
定年を迎え老後をどのように過ごすかは、住まいの形によって大きく変わってきます。
どのような家に住むかによって、生活の質や幸福度は変化するためです。
しかし、老後の暮らしには多くの不安を持つ方が多くいらっしゃるのも事実。
「収入が減って、家賃をどうやって支払っていこうか」
「家のいろいろな部分が老朽化してきて、この先持つのだろうか?」
「車の免許証を返納したから、移動が大変になる」
老後の住まいは金銭面や暮らしのスタイルに影響します。
今回は、老後の住まいの選び方をチェックしながら、不安を取り除いていきましょう。
老後の住まいは賃貸か持ち家かという問題についても解説します。
目次
1. 老後の住まいにおける不安点
老後の住まいにおいて、主に不安に感じるのは以下の5点に集約されます。
2. 家屋の老朽化の問題
3. 防犯面の不安
4. 設備が使いづらくなる
5. 目的地への外出が難しくなる
年齢を重ねるごとに生活スタイルが変化し、これまでと同様の暮らしが難しくなってくるためです。
1−1. 家賃やローンなどの支払いの問題
定年を迎えると収入が少なくなるケースがほとんどです。
そのため、賃貸の場合は毎月の家賃が、持ち家の場合はローンを返済していないと負担がのしかかってきます。
多くの方は年金や貯蓄を利用してこれらの費用を賄うことになるでしょう。
毎月に決まった額の支出があると、家電製品の故障による買い替えや体調を崩した際の医療費など、急な出費の際に負担になってしまいます。
1−2. 家屋の老朽化の問題
長く住んでいると、どうしても家屋の老朽化は避けられません。
見える範囲では屋根からの雨漏りや壁面塗装の剥がれ、キッチンなどの水回りの不具合など、生活を続けるのに不安材料となります。
また、木造建築の場合はシロアリによる被害など、見えない部分から老朽化している可能性は否めません。
定期的な修繕やリフォームなどで対処できますが、その都度費用がかかる点はネックといえるでしょう。
1−3. 防犯面の不安
戸建てやアパートに住んでいると、防犯面の不安がよぎります。
空き巣などの被害はもちろんのこと、訪問セールスなどの被害に遭う可能性があるためです。
高齢者だけで暮らしていると、防犯面の不安を解消するのは難しいのが事実。
防犯カメラを設置したり、カメラ付きのインターホンに変えたりするなどの対策はできますが、設置の費用や使い方を学ぶ必要があり、負担に感じてしまうでしょう。
1−4. 設備が使いづらくなる
足腰が弱ってくると、室内のちょっとした段差や階段の昇り降りが大きな不安になります。
若いころは問題なく使用できていた設備も、高齢者にとってはさまざまなトラブルの原因になるのです。
移動をおっくうに感じて室内に閉じこもりがちになると、余計に体力を失う結果につながりかねません。
1−5. 目的地への外出が難しくなる
運転免許を返納する高齢者が増えています。その場合、移動手段が徒歩や公共交通機関に限定されるため、日々の買い物や通院が困難になる場合があります。
駅前など立地のよい場所に住んでいれば問題はありませんが、郊外や高台に住んでいる場合、移動にかける体力や時間が多くなりがちです。
長年住み慣れた家であっても、交通の利便性が失われてしまうだけで暮らしにくいと感じてしまいます。
2. 老後の住まいに適した条件をチェック
老後の住まいにおける不安点を把握したうえで、どのような物件、場所を選べばよいかを考えていきましょう。
主に、以下の5つの条件を意識すると、老後の住みよい家と出会いやすくなるはずです。
2. セキュリティ面が優れている
3. バリアフリーに対応している
4. 主要な施設までのアクセスが容易
5. 周辺環境の充実度
2−1. 収入や貯蓄に合わせた家に住む
持ち家からの住み替えを検討する場合は、家賃や購入費用が負担にならない額であるかを考慮しましょう。
第2の人生と呼ばれる60代になってから新たにマイホームを購入する方は少なくありません。
国土交通省発表の「平成27年度 住宅市場動向調査」によると、住宅の購入が2度目の割合は、注文住宅、分譲マンション、中古マンションにおいて60歳以上が最も多いことがわかります。
しかし、家の購入に住宅ローンを組もうと思っても、ローンの完済時期は75~80歳までに設定されていることが多く、60歳を過ぎてからでは十分な返済期間がありません。購入のための資金を予め用意していないと苦しい買い物になるでしょう。
賃貸を選ぶ場合は、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用がかかりますが、持ち家の購入に比べると大幅に金額を押さえられます。
