
年賀状じまいは終活年賀状とも呼ばれ、年賀状でのやり取りを今後はしないことを、年賀状の文面でお伝えすることです。最近、終活を行うシニア世代の間で急増しています。
「年賀状をやり取りする仲」という表現があるくらい、シニア世代にとっての年賀状は、それまでの人生で積み上げてきた、人とのつながりを意味するものです。
それを「終活」を理由に、スパッとやめてしまうことに、ためらいを感じている方も少なからずいらっしゃると思います。
そこで今回は、年賀状じまい(終活年賀状)に関して、次のようにまとめました。
- 年賀状じまい(終活年賀状)とは
- シニア世代が終活年賀状を出そうと思う3大理由
- 終活年賀状を出す3つのメリット・デメリット
- 絶対に失礼にならない!年賀状じまい(終活年賀状)で気を付けるべき7ポイント
- 【年代・シチュエーション別】終活年賀状の文章サンプル
最後までお読みになれば、年賀状じまい(終活年賀状)にまつわることが全体的に理解できますので、自分にとって、いつ・どんなタイミングで出すのがベストなのかがわかります。
また、自分にとっての人付き合いの仕方なども自然と整理されていきますので、自分らしい終活がすすむことになります。
目次
1.年賀状じまい(終活年賀状)とは
年賀状じまいとは「終活年賀状」ともいい、いままで年賀状のやり取りをしてきた知人友人に、年賀状の辞退を連絡する、最後の年賀状のことです。
もともとは、手書きで年賀状を書いていた世代が、高齢化による文字の衰えを感じて、自分から年賀状を卒業するときに送るものでした。
近年では、シニア世代向けの終活セミナーなどで、断捨離の一つとして取り上げられるテーマとなっているため、年賀状じまい(終活年賀状)の言葉自体は、見聞きしたことがあるシニアが多いと思います。
また、実際に、ご自分が知人友人から「終活年賀状」を受け取ったことがある方もいらっしゃるでしょう。
終活をきっかけに送ることが多いために年賀状じまい(終活年賀状)という名前がついていますが、特に、終活を理由にしなくても年賀状じまいはできます。
1-1.「終活」としての年賀状じまいは何歳からでも大丈夫!
終活としての年賀状じまいは、何歳でやっても問題はありません。そもそも「終活」自体が、人生100年時代のセカンドライフを豊かにするために、どう生きるべきか、という新しい課題なのです。
その「終活」の延長線上にある年賀状じまい(終活年賀状)も、まだ新しい考え方ですので、「〇歳になったら〇〇するものだ」のような、慣習にまではなっていません。
そのため、終活年賀状を出すタイミングは、本当に人それぞれですし、やらなくても良いのです。ただし、終活に伴う作業になりますので、年賀状を出す・出さないの理由が
- 面倒くさいから年賀状をやめる
- 不義理な人だと思われるのがイヤだから年賀状を続ける
などの、安易な動機や、その時の気分で決めてしまうと、年賀状を出しても・止めても、長いシニアライフの中で、何らかの不満を抱えてしまう可能性が高くなります。
年賀状も、終活年賀状も、受け取ってくれる相手があってはじめて成立することですので、ご自身が納得のいく終活年賀状にするためには、きちんと考えてから行動に移す必要はあります。
2.シニア世代が終活年賀状を出そうと思う3大理由
多くのシニア世代は、学生時代~現役時代までの長期間、ずっと年賀状を出し続けていた年代ですので、もはや、年賀状は「出すべきもの」という、慣例や習慣のようになっている方も多いでしょう。
そんなシニアにとって「終活年賀状を出して、終わりにしたい!」と思う3つの理由をまとめました。
- 年賀状作成作業がめんどくさいから
- 年に一度でも精神的なストレスになる
- 人間関係を整理したいから
2-1.年賀状作成作業がめんどくさいから
基本的に、年賀状の作成には、費用や手間がかかります。例えば次のような感じです。
①年賀状を出すリストを整理し、必要枚数のあたりをつける
②干支にちなんだデザインなどを選ぶ、または自作をする
③年賀はがきを購入し、印刷をするか、印刷に出す
④印刷が終わったハガキに、手書きコメントを書く
⑤期日までに投函する
⑥元旦になって、自分が出していない方からの年賀状があれば、それにも返信
など、上記以外にも、手間と費用をかけようと思えば、いくらでもかけられます。
しかも、年賀状は、やりとり出来る期間が決まっているため、新年早々、失礼のないようにするためには、忙しい年末年始に、年賀状作成を優先的にする必要があります。
これらの作業を簡素化しようと、パソコンやスマホでの印刷作業をしようとすれば、今度は機材を買う費用と、作業を覚える手間がかかります。
年賀状がなければ、この全ての手間暇と作業から解放されると思うと「ああ、年賀状じまいもいいのかもしれないな」と思うようになります。
2-2.年に一度でも精神的なストレスになる
終活年賀状を出そうと考える方は、終活の一環以外にも、もともと年賀状を書くことに小さなストレスを抱えていたケースがあります。
シニア世代にとっての年賀状は、子供時代から書くのが当たり前だったため、慣習や慣例に近いものがあります。個人差はありますが、基本的にこの世代の方は、日本人らしい生真面目な気質の方が多いため
「ずっと繰り返されている新年の習慣なのだから、自分も続けていくべきだろう」
「周りの方もまだ出しているのだから、私も。人様の迷惑になってはいけない」
などの理由で、年賀状は出すべきものだと思って、ずっと続けている方も多く見受けられます。このように、儀礼的・慣習的にする作業というのは、基本的にはあまり楽しくないものですので、精神的には負担になります。
お互いに、儀礼的な年賀状を出し合っていることがわかっているとしても、相手が出してくれたら、こちらも礼儀として年賀状を出す、ということを何年も繰り返してくると
