
少子高齢化が進む日本では、一人暮らしをする高齢者世帯の数が増加しています。
内閣府が行った調査によると、65歳以上の一人暮らし高齢者の割合は、平成27年の時点で男性が約192万人、女性が約400万人と報告されています。
一人で不安や悩みを抱えながら暮らしている高齢者は今後も 増加するでしょう。
体力的な衰えを感じながら一人で暮らしていると、さまざまな不安や不便さと向き合うことになります。
しかし、不安は誰もが感じるものです。
漠然と気落ちした毎日を送るよりも、少しでも前向きな気持ちで生きていく方が建設的だといえます。
今回は、高齢者が感じている不安の内容を、国の調査結果を元に紹介。
不安を解消するための向き合い方について考えていきましょう。
目次
- 1. 高齢者が日常的に不安に感じていることと解消法
- 1−1. 健康や病気のこと
- 1−1−1. 健康不安の解消法:健康的な生活習慣を心がける
- 1−2. 寝たきりなどで介護が必要になること
- 1−3. 地震や洪水などの自然災害
- 1−4. 生活のための収入のこと
- 1−5. 頼れる人がいなくなること
- 1−6. 社会の仕組みが大きく変わってしまうこと
- 1−7. 騙されたり犯罪に巻き込まれたりすること
- 1−8. 相続の問題
- 1−8−1. 相続の不安の解消法:事前に親族間で話し合っておく
- 1−9. 住まいに関すること
- 1−10. 子や孫の将来
- 1−11. 新しい商品やサービスの使い方がわからなくなる
- 1−12. 人との付き合い
- 1−13. インターネットなどでの情報収集が難しい
- 1−14. 生活様式が大きく変わってしまうこと
- 2. 悩みすぎて老人性うつにならないよう注意
- まとめ
1. 高齢者が日常的に不安に感じていることと解消法
出典:平成27年版高齢社会白書(概要版) 1 幸福感、不安に関する意識
内閣府が発表した「平成27年版高齢社会白書」の「1 幸福感、不安に関する意識」の中で、高齢者が日常生活で不安に感じていることの調査内容がまとめられています。
高齢者の不安の多くは、健康や介護面、災害時への対応、収入面、家、家族を含めた人間関係に関連していました。
ここからは、調査結果をもとに高齢者が不安に感じていることについて、解決方法と合わせて紹介します。
1−1. 健康や病気のこと
高齢者が不安に思っていることで一番多かったのは、健康面の問題でした。
自分がいつ大病を患い、平穏な日常が送れなくなるかという不安は、誰もが抱くものです。
高齢になると体力の衰えにより、さまざまな健康不安に悩まされます。
病気がちになることで、通院の頻度も増えるでしょう。
物忘れが多くなるなど、認知症のリスクも高まります。
健康面の不安が日常生活に支障をきたすようになれば、安心した暮らしは望めません。
そうなれば、家族など関係者にも負担を強いることになるため、さまざまな不安要素を生み出す要因にもなっています。
1−1−1. 健康不安の解消法:健康的な生活習慣を心がける
健康面の不安を解消するためには、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが最大の対処法になります。
以下のように、規則正しい生活を維持すれば、健康寿命を延ばすことにつながるのです。
- 規則正しい生活習慣を維持する
- バランスの取れた食事を摂る
- 適度な運動を行う
- 睡眠の質を高める
- かかりつけ医を見つけ、身体の状態を把握する
健康面の不安は健康な生活を送ることで自然と払拭できます。
病気の予防のためにも、食事や運動に気を配るようにしましょう。
健康維持のためには、趣味に打ち込むことやスマホのアプリを使って健康管理を行うのがおすすめです。
身体を動かしたり人とのコミュニケーションを取ったりできる趣味があれば、身体だけでなく脳への刺激も受けられます。認知症予防などにも効果的です。
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スマホをお持ちの人であれば、各種アプリを使って健康管理ができます。
- 食事内容
- 血圧
- 歩行距離
- 睡眠の質
上記のような健康に直結する要素を数値化して管理できるため、継続して続けやすい点が優れています。
三日坊主な人におすすめな健康管理の手段です。