移り住んでからは毎月の家賃の支払いを年単位で計算すればよいため、住宅にどれだけの出費が必要かを把握しやすいといえるでしょう。
このように、毎月の家賃や住宅ローンの返済が生活費を圧迫しないよう、現在の収入や貯蓄額を考慮した物件選びがポイントとなります。
生命保険文化センターが実施した「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、最低限の生活水準を保ちながら老後の生活を送るには、平均で月額22.1万円が必要だということです。
老後にかかる費用としては、以下の4つが主だった支出となります。
・食費や光熱費などの生活費
・医療費
・介護費用
持病の有無や今後の介護を見据えながら、必要に応じて住居費と生活費を捻出しなければなりません。
生活にあまり余裕がない場合は、必然的に住居費を切り下げる必要があります。
2−2. セキュリティ面が優れている
防犯設備の充実など、セキュリティ面に優れた物件選びは、老後を安心して過ごすために欠かせません。
オートロック完備のマンションなら、不審者の侵入や訪問セールスの勧誘を防ぎやすくなります。
管理人が常駐している場所なら、防犯面だけでなく施設管理やゴミの収集などを任せることが可能です。
死角になりがちな場所に防犯カメラが設置してあれば、空き巣などの抑止力になります。
このように、老後の住まいではいかに安全に暮らせるかが大切になってくるのです。
2−3. バリアフリーに対応している
足腰が弱っている方やそうでない方も、バリアフリーに対応した物件を選ぶのがおすすめです。
入口に段差がなく車いすで移動でき、高層階の場合はエレベーターで移動できるかは重要となります。
室内も可能な限り段差を廃し、移動の妨げにならないようにしてあればポイントが高いといえるでしょう。手すりなどが多く配置されていれば、転倒防止に役立ちます。
足腰が弱っても快適に過ごせる住まいを選ぶことで、生活に活力を得られるでしょう。
2−4. 主要な施設までのアクセスが容易
食料品の買い出しや通院など、日常的に利用する施設へのアクセスのしやすさは重要なポイントです。
徒歩でも移動できる範囲に主要な商業施設や駅、公共施設があれば、暮らしを豊かにできます。
また、駅やバス停などが近くにあれば、離れた場所への移動も可能です。
散歩を兼ねて少し出歩くことで、身体の衰えを予防でき、気分転換にもつなげられます。
2−5. 周辺環境の充実度
老後の住まいにとって、周辺環境は非常に大切です。
先述の主要な施設へのアクセス面だけでなく、自然環境や公園などの多さも考慮しましょう。
また、周辺にどのような施設があるかもチェック対象です。
引っ越した後に近隣からの騒音や臭いが気になることに気づいては遅いといえます。
このようなトラブルを回避する方法として、物件選びの段階で周辺の状況を把握しておくのがよいでしょう。
スマホやパソコンがあれば、インターネット経由で周辺の地図を確認できます。
高齢者が新しくスマホを持ちたいと思う場合、「らくらくスマートフォン」シリーズがおすすめです。
画面が大きくて文字が見やすく、ボタンを押し込むような感覚が得られるため、初めてでも使いやすいと評判の機種です。
出典:らくらくスマートフォン F-42A 製品特長(基本の機能)
文字の拡大もかんたんに行えるため、調べものをスムーズに行えます。
地図アプリなどを併用しながら、周辺環境を把握しておくことで、移り住んだ後に理想とのギャップを感じにくくできるでしょう。
3. 老後の住まいの選び方【賃貸の場合】
老後の住まいを選ぶ上で、選択肢は大きく賃貸と持ち家そして老人ホームの3つに絞られます。
賃貸を選ぶ場合、これまでも賃貸に住み続けてきた場合と、持ち家を売却して賃貸へ移り住むケースが挙げられます。
老後の住まいに賃貸を選ぶ理由としては、
・生活しやすい土地へと移動する
・生活水準を見直し、家にかける費用を減らす
・持ち家の老朽化に伴い引越しを行う
・家族構成の変化に合わせて適切な規模の家に移り住む
などが基準になると考えられます。
つまり、賃貸を選ぶ場合は、老後の生活をより快適にするための工夫、ともいえるのです。
老後の新生活の場として賃貸を選ぶ場合、住み慣れた持ち家を離れるケースもあるでしょう。
老後になってから生活環境を変えることに抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、賃貸ならではのメリットは多く存在します。
3−1. 老後を賃貸で暮らす場合のメリット
老後を賃貸で暮らす場合のメリットは、以下の通りです。
