
60歳を過ぎると、人生の最終章がいよいよ目の前に迫ってきたように思い、
「70歳を過ぎても、今と同じような生き方をしていてよいのだろうか。」
と感じていたり、
「ただ漫然と終わりのときを迎えるのではなく、今よりもっと幸せを感じられる生き方をして過ごしてみたい」
と考えていたりする人も少なくないのではないでしょうか。
人生の最終章ともいえる70歳からは、とにかく自分のために生きること、そう遠くないうちに終わりのときがやってくることを意識しながら過ごすことが大切です。
60代や70代以降の時間は、子どもも独立し、会社からも離れ、もう一度自分のために生きることが叶う時間でもあります。さらに自分が思うとおりに動ける健康寿命が尽きるまで、思うほど時間がないかもしれません。自由に楽しめるラストチャンスですから、迷っている暇などないのです。
どうすれば70歳からの時間を自分のために楽しく使えるかは人によって違います。それどころか自分で楽しみを見つけるしかないわけです。自分の置かれた環境や性格に応じて、自分に合った生き方を提案していきます。
この記事では、
- 家族有り×自己犠牲タイプ
- 家族有り×自己実現タイプ
- おひとりさま×自己犠牲タイプ
- おひとりさま×自己実現タイプ
の4タイプに分けて、70歳から幸せに生きるためには、それぞれどのような在り方や行動をしていけばよいのかを紹介しています。
自分に当てはまるタイプの生き方を参考に、自分にとっての70歳からの生き方を模索してみてください。きっとこれまでとは違う生き方が見つかり、素敵な時間を重ねていけるようになるはずです。
最期の最期で後悔しないためにも、やってみよう!と思うことはすぐに実践してみてください。
目次
1.70歳からを幸せに生きるための2つのポイント
では、人生の最終章を本当に幸せに生きるためには、どうすればよいのでしょうか。
まずはどんな人にも共通する2つのポイントを紹介します。
70歳からの時間を幸せに生きるためのポイントは、次の2つです。
1-1.とにかく自分のために生きること
これまで自分よりも家族や会社など、自分以外を優先して生きてきた人も多いのではないでしょうか。
しかし70歳からは他人のために生きる選択をしなくてもよい環境が整います。子どもが独立したり、勤めていた会社を退職したりして、これまでの環境が大きく変わり、自分のために使える時間が物理的に増えることも多いからです。
厚生労働省が発表している「健康寿命の令和元年値について」という資料によると、令和元年における男性の健康寿命の平均は72.68歳、女性の健康寿命の平均は75.38歳です。
もし平均的な年数しか健康寿命を保てないのだとすれば、あと10年もすれば、嫌でも日常に制限が出てきてしまいます。
そこで「こんなふうに生きてみたかったな」「もっと自分の思うとおりに過ごせばよかったな」と思ってもあとの祭りです。
これまで他人や社会のために自分と自分の時間を十分に捧げてきました。
人生の最終章くらい本当に自分の望むとおりに生きたってよいのではないでしょうか。
1-2.終局を迎える心づもりをしておく
70歳という年齢は、どんなに若い気持ちでいたとしても、人生の終わりを意識せざるをえないときです。いつか必ず訪れる終わりのときを迎える心づもりをしておくことも大切でしょう。
少しずつ後片付けを始めるのもよいでしょうし、後を任せられる家族がいるなら、自分が去った後のことは気にせず自分のやりたいことをやり切るのも一つです。
自分はどのように残りの時間を過ごして終わりを迎えたいのか?ということを、一度自分自身に問いかけてゆっくり考えてみましょう。
自分がどのように生き切りたいのかを知っておけば、その後の時間の使い方が変わります。自分にとって本当に有意義な時間の使い方ができるはずです。
2.あなたはどれ?まずはこれまでの生き方タイプを確認
では、具体的に自分はどのように過ごせば、70歳からの時間を幸せに過ごせるのでしょうか?