「出したい相手にだけ出したいけど、やっぱり、年賀状はもらった人にも出さなければならない」
というジレンマが、精神的にストレスになってきます。そして、このような形だけのやりとりのために、印刷や手書きコメントなどの手間暇をかけること自体を負担に感じるようになり、年に一回のことであっても、「ああ、もう全部、やめてしまいたい!」と思うのです。
2-3.人間関係を整理したいから
終活で人間関係を整理したい時には、年賀状じまい(終活年賀状)が役に立ちます。シニアライフが始まってからのお付き合いは、現役時代とは違い、もっと気楽にやっていこうと考えていた方も多いでしょう。
そのため、引退後には、自分なりの処し方で人間関係をスマート化してきた方もいらっしゃいます。
しかし、シニアライフに入ってからの習い事やサークル活動などに参加するようになると、連絡先交換をすることもあります。そして、気軽なはずの友達から、年賀状が届いてしまうことがあります。
「え?そんなに親しかったっけ?」というような相手でも、万が一、次に顔を合わせた時の気まずさを想像すると、面倒でも年賀状を出すしかなく、またもや、儀礼的な年賀状のやりとりが増えていってしまうのです。
友達が増えて、交友の輪が広がるのは良いことですが、気楽な関係性に、年賀状までガッチリ紐付けされてしまうと、「なんだか、ちょっと疲れるなあ」と感じてしまう方も多いでしょう。
世代的なものもありますが、基本的に「もらった年賀状は返すのが当たり前」なシニアにとっては、人付き合いがある限り、この年賀状問題がついて回ることになります。
終活として「終活年賀状」を出すことで、今後、人間関係に頭を悩ませなくて済むようになるならば、「出してしまおうかな」と考えるのは、当然とも言えます。
◆コラム1◆年賀状じまい(終活年賀状)は、段階的に考えるのもアリ
年賀状も出さない不義理な人間だとは思われたくないものの、年賀状を毎年出すのは、正直言ってめんどうくさい。
かと言って、年賀状を全部バッサリとやめてしまったら、今度は人間関係が小さくなりすぎて、もっと年を取った時にさみしくならないかが心配だ。このように、シニア世代は、年賀状じまい(終活年賀状)について考えると、いろいろな感情が湧き上がってきます。
どのタイミングで年賀状を卒業するかは個人の自由ですが、ストレスを感じながら年賀状を出しているのであれば、ストレスのもとになっている部分から、段階的に年賀状をやめていくという方法があります。
年賀状を出す相手をリストすると、全く思い入れのない人と、現在進行形でお付き合いのある人にわかれていると思います。
まずは、現在進行形でお付き合いのある人だけを残し、思い入れのない関係性となった方にだけ、終活年賀状を出すようにしてみましょう。
例えば、退職をしたら「仕事だけの関係の人は終活年賀状を出す」ようにします。そうすることで、手元には、出す意味が感じられる人だけが残ります。
今後、どのようなシニアライフを送るかで、また人間関係が変わりますので、「次は古希のタイミングで仕訳をする」などと決めておき、年齢やイベントのタイミングで年賀状リストを厳選していきます。
すると、最終的には「年賀状を出せる限りは出し続けたい大切な相手」だけが残ります。このようにして、段階的に終活年賀状を出していけば、後悔の少ない選択ができます。
3.終活年賀状を出す3つのメリット・デメリット
本章では、終活年賀状を出すことの、メリット・デメリットを、それぞれ分けて解説しています。
3-1.終活年賀状を出す3つのメリット
終活年賀状を出すメリットを3つにまとめました。
- 仕事や義理の人間関係や連絡先の整理ができる
- 年賀状の手間暇や費用、大変さから解放される
- 新しい連絡手段に切り替えることで交友が復活する
3-1-1 メリット1 仕事や義理の人間関係や連絡先の整理ができる
終活年賀状を送る1番のメリットは、人間関係の整理ができることです。シニア世代は、子供時代~学生時代~社会人時代~シニア時代の今日まで、ずっと年賀状を続けてきた方々です。
そのため、連綿と続く人間関係の中で、お互いに膨大な数の年賀状をやり取りしてきています。
- 子供時代の地元の幼馴染や親戚
- 学生時代の同級生・先輩・後輩・恩師
- 社会人時代の上司・同僚・後輩・取引先の方など
- 趣味の付き合い
- 家庭を持ってからの親同士の付き合い・子供がらみの付き合い・学校関連
- 家庭を持ってからの親戚付き合い・親族の付き合い
- シニア時代になってからの仲間・サークルの友達・飲み仲間・遊び仲間
このような人間関係は、お互いに相手を思う気持ちがあった上で年賀状を送りあっている関係もあれば、かなり心理的な距離が開いてしまっているけども、毎年恒例の作業として、年賀状を出し続けている関係もあります。
終活年賀状を送ることにより、自分から、今後のおつきあいをどうしていくかを伝えることができ、今日までの膨大な人間関係のリストを整理していくことができます。
今後のお付き合いを希望しない人に対しては、終活年賀状を送ってこちらの気持ちを伝えることもできますが、あえて送らないで、静かにピリオドを打つという、受け身の整理方法も出来ます。
3-1-2. メリット2 年賀状の手間暇や費用、大変さから解放される
終活年賀状を出せば、年賀状作成の大変さから解放されます。年賀状作成の作業は、一つひとつは大した事ではないのですが、こまごまとした作業が続きます。
特に大変なのは、手書きの一言コメントです。もともと関係性が薄い方や、何十年もお会いしていない方には、正直言って、コメントが見つからず困ってしまうことがあります。