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1−2. 寝たきりなどで介護が必要になること
一人暮らしで部屋に引きこもりがちになると、運動量の低下から身体機能が衰えていき、寝たきりの状態になる恐れがあります。
普段から意識して身体を動かす習慣を持っていればよいのですが、突然のケガや病気などがきっかけで運動不足になり、寝たきりの状態になるリスクを高めてしまうのです。
寝たきりで身体を動かせない状態が長く続けば、身体だけでなく内臓の機能の低下も招きます。
ずっとベッドの上で過ごす毎日は、認知症のリスクも高めます。
寝たきりになると介護が必要になり、家族や介護施設・介護サービスの力を借りることになるのです。
1−2−1. 介護への不安の解消法:介護サービスの利用を検討する
介護が必要な状態になった時、周囲に頼れる人物がいれば安心できます。
とはいえ、同居する家族がいなかったり、遠方の親戚の手を借りることに抵抗を感じる人もいるでしょう。
そんな場合は、介護サービスの利用を検討してみてください。
介護サービスには、老人ホームなどに入居する、自宅で介護を受ける、自宅から通う3パターンがあります。
老人ホーム
老人ホームには民間の施設と公的な施設があり、入居の条件やかかる費用に違いがあります。
自分が必要とする介護の内容と予算を考慮して、老人ホームへの入居を考えてみるとよいでしょう。
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自宅で介護を受ける
訪問介護のサービスを利用すれば、介護士に週に数回訪問してもらい、身体介護や生活援助を受けられます。
住み慣れた自宅でリラックスしながら介護サービスを受けられ、家族の介護負担の軽減にもつながります。
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自宅からデイサービスへ通う
ある程度自立した生活が送れる人は、デイサービス(通所介護)の利用がおすすめです。
自宅からデイサービスセンターまで車で送迎してもらい、下記のサービスを受けられます。
- 身体機能の維持
- 入浴や食事の介助
- 他の利用者とのレクリエーション
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介護サービスは家族の介護負担を減らせるため、積極的に利用してみてください。
もちろん、普段の生活習慣に気をつけて、寝たきりの状態にならないようにすることが大切です。
健康面の問題と向き合うことができれば、介護への不安の解消にもつながります。
1−3. 地震や洪水などの自然災害
一人暮らしをしていると、台風や地震などの自然災害が起きた時、とても不安になるものです。
近年のゲリラ豪雨の増加など、水害は身近な問題になってきています。
地震もいつ発生するかわかりません。
避難場所への移動が困難だったり、周囲に頼れる存在がいなかったりすると、いつ災害に巻き込まれるか心配です。
災害時に電気や水道が止まってしまった場合、どのように対処すればよいか分からない人も多いでしょう。
1−3−1. 自然災害への不安の解消法:日頃の備えを徹底しておく
自然災害への不安は、日頃の備えによって解消できます。
まずは、緊急時に備えて必要な物資を備蓄しておくことから始めます。
災害時に備え、食料や飲料水を確保しておきましょう。
断水した際には簡易トイレがあると便利です。
避難先へ移動する際に、迅速に行動できるよう避難用の持ち出し袋があると安心できます。
地域の避難場所がどこかは、事前にハザードマップなどで確認できます。
持病のある人は、常備薬やお薬手帳をすぐに持ち出せる位置に置いておきましょう。
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災害時には停電によりテレビが見られない可能性があるため、ラジオがあると便利です。
スマホがあれば、専用アプリを使ってインターネット経由でラジオを聴くことができますが、周辺地域一帯が停電だとキャリアの基地局も止まっていてネットにつながらない可能性があります。そんな時、FMラジオを直接受信できるスマホだとより安心ですね。
出典:らくらくスマートフォン F-42A