老後を賃貸で暮らす場合のメリット | |
・引越しがしやすい | 気分転換や生活スタイルの変化など、任意のタイミングで引越しがしやすい点がメリットといえます。 |
・メンテナンスの費用が少ない | 毎月の管理費などがかかりますが、公共設備のメンテナンス費用を別途負担しなくてよい点がメリットです。 |
・生活水準に合わせた住み替えができる | 家賃などの支払い面を考慮して、生活水準に合わせた物件へ移り住むことが容易です。急な病気や介護が必要になった場合なども、条件に合った住まいへ移りやすくなります。 |
3−2. 老後を賃貸で暮らす場合のデメリット
老後を賃貸で暮らす場合、以下のようなデメリットがあります。
老後を賃貸で暮らす場合のデメリット | |
・家賃を支払い続ける必要がある | 毎月の家賃の支払いが負担になる場合があります。 |
・資産として残せない | 持ち家のように、ローン完済後は資産として運用することができません。 |
・高齢者は借りにくい場合がある | 健康面などを理由に、高齢者が借りにくい場合があります。高齢者向けの賃貸を提供するサービスを探しましょう。 |
3−3. 賃貸が向いている方の特徴
老後の住まいを賃貸にするのが向いているのは、以下の特徴を持つ方です。
・将来的に老人ホームへの入居を考えている
老後の生活費用に不安がある方は、初期費用を抑えられる賃貸に住むのが向いているといえます。
無理のない範囲の家賃の住宅を選べば、出費のコントロールがしやすくなります。
将来的に介護サービスを受ける可能性がある、または受けたいと考えている方は、老人ホームなどへの入所を前提に、賃貸で暮らすことが考えられます。
経済的な理由や将来のライフプランを考慮したうえで、住む期間に必要なだけの出費で済ませられる、賃貸を選ぶメリットは多くあるのです。
4. 老後の住まいの選び方【持ち家の場合】
老後も住み慣れた持ち家で暮らす方は多くいらっしゃいます。
住宅ローンの返済が終わっていれば、賃貸のように家賃を支払う必要がありません。
毎月の支出を抑えられ、その分を生活費や娯楽費に充てられます。
しかし、築年数が経つにつれて家の外観や設備は老朽化するもの。
水回りの不具合や天井の雨漏りなど、メンテナンスは必須です。
持ち家の場合は修繕を繰り返しながら、長く付き合っていく必要があるといえます。
老後を持ち家で暮らす場合のメリットとデメリットについて確認しておきましょう。
安定感のある持ち家ですが、老後の生活においては不便に感じる点があることに注目です。
4−1. 老後を持ち家で暮らすメリット
老後も持ち家で暮らし続けるメリットは以下の通りです。
老後を持ち家で暮らす場合のメリット | |
・リフォームが可能 | 老朽化した設備やバリアフリー対応へと自由にリフォームできる点はメリットです。費用はかかりますが、理想的な住まいを維持できます。 |
・資産として残せる | 持ち家は資産として親族に受け継いでもらうことができます。また、引っ越す際は売却することも可能です。 |
・家賃の支払いが不要 | 住宅ローンを完済している場合は、賃貸のように毎月の費用がかかりません。 |
・近隣トラブルが少ない | 住み慣れた土地で暮らすため、近隣住民とのトラブルが起こりにくいといえます。 |
4−2. 老後を持ち家で暮らす場合のデメリット
老後を持ち家で暮らす際にもデメリットはあります。
老後を持ち家で暮らす場合のデメリット | |
・ローンの支払いが残っている場合 | ローンの支払いが続くため、家賃と同様に毎月の出費が発生します。 |
・メンテナンスの費用がかかる | 家屋や設備の老朽化に伴い、修繕などの費用がかかります。 |
・相続が発生する | 不動産であるため、相続の手続きが発生します。 |
4−3. 持ち家が向いている人の特徴
老後の住まいを持ち家で暮らすのに向いているのは、以下の特徴を持つ方です。
・自分の好きなようにリフォーム等もしたい
定年後に年金や再雇用などによる安定した収入があり、老後の生活のための貯蓄を用意している方は、持ち家をリフォームしながら長く住み続けることが可能です。
賃貸と比較した場合、老後を見据えた暮らし方については、より具体的にイメージしやすくなるでしょう。
5. 老後の住まいの選び方【老人ホームの場合】
老後の生活場所は自宅だけではなりません。
身の回りの補助や介護が必要になった、身寄りがいなくなったなどの理由があれば、老人ホームへの入居を検討できます。
老人ホームは民間か公的な施設かによって、入居費用や設備のグレードが大きく異なる点が特徴です。
