今すぐやるべき4つの高齢者用防災対策で災害リスクを回避しよう

高齢者の防災

高齢の親がもし災害にあったらどうしよう。家には要介護者がいるのだが、災害の時にはどうしてあげたらいいのだろうか。または、若い時のように身体が動かない自分は、災害時に上手く対応できるのか不安だ、とお考えでしょうか。

災害時、高齢者は若者のようなすばやい行動が出来ないことが多く、災害リスクは高くなります。内閣府の出した「東日本大震災における高齢者の被害状況」によれば、東日本大震災で命を落とした人のうち66%以上は65歳以上の高齢者であることから、65歳を過ぎたら、高齢者用に防災対策を考え直しておく必要があります。

そこで今回は、高齢者の防災に関して

1.今すぐやるべき4つの高齢者用の防災対策
2.対策1: 自宅を安全な場所にする
3.対策2: 安否確認の方法を数種持つ
4.対策:3 避難経路・場所と逃げるタイミングの確認
5.対策4: 備蓄と避難持ち出し袋

をまとめました。最後までお読みいただければ、高齢者用の防災対策にするべきことがわかり、より安全度の高い防災準備が出来ます。


1.今すぐやるべき4つの高齢者防災対策

高齢者がいる家や、ひとり暮らしの高齢者のために、今すぐやるべき防災対策は以下の4つです。

各項目の詳細説明は2章からになります。

対策1.自宅を安全な場所にする
自宅だから安全なわけではありません。災害時には家の中でのケガや事故も起きます。

対策2.安否確認の方法を数種持つ
災害時には、平常には使える連絡方法が使えない場合があります。

対策3.避難経路・場所とタイミングの確認
避難経路と避難先などの確認が出来ていますか?

対策4.水・食料確保と避難持ち出し袋の確認
災害対策としての水食料などの確保が出来ていますか? 避難持ち出し袋はありますか?

上記の4項目を確認し、対策が不十分だと思うところからとりかかりましょう。

平常時に事前準備と確認をしっかり行えば、危険を遠ざけることが可能です。


2.対策1:自宅を安全な場所にする

災害時を想定して、まずは家の中を安全な場所にしましょう。大きな地震が起きた場合、家の中にある家具類が転倒して通路を塞いだり、最悪の場合は人の上に倒れてくる場合があります。

自宅を安全な場所にするために対策するべきことは以下の通りです。

①家屋の耐震確認

②家具の固定

③緊急ブザーの設置

④不要な荷物を片付ける

⑤古い電子機器・ガス器具などを変える

⑥いつもいる場所と寝室を堅牢にする

⑦上記以外のプラスαでできること

詳しく解説していきます。

家屋の耐震確認
家屋そのものの耐震確認をします。素人では無理なので、市区町村の無料耐震診断(有料・補助金あり)に申し込み、専門家による診断をしてもらいます。その後、必要な場合は補強をします。

これらの耐震診断情報は、市区町村の窓口で確認できます。

家具の固定
大規模地震に備えて家の中の家具は全て固定しましょう。例えば

・ピアノ、婚礼ダンスなどの重量があるもの
大地震の場合は、数トンの重みのあるこれらの家具が家の中を動き回ります。特にキャスターのついているピアノは、ぶつかると圧死する可能性もあります。ホームセンターで専用の固定器具を使って動かないように固定をします。

・冷蔵庫
地震の時、冷蔵庫は扉が開けば中の食品なども全て放り出されますので、冷蔵庫の開閉ストッパーなどを使って普段から使うようにしましょう。また、普段使うタッパー類もしっかりと締まるものを使うようにしましょう。

・食器棚 窓ガラス
食器棚の中身が飛び出すと、足元がガラス破片だらけになります。食器棚の扉は専用ストッパーなどを付けて、地震の衝撃で扉が開かないようにします。また、普段から食器棚に大量の食器を詰め込むのは避けるようにしましょう。

食器棚にガラスがついている場合はガラス飛散防止シートを貼ります。家の窓ガラスを確認し、鉄線が入っていないタイプのガラスの場合はガラス飛散防止シートを使います。カーテンを厚手のものにし、万が一ガラスが割れても、すぐに家の中に飛び散らないようにします。