高齢者用のスマホなら、「らくらくスマートフォン F-42A」がおすすめです。
インターネットに接続してネットラジオを聴けるのはもちろん、本体にワンセグを使ったテレビ番組の視聴のほか、FMラジオにを直接受信することもできます。
出典:らくらくスマートフォン F-42A 製品特長(あんしん)
市販のイヤホンケーブルを挿せば、FMラジオの電波を受信できます。
災害時の連絡手段としても優秀なため、スマホを持つことを検討してみてください。
1−4. 生活のための収入のこと
多くの高齢者は仕事を引退しており、年金の受給や預金を切り崩しながら生活しています。
豊かな老後を送るためにはそれなりのお金が必要だという話を聞いて、不安に感じる人もいるでしょう。
生活費として食費や光熱費などの固定費が毎月かかります。
賃貸暮らしの人は、加えて毎月の家賃の支払いが重くのしかかります。
ギリギリの生活をしている場合、病気やケガなど急な出費があった際にはとても不安です。
老後のための充分な蓄えがない場合は、常に不安を抱きながら生活を送ることになります。
1−4−1. 収入面の不安の解消法:家賃や生活費を見直してみる
老後の収入面で不安を感じている人は、身近なところからお金の使い方を見直してみましょう。
まずは生活費を見直してみます。
不要な出費がないかをチェックし、必要ないと思うものから減らしていきましょう。
下記の3つが削減しやすい生活費にあたります。
- 電話代などの通信費
- 保険料
- 毎月の家賃
固定電話やインターネットを契約している場合は、スマホに一本化してもよいでしょう。
以前に契約した保険であれば、今でも必要なものか再確認してみてください。
家賃の負担が重く感じる場合は、より安価に暮らせる地域への引っ越しも検討してみましょう。
ただし、食費や光熱費などを削減するのは避けるべきです。
食事の量や内容を減らすと栄養失調になり、健康不安につながります。
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1−5. 頼れる人がいなくなること
長生きをしていると、周囲の友人や知人に先立たれることは避けては通れない問題です。
長年連れ添ってきた配偶者や身近な親戚が亡くなることで、周囲に頼れる存在がいなくなり不安になるケースは多くあります。
精神面でも依存していた相手を失うことで、日常生活にも不便さを感じやすくなるでしょう。
孤独と向き合いながら、日々の生活をこなしていくのは大変な苦労になります。
1−5−1. 頼れる人がいない不安の解消法:相談先を決めておく
頼れる存在がいないことへの不安は、何かあったときに気軽に相談できる相手を見つけておくことで解消できます。
家族や親戚など、遠方に住んでいても電話やメールなどで話をすることが可能です。
地域や趣味のコミュニティなど、同年代の知り合いにも相談できます。
デイサービスなどを利用していれば、施設の介護職員にも相談しやすくなるでしょう。
大切なのは、不安を一人で抱え込まずに誰かに話してみることです。
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また、最近では移動が難しい高齢者に代わり、買い物を代行してくれるサービスが増えています。
買い物代行は高齢者の見守りも兼ねており、食材の配達員が定期的に様子を見にきてくれます。
日頃からどんな些細なことでも話せる相手を見つけるようにしましょう。
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1−6. 社会の仕組みが大きく変わってしまうこと
情報化社会である現代は、常に目まぐるしく変化しています。
特にIT化の推進により、スーパーやコンビニなどでもキャッシュレス決済に対応する店舗が増えました。
便利な世の中になるのは良いことなのですが、高齢者にとっては変化を速すぎると感じる人もいるでしょう。
新型コロナウイルスのワクチン接種の予約にて、なかなか電話がつながらず不安な思いをした高齢者はすくなくありません。
インターネットでの予約は比較的簡単にできたため、先端の仕組みを利用できないと不便さを感じる機会は今後も増え続けます。
1−6−1. 社会への不安の解消法:柔軟な考え方を意識する