老人ホームが終の棲家となるかもしれません。自分が老後をどのように過ごせるのが理想かを考えたうえで、適切な施設選びが重要といえます。
5−1. 老後を老人ホームで暮らすメリット・デメリット
老人ホームでの暮らしは共同生活となります。
入居者の介護度に応じて、普段通りの生活を営むことができたり、介護サービスを受けられたりと、生活スタイルはさまざまです。
老人ホームへ入居する場合は、自分が共同生活に溶け込めるか、どの程度のサポートを受けたいかを明確にしたうえで選びましょう。
老人ホームには多くの種類がありますが、暮らす場合に共通するメリットとデメリットを比較しました。
老後を老人ホームで暮らす場合のメリット | |
・同年代と共同生活を送れる | 孤独に暮らしている方の場合、年齢の近い入居者との交流により、活力を得られます。 |
・レクリエーションなどが刺激になる | 定期的なイベントにより新鮮な経験ができ、身体や脳への刺激にもなります。 |
・介護サービスを受けられる | 施設によっては常駐とそうでない場合がありますが、必要に応じた介護サービスを受けられるため、生活しやすくなります。 |
・いざという時に安心できる | 災害時や急な病気などに対し、スタッフを頼りにできます。 |
老後を老人ホームで暮らす場合のデメリット | |
・プライベートな時間と空間が少なくなる | 共同の設備を利用するため、プライバシーを気にする必要があります。 |
・集団生活によるストレスを感じる場合がある | 人間関係のトラブルにつながる可能性があります。 |
・費用がかかる | 民間の施設の場合は設備やサービスが充実しているが、その分の金銭的な負担が増します。 |
・長く住めない場合がある | 老人ホームの種類によっては、要介護度が増すと退居しなければならない場合があります。 |
老人ホームでの生活に向いているのは、共同生活にあまりストレスを感じず、協調性をもって楽しめる方といえるでしょう。
介護が必要になった場合、家族に迷惑をかけたくないという思いから、施設への入居を検討する方もいます。
施設や必要な介護度によって違いがありますが、日常生活のサポートが受けられるという点では、快適に暮らせる場所といえるでしょう。
5−2. 老人ホームの種類を解説
老人ホームは大きく分けて、民間が運用するものと公的なものの2つに分けられます。
また、それぞれ介護度に合わせて複数の種類があり、入居の条件や費用が異なります。
【老人ホームの民間の施設】
・介護付き有料老人ホーム
| スタッフが24時間常駐し、介護や食事に関するサービス内容が充実しています。 その分、入居にかかる費用は高めで、施設によっては数億円にもなる場合があります。 |
・住宅型有料老人ホーム | 介護度が低めの方が入居できます。 スタッフが24時間常駐し、食事や洗濯などのサービスを受けられます。 レクリエーションなどが活発です。 |
・サービス付き高齢者向け住宅 | 日中はスタッフが常駐しており、普段通りに近い生活を送れます。 介護サービスは必要に応じて選ぶ必要があります。 |
・健康型有料老人ホーム | 自立した生活を送れる方が入居しています。 家事などのサポートや各種レクリエーションが充実しています。 介護が必要な場合は外部のサービスを利用します。 |
・グループホーム | 軽度~中度の認知症の方が5~9名で共同生活を送ります。 リハビリなどのサポートを受けられますが、医療関係者は常駐していません。 介護付き有料老人ホームよりも少ない費用で入居できます。 |
【老人ホームの公的な施設】
・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
| 公的機関により運営される施設で、「特養」と呼ばれます。 要介護3以上の認定を受ければ入居でき、費用は比較的安価です。 介護スタッフが24時間常駐しています。 |
・介護老人保健施設 | 「老健」と呼ばれ要介護1以上で入居可能です。 医師や専門スタッフが常駐しており、食事や入浴、介護のサポートを受けられます。 |
・ケアハウス | 自治体の助成制度があり、所得に関係なく入居できます。 「A型」「B型」「軽費老人ホームC型(一般型・介護型)」に分かれており、それぞれ費用が異なりますが、いずれも民間施設と比べて安価に利用可能です。 |
・介護療養型医療施設 | 要介護度1以上の方が入居でき、医療的な処置とリハビリテーションを受けられます。 医療法人が運営するため、インスリン注射や痰の吸引などの医療処置が行えます。 |
6. 老後の住まいはマンションか戸建てか、それとも老人ホームか?