・照明器具 エアコン
照明器具やエアコンは固定してありますが、マグニチュードの大きな地震に耐えられるほどの強さではありません。天井から照明器具が落ちてきたり、エアコンが壁から外れて落ちてくる可能性もあります。

照明器具が吊り下げ式で天井からの距離が長いものは、揺れが大きいと、大きく振り回されて家の中で凶器となります。特に照明器具に重たい素材(シャンデリア・ガラスや鉄素材)を使っている場合は、防災を第一に考えて軽くて短いもの(シーリングライト)に変更しましょう。また、万が一のことを想定し、エアコンの真下に眠ることも避けましょう。

・停電対策
停電して家が真っ暗になった場合のことも想定します。枕もとにはいつも小さな懐中電灯などを用意して眠るようにしましょう。眼鏡ケースと一緒に置いておくといっそう安全です。

廊下や部屋の各所にセンサー式の足元灯を設置し、非常時の場合でも安全に動けるようにします。足元灯はホームセンターや、最近では100均でも取り扱いがあります。

・停電対策2
自宅に酸素吸入器や電源が必要なタイプの医療器具を使う人がいる場合は、万が一の場合の予備電源になるものを用意しておきます。担当医師やケアマネージャーと相談し、必要な場合は長期レンタルの医療器具用電池などの用意しておきましょう。

緊急ブザーの設置
家の中でいつもいる時間が長い場所に、緊急ブザーを設置します。各市区町村では以下の基準を満たす家には緊急ブザー(機器本体・ペンダント型発信器・安否確認センサー・火災センサー)を無料で設置してくれます。

・基準1:65歳以上、ひとり暮らし
※同居人が重度の要介護者である場合は対象
※日中だけ同居人が不在という場合は、原則対象外。

・基準2:緊急時の協力員(親族でも可)を少なくとも1名登録できる

・緊急ブザーの作動
ペンダント型発信器
身に着けていて、万が一の時にボタンを押すと緊急センターへ発信。

安否確認センサー
トイレのドアなどに設置し、24時間開閉がない場合は緊急センターへ自動緊急発信する。

・火災センサー
火災報知器として作動。規定以上の熱や煙が発生した場合は、緊急センターに発信する。
【参照:緊急ブザー例 千葉県緊急ブザーチラシ

緊急ブザー代わりもなる「らくらくスマートフォン」も併用しよう

富士通コネクテッドテクノロジーズのらくらくスマートフォンは緊急時にワンタッチボタン1つ緊急ブザーが大音量で鳴り、周囲に危険を知らせてくれる機能があります。

高齢者の防災

緊急ブザー発信と同時に、事前登録してある家族などに電話発信します。相手が受電出来ない場合を想定し、電話発信から10数秒後にはGPSによる現在地が記載された緊急メールが発信されます。

この方法ならば、離れた場所から救急車の出動を要請したり、ケアマネージメントの担当者にも連絡ができ、高齢の親を守ることもできます。

このように、緊急ブザーとらくらくスマートフォンの緊急機能を併用すると、さらに万全な防災対策になります。

【参照:らくらくスマートフォン

不用な荷物を片付ける
家の中にある不要不急の荷物を片付けます。例えば、リビングや寝室に普段全く使っていない

・健康器具
・家具
・段ボールに入った本や衣類

などがおいてある場合は、それらを納屋や家の中の使っていない部屋に移動させるか、思い切って処分をして、普段使う場所を広く安全な場所にします。

特に、古新聞や古雑誌などは火災が起きた場合は想定以上の火災を起こす原因になりますので、早めに処分しましょう。

古い電子機器 ガス器具などを変える
家の中にある古い電子機器などを点検し、必要な場合は新しいものに変えましょう。

・分電盤と電気のコンセント類
分電盤と電気のコンセントは古いままにしておくと自然発火による火災に繋がります。

・ガス調理台
ガス調理台を使っている場合は、電磁調理器への変更をおすすめします。電磁調理器は「火」を使わないため、万が一の場合に引火することがありません。

・その他古いガス器具
風呂を沸かすガス器具、湯沸し器などのガス器具が古い場合は新しいものに交換するか、電磁製品に変更しましょう。

お風呂や水回りは高齢者のための補助金がありますので、上手に利用して安全なものにしましょう。補助金情報は各市区町村のホームページや広報誌に記載があります。

【参照:例 世田谷区 住宅改修費の助成

いつもいる場所と寝室を堅牢にする
いつもいる場所(居間・台所・自室)と寝室を補強します。具体的には

・大きな家具を別の場所に移動させる
・テレビが高い場所にある場合、ロータイプの置台に変更
・大きな窓がある場合は、飛散防止シートを貼る
・いつもいる場所に、複数の懐中電灯を設置

