の表情を収められます。
光の変化が草木や山、川、海に与える影響を考慮して撮影するとよいでしょう。
4−3. イベント撮影する際のポイント
スポーツや芸術などのイベントは、多くのシャッターチャンスのある場所です。
イベントの撮影をする際には、人物の動きや表情の一瞬をとらえる必要があります。
そのため、なるべく多くシャッターを切ることを心がけましょう。
枚数を気にせず撮れるようにしておけば、後から気に入ったものを選べます。
周囲の邪魔にならないように近づいで撮影することで、迫力のある写真になるでしょう。
人が激しく動くスポーツの場合は、カメラ越しに人の動きを予測することが大切です。
最高の一瞬を逃さないよう、カメラで追い続けながらチャッターを押す訓練をするとよいでしょう。
イベントの撮影時は、人物だけでなく背景にも気を配る必要があります。
人物がよい表情を浮かべていても、背景の情報量が多く乱雑に見えてしまうと魅力は半減します。
人物の背景の空間を意識しつつ、少し下から撮影するなど背景をうまく処理するのも効果的です。
4−4. 動物を撮影する際のポイント
ペットや動物園、自然界で暮らす動物の撮影。
動物は常に動いており、言葉をかけてもじっとしてくれないことが多々あります。
そのため、動物を従わせようとするのではなく、撮影者側がうまくフォローして最高の一瞬を狙えるようにしましょう。
動物の動きが止まった瞬間を狙い、シャッターを切ります。
動きが素早い動物を撮影する際は、迅速にシャッターを切れるようカメラを横向きに構えておくと確実さが増します。
この時、カメラのピントは動物の目に合わせるようにしましょう。
動物は顔に長さがあるため、正面を向いている時は目にピントを当てたつもりでも、鼻に合っている場合があります。
一枚の写真内に数匹の動物が写っている場合は、メインとなる被写体の目にピントを当ててください。
また、動物と周囲の環境と一緒に移すことで、季節感や自然の豊かさを感じられます。
動物のアップでなくても、風景に溶け込んだ情緒あふれる一枚に仕上げることも可能です。
4−5. 乗り物を撮影する際のポイント
電車や自動車、飛行機、船などの乗り物は、ダイナミックな構図がつくりやすく人気の被写体です。
身近な所に多くあり、撮影しやすい点も嬉しいところ。
乗り物を撮影する際には、美しい構図を意識してみましょう。
乗り物がかっこよく写っていることは前提として、橋や空といった周囲の風景が入っていると、臨場感が高まります。
自動車やバスは正面や真横から撮るのではなく、さまざまな角度と高さから狙ってみましょう。
自然光の変化を取り入れれば、より個性的な一枚になります。
また、乗り物が普段どのように運用され、人々の役に立っているかを伝えるためには、あえて人物と一緒に写真に収める方法もあります。
物語性の感じられる乗り物の写真となるでしょう。
5. フォトコンテストに入賞するために必要な撮影技術
初心者向けのフォトコンテストをめざす場合は、写真の技術よりも物語性や伝えようとする意思のほうが尊重されます。
しかし、撮影技術を高めておけば、写真で表現できる幅が増すというもの。
美しく狙った通りの写真を撮るための、撮影技術を5つ紹介します。
- 被写体にしっかりとピントを合わせる
- 周囲を意識して構図を決める
- 撮影時の光源を意識する
- シャッタースピードを意識する
- 被写体の背景をぼかす
5−1. 被写体にしっかりとピントを合わせる
人物や乗り物、風景などを撮影する際には、ピントがきちんと被写体に合わせられているかを意識しましょう。
人物の顔を移そうとしたのに、ピントが背景に合っていれば顔がぼけた写真になってしまいます。
ピントがどこにも合っていないと全体的にぼけた写真になり、何を伝えたいのかがわかりません。
しっかりと被写体の見せたい部分にピントを当てるには、普段から練習をして数をこなすことが大切です。
最初はカメラのオートフォーカス機能を使い、ピントが正しく合う感覚を掴むとよいでしょう。
オートフォーカスが効きにくい場面では、マニュアルフォーカスを使います。
下記のような場面では、オートフォーカスに頼らず自分でピントを合わせてみてください。
- 被写体同士の明暗差が少ない
- 被写体より手前にある物にピントが合ってしまう
- 背景にくらべて被写体が小さく、ピントを合わせにくい
- 似たような柄や形状が並ぶため判別しにくい
5−2. 周囲を意識して構図を決める
人物や動物を被写体にする場合、周辺の景色を意識して構図を決めるのが効果的です。
写真の中で一番見せたい被写体が、魅力的に写るように構図を考えましょう。
情報量の多すぎる構図になると、何を伝えたいのか不明瞭な写真になってしまいます。
写真の構図には、基本となるものがいくつか存在します。
下記はその一例です。
写真の構図 | 構図のイメージ | 構図の特長 |