最後に、老後の住まいはマンションか戸建てかという問題についても解説します。
双方によい部分と課題となる部分があるため、自身のライフスタイルにあった住まい選びがポイントです。
自分がマンション暮らしか戸建て住まいのどちらが向いているのかは、以下の特徴が多く当てはまっているかが参考にできます。
また、選択肢として老人ホームで暮らす場合についても合わせてチェックしましょう。
老後をマンションで暮らすのに向いている方の特徴
▢セキュリティ面にこだわりたい方
▢バリアフリーの設備で暮らしたい方
▢立地条件のよい場所に住みたい方
▢設備のメンテナンスを任せたい方
▢耐震性を重視したい方
老後を戸建てで暮らすのに向いている方の特徴
▢複数の部屋が欲しい方
▢庭やガレージを活用したい方
▢周辺の騒音を気にしたくない方
▢管理費や修繕積立金を収めたくない方
▢プライバシーを守りたい方
老後を老人ホームで暮らすのに向いている方の特徴
▢共同生活が苦にならない方
▢同年代との会話を楽しみたい方
▢生活のサポートを受けたい方
▢必要な介護サービスのある方
▢スタッフのいる安心感が欲しい方
どの住まいがご自身の特徴に多く当てはまりましたか?
マンションが多く当てはまる方は、生活範囲を徒歩で回れる立地に住み、防犯や耐震性などの面で不安を感じずに暮らすのが向いています。
戸建ての場合は間取りや敷地の広さを活用し、のびのびと生活するのに向いているといえます。
周辺とのプライバシーに関するトラブルを避けられる点も、戸建ての特徴です。
老人ホームでの生活が向いている方は、共同生活ならではの恩恵を受け入れられ、適度なサポートを受けながら暮らすことができるでしょう。
6−1. マンションを選ぶメリット
老後の住まいにマンションを選ぶ場合、以下のようなメリットがあります。
老後の住まいにマンションを選ぶメリット | |
・セキュリティ面が充実している | オートロックや防犯カメラなど、戸建てと比べてセキュリティ面が充実しています。高齢者を狙った犯罪リスクを下げられます。 |
・メンテナンスを気にせずに暮らせる | 設備の修繕などは積立金から賄われるため、管理会社などに任せられます。 |
・共用スペースの管理を任せられる | 敷地内の共用スペースの清掃などを任せられます。 |
・バリアフリー対応なら住みやすい | エレベーター完備や段差の少ない物件なら、快適に移動できます。 |
・耐震性がある | 築年数の浅いマンションの場合は、十分な耐震性が期待できます。 |
6−2. マンションを選ぶデメリット
マンションを老後の住まいに選ぶ場合は、以下のようなデメリットがある点を把握しておくとよいでしょう。
老後の住まいにマンションを選ぶデメリット | |
・隣人との兼ね合い | 隣接する部屋の住人と騒音や臭いなどでトラブルになる可能性があります。 |
・修繕費積立金の支払いがある | メンテナンスを任せられる反面、毎月の支払いが発生します。 |
・老朽化とともに価値が低下する | 築年数と共に設備が老朽化し、価値の低下を招きます。 |
6−3. 戸建てを選ぶメリット
老後の生活に戸建てを選ぶ場合、以下のようなメリットがあります。
老後の住まいに戸建てを選ぶメリット | |
・リフォームが自由に行える | 老朽化や生活スタイルの変化に合わせて、自由にリフォームできます。 |
・近隣トラブルが起こりにくい | 隣家とある程度距離があり、面識もあるためトラブルに発展しにくいといえます。 |
・ペットを飼いやすい | 自己責任でペットを飼うことが可能です。 |
・敷地を利用できる | 庭を使って花火やバーベキューなどができます。 |