などです。災害はいつどういうタイミングで起きるかわかりませんので、普段いる可能性が高い場所をより手厚い守りにします。

+アルファで出来ること
①~以外にも、余力があれば以下の対策もしましょう。

・窓枠などの強化
古い家では窓枠が古いサッシ、または木枠であるケースもあります。取り替えるには大きなお金がかかりますので、落ちたり歪んだりしないように、補強をします。業者にお願いしなくても、家族が釘打ちなどをするだけでも補強になります。

・瓦屋根を下ろす
昭和時代に立てられた家は和瓦という陶製の屋根であることが多く、地震の場合はこの重みにより家が倒壊する可能性が高まります。スレート屋根という軽い屋根材に変更すると、より安全です。

耐震補強工事が予算の関係で行えない場合は、瓦屋根を下ろすだけでも耐震強度が上がります。これらの工事には100150万円ほどの費用がかかりますが耐震対策補助金が使えます。各市区町村の生活課窓口で確認しましょう。

【参照:江東区 木造住宅の耐震化工事
【参照:大阪府 木造住宅の耐震診断・改修設計・改修工事の補助制度
【参照:千葉県 令和2年度千葉市木造住宅耐震改修補助制度のご案内
【参照:愛知県名古屋市 木造住宅耐震改修助成

・玄関前をきれいにする
メインの避難路である玄関まわりをきれいに片付けましょう。例えば

・不要な傘
・灯油タンク
・自転車類
・使っていない鉢植え類
・使っていない靴類

などは、物置などに片付けるか、処分しましょう。

〇高齢者対象の補助金などが利用できます

その他、家の中の安全確保のために、高齢者を対象として補助金を活用して行く方法があります。

主に高齢者向け住宅リフォーム補助金の利用になります。要支援・要介護の認定が必要になりますのでケアマネジャーと一緒に考えて申請をしましょう。

具体的には以下の内容が対象になりますので、家の中の安全を確保する防災対策としておおいに活用しましょう。

・浴室まわり:
浴室の手すり・シャワー・入浴台等の設置・浴槽と浴室内の改修(据え置き型浴槽から半埋め込み式浴槽と段差の調整など)

 ・トイレまわり:
トイレの 手すり設置、トイレ内の改修(和式から洋式便器)

 ・玄関まわり:
玄関への手すり設置、スロープ等の設置などの安全対策全般

 ・リビングまわり
 和室を洋室に改修、手すりの設置、段差の調整

 ・台所・廊下・洗面所
 手すりの設置、段差の調整

 ・階段周辺
 手すりと滑り止めの設置

 ・玄関まわり:
スロープ、手すり、段差解消器具(台など)設置など


3.対策2: 安否確認の方法を数種持つ

災害時は、高齢者のそばに誰かがいるとは限りません。同居をしている場合でも、日ごろから緊急時の安否確認方法を共有して、何度でも確認しておきましょう。災害時には連絡方法のどれかがダメになる可能性を考え、数種類の用意をしておきます。

3-1.家族との連絡方法を数種持つ

家族との連絡方法は複数持っているほうが、より安全で便利です。家族と同居している場合と、ひとり暮らしの場合では持つべき連絡方法に違いがありますので、ご自身の状況に合わせて準備をしてください。

3-1-1.①家族と同居の場合

一緒にいる場合は、お互いケガなどがないかを確認します。離れた場所にいる場合は、メールやLINEなどを使って各自の安否情報を確認しあいます。

災害時の電話は繋がらなくなることが多いため、メールやLINEが使えない場合は、携帯会社の災害伝言板を利用しましょう。災害用伝言版アプリもありますので、日ごろから利用方法を練習しておきましょう。