しかし、コメントなしで出すのも失礼な気がして、毎年、頭を抱えてウンウン唸っていることも、年賀状作成のめんどうくささと言えます。
デザインや印刷なども、若い時にはササっと出来ていたことでも、年を重ねるとともに気力体力が減り、作業開始を先延ばしにしがちです。その結果、作業時間が少なくなり、年末年始にあわただしい思いをすることも多いでしょう。
しかし、考えてみれば、本当に気の合った友人とは、普段から頻繁にコンタクトを取っていますので、お互い、年賀状は無くても大丈夫なはずです。
そう考えると、年賀状作りの作業そのものが楽しみな方以外は、わざわざ大変な思いをしてまで作成する必要は無いと言えます。
とてもお世話になったなど、年賀状を欠かすことができない方に対しては、必要な枚数だけの年賀状を出すことで、気持ちを伝えることができます。
3-1-3. メリット3 新しい連絡手段に切り替えることで交友が復活する
シニア世代の方で年賀状のやり取りをしている方の中には、お互いの連絡先がわからなくならないように、年一回、お互いの連絡先確認を兼ねて年賀状を続けていることもあります。
しかし、年賀状じまい(終活年賀状)に、今後の新年のあいさつはメール・Facebook・LINEなどを使って挨拶をする旨を伝えれば、今後もお互いに連絡先がわかりますので、年賀状がなくても安心してもらえます。
ネットやSNSは、そのコミュニケーション方法のハードルの低さから、気軽に連絡も取りやすく、終活年賀状を出したことによって、学生時代などの懐かしい関係が復活することもあります。
また、メールやSNSによる連絡で、その人がつながっている昔の仲間にもつながり、年賀状では生まれ得なかった交流も期待できます。誰かしらとつながりがあるので、連絡先が途絶えにくいこともメリットの一つです。
3-2.終活年賀状を出す3つのデメリット
終活年賀状を出すデメリットを3つにまとめています。
- 絶縁状だと勘違いされる可能性がある
- 自分からはもう年賀状が送れなくなる
- 知人友人の訃報を知ることができない
3-2-1.デメリット1 絶縁状だと勘違いされる可能性がある
年賀状じまい(終活年賀状)は、年齢や性別を問わず、終活をしている方・終活の勉強をしている方にとっては聞きなれた言葉ですが、そうではない方にとっては、まだ耳新しい情報です。
また、日本社会の中では、年賀状を出している方はまだ6割強*も存在しており、年賀状文化がなくなってしまっているわけではありません。
そのため、年賀状じまい(終活年賀状)を知らない場合や、年賀状じまいをするには少し早い年齢の方から終活年賀状を受け取ると、もらった文面を見て「人間関係の絶縁状」と勘違いされてしまうこともあります。
おそらく相手は、新年のおめでたい気分や、旧交をあたためる気持ちで年賀状を手に取っているのですが、飛び込んでくる内容がお正月らしくないため「これからのお付き合いを止めます」という文面に感じてしまうためだと思われます。
・対策>
誰もが年賀状じまい(終活年賀状)を知っているわけではないことを前提に、終活年賀状を出す場合でも、普通の年賀状として新年のあいさつをしたうえで、最後に「年賀状は今年で最後」ということを伝えるようにします。
または、年賀状としては送らず、寒中見舞いとして年賀状じまいの連絡をするようにすれば、普通の個人的なお知らせになります。
このように、受け取る側の気持ちを考えたうえで出すような配慮は必要です。また、「年賀状」だけを辞退したいわけであり、お付き合いは今後も続けていく旨は、丁寧なことばで、連絡先と共にしっかりと書いておく必要があります。
【参照:*ソースネクスト株式会社 47都道府県別 年賀状についての実態調査】
3-2-2.デメリット2 自分からはもう年賀状が送れなくなる
一度、終活年賀状を送ってしまうと、基本的には、自分からは年賀状が送れなくなってしまいます。
年賀状をずっと出してきた方は納得すると思いますが、年賀状の何もかもが嫌なわけではありません。年賀状つくりには楽しい部分もあり、自分が受け取るのも、新年の楽しみではあるのです。
ただ、どなたでも、毎年の年賀状つくりの季節が来ると、「面倒だなあ」という気持ちになるのです。つまり、年賀状というのは誰にとっても、楽しいけど、ちょっと億劫なことなのです。
そのため、億劫な気分が強い時に終活年賀状を出すことを決めてしまうと、後で、出したくなった時に、困ることがあるかもしれません。
・対策>
年賀状じまい(終活年賀状)は、自分の気分が良い時や、気力体力があるときに、冷静に考えて答えを出しましょう。
長いシニアライフには、気力体力が落ちてしまうタイミングもあります。例えば、猛暑・長雨・極寒など天候が不順な年周りや、自分や家族が病気やケガをしている時期には、気持ちも体力も上下しやすく、年賀状作成のような手間暇のかかることを、とてもやる気分にはなれない時もあります。
そんなタイミングの時に、「もう面倒だからやめちゃお」などの安易な気持ちで終活年賀状を送ってしまうと、元気が回復してきたときに、やっぱりまた年賀状つくりを楽しみたいなあ、と思っても、出来なくなってしまいます。
シニア世代にとっての年賀状は「出すべきもの」となってしまっていますが、本来、年賀状は毎年絶対に出さなければならないものではありません。気持ちが年賀状を出す気分ではない年には、素直にお休みをして、元気になってからまた考えましょう。
また、終活年賀状を出してしまっても、後で復活することは出来ますが、自分から「やめる」と言った手前、再開するのにも大きなエネルギーが必要です。終活年賀状を出す時には、よく考えてから決めましょう。
3-2-3.デメリット3 知人友人の訃報を知ることができない