その答えは人によって千差万別です。
しかし、自分の置かれた環境やタイプに応じて、ある程度共通した指針を見出せます。
以下では、
- 家族有り×自己犠牲タイプ
- 家族有り×自己実現タイプ
- おひとりさま×自己犠牲タイプ
- おひとりさま×自己実現タイプ
という4つのタイプに分けて、70歳からの過ごし方を提案していきます。
まずは、以下のチャートで自分がどのタイプに当てはまるかをチェックしてみましょう。
2-1.家族有り×自己犠牲タイプ
チャート中の項目以外にも、下記に挙げる項目に当てはまることが多いなら、「家族有り×自己犠牲タイプ」に当てはまります。
- これまで自分よりもパートナーや子どものために時間もエネルギーも費やしてきた
- 「自分のために生きてみよう」といわれても何から始めてよいのかわからない
- 「私さえ我慢すれば…」と自己犠牲をしてしまうことが多い
- 自分がどうしたいかよりも他人にどう思われるかが気になる
このタイプの人は、まずは他人のために無理をして行動することをやめましょう。
子どもも独立し、会社からも離れ、これまで縛られてきたものから解放され、自由に使える時間が増えた人も多いはずです。自分が果たすべき役割はもう十分に果たしたのですから、これからは自分や自分の時間を家族や周りのために犠牲にする必要はありません。
配偶者や子どもとの過度の依存状態からは脱却し、親戚や友人とはストレスを感じない付き合い方をすべきです。これまで当たり前のようにやってきた家事だって、しんどいと思うならやめてもよいのですし、他人からどう思われるかなんて気にする必要もありません。
より具体的にどのようにすべきかは、3.家族有り×自己犠牲タイプの70歳からの幸せな生き方
で詳しく説明します。やってみよう!と思うことから実践し、自分が心から楽しめる環境を整えていきましょう。
2-2.家族有り×自己実現タイプ
チャート中の項目以外にも、下記に挙げる項目に当てはまることが多いなら、「家族有り×自己実現タイプ」に当てはまります。
- 家のことはすべてパートナーや家族に任せてきたため、家の中のことは一人では何もできない
- とにかく外向的。家の中にこもっているのは苦痛だ
- 会社を離れたとしても、社会における居場所がほしい
- 最期の最期まで自分のやりたいことを思うようにやりたい
このタイプの人は、最期まで自分がそうありたいと望む姿でいるための努力をしていくとよいでしょう。
脳トレをしたり、できるだけストレスを排除して過ごしたりすることで心身の健康を保ちつつ、何事も受け容れる心を養っておくことが大切です。そうすることで、常に前向きでいられるようになり、長く人生を楽しめます。
また、家族や社会との関わり方を見直すことも大切です。
特に、これまで当たり前のように甘えてきた配偶者パートナーから自立するよう努力しましょう。
さらに社会における立ち位置の変化にも柔軟に対応し、新たな自分の役割を見つけられれば、最期まで充実した人生を送れます。
具体的な内容は、4.家族有り×自己実現タイプの70歳からの幸せな生き方で紹介しています。環境の変化に合わせた、自分の新しい在り方を見つけるヒントとして、ご覧ください。
2-3.おひとりさま×自己犠牲タイプ
チャート中の項目以外にも、下記に挙げる項目に当てはまることが多いなら、「おひとりさま×自己犠牲タイプ」に当てはまります。
- 周囲に気を使いながら一生懸命仕事ばかりをしてきた、または子どものために自分のことは犠牲にして必死で働いてきた
- 老後の生活苦などのニュースが気になり、今後の生活が不安だ
- 一人は気楽だが、全くの一人はさみしい
- 自分がいなくなった後、子どもや他の人にはできるだけ迷惑をかけたくない
このタイプの人は、経済面や健康面における将来の不安がもっとも大きな心配事であることが多いものです。不安を解消しながら、上手に自分を楽しませる生き方を模索していくのがよいでしょう。
将来の不安は、ネガティブな印象を受ける世間の情報には触れないようにすること、できる範囲で健康を保つことで、和らぐはずです。
また、自分の好きなことには上手にお金を使ったり、SNSなどを使って話し相手を見つけたりすることで、日々の中にちょっとした楽しみを見出すことができ、今よりもっと楽しい過ごし方ができるでしょう。
明日からすぐに実践できるさらなるヒントは、5.おひとりさま×自己犠牲タイプの70歳からの幸せな生き方で紹介します。ぜひ取り入れて幸せな毎日を重ねていきましょう。
2-4.おひとりさま×自己実現タイプ
チャート中の項目以外にも、下記に挙げる項目に当てはまることが多いなら、「おひとりさま×自己実現タイプ」に当てはまります。
- 元々野心家で独立心旺盛だ
- これまで仕事に邁進してきた結果、経済的にも余裕がある
- とはいえ、今後は収入の道が途絶えることもあり、多少は不安だ
- 自由気ままな生き方を最期まで貫きたい
このタイプの人は、年齢にあった楽しみ方を見つけつつ、最期の最期まで楽しめる自分であるよう努力することが大切です。
無理のない健康法を実践して健康寿命を延ばす努力をしながら、お金はメリハリをつけて使うことで最期まで楽しく過ごせるでしょう。恋愛だって諦めることはありません。
より具体的には、6.おひとりさま×自己実現タイプの70歳からの幸せな生き方で紹介します。自信を持って最期まで歩み続けるための参考となるはずです。
3.家族有り×自己犠牲タイプの70歳からの幸せな生き方
このタイプの人はこれまで当たり前のように自己犠牲をして過ごしてきたはずです。
パートナーや子どものために自分の時間のほとんどを捧げてきたといっても過言ではない人も多いでしょう。
そのため「これからは自分のために生きればいい」と言われても、何をすればよいのかわからない人もいるかもしれません。
しかし、70歳からの時間を本当に幸せに過ごすためには、これまでどおりの選択を続けてはいけません。
自分の望むとおりに幸せに過ごすためにも、まずは家族や他人のためとこれまで当然のようにやってきたことをやめることから始めることです。
具体的には、以下で紹介することから始めてみてはどうでしょうか。
3-1.自分の望まない選択をしない
これからを幸せに生きるための心得として、まずは家族や周りのために自分を犠牲にすることをやめましょう。「自分さえ我慢すれば」と思ったり「本当は嫌だけど角を立てたくないから」と考えたりして、本当は自分が望んでいない選択はしないことです。
たとえば、次に挙げるようなことを何となくしていませんか?