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【参考:NTTドコモ 災害用伝言サービス 安否確認用PC画面
【参照:NTTドコモ 災害用伝言板
【参照:au災害用伝言板サービス
【参照:ソフトバンク災害用伝言板
【参照:災害用伝言板アプリ iPhone Android

3-1-2. ②ひとり暮らしの場合

高齢者ひとり暮らしの場合は、まず自分の身を守ることに専念します。普段から、いざというときに何をすべきかを書き出しておき、確認する習慣をつけましょう。リストを冷蔵庫などに貼っておくとよいかもしれません。

災害が起きた場合の家族との連絡の取り方はと同様、メールやLINE、災害伝言板を活用します。電話は繋がりにくくなります。

家族は普段から定期的に連絡をとり、災害準備確認などをしているかを、繰り返し確認しましょう。高齢者は不安を感じるのを嫌がるため、緊急時や災害の話をしたがらない傾向がありますが、根気よく話し続けましょう。近所の人にも、ひとりで暮らしていることを周知しておく必要があります。

【参照:NTTドコモ 災害用伝言板
【参照:au災害用伝言板サービス
【参照:ソフトバンク災害用伝言板

らくらくスマートフォンのあんしん対策機能

らくらくスマートフォンにはあんしん対策機能として、気象庁が配信する

・緊急地震速報
・津波警報
・気象等に関する特別警報
・各省庁・地方公共団体が配信する「災害・避難情報」(Jアラート配信の国民保護情報等)

を回線混雑の影響を受けずに受信できます。災害時には複数の災害が立て続けに起こることもあり、安否確認のための電話回線が込み合い、このようなアラート着信が遅れる可能性もあります。らくらくスマートフォンでは、これらの通信混雑状況にも、必ず最速の災害情報が受信できます。

また、災害時は家のテレビが何らかの理由で映らなくなることもありますが、らくらくスマートフォンならば、ワンセグ対応があるためテレビ放送受信で災害情報の確認が出来ます。

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さらにテレビ波が受信できなくても、ラジオ受信、インターネット放送受信も出来ますので、災害時の被害状況などがわかります。

【参照:らくらくスマートフォン あんしん対策機能

3-2.ケアマネジャーさんなどと連携をする

高齢者が要介護認定を受けている場合は、ケアマネージャーを中心に担当メンバーと災害時の対応について確認をしておきます。例えば、

・デイサービス利用中(運動・入浴・レクリエーションなど)
・ヘルパーが自宅で作業中
・ヘルパーさんが来訪していない曜日

等に分けて、具体的な対応方法が決めておけば関係者全員が安心できます。特に気を付けるべきは、1日のうち、家族もヘルパーさんなどもいないタイミングで災害が起きたときに、誰が安否確認をしに行くべきかなどは詳細に話し合っておく必要があります。

このようなケースを想定し、3-1同様、近所の人には自宅に要介護者がいることを周知し、万が一の場合は安否確認に協力してもらえるようにお願いをしておきましょう。(両隣の方の連絡先をケアマネジャーさんにも教えていいか、などの許可をお願いする、など)

また、被介護者が介護認定を貰っていても、会話が成立して話を理解が出来る場合は、本人にも説明をし、災害時には慌てて動き回らないこと、必ず誰かが連絡をしてきて、助けに来ることも話しておきましょう。


4.対策3: 避難経路・場所と逃げるタイミングの確認

避難経路と逃げるタイミングの確認方法です。まずは自分の住んでいる場所と、周辺地域のハザードマップを確認して、災害が起こりやすい場所を覚えましょう。ハザードマップは市区町村のホームページと、地域で配布されるモノがあります。

住んでいる地域によっては、避難のタイミングを災害内容によって変える必要があります。例えば

・水害(台風・大雨)
 ある程度の被害予測と避難予測が出来る。

・火災
 発生時の被害予測はできないが、避難予測はできる。

・土砂災害
 ある程度の被害予測は出来るが、避難タイミングは予測できない。

・震災
 アラートが来てからしか対応が取れない。

・疫病のパンデミック
 事前にある程度の対策はできる。

など、災害ごとに自分の住んでいる地域ではどうするべきかを地域情報と合わせてよく検討し、家族で話し合って情報共有をしておく必要があります。
【参照:国土交通省 ハザードマップポータルサイト