年賀状のやり取りをしなくなることで、知人友人の訃報を知りにくくなるというデメリットがあります。スマホと携帯電話の普及により、シニア世代のメール利用は一般的になりつつあります。
年賀状じまいをしていなくても、「年賀メール」や「SNSを使った新年メッセージ」を、親しい方向けの年賀状の代わりとして使いはじめている方もいらっしゃいます。
しかし、終活年賀状を出してしまった上で、新年あいさつをネットのみでやりとりするようになると、喪中はがきを受け取ることができなくなります。
喪中はがきは、亡くなった方の親族が、年賀状をもとにした過去の住所録などを見て作成することが一般的です。終活年賀状を出すと、相手のリストから自分が消えてしまいますので、万が一の場合に、喪中はがきをいただけなくなる可能性がとても高くなってしまいます。
・対策>
年代を問わず、メールやSNSで新年の挨拶をすることが「一つの挨拶の形」として受け入れられていても、訃報をそのような形でお知らせするまでには、まだ時代も心も追いついていないという前提で、終活年賀状を出すか出さないかを検討しておく必要がありそうです。
遺族の方の立場からすれば、比較的最近のやり取りがない方には、喪中はがき(メール)を出すのはかえって迷惑ではないだろうかという配慮がありますので、昔の年賀状を探してまでは出さないのが一般的です。
その結果、実際に友人が亡くなった時にはそのことは知らされず、後になって別の友人から聞かされるのは、さみしいことです。終活年賀状を出してしまった結果には、このような可能性が含まれている前提で、年賀状付き合いを考えておいた方がよさそうです。
◆コラム2◆ 終活年賀状をもらった相手に年賀状を出すのはOK?
終活年賀状をいただいたけれども、自分からは出し続けたいというケースもあります。しかし、相手が年賀状を辞退しているのに、年賀状を送るのは迷惑なのかな?と心配になりますね。
このような場合は
- 終活年賀状を出したあなたの気持ちは尊重しています
- だから、自分が年賀状を受け取れないのはOKですよ
ということが伝わる文章で年賀状を書けば、かえって喜んで頂けます。例えば
「年賀状をご卒業されるとのこと、長きにわたる新年のご挨拶に深く感謝いたします。ただ、私は今日までのご交誼に感謝を込めて、これからも年賀状を出し続けたいと思っております。出すことは私の想いですので、返信への気遣いは無用でございます」
というような言葉を、終活年賀状を頂いた次の年にお送りすれば、その後も、ご自身が年賀状を卒業するまで送っても、相手の負担になることはありません。
ご自身が終活年賀状を送れば、その時点で、年賀状のやりとりは終了となります。
4.絶対に失礼にならない!年賀状じまい(終活年賀状)で気を付けるべき7ポイント
本章では、これから終活年賀状を出す方向でお考えの方向けに、気を付けるべきポイントを7つにまとめています。
● ポイント2 フォーマルで華やかな雰囲気のデザインにする
● ポイント3 古希・喜寿などプラスイメージのタイミングを使う
● ポイント4 年賀状辞退の理由は簡潔にする
● ポイント5 今後もお付き合いを続けることは必ず伝える
● ポイント6 NG単語は使わない
● ポイント7 連絡手段の代案を伝える
4-1.ポイント1 終活年賀状は年賀はがきで出す
年賀状じまい(終活年賀状)は、一般的な年賀状と同様に新年のご挨拶が中心ですので、できるだけ、年賀ハガキや年賀用切手を利用して、新年の雰囲気を出します。官製はがきを使う場合でも、切手の下に朱ペンで「年賀」と記載しておきましょう。
あくまで、「終活」として年賀状を出すのは自分のみで、相手にとっては普通のお年始であることを想定したうえで、受け取り手のおめでたい新年の空気を壊さないような配慮が必要です。
4-2.ポイント2 フォーマルで華やかな雰囲気のデザインにする
年賀状じまい(終活年賀状)とはいっても、一年の最初を祝うものですから、年賀状と同様にフォーマルかつ華やかなデザインのものを使います。
どんなデザインにしたら良いかわからない場合は、年賀状印刷デザインの本やカタログ、ネット印刷を請け負う会社の、新年のデザイン案を参考にしてみると良いでしょう。
また、ご自宅にプリンターがある方は、そのプリンターのメーカーが無料ダウンロード出来る年賀状デザインを数多く提供していますので、その中から選択することもできます。
【参考:キャノンクリエイティブパーク 年賀状】
ご自身で作る手間を省きたい方は、ネット印刷の会社で、デザイン・文面作成から宛名印刷までを引き受けてくれる会社もあります。
もちろん、最後の年賀状として版画や写真付きで思いっきり凝ったものにする・絵手紙などの手書き年賀状にする場合でも、フォーマルで華やかな印象のものであれば問題ありません。
4-3.ポイント3 還暦・古希・喜寿などプラスイメージのタイミングを使う
年賀状を卒業するタイミングは人それぞれですので、何歳で終活年賀状を出しても問題はありません。しかし、一般的にはシニアが終活の一環としてやることから、次のような人生の節目となるタイミングで出すことが多いようです。
- 定年退職(55~60代前半)
- 還暦(60歳)
- 古希(70歳)
- 喜寿(77歳)
このようなタイミングは、どなたにも訪れる人生の節目ですので、受け取った方も前向きな気持ちになりやすく、年賀状じまいとしても、双方で納得のいくものとなります。
4-4.ポイント4 年賀状辞退の理由は簡潔にする
今後の年賀状を辞める理由はシンプルに説明するようにします。余白があれば個別に経緯を書くことも出来ますが、その場合でも、簡潔にまとめるようにしましょう。
たまに、定年退職した・大病をした・そして終活を始めたなど、年賀状じまいを決意するまでの経緯を延々と書いている終活年賀状の方もいらっしゃいますが、小さなハガキの中に、小さな文字でたくさんのことが書かれているのは、読みづらいものです。