- 本当は参加したくないけれど、集まりには一応参加する
- 体が疲れてしんどいけれど、家事は必ずやる
- 本当は食べたくないけれど、もったいないし無理してでも食べる
- 本当は気が進まないけれど、パートナーの親に連絡する
自分の望まない選択を日常的にやってしまうと、いつの間にか自分が本当に望むことが何なのかわからなくなってしまいます。
自分の望みをもう一度見つけるためにも、本当は自分が望まない選択をするのはやめましょう。
周囲と上手く折り合いをつけなければならなかったこれまでとは違い、70歳からの時間は自分さえ望めば、本当に自由になれる時間です。少し意識を変えて、自分の望むことだけを少しずつ選ぶようにしてみるだけで、気づいたときには随分と楽しい人生へと移行できているでしょう。
3-2.パートナーとは適切な距離を取る
自分のために生きるには、パートナーとの距離を適切に取ることも大切です。
これまでパートナーのために自分の時間や労力を捧げてきた人も多いかもしれませんが、70歳からは、そういった習慣も見直すべきでしょう。
これまで当たり前にしてきたことは、本当に自分が望んでいることなのか、今一度よく考え、自分にとって最も心地よい環境を整える必要があります。
たとえば、次のようなことを始めてみるのはどうでしょうか?
- パートナーのいびきのせいでぐっすり眠れないなら寝室は別にする
- 毎食の献立を考えるのが苦痛に感じるなら、シェアハウス形式にして誰かのために作るのはやめる
- 義理の両親への連絡がストレスなら、お互いの親には自分で連絡する
- パートナーの分も家事をするのがしんどいなら、自分のことは自分でするようルール化する
また、パートナーが会社を辞め、家で共に過ごす時間が増えたことで、ストレスが増えたという人もいるかもしれません。だからといって無理に相手を変えようとするのはやめましょう。
他人を変えることはできませんし、不満に思う環境から脱したければ自分が変わるしかないからです。
それに70歳からの貴重な時間を、相手を変えるために使うのは賢明とはいえません。自分の幸せを最優先にするためにも、相手に期待せず、穏やかに暮らせるよう努めましょう。
たとえ相手のことを耐えられないと思ったとしても、熟年離婚はできるだけ避けるべきです。離婚をするとパートナーを失うだけでなく、経済的に被るダメージも大きく、住む家まで失う可能性があります。暴力をふるわれていたり、ひどいモラハラを受けていたりしない限り、避けた方がよいでしょう。
3-3.独立した子どもは甘やかしすぎない
独立した子どもでも、子どもは子ども。今だに親を頼ってくることもあるでしょう。
しかし、自分を犠牲にするほど子どもを甘やかしすぎるのはよくありません。
自分が無理をすることで、返って不満がたまり、親子関係が険悪になることもあるからです。
特に無理をして孫の面倒はみないことです。孫がまだまだ幼い年齢の場合は目が離せませんし、体力の低下してきた今、走り回る子どもの相手をするのは非常に疲れるものでしょう。
本当はしんどくて気が進まないのに、嫌々引き受ければ、相手にもそれが伝わります。せっかく無理をして面倒をみたのに、子どもに感謝されないどころか、喧嘩になればさらに疲れてしまうでしょう。
孫の面倒をみるのが心から楽しいと思えるなら、もちろん引き受けて問題ありません。
しかし、本当は嫌だと思っているなら、きっぱり断ることも大切です。「NO」ということで、自分がしんどいと感じない距離を子どもと取ることができ、いつも機嫌よく接することができるようになるでしょう。その結果、意外とよい関係を築けることもあるものです。
3-4.親族や友人とは無理して付き合わない
「とにかく角は立てたくない」
「余計なトラブルに悩まされたくない」
とだけ思い、無理をして付き合ってきた親族や友人とは思い切って付き合いをやめましょう。
人生の終盤が見え始め、時間の限りを感じ始めた今、望まない付き合いのために自分の時間を使うことは賢明とはいえません。自分がストレスを感じるような付き合いに時間を費やすことはやめてしまいましょう。
冠婚葬祭であっても、あまりに疎遠な人のものであれば参加しなくてもよいのです。礼儀や義理のためにいくものではありませんし、本当に大切なのは形式より純粋に相手を祝ったり偲んだりする気持ちのはずです。自分が本当に参加したいときにだけ参加するのでもよいのではないでしょうか。
3-5.無理をして一人で家事をこなさない
家事は自分がやらなければならないもの、という思い込みも捨ててしまいましょう。