社会の変化に対しては、取り残される不安よりも便利さを享受できる点にメリットを見出すべきです。
人類が誕生してからというもの、近年における科学の進歩は目覚ましいものがあります。
戦後の貧しい時代から便利な家電や車を利用できるようになった今の社会も、充分な変化といえるでしょう。
目の前で起きている社会の変化に対し、柔軟な考え方のもとで積極的に恩恵を受けられるように対応してみてください。
スマホを使う高齢者は増加傾向にあります。
すべての機能を使いこなせなくても、電話やメール、LINE、各種アプリを活用している高齢者も珍しくなくなりました。
変化を楽しめるようにしたほうが、日々の暮らしをより楽しく快適なものにできるでしょう。
1−7. 騙されたり犯罪に巻き込まれたりすること
高齢者を狙った犯罪は後を絶ちません。
有名なのは還付金詐欺やオレオレ詐欺など、電話を使った犯罪です。
犯人グループは電話先で言葉巧みに誘導し、ATMからお金を支払わせたり、キャッシュカードを奪ったりします。
役所など公的機関を名乗り、「税金や保険料の還付が受けられる」と嘘をついてお金の振込を要求します。
ATMでお金を振り込ませたり、自宅までキャッシュカードを受け取りに来たりします。
オレオレ詐欺の手口
息子を名乗って電話をかけ、「仕事でトラブルを起こした。早急にお金が必要になった」などと嘘をつき、金銭を騙し取ります。
高齢者によっては判断力が低下しており、犯人グループの電話の内容を信じてお金を振り込んでしまう被害が後を絶ちません。
普段から意識していても、いつこれらの詐欺被害に巻き込まれるかと身構えていると、何かと疲れてしまうでしょう。
1−7−1. 防犯への不安の解消法:常に疑う姿勢を持つ
電話を使った特殊詐欺に関しては、常に相手を疑う姿勢を持つことが大切です。
「電話の相手は本当に息子なのか?」
「還付金はATMからは受けられないはず」
といった情報を持っていれば、急な電話に対しても冷静に対処できる可能性が高まります。
しかし、特殊詐欺の手口は日々巧妙化しており、対策しても防ぎきれないこともあるでしょう。
そこで、留守番電話を活用します。
自宅の電話を留守番電話モードにし、かかってきてもすぐにでないようにしましょう。
留守番電話のアナウンスに対し、相手が要件を話したのを確認してから、折り返し電話をします。
知り合いかどうかを事前に確認でき、怪しい電話に対しては折り返さないことで対策可能です。
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また、スマホによっては迷惑電話対策機能が搭載されており、トラブル回避に活用できます。
出典:らくらくスマートフォン F-42A 製品特長(あんしん)
らくらくスマートフォンであれば、通話中に音声データを分析し、還付金詐欺に関するリスクを検知してけん制と注意喚起を行います。
また、電話帳に登録していない相手からの電話に対し、自動でけん制メッセージを送る機能もあります。
普段の身構えとは別に機械的に対策を講じることで、犯罪に巻き込まれるリスクを低減できるのです。
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1−8. 相続の問題
自分の遺産を親族に対してどのように配分するかは、大きな不安の種です。
遺産といっても預金だけでなく、家や土地も含まれます。
生前の間にきちんと決めておかなければ、遺産の相続で大きなトラブルを引き起す可能性があります。
大切な親族の相続がきっかけで関係性に傷がつかないか、不安に感じてしまうでしょう。
1−8−1. 相続の不安の解消法:事前に親族間で話し合っておく
相続トラブルの不安を解消するには、事前に親族と話し合っておくことが大切です。
どのように遺産を分割するかは、遺言書を作成して明記しておきます。
また、生前贈与や死亡保険金の受取人の指定などもしておきましょう。
残された親族が相続で揉めることのないよう、効力を持った遺言書を作成しておけば安心できます。
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1−9. 住まいに関すること
毎日を過ごす家を、終の棲家にできるかは築年数や周辺環境によって大きな影響を受けます。
長年住み続けた家は老朽化が進んでおり、雨漏りやシロアリなどの被害を受けやすくなります。