・資産として残せる | 持ち家の場合は資産として親族に残せます。 |
6−4. 戸建てを選ぶデメリット
戸建てに住み続ける上で、以下のようなデメリットがある点も把握しておきましょう。
老後の住まいに戸建てを選ぶデメリット | |
・定期的なメンテナンスが必要 | 老朽化に伴い、メンテナンスが必須になります。修理の内容に応じた費用が掛かる点を考慮しましょう。 |
・セキュリティ面の不安 | 防犯面を強化するには、独自に防犯カメラを設置するなど工夫が必要です。 |
・自然災害時の不安 | 台風や地震といった災害時に、倒壊する不安があります。破損時には修繕費用も発生します。 |
・そのままでは老後の生活に対応できない | 室内の段差など、バリアフリー対応にするには費用がかかります。 |
6−5. 老人ホームを選ぶメリット
老人ホームで過ごす場合、普段の暮らしをサポートしてもらいながら生活できます。
老後の住まいに老人ホームを選ぶメリット | |
・共同生活により話し相手ができる | 食事やレクリエーションの時間を通して、入居者との親睦を深められます。 |
・食事や掃除などの手間が不要 | 栄養バランスを考えた食事が提供され、健康を維持しやすくなります。 |
・家族に心配をかけなくて済む | 家族とは面会を通して状況を伝えられます。 |
・施設によっては24時間の見守りがある | スタッフが24時間常駐する施設なら、夜間のトラブルに対応しやすくなります。 |
6−6. 老人ホームを選ぶデメリット
老人ホームにはさまざまな種類があり、異なる考え方を持った人たちが共に暮らしています。
その点を踏まえたうえで、デメリットになる部分を確認しておきましょう。
老後の住まいに老人ホームを選ぶデメリット | |
・入居者とのトラブルの可能性 | 共同生活の中で些細な行き違いがトラブルに発展する可能性があります。 |
・共同の設備を利用する | 施設によっては自室に浴室やトイレがついていますが、共同で利用する場合もあります。 |
・施設によってスタッフの質が異なる | 離職率の高い施設は人員不足などから、サービスにおける質が担保されていない場合があります。 |
・施設によっては長く暮らせない場合がある | 要介護状態が変わると退所しなければならない場合があります。 |
まとめ
老後の住まいにおける不安は人それぞれです。
「どのようなライフスタイルを送りたいか?」
「どれくらいの生活水準を保ちながら暮らしたいか?」
「将来的な通院や介護の問題をどのように考えているか?」
上記のような考え方を定めることで、老後の住まいを具体的にイメージしやすくなります。
賃貸か持ち家かという選択では、双方のメリットとデメリットを理解したうえで、自分や家族の将来像を意識することが大切です。
現在持ち家に住んでいる方は、リフォームの費用をかけてこの先も住み続けるべきかを検討してみましょう。引越しをする場合、売却して別の家を購入するか賃貸を選ぶかの二択となります。
賃貸で暮らしている方は、この先も家賃を支払い続けるか、持ち家を購入するかという選択肢があります。
また、マンションか戸建てかによっても、住み心地や理想とする暮らし方は異なります。
住まいの条件として「外せない」というものを意識して候補を絞り込むとよいでしょう。
老人ホームでの暮らしも、残りの人生を豊かに過ごすための方法です。
一つひとつ考え方をまとめることで、老後の住まいへの不安は解消されていきます。
老後といっても先はまだまだ長く、計画を練りながら生活に苦労しないように費用面を考慮して住まいを選びたいものです。
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