日の丸構図 | メインとなる被写体を写真の中央に配置する構図で、最も一般的 | |
放射線構図 | 写真の中の一か所から放射線を描くように構図をつくる。奥行きが表現されるため、移動する乗り物に使うと効果的 | |
対角線構図 | 被写体を対角線上に置くことで奥行を表現可能 | |
二分割構図 | 建物や水面など、被写体を中央に配置することで縦・横、左右で非対称になる構図。シンメトリーな被写体に効果的 | |
三分割構図 | 写真を縦・横に三分割し、線の上か交差する部分に被写体を配置する。すっきりとした空間を表現可能 | |
シンメトリー構図 | 左右対称、上下対象になるように被写体を配置する構図。不思議なイメージにできる | |
サンドイッチ構図 | 被写体の左右を自然の風景や建築物で挟み込む構図。中央の被写体を強調し、奥行を表現可能 | |
三角構図 | 地面を大きく天井を小さく見せる安定感のある構図。 | |
トンネル構図 | トンネルのように被写体の周囲を囲んだり暗くしたりして、目立たせる構図 |
被写体を魅力的に見せるために、最適な構図選びを意識してください。
時にはセオリー通りの構図を無視し、自分がよいと思ったアングルで撮影するのもよいでしょう。
独自性のある写真が誕生します。
5−3. 撮影時の光源を意識する
カメラを向けてシャッターを切れば写真は取れますが、きれいに写そうと思うと話は別です。
被写体と周囲の光の関係性を意識すれば、写真の出来栄えは劇的に変わります。
被写体にあたる光には下記の3種類があり、目的に応じて光源を意識しましょう。
光の当たり方の種類 | 光の当たり方の特長と撮影時のメリット | 撮影時のデメリット |
順光 |
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逆光 |
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斜光 |
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通常は順光の下で撮影する機会が多いかと思います。
問題なく写真を撮れますが、光の変化を演出として取り入れたい場合は、斜光や逆光の際にも積極的に撮影しましょう。
逆光はよくないというイメージがあるかもしれませんが、カメラ側の設定や被写体の正面からレフ版やストロボなどで光を補助するなど、独自性の高い写真を撮ることが可能です。
5−4. シャッタースピードを意識する
被写体を撮影したとき、動きが早すぎてぶれてしまったという経験はないでしょうか?
素早く動く被写体をとらえるためには、シャッタースピードの調節が鍵を握っています。
シャッタースピードとは、カメラのシャッターを切る瞬間にかかる時間のことです。
カメラのシャッターが開いている間だけ、レンズから入ってきた光がカメラ側に届きます。
光が撮像素子に当たることで、画像として記録されるという仕組みです。
そのため、シャッタースピードを速く設定すれば、高速で動く物体も止まっているように撮影可能です。
乗り物や動物、スポーツイベントなどの一瞬を撮影したい時に効果的といえます。
シャッタースピードを早く設定した場合 | ||
適したシチュエーション | メリット | デメリット |
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反対に、シャッタースピードを遅くすれば、その分光を長く取り込むことができるため、やや暗い場所でも明るく撮影可能です。
シャッターを切る時間が長くなる分、手ぶれしやすくなるため三脚などで固定するのがおすすめです。
また、川の流れや自動車のヘッドライトの光などの動きを、線を描くように写せます。
見慣れた景色を幻想的な風景に変えることが可能です。
シャッタースピードを遅く設定した場合 | ||
適したシチュエーション | メリット | デメリット |
|
|
|
対象となる被写体に合わせて、適切なシャッタースピードを選べるようになれば、表現に幅を持たせられます。
コツをつかむまでは、カメラ側の自動設定に任せながら少しずつ慣れていくとよさそうです。
5−5. 被写体の背景をぼかす
人物や動物の写真など、主役となる被写体を強調させるには、背景をぼかす表現が効果的です。
ピントを被写体に合わせて背景をぼかすことで、視線を誘導しつつ柔らかい雰囲気を出せます。
背景をぼかすには、下記の撮影方法を試してみてください。
撮影方法 | 撮影時のポイント |
被写体と背景を遠ざける | 手軽に背景をぼかす撮影方法。奥行の取れる場所ならすぐに実践できる |
被写体に近づいて撮影する | 被写体側に近づくことで、背景から自然と距離をとれる |
レンズの望遠側で撮影する | レンズを最大までズームさせ、被写体から離れて撮影する |