地震などの災害時にも、倒壊しないかと不安に感じることも多いでしょう。
住んでいる家の状態によっては、災害への不安にも直結します。
また、持ち家か賃貸かという違いもあるでしょう。
持ち家の場合はローンを完済すればお金はかかりませんが、修理や補修などの費用は自己負担です。
賃貸の場合は手軽に引越しができる反面、毎月の家賃を支払わなければなりません。
家の問題は収入面の不安にも関係してくるのです。
1−9−1. 住まいの不安の解消法:引越しや施設への入居を検討する
住まいの不安を解消するためには、今感じている問題点をどのように解決するかがポイントです。
設備の老朽化や、段差が多くて歩きにくいという場合は、バリアフリー設計された家への引越しが考えられます。
車などの移動手段が使えないため、日々の買い物や通院に不便さを感じるなら、市街地に近いマンションへの引越しも検討できます。
持ち家の場合は、リフォームによって高齢者が使いやすい設備や段差のない空間に作り変えるのもよいでしょう。
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将来的な介護サービスも視野に入れるのであれば、老人ホームへの入居も検討できます。
その他にも、親族と同居するなど、設備が整っていて暮らしやすく、頼れる存在が身近にいる場所を選らで住むことが大切です。
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1−10. 子や孫の将来
自分が他界した後に残された子供や孫の将来が気になり、不安を感じる高齢者は少なくありません。
子供や孫をかわいく思うあまり、生活費やレジャーなどにかかる費用などを負担している場合、自分がいなくなった後に暮らしていけるか心配になるでしょう。
孫がいない人の場合は、子供が高齢になった際に金銭面や人脈面で苦労するのではと不安を感じることもあります。経済的に不安定な生活をしていればなおさらです。
大切な存在だからこそ、漠然とした将来への不安を抱いてしまうのです。
1−10−1. 子や孫の将来への不安の解決法:きちんと話し合う機会を設ける
子供や孫の将来については、親や祖父母の立場として今のうちにサポートできることをまとめておくとよいでしょう。
金銭的な支援をしている場合は、遺産相続についてしっかり決めておく必要があります。
きちんと残せるものを用意しておき、子供や孫の手に渡るように準備しておくと安心です。
日頃からお互いに連絡を取りあうことで、何でも話し合える関係性を築くことが大切です。
重苦しい話題にすることはなく、日頃から将来について話し合いを持つことで、お互いの不安の解消にもつながります。
子供や孫の将来への漠然とした不安よりも、希望を持つことのほうが大切なのです。
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1−11. 新しい商品やサービスの使い方がわからなくなる
技術開発は日々進んでおり、常に新しい商品やサービスが世に生まれ出ています。
普及が進んでいる買い物時のキャッシュレス決済などは、従来にはなかった技術であるため、試す機会を持てない高齢者は多いはずです。
商品の購入に関しても、インターネット通販の普及によって自宅にいがながら買い物ができるようになっています。
しかし、インターネットを使いこなせなくてはネット通販の恩恵を受けられず、逆に購入の機会を減らすことにもつながりかねません。
ネット通販に押されて、街の書店が数を減らしているのはその一例です。
これまでのように、近場の本屋で書籍を購入することが難しくなるかもしれません。
変化によって従来の仕組みがすぐに使えなくなるということはありませんが、変革に取り残されるのではないかという不安は常につきまといます。
1−11−1. 変化への不安の解消法:使い方を学ぶ姿勢を持つ
世の中の仕組みの変化を恐れるのではなく、順応する姿勢を持つことで不安を払拭できます。
IT化が進んだことで生活の利便性は大幅に増しました。
電車の乗り換えごとに切符を買う必要のない交通系ICカードは、多くの高齢者が使いこなしています。
変化する商品やサービスに対して、「積極利用して恩恵を受けたい」と思う気持ちが大切です。