70歳が見えてくると体力が低下し、今までどおりに掃除をしたり買い物に行ったりするのが辛くなってくるものです。そんな場合は無理せず家族に頼りましょう。
事情を話して分担制にするのもよいでしょうし、家事をする頻度を減らすのもよいでしょう。定期的に家事代行サービスを利用するのもよいかもしれません。
とにかく自分に無理を課さず、少しでも楽に過ごせる選択をすることが大切です。
3-6.他人の評価は気にせず自分らしく楽しむ
これまで周囲からどう見られるかを気にして服装や持ち物を選んだり、収入を気にしたりしてきた人もいるかもしれません。
しかし、そういった見栄やプライドのようなものはもう要らないのではないでしょうか。本当の幸せは誰より自分が自分のことを誇れることで訪れます。
子どもの頃のように、自分が本当に好きなものを持ち、本当にやりたいことだけをやってみましょう。
- 敬遠してきたきれいな色の服やかわいらしいデザインの服を着てみる
- 挑戦を諦めていた趣味やスポーツをやってみる
- 子どもっぽく見られるかも…と持たなかったかわいいグッズを買ってみる
- 贅沢だと非難されそうなお金の使い方をたまにはしてみる
- センスが悪いと思われても、とにかく自分が好きだ!と思うものを集めてみる
など、どんなことでもかまいません。
他人はどうあれ、自分が楽しいと思う気持ちを尊重して過ごしてみましょう。
4.家族有り×自己実現タイプの70歳からの幸せな生き方
社会で思いっきり頑張ってきたこのタイプの人は、会社から離れてからも何らかの形で社会における自分の存在意義を見出したいと考える人も多いでしょう。
しかし、これまで自分が思いっきりやってこれたのも、家族の支えがあったからであることを忘れてはいけません。
さらに、パートナーも自分と同じように歳を重ね、同じように変化する環境の中にいます。これまでと同じようなあり方をしていては、相手に余計なストレスを与えていることもあるでしょう。
社会との関わり方だけでなく、家族との関わり方も見直したうえで、これからの生き方を選択するのが望ましいといえます。
具体的には、次に紹介するようなことを実践してみるのがおすすめです。
4-1.家族に依存しない
これまで家のことはすべてパートナーに任せてきたため、自分では家事は一切やらない、という人もいるかもしれません。しかし、そんな考えは捨てることです。
パートナーだって同じような境遇にいます。これまでは、「外で働く夫を支えるのが妻の役目」と一生懸命支えてきてくれたでしょうが、夫が外で働くのが終われば、妻の役目もひと段落します。自分のための自由な時間がほしいと考え始める人もいるでしょう。
そんな妻に、勤めていた頃と変わらず、やれ「メシ」だの、やれ「靴下」だの言っていては妻のストレスはたまる一方です。お互いストレスなく、楽しい時間を過ごすためにも、自分のことは自分でやる心意気を持ちましょう。
特に、これからの年齢は急にどちらかが入院したり、お別れしなくてはならないときがきたりすることだってあります。そのときに、妻がいなければ何もできない、ということでは困るのは自分です。これまで妻に任せきりだった家事を少しずつでも手伝うようにしてみましょう。きっと妻も喜んでくれ、よりよい夫婦関係を築くことにもつながるはずです。
また、子どもにも依存しないことです。これまで養ってやったんだから面倒をみてもらって当然だ、と無理に同居をしてしまうなどすると、お互いに余計なストレスをため親子関係が悪化することもあるでしょう。子どもとも適度に距離をおき、自立して生きるのがお互いのためです。
4-2.社会に奉仕する
会社は辞めたけれど、何らかの形で社会と関わっていたいと思うなら、自分の周りや社会の役に立つことを行ってみるのがおすすめです。
たとえば、次のようなことをやってみるのはどうでしょうか。
- 何らかのボランティア活動をやってみる
- 地域コミュニティの役員などをやってみる
- 自分の家だけでなく、公道まで掃除してみる
- 地域清掃に参加してみる
- 自分の所属するコミュニティなどの面倒な雑用を引き受けてみる
自分が社会にとって何らかの役に立っていることを実感できるだけで、自信を失うことなくいられるはずです。
会社に勤めているときほどの緊張感やストレスを感じることもないので、やりがいと楽しさを感じながら続けられるでしょう。
そこまで大きなことをやらなくても、頼まれごとを快く引き受けるだけでも、立派な社会奉仕です。自分のできること、思いつくことからやってみましょう。