F値(しぼり)を小さくする | カメラのF値を小さくすることで、レンズに入る光の量が増え、背景をぼかして撮影できる |
被写体と背景との距離を取る方法は、特別な技術は不要なためすぐに試せます。
ピントが合う位置まで被写体に近づけば、自然とカメラから背景までの距離が遠くなるため、狭い場所でも実践可能です。
スマホとは異なり、レンズの交換ができる一眼レフカメラならではの機能を使うなら、レンズの望遠側で撮影したり、F値を調整したりすることで、しっかりと背景をぼかすことができます。
6. フォトコンテストの応募時に意識すべき点

実際に写真を撮影し、フォトコンテストに応募しようという段階まで来たら、もうひと踏ん張りです。
撮影時の苦労が無駄にならないよう、最高の一枚を応募できるようにしましょう。
撮影後の加工やタイトル付け、作品選びなどで重要となる5つのポイントを紹介します。
- 過度な加工を施さない
- 人物の撮影時には許可を取る
- プリントの際は慎重に
- 安易なタイトルは避ける
- 応募作品を吟味して絞り込む
6−1. 過度な加工を施さない
フォトコンテストの応募要項にて禁止されていなければ、基本的には撮影した写真への加工ができます。
フォトコンテストで一般的に認められている加工は、以下のような手法です。
トリミング:撮影後に画角を調整する。被写体が引き立つアングルにできる
色調補正:色の濃度や彩度を調節する。撮影時のホワイトバランスを後から修正できる
反対に、下記のような過度な加工は避けるべきでしょう。
- 別の素材を合成する
- 細かいゴミやほこりの消去
- 極端に白飛びさせる
- 極端にトリミングする
画像編集ソフトの普及で簡単に写真を加工できるようになりましたが、フォトコンテストはあくまでも撮影した写真で競い合う場所。
過剰な編集を加えて見栄えをよくするのではなく、撮影時の工夫と感覚を頼りに乗り切るようにしましょう。
6−2. 人物の撮影時には許可を取る
フォトコンテストに応募する写真は、被写体の肖像権に気をつけましょう。
イベントや町中で撮影した人に許可を取らず、そのまま応募するのは避けるべきです。
フォトコンテストの多くは肖像系について応募要項に明記しており、被写体となる人からきちんと許可を得て撮影し、応募することに了承を得ておく必要があります。
公共性の強い場所であっても、人を無断で撮影するのはリスクを伴います。
風景やイベントを撮影した写真に人が映り込んでいた場合は、顔や服装から個人を特定できるのもでないか、注意深く確認することが大切です。
6−3. プリントの際は慎重に
データではなく印刷した写真を送付する場合は、プリント用紙の選び方で差がつきます。
写真そのものの出来栄えだけでなく、プリントした用紙のクオリティも審査員への好印象を与える要因だからです。
「誰かに写真を見せる」という意味を考えるならば、美しく見やすい状態で応募することが重要だとわかります。
写真の加工時にコントラストや彩度を上げ過ぎてしまうと画像が荒く見えるため注意が必要です。
プリントのサイズに対して写真の解像度が不足していると、ぼけて見えてしまいます。
自宅でのプリントがうまくいかないという人は、写真の専門店に依頼するとよいでしょう。
自分でプリントするよりも、色の表現力の高いきれいな印刷が可能になります。
写真の余白にも注目します。
白と黒から選べる余白は、写真の雰囲気を左右する要素です。
- 白い余白の場合:写真全体を明るいイメージにできる
- 黒い余白の場合:写真を落ち着いたイメージにできる
フォトコンテストの応募規定をよく読み、写真のサイズや応募点数を把握しておきましょう。
写真サイズの大きさは審査に影響はありませんが、大きく印刷したほうが審査員の目に留まりやすくなります。
そのため、既定の範囲内でなるべく大きめに印刷しておきましょう。
6−4. 安易なタイトルは避ける
写真につけるタイトルは、撮影者の思いや撮影意図を伝えるために欠かせない要素です。
写真で表現したいことを、タイトルを使い受け手側に認識してもらいやすくしましょう。
タイトルをつける際は、写っているものを選んで安易につけるのはおすすめしません。
お寺を撮影したときに、タイトルを「〇〇のお寺」としてしまうと、写真に写っている内容そのままになってしまいます。
写真の説明ではなく、想像を膨らませられるタイトルが理想です。
下記のようなイメージでタイトルを考えてみてください。
タイトルの付け方 | タイトルの考え方 |
撮影意図が伝わるタイトル | シャッターを切った理由を説明できるものを選ぶ |
写真から連想させるタイトル | 写真に写っていない背景を連想させるものを選ぶ |
似た言葉にお置き換えたタイトル | 被写体ではなく、そこから連想できる言葉を選ぶ
など |
詩のようなタイトル | 詩集を参考にして写真のイメージに近いものを考える |
長文のタイトル | 短いタイトルが基本だが、長文タイトルにすれば目を引くことができる |