4-1. 高齢者のための4つの避難対策

対策①日ごろから防災訓練に積極的に参加する
日ごろから地域の防災訓練などに積極的に参加をして、災害時にするべき行動を身体で覚えましょう。

実際の災害発生時には、消防や警察は最も被害の大きい地域へ急行するため、自分たちがいる場所にはすぐに駆けつけてくれないケースも想定されます。そのため、災害を乗り切るためには「自助努力」の部分が大きく左右します。

体調などの問題でみんなと一緒に訓練が出来なくても、その場を確認しておくのはとても大切です。災害訓練への参加を繰り返す中で、地域のどこに高齢者がいるかも周知され、実際の災害発生時に安全確保が容易になります。

②避難行動要支援者名簿に登録する
高齢者や病気のある家族を、避難行動要支援者名簿へ登録をしましょう。避難行動要支援者名簿とは、 災害時に自ら避難することが困難な人、例えば

・要介護者
・障がい者(身体・精神)
65歳以上のひとり暮らし高齢者で要介護認定者
・その他、支援が必要だと認められた人

の名前と連絡先などを掲載した名簿です。災害発生時にのみリストが発行され、自治会(自主防災組織)と民生委員・児童委員、地元消防団・警察・消防の避難支援等関係者とで情報共有しながら避難支援をします。

名簿登録は市区町村から年齢を基準にして電話・郵送・訪問などによる名簿登録への打診がありますが、自分からお願いすることもできます。市区町村の長寿健康課または生活課で受付をしています。
【参照:避難行動要支援者名簿

③福祉避難所を確認する
福祉避難所とは、災害時に一般の避難所での生活が難しい高齢者や障がい者など、避難支援が必要な人たちに配慮した避難施設です。

地域で指定された公共施設や老人ホームなどを使用することが多く、災害時に必要に応じて開設されます。これらの場所がどこにあるかを、平常時に自分の足で確認をしておきましょう。

災害が起きるタイミングによっては自宅まで帰るよりも、このような避難所を利用する方が安全な場合もあります。

④避難のタイミングを決めておく 
避難をどんなタイミングで行動に起こすかを理解しましょう。

 

テレビなどで災害ニュースを見ていて

「こんな災害なのに、なんでいつまでも家にいたの?」

「なんでもっと早く逃げなかったの?」

 

と思ったことがあると思いますが、これらは避難のタイミングと用語を正確に理解していないために起こる惨事です。災害起きた際、避難情報は以下の方法で入手することになります。

避難情報の入手先

  • テレビ
  • ラジオ
  • 地域の放送
  • 防災無線
  • Jアラート
  • 気象庁サイト
  • SNS(ツイッターなどによる現地の人の被害状況発信)

災害がひどくなってくると「避難勧告」「避難命令」などのアナウンスがありますが、実は日本には避難の際に命令に該当するものがありません。事態の緊急性を伝えるために「命令」「勧告」という単語を使うだけで、あとは災害現場の当事者たちの判断に一任されています。

そのため、災害情報を確認している人が「まだ大丈夫だろう」と自己判断をすることにより、避難タイミングが遅れて取返しのつかないことが起きるケースがあります。

以下の避難に関した用語を理解することで、災害情報から実際の緊急度を正確に測ることが出来ます。

【避難用語】

避難用語

【参照:東京都防災ホームページ 防災用語
【参照:内閣府 避難勧告等に関するガイドライン①

表からも理解できる通り「避難勧告」が出された時点で、市区町村が指定した地域の人たちは、今・居る場所よりも安全な場所に移動する必要性(立ち退き)があります。

離れた場所に高齢者が住んでいる場合は、上記の用語とハザードマップから状況を推察し、家族が電話などで避難を促してください。また、近隣の自治メンバーが高齢者への避難への声掛けをしてきたときには、素直に従うように日ごろから繰り返して説明をしておく必要もあります。