4-3.脳トレとストレス排除で健康長寿を目指す
長生きするなら、認知症になることなく最後までしっかりした頭で生きたい、と考える人も多いでしょう。そのためには、やはり少々の努力やそうならないための心掛けが必要です。
漢字の読み書きや計算問題、クイズなどに取り組んで、普段から意識的に脳を活性化しましょう。麻雀を楽しむのも脳には良い影響を与えますし、料理に挑戦してみるのも脳へのよい刺激になります。
一方、ストレスは脳にも体にもよい影響を与えません。できるだけストレスを感じずに過ごせるよう、頑張り過ぎず、完璧主義はやめるなど、考え方を変える努力をしてみましょう。
笑顔で過ごす時間を増やすよう意識することも大切です。笑っていると幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌され、ストレス緩和に効果があります。
4-4.すべてを受け容れる心を持つ
最後まで幸せに生きるためには、できるだけすべてをありのまま受け容れることも大切です。歳を重ねて70歳が迫ってくる頃には、昔のような体力も気力もありません。これまでできていたことができなくなってショックを受けることもあるでしょう。
しかし、別にいいのです。すべてなるようにしかなりません。ありのままを受け容れることができれば、途端に思考は上向きます。
たとえ余命半年だと宣告されたとしても、ショックを受けてふさぎ込むのではなく、辛くても現実を受け容れ、そこからどう楽しく余生を生きるか考えて努力していった方が、よほど自分のためになります。
最後まで幸せに生きるためにも、すべてを受け容れる心を養うことを意識しましょう。
5.おひとりさま×自己犠牲タイプの70歳からの幸せな生き方
このタイプの人は、これまで自分が生きるため、または子どものために一生懸命一人で仕事をやってきた人が多いはずです。
これからの人生を考えるにあたって、経済面、健康面における不安を感じながらも、どうすればより楽しく過ごせるものか探っている人もいるでしょう。
このタイプの人が70歳からを幸せに過ごすためには、生きる不安をなくしつつ、無理なく自分を楽しませることがポイントです。
不安をなくすことで心が安定し、ほんの少しの楽しみでも存分に味わえるようになります。少しの心がけで、より多くの幸せを感じながら過ごせるようになるでしょう。
具体的には、以下で紹介するような内容を心掛けてみるとより幸せで楽しい毎日を過ごせますよ。
5-1.お金に関する世間の情報に踊らされない
世間では老後資金として2000万円は必要だというニュースや、老後の生活苦といったネガティブな情報も流れています。しかし、それらの情報に過度に反応しないことです。
老後の生活にどれくらいのお金が必要かは人によって違いますし、たとえ収入が少なくても身の丈に合った無理のない暮らし方をしていけばそこそこ生活していけます。
起こりもしないことに不安をめぐらせることは、幸せな時間を過ごすことへの大きな妨げとなります。
むやみやたらに世間の情報に耳を貸し、不安になるくらいなら、情報はシャットアウトした方がよいでしょう。それよりも毎日自分が気分よく、前向きにいられる考え方を取り入れた方が幸せに生きていけます。
5-2.自分の「好き」に上手にお金を使う
おひとりさまの場合、特に心配なのは経済面の問題でしょう。
しかし、いくら不安だからといって好きなことや、やりたいことまで我慢してしまうと、心まで貧しくなってしまいます。毎日を幸せで豊かに暮らすには、好きなことには上手にお金を使って楽しむことです。
たとえば次のようなことを実践するのはどうでしょうか。
- ブランドものがほしいなら、メルカリなどフリマアプリを上手に使って手に入れる
- おしゃれが好きならユニクロなどのプチプラブランドを利用して素敵なコーディネートをしてみる
- 本を読みたいなら、図書館を利用する
- 雑貨は100円ショップを活用する
自分の好きなもの、楽しいと感じるものには上手にお金を使い、自分を楽しませることができれば、自然と毎日も豊かに輝いていくはずです。
5-3.できるだけ歩いて足腰が衰えないようにする
最期まで自分の足で立っていたい、とは誰もが願うところです。一人で暮らしていると、身近な誰かに頼るわけにもいかないため、さらに強く願う人も多いでしょう。無理なく足腰を鍛えておくことも大切といえます。
足腰が衰えないようにするためには、もちろん運動することが大切ですが、何もわざわざジムに行って鍛える必要はありません。