また、年賀状として送りますので、お正月のおめでたい雰囲気を壊すことにもなりかねませんので、終活年賀状で伝えることは「これが最後の年賀状になりますよ」「今までありがとう」ということだけが伝わるように、文章は簡潔にまとめるようにしましょう。
4-5.ポイント5 今後もお付き合いを続けることは必ず伝える
終活年賀状では、これからもお付き合いを続ける意志があることを、明確に伝える必要があります。受け取った相手が「終活年賀状」というものをどのように捉えるかは、人それぞれです。
前章でも解説しましたが、絶縁ととらえてしまう方もいれば、差出人に何か病気や大きな不幸があったのではないか、自分が何か失礼なことをして気分を害してしまったのではないかと、あれこれ気をもむ方もいらっしゃいます。
そのため、年賀状辞退の理由に添えて、次のようなことを明記しておきます。
- 今後も交流は続けていくこと
- 終活の年賀状として全員に出していること
- 年賀状をストップさせる期日
- 余白があれば、元気にやっていること
このように、受け取った人に、余計な誤解や心配を与えないように、気を配る必要があるでしょう。
4-6.ポイント6 NG単語を使わない
終活年賀状は「年賀状」の一つですので、年賀状でNGとされている言葉を使わないようにします。年賀状でNGとされていることには、以下の2つがあります。
「、」「。」句読点を使わない
句読点は、区切りを意味するものです。つまり、「相手との関係が終わる」という意味が含まれるとして、年賀状には使わないことになっています。
また、年賀状に限らず、お祝い事の文書には、原則的に句読点は避ける習慣があります。
例)賞状・証書・挨拶状・感謝状・招待状
忌みことば(いみことば)を使わない
忌み言葉とは、縁起の悪いことを連想させるような言葉のことです。例えば、「去・戻・倒・別・離・消・負・敗・流・失・破・滅・枯」など、お別れ(離別)をイメージさせる単語を使わないようにします。
例)去年はお世話になりました→旧年中はお世話になりました
【参照:知らないと恥をかく 年賀状マナーブック】
句読点ルールは、もともとは縦書き・毛筆で年賀状をやりとりしていた時代の名残りなので、横書きの場合には当てはまらないのですが、どなたにも失礼にならないという意味では、マナーに則っておくほうが無難です。
文章が長くなり、句読点がなくて読みにくい場合は、改行・文頭をズラすなどの工夫をして、相手が読みやすいように工夫をします。
4-7.ポイント7 連絡手段の代案を伝える
年賀状じまい(終活年賀状)では、今後、どのように連絡を取り合うかを明確に伝えておく必要があります。代案は基本的にメールかSNSになると思いますが、連絡をしやすい2〜3の手段を用意しておき、相手が選べるようにしておきます。
また、ご自身でもFacebookやLINEなどを使っていない方は、メール以外でも連絡できる方法としてアカウントを開設し、使いこなせるようにしておきます。
このようにして、年賀状じまい(終活年賀状)後に、知人友人が連絡をとりにくくならないようにしておきましょう。
【参照:らくらく情報局 中高年のFacebookにはメリットがいっぱい!投稿の注意点も解説】
【参照:らくらく情報局 【画像付】高齢者の方にもわかりやすい!LINEの使い方マニュアル】
◆コラム3◆年賀状じまい(終活年賀状)後も、スマホとSNSがあれば連絡を取り合える
終活年賀状を出そうかどうかを迷っているけど、出してしまったら、みんなとのつながりが少なくなってしまいそう。それに、SNSだけなんて、ちゃんと連絡が取れるのかな。
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【参照:らくらくコミュニティ 】
5.【年代・シチュエーション別】終活年賀状の文章サンプル
本章では、年代とシチュエーション別に、終活年賀状を送る際の文章のサンプルを用意しました。このままお使いになっても、少しアレンジしてご自分らしさを出す方法としても、ご活用ください。
- 70後半~80代 高齢を理由にする
- 60~70代前半 余裕があるうちの終活年賀状
- 50~60代前半 退職・リタイアメントをタイミングにする
- 全年代 目上の方に送る場合
- 全年代 家族の事情
- 全年代 環境の変化・人生の節目
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5-1.70後半~80代 高齢を理由にする
高齢であることを理由に、終活年賀状を送る場合は、そのことをそのままお伝えするので問題ありません。相手に体調などの心配をさせないように、元気であることが伝わるようなイメージにします。
80代前後の年賀状じまい(終活年賀状)は、これからの残りの人生を、活発に交流しながらアクティブに過ごすよりも、家庭内で静かな暮らしをしたいと願う方が、終活としてのあいさつ状代わりに出すケースが目立ちます。
そのため、家族や親しい方以外からの連絡を希望していない場合には、代わりの連絡先を明記する必要がない点が、他の年代の方との違いです。
5-1-1.高齢を理由にした一般的な終活年賀状の文
「高齢になったから年賀状を卒業します」という意味の、シンプルな文です。文面に体調不良などが書いていないことが、元気でやっていることのお知らせになります。
なるべく、華やかで活気のある色合いのイラストを選ぶようにするようにしましょう。
今後の親密なやりとりを希望しない相手には、宛名面にご自分の住所をのみを記載しておくことで、人間関係の仕訳けをすることもできます。
例文)