5.対策4: 備蓄と避難持ち出し袋

高齢者の防災対策として、災害時の食料確保と避難持ち出し袋の準備についてまとめました。基本的には通常の防災と変わりませんが、災害時に自分で買い出しに出たりすることがしにくくなるため、より念入りな防災準備が必要になります。

また、備蓄や避難グッズに賞味期限切れのものなどがないかも、毎年9月の防災の日などに合わせてチェックする習慣も身につけましょう。

5-1.自宅で防災する場合

災害時に自宅待機をする場合です。基本的には備蓄と水の確保がメインです。

・期間めやす:インフラが復旧して、水道と電気が復旧する一週間程度をめやすとします。

<自宅防災対策のためのリスト>
災害時に1週間ほど自宅待機する想定のリストです。
防災リスト

*万が一、下水が止まった時を想定して簡易トイレをリストに入れてあります。

1.水:1人1日3リットル
水は飲料・調理・生活用水など用途が広く、思っている以上に使います。平常時には大人1人で1日約3リットル使うとされているので、一週間分で2リットル入りのペットボトルが11本必要です。

災害用にミネラルウォーターを2箱(2ℓ入り6本ケース)準備しておけば、災害時には飲み水と調理に使えます。また、生活用(トイレ、身体を拭くなど)の水に使えるように、お風呂桶(バスタブ)の1/3程度の水を溜めておく習慣をつけておくと、より安心です。

給水袋は、地域で断水が起きた場合に給水車で水を汲むために使います。

2.主食(米)2キロ
お米は11食、茶碗一杯で75グラム消費するので、13食お米を食べると考え

1週間×75g×3回)=約1,500グラム
だいたい1.52kgのお米を準備してきます。

ただし、災害時は電気やガスなどが止まり、調理が出来ない可能性がありますので、災害用の水を注げば食べられるアルファ米などを用意しておきましょう。その他、主食になるもの:そうめん・パスタ・うどん・パンなども用意しておきましょう。
【参照:サタケのマジックライス

3.おかず(タンパク質・野菜など)
2のお米などのおかずを用意します。例えば

・レトルト食品 カレー・パスタソースなど
・缶詰類 シーチキン サバの水煮 など
・乾燥野菜 ごぼう ニンジン ほうれん草 乾燥わかめ
・その他 梅干し ふりかけ 即席スープ

など、自分の好きなものを合計で20個くらい用意しておきます。1回の食事で1つ消費するイメージ(一回の食事でおかずが1個)です。

また、日ごろから日持ちのする野菜

・芋類
・玉ねぎ

を常備し、調味料も切らさないように注意します。さらに、災害時はストレスがかかるため、甘いものが欲しくなりますので

・チョコレート
・ようかん
・缶詰フルーツ
・好きなお菓子

なども用意しておくと良いでしょう。5年間保存できる栄養食品を兼ねたチョコレート味のようかんなどが非常用品として売っています。賞味期限に気を付けて、定期的に入れ替えるようにします。
【参照:えいようかん

4.カセットコンロ ガスボンベ
非常時にはガスを使用できなくなることがありますので、カセットコンロの準備をしておきます。冬場の鍋などに使っているカセットコンロがある場合は、それを流用します。

災害時、カセットボンベは111本ほど消費するので、家族が多い世帯は数十本を備えておいた方がいいでしょう。

例)5人家族の場合 カセットボンベ必要量
7日間×5人=35本必要

5.医薬品など
災害時は医療班や救急車がすぐに来られないケースも考えられます。家である程度の対処が出来るように、医薬品なども揃えておきましょう。

・持病のある人は自分の薬を1週間分*主治医に説明すれば、災害時用1週間分の処方箋をくれます。
・ケガなどに備えた消毒薬 湿布 軟膏
・目薬 うがい薬 せっけん
・風邪薬 熱さまし 胃腸薬 
・サプリメント類

などを、普段から切らさないようにしておきましょう。

5-2.避難持ち出し袋の2パターン

自宅での待機が危険な場合や、避難勧告が出た場合の避難持ち出し袋です。災害が去ったら3日以内で家に戻れるタイプと、それ以上の期間の持ち出し袋に別れます。

5-2-1. パターン軽い避難持ち出し袋リスト

軽い持ち出し袋は、災害時にすばやく避難するのが目的です。避難から2~3日内で家に戻れる前提の量を想定したリストです。軽めですが災害時は両手が使えるほうが良いので軽量リュックに入れましょう。