次のようなことを取り入れてみれば、お金をかけなくても足腰を鍛えることができます。
- バスを利用するなら1停留所手前で降りて歩くなど、できるだけ歩く
- 駅やショッピング施設などではエスカレーターを使わずに階段を使うようする
- YouTubeなどの動画サイトを見ながらラジオ体操をやることを習慣にする
無理のない範囲で、少しずつ足を使う機会を増やせば、足腰の衰えを自然と先延ばしにできるでしょう。
5-4.話し相手がほしくなったらSNSを使うのも一つ
一人でいると、ふと寂しくなって他愛のない話をできる相手が欲しくなるものです。
旧友や離れて暮らす家族に電話やLINEをするのもよいかもしれませんが、全く知らない人とSNSを通じて交流してみるのもよい刺激になります。誰かの投稿に「いいね」をしたり、また自分が投稿した内容に「いいね」をもらうだけでも楽しいものです。ちょうど良い距離感の相手とつながり、一人ではないことを実感することで、なんとなく毎日が上向きます。
現在、SNSには色々なものがあり、60代以上向けのものもいくつかあります。自分に合ったSNSを見つけて利用してみると新しい世界が広がっていくかもしれません。
5-5.もっと老いる前に家の中をシンプルにしておく
「まだ体も元気だし、家の中の片付けはまだまだ先でいいかな」と思う人も多いかもしれませんが、実は今がやり時です。
あと10年もすれば今度は80代が見えてくるわけですが、その頃には今よりますます体力も気力も衰えているはずです。片付けようと思いながらもテキパキ動けるとも限りません。
そうなる前に、今から少しずつ使わないものやなくても困らないものは処分しておくのがおすすめです。特に大きな家具などは、自分で動かせるうちに処分しておけば安心でしょう。
また、不要なものをどんどん処分すれば、家の中には本当に自分にとって必要なものと好きなものだけが残ります。モノは少ないけれど、置いているモノはどれも愛着があり、好きなものに囲まれているという暮らしが実現しているでしょう。
6.おひとりさま×自己実現タイプの70歳からの幸せな生き方
これまで1人で目いっぱい楽しんで生きてきたこのタイプの人は、これからも自分のスタイルで引き続き人生を楽しみたいと考えていることでしょう。
しかし、だからといって全く不安がないわけでもないはずです。経済面や健康面の心配など、同年代の人が抱えているのと同様の不安を覚えていることでしょう。上手に不安を解消しながらも、まだまだ人生を諦めない、という姿勢が70歳からも幸せに生きるための秘訣です。
具体的には次に紹介するような内容を意識して過ごすことで、最期までイキイキと過ごせるでしょう。
6-1.適度に健康法を実践する
人生を楽しむためには、老いも若きも体が資本であることに変わりはありません。特に体力の低下を少なからず感じる60代以降の人は、意識的に健康法を実践してみることが大切です。
とはいっても、何も頑張る必要はなく、自分の体と相談しながら飲みすぎや食べすぎを控えたり、できるだけたくさん歩いて足腰が衰えないように気を付けたりするだけで十分です。
体にいいと聞いたからと、特定の食材を無理して食べ続けたり、気の進まないことまでやったりする必要はありません。健康が目的となって、逆に自分がストレスを感じないよう、自分がやってみよう!と思えることを楽しみながら行うようにしましょう。
6-2.お金はメリハリをつけて使う
70歳からを幸せに生きるためには、メリハリをつけてお金を使うことが大切です。
今は経済的に余裕があったとしても、50代で得た収入が70歳でもあるという人はまずいません。先の心配が頭をよぎることもあるでしょう。心配なあまり、お金はできるだけ多く残しておこうと厳しく節約を始める人もいるかもしれません。
しかし、歳をとるにつれてお金は使わなくなっていくものです。おしゃれをしたり、旅行したり、仲間と過ごしたり…といった自分の好きなことをできる時間は限られています。いつまでも楽しめるわけではないのですから、今楽しめることはお金をケチることなく、しっかり楽しめばよいのです。
お金を使うこと、控えることは分けて、楽しむときは目いっぱい楽しみましょう。
6-3.恋愛だってアリ
老いてきたからといって人を好きになることを諦めることはありません。いくつになっても恋愛を楽しんだってかまわないのです。70歳を過ぎて生涯の伴侶にめぐり会うことだってありますし、恋をすれば男女とも若返り、毎日にハリが出てくるという効果もあります。