初春のお慶びを申し上げます
旧年中はいろいろとお世話になりました
本年もよろしくお願いいたします
令和〇年 元旦
高齢のため 本年を持ちまして年始のご挨拶を控えさせて頂くことにしました
長い間のお付き合い ありがとうございました
5-1-2.高齢を理由にしたシンプルな終活年賀状の文
非常にシンプルな文章で、来年以降の連絡先を簡潔にお知らせするタイプの終活年賀状です。ある程度の年齢になると、基本的には同年代か年下しかお付き合いがないケースもありますので、そのような場合は、このくらいのシンプルさでも問題ないでしょう。
例文)
謹賀新年
幸せな一年であるようにお祈りいたします
本年もよろしくお願いいたします
令和〇年 元旦
尚
年賀状は 来年からは失礼させていただきます
住所
氏名 夫婦連名
連絡先は書いてありますが、夫婦連名で出すことにより、夫婦ともども年賀状じまいをさせていただきますという意味としても使えます。
5-2.60~70代前半 余裕があるうちの終活年賀状
シニア世代といっても、まだ60~70代で、気力体力に余裕がある場合の終活年賀状は、「まだまだ元気だけど、残っているシニアライフを自分のやりたいことのために使いたい」というポジティブな気持ちから、終活年賀状を出す傾向があります。
そのため、今後もお付き合いは積極的にしていくことが伝わるように、電話番号・メールなど複数の連絡先を書き添え「これでお付き合いが終わるわけではありませんよ」という気持ちも伝わるようにします。
お互い、まだまだ忙しい日々を送っている方も多いため、今は何をしているのかなど、カンタンな近況報告を交えたメッセージにしても良いでしょう。
5-2-1.近況報告を兼ねた終活年賀状の文
近況報告を兼ねた年賀状です。文面が多いので、イラストは色の主張のないもので、華やかさのあるものを選びます。
例文)
謹賀新年
新しい年が素敵な一年でありますように
令和〇年 元旦
年が改まり、今年で古希を迎えることになりました
わが身をふりかえり、やり残していることの多さを思いますと、残りの時間の少なさに驚かされます
幸いに今日現在 大過なく過ごさせていただいておりますので、これからは1日を1年とも思い 大切にしていかなくてはと考えています
新年の挨拶はこれで一区切りとさせていただきますが これからも皆様とのご交誼を財産として頑張ってまいります
皆様のご健康とご活躍をお祈りいたします
連絡先
携帯 000-0000-0000
LINE ID ABCyamada
メール abcdefg@yahoo.co.jp
Facebook yamadahanako
文章は少し長いですが、シニアライフを今後も満喫する意気込みと、これからも積極的にお付き合いをしていきたいという気持ちがハッキリと伝わってきます。
「新年の挨拶はこれで一区切りとさせていただきますが これからも〜」の一文があることで、年賀状からは卒業したことがわかります。連絡先を複数用意しており、今後もさまざまなことを発信していく前向きな印象があります。
5-2-2.より具体的な近況報告を兼ねた終活年賀状の文
シニアになっても、何らかの仕事や社会活動などがあり、現役の関係者と同年代の知人友人に向けた、近況報告を兼ねた年始の挨拶です。前項の文章と比べると、より内容が具体的です。
冒頭で「来年から〜」とあるため、年賀状は今年で最後であることがわかります。
例文)
恭賀新年
旧年中は大変お世話になりました
本年もよろしくお願い申し上げます
皆様、ご健勝のことと存じます。
さて、長らくご交誼を賜ってまいりましたが、来年から、年賀状による新年のご挨拶を遠慮させて頂きます。
古希を迎えたころから、身体のあちこちに変化を感じるようになりました。まだまだ、気持ちは元気でも、若くはないことを実感している今日この頃です。
現在は、実家の北海道と東京の自宅を往復する日々ですが、いずれは北海道の実家へ戻ることになります。
これからは、メールやSNSなどで連絡をいただけると嬉しく思います。今後ともよろしくお付き合いのほどをお願いします。
mail:hokkaido123@yahoo.co.jp
lLINE:hokkaidoutokyo123
文面からは、まだまだ社会活動が多く、東京と北海道の往復が忙しくてゆっくりできないことや、将来は実家に戻るため、住所や暮らし方が変わることなども含め、すぐに連絡が取りやすいメールやSNSでのやり取りを強く希望しているのがわかります。
前章で解説をした、本来ならばNGである句読点が入った普通の文章ですが、横書きであることと、近況報告がメインの年賀状兼年賀状じまいをしていますので、違和感なく受け入れてもらえるはずです。
5-3.50~60代前半 退職・リタイアメントをタイミングにする
定年退職を理由に年賀状を卒業する場合は、きちんと退職の報告を伝えることで、年賀状じまいとしての印象が良くなります。主に仕事関連で出していた年賀状に、一旦、区切りをつける時に使えます。
あまりビジネスライクな文章にはせず、今日までの関係への感謝の気持ちが伝わるようにします。退職やリタイアメントは、人によってタイミングが違うため、ご自身は現役から引退をしても、相手はまだ現役である可能性があります。
中には、相手の会社に送るケースもありますので、誰が見ても失礼がないように、縦書きでNGマナーなしの文面にしておきます。
また、退職やリタイアメントでは、仕事の関係であっても近しい方もいれば、本当に仕事上だけのお付き合いしかしてこなかった方がいますので、2種類の文面を用意して、使い分けたほうが良いでしょう。
5-3-1.退職・リタイアメントをきっかけにした一般的な終活年賀状の文
例文)
初春のお慶びを申し上げます
幸せな一年でありますようお祈りいたします