ユニークさを押し出したタイトル | 苦しい状況でも、前向きなタイトルをつけることで異なる印象を与えられる |
とはいえ、あくまでもフォトコンテストでは写真の完成度を見られます。
タイトルはあくまでも補助的な役割と捉え、写真の魅力を引き立てられるものをつけましょう。
悩んだときは、過去の入賞者の作品も参考にできます。
6−5. 応募作品を吟味して絞り込む
写真の応募数が一枚だけの場合は、自分が最高だと思える物を選ばなくてはなりません。
一度フラットな気持ちで見てみるためにも、候補となる写真をすべて印刷してみましょう。
実際に紙にプリントすることで、雰囲気や質感を見ることができます。
プリント時には実際の応募用紙と同じサイズにするのがおすすめです。
カメラの液晶やパソコン画面では分からない、細かな色味を見るのにもってこいです。
また、一人で悩み続けるのではなく、誰かの意見をもらうことも重要になります。
家族や友人など身近な人にプリントした写真を見せて、意見をもらいましょう。
自分では気づけなかったポイントが見えてくるかもしれません。
あまりよいと思わなかった写真も、よい部分を見つけてもらえる場合があります。
7. フォトコンテストの入賞を目指すモチベーションの保ち方
フォトコンテストへ向けて応募を繰り返しても、なかなか入賞できず悔しい思いをしている人もいるでしょう。
写真を撮り続けながらスキルと感性を磨き続けることで、いつか入選できる日が訪れるかもしれません。
最後に、フォトコンテストへ向けてのモチベーションを保ち続けるための方法を紹介します。
7−1. あきらめず何度も応募する
フォトコンテストへの落選が続いても、あきらめず何度も応募を繰り返すことが大切です。
フォトコンテストに入選しなかった理由を知ることはできませんが、継続して応募を続けることで、審査員の目に留まる機会に恵まれるかもしれません。
無料で応募できるフォトコンテスト、プリントにかかる費用を節約できる写真データのみで応募できるフォトコンテストを選ぶことで、コスト面の負担を抑えるのもよいでしょう。
多くの人は落選を繰り返しながらようやく入賞をつかんでいるため、あきらめないことが大切なのです。
7−2. 少しずつ技術面を高めていく
フォトコンテストをめざしている最中も、自分のスキルの向上を怠らないようにしましょう。
撮影では試したことのないアングルや個性的な被写体選びにチャレンジできます。
写真の加工技術を磨けば、撮影時には気づけない細かい部分まで見えてくるでしょう。
プリントの方法や用紙の選定を変えてみるだけで、写真の完成度を高めることが可能です。
撮影技術や印刷技術を試行錯誤しながら、応募を続けることが大切といえます。
写真を続けることでセンスが磨かれていき、これまでにない一枚を撮影できる可能性が高まるはずです。
7−3. 日常を切り取る訓練をする
被写体の見せる表情の一瞬を逃さないためには、撮影を習慣づけすることが効果的です。
フォトコンテスト用に使っているカメラを持って、散歩や旅行に出かけましょう。
何気ない人物の動きや動物が見せる表情、時間による空の色の変化など、カメラを持つことで見えてくるものは数多くあります。
出展:らくらくスマートフォン F-52B
普段からカメラを持ち歩くのが難しいと感じる人は、スマホのカメラで撮影しましょう。
近年のスマホのカメラは高性能化が進んでおり、被写体や景色をくっきりと鮮やかに映し出せます。
スマホを持っていないという人には、初心者向けの機種からスタートしてみるとよいでしょう。
「らくらくスマートフォン F-52B」はシニア向けのスマホですが、高性能なカメラ機能を搭載。
背面にあるアウトカメラは、有効画素数が約1,310万画素と、デジカメと比べて遜色のない画質で撮影できます。
一眼レフのように背景をぼかすなどのテクニックは使えませんが、瞬時に画角を決める練習をしたり、備忘録として気になる景色を撮影したりと、スマホならではの使い方ができます。
まとめ
フォトコンテストへの入選をめざしている人は、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
いきなり難易度の高いフォトコンテストに応募しても、周囲は実力者ばかり。
落選が続き自信をなくしてしまうかもしれません。
そのため、まずは入選をめざして初心者向けのフォトコンテストを選んで応募しましょう。
少しずつ経験を積み重ねれば、いつか審査員の目にとまる一枚ができるかもしれません。
- 被写体の選び方
- 被写体別の撮影ポイントの理解
- 撮影技術の向上
- 応募要項に適した写真を用意する
上記のポイントを意識しつつ、応募時のテーマに合わせた最適な見せ方をできるよう、心がけてみてください。
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