1.貴重品類

・お金と銀行カード:
災害時は一時的に銀行でお金を引き出せない、クレジットカードが使えない場合があります。現金でお札と小銭を合わせて1万円程度を持っていると、いざというときに購入ができます。また小銭は公衆電話で使う可能性があります。

・身分証明書など:
避難先で本人確認が必要になった時に使います。

・健康保険証や生命保険などのコピー:
災害時には自分がケガをする場合もあります。また持病のある人は思わぬストレスで持病が悪化することがあります。

・家の鍵:
災害時は精神的にも焦りがあるので、家の鍵を落としたり失くしたりすることがあります。家の鍵のコピーを作って入れておきましょう。車で移動する人は車の鍵も入れておきましょう。

2.情報収集

・携帯電話(スマホ):
 携帯電話は情報を得たり、家族と連絡を取るのに必要です。忘れずに持っていきましょう。

・携帯電話の充電機:
 携帯電話の充電が切れないよう、充電器や乾電池型の簡易充電器を用意しましょう。

・筆記用具:
 避難先で何か指示があった時に忘れないようにメモ、または、日記替わりに災害記録を取るため。

・家族の連絡先:
 携帯電話を忘れた、携帯電話が電波が届かなくて使えない時に公衆電話で電話をすることがあり ます。電話番号は覚えていないことが多いので、家族の連絡先メモを入れておきます。

・地図や家族写真:
 避難先が自宅から見たときにどの位置あるのかなどを確認するために簡単な地図、またはハザードマップを入れておきます。家族写真は、避難場所で家族と落ち合えない場合、人に探してもらう時に役立ちます。

3.食料と水

水は避難先で水道が使えるケースが多いので、避難先に行くまでの間に飲める水として1リットルを持ち出します。食料は、簡単に避難先で食べられるアルファ米やカロリーメイトなどの軽いものを3日分想定して入れておきます。

4.その他

その他の品は、人によって違います。避難先にあると便利なものを書き出しましたので、ご自分でも必要だと思うものがあれば追加してください。

・マスク:
 避難先で風邪やインフルエンザなどにかからないように、予防のためにマスクをします。

・消毒薬:
 手を洗う場所がない場合、手を簡易に殺菌消毒するために使います。携帯用の小さなボトルに入った消毒薬で良いでしょう。ケガをした場合の消毒にも使えます。

・懐中電灯:
 避難が夜中になる場合もあります。手元足元を照らせるような小型の携帯懐中電灯を入れておきましょう。また、避難所が停電したときなどにも役立ちます。

・ティッシュ:
 アレルギーなどで鼻をかむ機会が多い人は多めにいれておきます。トイレットペーパーがない時にも使えます。

・タオル:
 汗拭き手拭き以外にも、折りたたんで小さな枕としても使えます。

・薬:
 常備薬以外にも、持病のある人は処方された薬を1週間分入れておきましょう。これは医師に相談すれば、いつもの処方箋に追加をしてくれます。

・めがね:
 老眼鏡などは、慌てて避難していると忘れがちです。

・下着・靴下の替え:
 23日滞在するかもしれませんので、下着や靴下の替えを入れておきましょう。数時間の滞在でも水害の場合は、靴下の履き替えは必要になるかもしれません。

・愛読書:
 避難先ではテレビやラジオで主に災害情報ばかり耳にすることになり、気がめいってきます。自分の心の落ち着きのために、愛読書を持っていることをおススメします。

5-2-1. パターン大きめの避難持ち出し袋

大きい避難持ち出し袋は、災害(台風・地震)などが収まった後でも、地域の安全性確保が出来ないために、引き続き避難先に滞在する場合に使います。こういう場合は一時帰宅の許可が下り、必要なものを自宅に取りに帰ります。その際に持ち出すための避難袋です。