分からないことは人に使い方を尋ねるなどして、少しずつ順応していきましょう。
1−12. 人との付き合い
一人暮らしをしていると、人との交流の機会が減ってしまいます。
気軽に話せる相手が近くにいないと、ふとした時に孤独や不安を感じてしまいます。
困ったときに頼れる人が近くにいない場合は、何かよくないことが起きた時のことを考え、不安のループに陥りがちです。
特に、女性よりも男性のほうが周辺との付き合いが少なく、孤独化しやすい傾向にあります。
人との接点がなければ受ける刺激が少なくなり、持病の悪化や認知症のリスクも高まるため要注意です。
1−12−1. 人付き合いの不安の解消法:交流の幅を広げる
人との付き合いを増やすためには、交流の幅を広げるのが効果的な方法です。
近くに家族や友人がいない場合でも、新たに人脈を増やすことは可能です。
地域のコミュニティ活動への参加やデイサービスの利用によって、人と触れ合う機会を作れます。
人との交流の場は対面だけとは限りません。
インターネットを使い、SNS上で交流することができます。
出典:らくらくコミュニティ
SNSを使うのに抵抗があるという人は、シニア向けのコミュニティである「らくらくコミュニティ」の利用がおすすめです。
らくらくコミュニティはらくらくスマホのユーザーだけでなく、インターネット環境があれば誰でも無料で利用できます。
自分の趣味や写真の投稿などの話題に対して投稿し、利用者がお互いにコメントをするなど自由な交流の場です。
身近な知り合いがいない人でも、SNS上であれば全国に住む人と意見の交換ができる点が優れています。
投稿内容は運営者が24時間チェックしているため、誹謗中傷や誤って個人情報が書き込まれる危険はありません。
1−13. インターネットなどでの情報収集が難しい
インターネットの普及により、多くの企業や公共施設がホームページ上で情報発信するようになりました。
うまくインターネットを使いこなせない高齢者にとっては、情報に触れる機会が減ってきているともいえます。
従来のようにテレビや新聞、書籍、市区町村の広報誌によって情報を得ることはできますが、インターネットの情報伝達の速さにはかないません。
インターネットを使いこなせる高齢者との情報格差は広がるばかりです。
今後もインターネット中心の情報網が構築され続けると、「情報を収集できなくなるのでは」と不安に思う人も少なくないのです。
1−13−1. 情報の不安の解消法:インターネットに慣れる
インターネットへの苦手意識を持つ人は、まずはそれを取り去りましょう。
インターネットをうまく使いこなせれば、生活が便利になるとう恩恵の面に着目するのです。
インターネット通販などは、外に出かける機会の限られる高齢者にこそメリットの多いサービスといえます。
お米や飲料水などを自分で買い出しに行くのは大変ですが、通販を使えば玄関先まで届けてもらえます。
自分にメリットの多いものと考えることで、積極的にインターネットに触れる機会を増やしましょう。
地域のパソコン居室や各通信キャリアのショップで開かれるスマホ教室などを受講すれば、少しずつ使い方をマスターすることができます。
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1−14. 生活様式が大きく変わってしまうこと
長く生きていると、文化や生活様式の変化を感じる機会が多くなります。
また、世界的なパンデミックにより、ソーシャルディスタンスが求められる世の中になりました。
従来の清潔さを意識した生活の延長だとしても、常にマスクをつけたり不要不急の外出を控えたりするなど、気を使う場面が大幅に増えています。
新たな生活様式は浸透していますが、いつまで続くのかと不安になるのは仕方のないことです。
1−14−1. 生活様式の変化への不安の解消法:新たな楽しみ方を見つける
生活様式の変化に対しては、上手く順応しながら自分なりの新しい楽しみ方を見つけることが大切です。
特に、自宅で楽しめる趣味を増やすことを心がけてみましょう。
自宅で過ごす時間が増えたことで、動画配信サービスの利用者が大幅に増えました。
模型作りの需要増からプラモデルが品薄になっています。
それぞれ新しい趣味に取り組み始めた人が増えている証拠です。
新たな楽しみ方として、家で取り組める以下の趣味を初めてはいかがでしょうか?