また、若い頃と違い余裕のある大人の恋愛が楽しめることもあるでしょう。歳を重ねた後だからこそ築ける素敵な関係もあるのです。
6-4.過去の栄光に執着しない
長く勤めていた会社を辞め、社会の第一線から退いてしまうと、未来のことよりも過去のことに執着してしまう人も多くいます。
しかし、人生の最終章に突入しようとする今、過去のことばかり考えるのは非常にもったいないことです。
過去の栄光にとらわれるよりは、今日は何をして楽しむか、明日は何をすればより充実するか、を考えて生きた方が残りの日々をはるかに楽しく暮らせるでしょう。
ここからの生き方次第で、自分の世界はまだまだ広げられます。最期の最期まで人生を楽しみきるためにも、明日のことに思考とエネルギーを使いましょう。
7.幸せな生き方を全うするためには健康でいること
70歳からの時間を幸せに過ごすためには、上で紹介した各タイプの生き方を参考にすることも大切ですが、健康であり続けることも大切です。
誰だって最期の最期まで自力で生活をし、自分らしく楽しい時間を味わいきりたいと願うものでしょう。にもかかわらず、最終的には介護が必要となってしまう人も少なくないのが現実です。
だからといって諦めることはありません。
実は、要介護となるきっかけは予防できることが多く、早めに予防策を講じることで、最期まで幸せな生き方を全うできる可能性が高まります。
その予防策とは
- 適度な運動
- たんぱく質を意識した食事
を実践することです。
さらに社会とのつながりを持ち続けることで、これらの予防策をより実践しやすくなります。
以下では、最期まで幸せな時間を過ごすために大切な体の健康を保つための対策を紹介します。
7-1.介護が必要となる原因は予防可能なことが多い
「これからさらに年齢を重ねると、いつか自分も介護が必要になってしまうのだろうか?」
と不安になっている人もいるかもしれません。
しかし、介護が必要になる原因は予防可能なものであることが多いのです。
厚生労働省が発表している2019年の「国民生活基礎調査の概況」によると、要支援になった人の原因は下のグラフで示されるとおり、1位が関節疾患、2位が高齢による衰弱、3位が骨折・転倒でした。
※厚生労働省 「国民生活基礎調査の概況」(2019年)を参考に作成
また、要介護になった人の原因は、下のグラフで示されるとおり、1位が認知症、2位が脳卒中、3位が骨折・転倒です。
※厚生労働省 「国民生活基礎調査の概況」(2019年)を参考に作成
要支援や要介護になった原因を分析すると、脳卒中のみが生活習慣病によるものです。残りの関節疾患や高齢による衰弱、骨折・転倒、認知症はすべて老年症候群に関連するもので、これらは全て予防できます。
老年症候群とは高齢者なら誰にでも見られる症状です。つまずく、こけそうになるといった筋力低下による症状の他、眠れない、やせてくるといった精神面での症状も見られるでしょう。
最初こそ気にならない程度ではありますが、年々ひどくなってしまうもので、気づいたときには生活の質がかなり落ちてしまいます。
しかし、老年症候群は予防可能な症状です。老年症候群になることを防ぐことができれば、介護されることなく、生涯自分が幸せだと感じるように過ごせる可能性がずいぶん高くなります。
7-2.老年症候群になるのを防ぐには運動と食事が大切
老年症候群になるのを防ぐには、適度に体を動かすことと、たんぱく質の摂取を意識した食事を摂ることが特に大切です。どちらも筋肉量や筋力を維持するのにとても大切な要素といえます。
このうち特に大切なのは、食事におけるたんぱく質の摂取です。筋力の衰えを予防する意味で、積極的にたんぱく質を多く含む食事を心掛けることは非常に大切といえます。
というのも、既にふらつきや転倒などがよくあり、筋力の衰えを感じている高齢者が筋肉を作るためには、成人よりもさらに多くのたんぱく質が必要といわれているためです。このような高齢者が1日あたり摂取すべきたんぱく質の量は、体重1kgあたり1.2~1.5kgとアスリートと変わらない量が必要です。
体重が60kgで体の衰えを感じている人の場合、ご飯をお茶碗に3杯分、牛肉100g、紅鮭1切れ、納豆1パック、牛乳コップ3杯分を毎日食べる必要があります。
これは体力が低下し、活動量も低下した人にとってはなかなか辛い量といえるでしょう。
一方、健康な高齢者の場合の1日あたりのたんぱく質摂取量は、体重1kgあたり1gと成人男性と変わらない量で問題ありません。体重60kgの人の場合なら、ご飯をお茶碗に2杯分、牛肉100g、紅鮭1切れ、納豆1パック、牛乳コップ2杯分で必要量を満たせます。