パターンの持ち出し袋と被る項目がありますが、災害時に、とっさにどちらの持ち出し袋を手にしても大丈夫なように、同じ項目のものは入れておきましょう。

持ち出しものリスト

避難が長期戦になった場合、一時帰宅時の制限時間は30分ほどなので、一時帰宅をしてから必要なものを探して用意するのでは間に合いません。ふだんから大きめの避難持ち出し袋はしっかりと作っておきましょう。水や食料なども増え、重たくなるのでリュックはしっかりしたものにします。

また、要介護者であれば、着替えやおむつ、携帯用の杖などを必要に応じて準備しましょう。これらはケアマネジャーと相談の上決めてください。シニア・老人向けに売られている「防災グッズ」のキットや防災リュックを購入する方法もあります。

パターンから追加されたものを説明します。

3.食料と水:

・給水袋 小型タンク:
避難先で断水した場合、給水車があるところまで行って水の配給を受けることがあります。給水袋や小型タンクがあると便利です。

【参照:給水袋
【参照:給水タンク

・水のペットボトル:
避難先の水道が使えることが確認出来ている場合は、給水袋があれば十分です。避難先で水道が使えない場合は、重たいですが追加でお水が持ち出せるならば、念のため入れておきましょう。

・食料7日分:
もう1週間分の食料を追加します。

・お菓子(甘いもの):
避難先は災害による不安に加え、プライバシーが守られていないためストレスが溜まります。人はストレスがたまると甘いものが欲しくなりますので、甘いお菓子類を持っているとリラックスできます。

・嗜好品:
タバコ、コーヒー、ポケットウイスキーなどの嗜好品は、自分をリラックスさせるために使います。

・のど飴:
避難先ではお水やお茶を自宅にいるようには自由に飲めない可能性があります。また冬場で乾燥していることもあるため、のど飴などがあると便利です。のどの乾燥を防ぐことにより、風邪やインフルエンザの罹患率を下げることが出来ます。

5.便利グッズ

・万能ナイフ:
 ハサミ、ナイフ、缶切りなどの7つ道具が全て一つに収まっている便利なナイフです。【参照:万能ナイフ

・ホッカイロ:
 冬場は避難所に暖房がない可能性もあります。

・災害用毛布:
 薄いアルミで出来たシーツですが、保温性が高く、真冬でも布団の代わりとして使えます。【参照:災害用毛布 もしもうふ

・雨具と上着
 水害で外に出て作業をする必要がある場合には折り畳み傘やレインコートなどの雨具、冬場は上着が必 要になります。

・簡易トイレ:
 トイレが詰まる、下水が使えなくなる等の場合、簡易トイレがあると助かります。【参照:簡易トイレ

・ウエットティッシュ:
 普通のティッシュ以外にウエットティッシュがあると、汚れたときも、さっと手肌を拭くことが出来て 便利です。

・ヘルメット:
 避難先から別の避難先へ移動する際、あればより安全です。避難袋に結んでおくと便利です。

・丈夫な靴:
 避難先から別の場所に移動することがあります。数キロ歩いても大丈夫なように、歩きやすくて丈夫な 靴にしましょう。大きな避難袋の下などに準備しておき、持ち出すときに履き替えましょう。

・スリッパ:
 避難所で生活するときにスリッパがあると、靴下が汚れません。

・紙コップ:
 コップなどが足りないときに使います。

6.介護用品:
・紙おむつ:介護が必要な人、または避難先で必要な場合は持っていきましょう。

・携帯用の杖:
足腰の悪い人は、平らではない道を歩くことがありますので、折り畳みタイプの杖があると便利です。【参照:折り畳み杖

【参照:1人用 シニア 防災グッズセット


6.まとめ

いかがでしたでしょうか。高齢者の防災対策を以下のようにまとめました。

1.今すぐやるべき4つの高齢者用の防災対策
2.対策1: 自宅を安全な場所にする
3.対策2: 安否確認の方法を数種持つ
4.対策:3 避難経路・場所と逃げるタイミングの確認
5.対策4: 備蓄と避難持ち出し袋

普通の防災に加え、高齢者ならではの心配すべきことがお分かりいただけたと思います。高齢者が家族にいる人、またはご自身が65歳以上の場合は、万全の防災対策の上、災害時には1人で頑張らずに地域や周りの人のサポートもうけながら安全を確保してください。

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