- 動画鑑賞
- 料理、お菓子作り
- 家庭菜園
- 模型作り
- DIY
- ゲーム
- 絵を描く
- 手芸
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2. 悩みすぎて老人性うつにならないよう注意
不安なことが多すぎて一人で悩む時間が増えると、心身ともに悪い影響を及ぼします。
引きこもりがちになると「老人性うつ」を発症しやすくなるのです。
老人性うつは、65歳以上の高齢者に見られるうつ症状のことを指します。
やる気の低下や暗い気分が長く続きます。
2−1. 老人性うつの症状
老人性うつになると、以下のような症状が現れます。
- 頭痛やめまいが起きる
- 食欲不振になる
- 何かと疲れやすくなる
- 気分の低下
- 焦燥感に襲われる
- 肩こり
- 吐き気
- 耳鳴り
- しびれ
記録力の低下など、認知症の症状と間違われることもありますが、気分の落ち込みや身体の不調を自覚できている場合は、老人性うつが疑われます。老人性うつが悪化すると、自ら命を絶つ選択をしてしまう恐れがあります。
2−2. 老人性うつの原因
老人性うつの原因としては、環境面と心理面の2つがあります。
それぞれの例は下記の通りです。
老人性うつの原因になる環境面の例
- 定年退職による環境の変化
- 趣味などがなく打ち込めるものがない
- 人と会う機会が少ない
- 引越しによる環境の変化
など
老人性うつの原因になる心理面の例
- 配偶者との死別
- ペットとの死別
- 病気を患った
- 病気の治療が長引いている
- 人間関係の不和
など
高齢者の場合は、女性よりも男性のほうが人付き合いの範囲が狭く、頻度も少ないため孤立しがちです。
定年後の環境の変化や配偶者やペットとの死別により、老人性うつを発症する場合があります。
2−3. 老人性うつへの対処法
老人性うつの治療法としては、薬物療法、精神療法、環境調整の3つの方法を試します。
薬物療法
本人に合った抗うつ剤を使って治療します。
抗うつ剤の副作用やほかに服用している薬との相性を考慮しながら、慎重に治療を進めます。
精神療法
医療従事者とのカウンセリングを行い、症状の改善を目指す治療方法です。
薬物療法と並行して行う場合もあります。
環境調整
ストレスや不安を感じにくい環境に身を置く治療法です。
同時にコミュニケーションや運動量を増やし、前向きな気持ちへの変化を促します。
高齢者の不安は心身共に病気の原因になってしまうため、放置は禁物です。
少しでも体調面の変化を感じたら、すぐに家族や親しい相手、かかりつけ医に相談するようにしましょう。
まとめ
高齢者が不安に感じている内容は多岐に渡りますが、分析してみるといくつかの内容に絞られることがわかります。
それぞれの問題と向き合い、不安を解消するための方法を試してみましょう。
・健康や介護面
日頃の生活習慣を見直し、適度な運動を取り入れる。
介護が必要な場合は、介護サービスの利用を検討する。
・災害時への対応
日頃からの備えを万全にしておく。
避難先での情報収集の手段を持つ。
・家の問題
住みやすい環境へと引っ越すか、リフォームして暮らしやすい家にする。
老人ホームへの入居を検討する。
・収入面
毎月の支出を見直し、不要な出費を抑える。
・家族を含めた人間関係
相談できる人物を見つけておく。
交流の範囲を広げ、新たな人脈を築く。
不安に感じていることは周囲と共有し、解決の糸口を提案してもらうことも大切です。
一人で悩むことなく、不安に打ち勝てるような具体的な対処法を見つけましょう。
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