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
旧年中はご指導ご鞭撻を賜り
誠にありがとうございました
本年も昨年同様よろしくお願い申し上げます
私ごとではございますが
本年で長年勤めた職場を定年退職する運びとなりました
今後は、どなた様にも年始の挨拶状は本年で辞退させていただき存じます
ご無礼をお許しください
今後も普段のお付き合いは変わらずメールやSNSでいただけましたら幸いです
メールやSNSは相手を見て差出人欄に記載をするか、手書きで記入をしておけば、もともと会社以外での連絡先を知っているのであれば連絡が来ます。また、連絡を取り合う必要がない間柄であれば、そのまま人間関係は整理されます。
退職による年賀状じまいは、仕事関係の人にとってはお互い様という面もありますので、年賀状としての礼儀に適っていれば、連絡先が無くても問題はありません。
5-3-2.現役中に親しい間柄だった方への終活年賀状の文
こちらは、仕事がらみであっても、何度もプロジェクトを共にした仕事関係の方や、長い仕事のお付き合いで、個人的にも親しくなっている間柄への終活年賀状です。
このような関係性は、普段からコミュニケーションが取れていますので、定年退職をすること自体はすでに知っています。シンプルに、年賀状じまいをすることだけをお知らせします。
例文)
初春のお慶びを申し上げます
幸せな一年でありますようお祈りいたします
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます
新年おめでとうございます
本年をもって定年退職することとなりました
この節目に皆様への年賀状は本年にて描き納めとさせていただきます
皆様のご健康とご多幸を心からお祈り致します
本年もよろしくお願いします
mail:yamada123@yahoo.co.jp
lLINE:yamada123
個人の連絡先としてメールとSNSなどを記載しておけば、仕事の付き合い以外でも、続けていく気持ちがありますよという意思表示になります。たいていの場合は、相手も連絡先を登録をして、なんらかの連絡を取り合うようになるでしょう。
5-4.全年代 目上の方に送る場合
終活年賀状を、自分より目上の方に送る場合は、少し気を付ける必要があります。終活をいつ始めるかは、人によって違いがありますので、早い方は、40代くらいで終活年賀状を出すケースもあります。
終活も年賀状もプライベートなことなので、何歳で終活をはじめ、何歳で年賀状じまいをしても自由なのですが、あまりに年齢が若いと、自分より目上の方が年賀状を出してくれているのに、自分が出さなくなることになります。
このような場合は、この年賀状が終活であることには触れず、単に「年賀状をやめます」ということだけをシンプルに伝えてから、お詫びの言葉を丁寧に続けます。
お詫びの言葉とは、以下のような文言のことです。
● 誠に勝手ではございますが、
● 非礼を深くお詫びいたします
● どうか悪しからず御了承いただけますようお願い申し上げます
終活年賀状をお出しする目上の方の人数が多くないのであれば、手書きで年賀状を書くことで、最大限の敬意と感謝を伝えることができます。印刷したものを使う場合でも、一言だけでも手書きの文を入れるだけで、印象はかなり良くなります。
また、目上の方に出す場合のみのマナーですが、「賀正」「迎春」などの、2文字での新年の挨拶はNGとされています。これらは、今でいうところの「あけましておめでとうございます」を「あけおめ」と略したものと同じです。
「謹賀新年」や「慶賀新春」など、正式な言い方を使うように気を付け、印刷されているものも、略していないものを選ぶようにします。
5-4-1.目上の方に出す一般的な終活年賀状の文
文章は丁寧な言葉を選び、今後のお付き合いを続けさせてほしいことが伝わるようにします。理想は、すべて手書きですが、無理な場合は、一言コメントか宛名だけでも、手書きをするようにすると、敬意と感謝の気持ちが相手に伝わります。
例文)
謹んで新年のお慶びを申し上げます
昨年は大変お世話になりました
本年もどうぞよろしくお願いします
本年をもちまして年始のご挨拶状を失礼させていただこうと思っております
どうか悪しからずご了承いただけますようお願い申し上げます
今後も変わらぬお付き合いをお願い申し上げるとともに
〇〇様のご健康とご多幸をお祈りいたしております
連絡先などは宛名面に、必要な連絡先のみ記載をします。メールなどをやり取りする間柄の場合は、文末に手書きで書いておくのでもよいでしょう。
イラストなどは、目上の方が読みやすいように、文字がデザインに重ならないような図柄を選びましょう。
5-4-2.親密な間柄の目上の方への終活年賀状の文
目上の方と言っても、日頃からとても可愛がってくださっている方や、多少の甘えが許されるような親密な間柄の場合は、相手に最大の敬意を示しながらも、親しさのある言葉で年賀状じまいをお伝えするほうが、温かい気持ちで受け取ってもらえるでしょう。
親しい間柄であれば、近々お会いしたときに、実は、終活をしていることなどを話す機会がありますので、非礼にあたるようなことになりません。
また、お互いに連絡先を知っていても、連絡先を明記することで「今後もお付き合いをする」という宣言のようにもなります。
例文)
謹賀新年
新しい年が素敵な一年になりますように
昨年は大変お世話になりました
今年度も昨年と変わらぬお付き合いをいただければ幸いです
誠に勝手ではございますが
今年度で年賀状を送るのを最後にさせていただきます
今後のやりとりにつきましては
メールまたはLINEにてご連絡くださいますようお願い申し上げます