つまり、健康でまだまだ元気に活動ができるうちにしっかり動いて、きちんとたんぱく質を摂取しておけば、介護が必要な状態に陥るのを防ぐことができるのです。
7-3.身体機能の低下を防ぐには社会とのつながりを持ち続けること
老年症候群にならないために、食事や運動を意識して過ごすことが大切です。しかし、自分で意識するだけではどうしてもできなかったり、続かなかったりすることもあるでしょう。そのようなときに助けとなるのが他人の存在であり、社会へ参加することです。
厚生労働省が2012年から2014年に行った「虚弱・サルコペニアモデルを踏まえた高齢者食生活支援の枠組みと包括的介護予防プログラムの考案および検証を目的とした調査研究」では、要介護の状態に至らないようにするには栄養・運動・社会参加をバランスよく底上げすることが大切という成果が発表されました。
さらに、社会参加については、要介護へと向かうかなり早期の段階で関係することがわかっています。
何等かのコミュニティに関わりを持っていれば、出かける機会も増えるでしょうし、自然と体を動かす機会が増えます。その結果、活動量が増え、食欲の増進にもつながるでしょう。
身体機能の低下を防ぐのに大切な運動と栄養の両方が、自然とクリアされるうえ、毎日にハリもでてくるはずです。
逆に、社会とのつながりを断ち孤独な生活に陥ってしまえば、生活範囲がせばまって活動量が減った結果、十分な栄養を摂取することが難しくなり、体力や筋力も低下していきます。その結果、老年症候群が進み、要介護者となる可能性も高まってしまうでしょう。
どんな形であれ、社会とつながっておくことは、この先もずっと自立して幸せに過ごすためには非常に大切なことといえるのです。
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他の会員の投稿を見て、自分も挑戦してみたい!と思うものが見つかるかもしれませんし、自分もこんな風に過ごしてみようという生き方のヒントが見つかるかもしれません。
色々な人の投稿を目にすることで、世界が広がっていくこともあるでしょう。
もちろん自分で投稿するのも楽しいものです。
自分の投稿を面白いと感じた人が「いいね!」やコメントをくれることもあるでしょう。そこから交流が始まり、新たな人間関係が広がっていくこともありますよ。
さらに、趣味やテーマごとのコミュニティもあり、共通の話題を楽しめる仲間が全国各地にできます。比較的近くに住んでいる人同士のオフ会に参加してみるのも、よいかもしれません。気軽に楽しめて、適度な距離感を保てる新しい人間関係ができることは、若々しさを保つことに大いに役立つでしょう。
8.まとめ
70歳からの時間を幸せに過ごすためには、できるだけ自分のために時間やエネルギーを使うこと、人生の最終章に突入したことを意識しながら過ごすことが大切です。
これまでの自分の生き方を少々変え、70歳からの時間を幸せに過ごせる自分になることが必要となるでしょう。
どのように変えればよいのかは、自分の家族環境や自分の性格タイプによって異なります。
この記事では
- 家族有り×自己犠牲タイプ
- 家族有り×自己実現タイプ
- おひとりさま×自己犠牲タイプ
- おひとりさま×自己実現タイプ
の4タイプに分類して、それぞれの70歳からの生き方を紹介しました。
それぞれのタイプが実践すべきことをまとめると、次のとおりです。
家族有り×自己犠牲タイプ |
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家族有り×自己実現タイプ |
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おひとりさま×自己犠牲タイプ |
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おひとりさま×自己実現タイプ |
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寿命そのものはまだまだ先であっても、自分が思ったとおりに動ける健康寿命が尽きてしまうのは、そう遠い未来のことではない可能性もあります。できることからどんどん実践し、可能な限り幸せに過ごす時間を増やしましょう。
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