メール yamadahanako@yahoo.co.jp
LINE yamahana123
5-5.全年代 家族の事情
家族の事情とは、一般的には、家族からの年賀状じまいの勧めがあって年賀状を卒業する場合のことです。または、子ども独立や、孫の成人など、ご家族の節目に合わせて、ご自身でも何かを卒業したい場合に、年賀状じまいが選ばれることがあります。
5-5-1.家族の事情による一般的な終活年賀状の文
家族で話し合った上での、年賀状じまいをしますという報告になっています。代わりの連絡先を明記することで、今後もお付き合いを続けていきたい気持ちを伝えることができます。
特に、こまめな連絡を取る必要がない場合には、不定期に更新するSNSなどを通じて近況報告を兼ねますという内容にすれば、気になった方は見に来てくれます。
例文)
謹賀新年
旧年中はひとかたならぬご厚情を賜り誠にありがとうございました
本年も変わらずよろしくお願いします
皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます
さて、家族で話し合った結果
皆様との年賀状でのお付き合いは来年をもちまして終了とさせて頂きます
今後はフェイスブックにて近況報告をさせて頂きます
誠に勝手ではございますが変わらぬお付き合いの程 よろしくお願いいたします
Facebook yamadahanako
LINE yamadahanako123
5-5-2.家族の事情による終活年賀状の文2
家族の独立や子供の成長などに合わせ、今までの暮らし方やお付き合いに変化が出たタイミングで、終活年賀状を送り、人間関係の整理をしていくこともできます。
気持ちの上での近況報告のような形にし、年賀状じまいの宣言のようなスタイルです。少し説明が入る文章ですので、背景が文字の邪魔をしないように、シンプルなデザインを選びます。
例文)
謹賀新年
あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
さて 私は今年で古希を迎えることとなりました
4人の子供がすべて独立し 初孫も社会人となりました
つきましてはこれを機に本年をもって年賀状でのご挨拶を
ご遠慮させていただきたく存じます
勝手ながらご容赦いただければ幸いです
今後の連絡はメールやSNSでお願いします
今後とも何卒かわらずにお付き合いくださいますようお願いいたします
みなさまのご健康おご多幸をお祈り申し上げます
mail:nengajyo123@yahoo.co.jp
lLINE:nengajyo123
5-6.全年代 環境の変化・人生の節目
環境の変化や、自分にとって人生の節目と言われるタイミングで終活年賀状を出すケースです。環境の変化には引っ越しや転勤、人生の節目には自分自身の考え方や生き方に沿ったことになります。
なぜ、年賀状を止めるのかがわかる簡潔な文にし、年賀状マナーに則った形で作ります。
5-6-1.環境の変化で終活年賀状を出す一般的な文
引っ越しや転勤などで環境が変わることをきっかけに、終活年賀状や年賀状じまいをする場合の例文です。他の連絡手段を記載していますので、年賀状を止めることだけが伝わっていれば、問題ありません。
例文)
謹賀新年
旧年中はお世話になりました
本年も何卒よろしくお願いします
新住居に移転し、心新たに新年を迎えました
つきましては 来年からは 年始の年賀状による挨拶を
どなた様にも控えさせていただくことといたました
今後はSNSやメールにてお付き合いいただければ幸いです
誠に勝手ではございますが 変わらぬお付き合いの程 よろしくお願いいたします
mail:nengajyo123@yahoo.co.jp
lLINE:nengajyo123
5-6-2.人生の節目などをきっかけに終活年賀状を出す文
その人なりの節目となるタイミングで、年賀状のやりとりを止め、その他の方法でやり取りすることが伝われば問題ありません。前項同様、少し個人的な説明のある文章となりますので、背景が邪魔にならない読みやすいデザインを選びましょう。
例文)
謹賀新年
明けましておめでとうございます。
今年で40歳の節目を加え、時世の変化から年賀状のやり取りを、今年度を持って最後にさせていただきます。
今後のやりとりは年賀状に代わりまして、電話やSNSでのやりとりをすすめさせていただけると幸いです。皆様の今後のご健康をお祈りいたします。
mail:hokkaido123@yahoo.co.jp
lLINE:hokkaidoutokyo123
まとめ
終活年賀状に関して、次のようにまとめました。
- 年賀状じまい(終活年賀状)とは
- シニア世代が終活年賀状を出そうと思う3大理由
- 終活年賀状を出す3つのメリット・デメリット
- 絶対に失礼にならない!年賀状じまい(終活年賀状)で気を付けるべき7ポイント
- 【年代・シチュエーション別】終活年賀状の文章サンプル
終活年賀状を出すというテーマがあることで、今日までの膨大な人間関係が整理され、より身軽で自分らしいシニアライフを自分で創造していけることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
年賀状じまい(終活年賀状)は、しなければならないことではなく、自分にとって必要なタイミングで出していけるものです。また、年賀状から卒業するだけで、これからのお付き合いは続けていく前提で、さまざまな準備をしておくことも大切です。
次の年末までに、おひとりお一人が、ご自身の終活年賀状について考える際の参考になれば幸いです。
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